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続編
第31話『体育祭⑧-チーム対抗男子・女子リレー-』
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障害物競走の後も、午後の熱戦が続いていく。
俺達の青チームはまずまずの戦績。ただ、葉月さんのいる緑チームも調子がいい。また、午後になってからは赤チームの調子が上がり、得点もかなり伸ばしてきた。この2チームと優勝争いをすることになりそうかな。
『ここで招集の連絡です。男子・女子・混合各種のチーム対抗リレーに出場する生徒のみなさんは、本部テント横の出場者集合場所に来てください。繰り返します――』
種目が進んでいき、ついにチーム対抗リレーに出場する生徒の招集がかかった。そのときが近づいているのだと実感する。
「よし、行くか! アキ、青山!」
「そうだな」
「行きましょうか」
チーム対抗男子リレーに出場する和男と、混合リレーに出場する氷織と俺はブルーシートから立ち上がる。
「氷織も紙透も倉木も頑張って! ここから応援しているわ!」
「みんな頑張ってね! 応援してる!」
「先生もここから青チームを応援するわ~」
火村さんと清水さん、高橋先生からはもちろんのこと、クラスメイトの大半から「頑張れ」とか「応援してる」といった激励の言葉をかけられる。力になるなぁ。
俺はその言葉を胸に、氷織や和男などチーム対抗リレーに出るクラスメイトと一緒に、本部テント横の集合場所まで向かう。
集合場所に行くと、係の生徒がリレーごとに集まるようにと案内している。
「みんな! それぞれのリレーを頑張ろうな!」
和男が元気良くそう言うと、俺や氷織を含めてみんな頷き、それぞれのリレーの集合場所へ。その際、女子リレーのところに葉月さんがいるのを確認した。
氷織と一緒に混合リレーの集合場所に行くと、青チームの混合リレーのメンバーである上重先輩、松島先輩、下田君、梅原さんの4人が集まっていた。
「おっ、紙透と青山も来たか」
「2人ともお疲れ様~」
「お疲れ様っす! いやぁ、借り物競走のときの紙透先輩は格好良かったっすよ!」
「格好良かったよね! あのとき、うちのクラスは大盛り上がりでした!」
「そ、そうだったんだ」
「あのときは会場全体がとても盛り上がっていましたもんね」
ふふっ、と氷織は楽しそうに笑う。
そういえば、昼休みに校舎へ戻るときや、今さっきブルーシートからここに来るときも、多くの生徒から視線を向けられたな。これからの混合リレーでも、氷織からバトンを受け取るし。今後しばらくの間は、普段よりもたくさん視線を集めることになりそうだ。
その後、係の生徒によって、俺は6番の青いゼッケンを受け取る。アンカーだと分かるように着てほしいとのこと。俺は体操着の上にゼッケンを身に付ける。
周りを見てみると、どうやらチームの色と同じ色のゼッケンを付けるようだ。和男は青い4番のゼッケン。葉月さんは緑色の5番のゼッケン。番号が違うけど……もしかしたら、リレーの種類で番号を分けているのかも。4番が男子、5番が女子、6番が混合といった感じで。俺の近くにいる別のチームのアンカーゼッケンを見ると、みんな6番のゼッケンを身に付けていた。
「明斗さん、ゼッケン似合っていますよ」
「ありがとう」
よーし、アンカーとして走るモチベーションが上がってきたぞ。
その後、係の生徒によって、俺達は集合場所からグラウンドのトラックの内側まで案内される。
校舎の窓に貼られている各チームの総合得点を見ると……青チームは2位か。1位は緑チームで、3位は赤チーム。ただ、どちらのチームとも、得点の差はそんなにない。リレー次第では順位が普通に変わるだろう。ちなみに、4位は黄色、5位は桃色、6位は白だ。
『さあ。今年の体育祭もチーム対抗リレーのみとなりました! 手元にある資料によると、リレーの結果次第ではどのチームにも優勝の可能性が残っているとのことです! リレーに参加するみなさん、頑張ってください! そして、会場にいるみなさん、応援をよろしくお願いします!』
放送委員の元気なアナウンスもあり、会場が盛り上がっていく。その盛り上がりが空まで届いたのだろうか。所々、雲の切れ間から青空が見えるように。陽も差して、これまでよりも暑くなってきた。
チーム対抗リレーは配点が高いと、種目決めのときに体岡が言っていたな。だから、3レースの結果次第では、現在最下位の白チームでも逆転優勝の可能性があるのか。
『チーム対抗リレーは男子、女子、混合の順番でレースをします。各チームの代表制と6人が参加するリレーとなります! 男子リレーは1人トラック1周、女子と混合はトラック半周を走ります。それでは、男子のリレーから始めます! 各チームの第1走者のみなさんはスタート地点に立ってください!』
そんなアナウンスがあると、各チームのバトンを持った生徒がスタート地点に立ち、クラウチングスタートの構えを見せる。
――パンッ!
『さあ、男子のチーム対抗リレーがスタートしました!』
いよいよチーム対抗男子リレーがスタートした。
チームごとの戦いであることや、ラストであること。配点が高いことから、スタート直後から会場から「頑張れ!」という応援の声がたくさん聞こえてくる。
「青チーム頑張れー!」
「頑張ってくださーい!」
俺も氷織や混合リレーのメンバーと一緒に青チームを応援する。
配点の高いリレー種目だからか、各チームとも足の速い生徒ばかりだ。見ていてかなり迫力がある。
先頭は赤チーム。その少し後ろで、青チームは緑チームと2位争いを繰り広げている。そこから差が開いて、白、黄色、桃色と続いている。
赤チームが速いこと。4位以下のチームとの差が開いていることもあり、終盤まで緑チームと2位争いが続く。
5人目の生徒が走り始めたので、アンカーの和男がスタート地点へ向かう。
「和男、頑張れよ!」
「倉木さん、頑張ってください!」
「おう!」
俺達の応援に、和男は笑顔で返事をして右手を突き上げた。
5人目になっても、青チームは緑チームと争い続ける。そして、そのままの順位で青チームのバトンがアンカーの和男へと渡った。
和男にバトンが渡った瞬間、それまでよりも青チームの走るスピードがグンとアップしたように見える。これまでずっと2位争いをしていた緑チームを引き離し、1位で走っている赤チームに迫っている。
「和男君。頑張ってー!」
「頑張りなさい倉木! あなたなら逆転できるわー!」
うちのクラスのブルーシートから、清水さんと火村さんの応援も聞こえてくる。そちらを見てみると、クラスメイトも高橋先生も総立ちで和男を応援している。
「いけー! 和男ー!」
「頑張ってー!」
俺と氷織も今までよりも大きな声で和男を応援する。
俺達の声援があったからだろうか。それとも、和男の足の速さなら必然だったのだろうか。和男は最終コーナーに差し掛かったところで、これまでずっと先頭を走っていた赤チームを抜き去り、ついにトップに躍り出る。その瞬間、会場からは「おおっ!」と興奮と驚きの声が響き渡る。
和男はそのまま1位を守り、2位以下の差を広げながら、見事にゴールテープを切った!
『ゴール! 青チームがアンカーで逆転し、1位となりました! それまでトップを走っていた赤チームが2位、そして緑チームが3位です!』
緑チームとの2位争いから抜け出し、そして赤チームを逆転しての1位。そんなドラマがあったからか、会場はとても盛り上がっている。
「青チームが1位ですよ!」
「そうだな!」
とても喜んだ様子で、氷織は大きく拍手をする。
和男は喜んだ様子で男子のリレーメンバーと抱きしめ合っている。そんな中、和男はこちらを向いて、大きく手を振ってくる。
「やったな和男!」
「おめでとうございます!」
「おう! 1位やったぜ!」
大声でそう言うと、和男は右手でピースサイン……ではなく、人差し指を一本立てた状態でこちらに向けてきた。1位を取った! ってことかな。本当にかっこいいぜ。
「これで青チームが勢いづきますね」
「そうだね。あと、さっきの和男を見たら、1位でゴールテープを切りたい気持ちがより強くなったよ」
「期待していますよ、明斗さん。そうできるように、私もバトンを繋げますね」
「うん」
チーム対抗リレーも始まって、アンカーとしてのプレッシャーが強まった。だけど、和男のゴールを見たら、俺も1位でゴールするんだっていう気持ちが大きくなって。この気持ちで、混合リレーを走りたい。
『さあ、続いては女子のチーム対抗リレーです!』
それからすぐに、チーム対抗女子リレーのレースが始まる。
序盤は全チームとも差があまりなかったけど、中盤になると緑、赤、青チームが先頭争いを繰り広げるように。
ただ、終盤になると青チームが先頭争いから脱落してしまい、赤チームと緑チームの一騎打ちという構図になる。4位以下との差はあるので、青チームは3位以内でゴールをしてほしいところ。
緑チームのアンカーとして葉月さんが出場する。その葉月さんは、赤チームのアンカーとほぼ同じタイミングでバトンを受け取った。
葉月さんは部活動対抗リレーでも見せた足の速さを再び発揮。部活動リレーでは終盤まで順位争いがもつれ込んだけど、今回はバトンを受け取ってすぐに1位を争ってきた赤チームを引き離していく。これには、別チームである俺と氷織も興奮してしまう。
「沙綾さん凄いですっ!」
「足速いな!」
運動系の部活に入っているんじゃないかと思わせるほどの速さだ。
男子リレーでの和男のように、葉月さんは1位の状態を保ち、2位以下と差を広げながらゴールテープを切った!
『ゴール! 緑チームがゴールです! 序盤からずっと1位争いをしていましたが、アンカーで一気に1位に躍り出て、そのままゴールしました!』
葉月さんは見事な走りをまた見せてくれた。敵ながら天晴だ。俺も氷織も葉月さんの走りぶりに自然と拍手。
『緑チームと1位争いをした赤チームが2位! そして、青チームが3位でゴールしました!』
青チームは3位でゴールできたか。これなら、混合リレーの結果で優勝できる可能性は十分にありそうだ。
1位でゴールした葉月さんは、嬉しそうな様子で緑チームのリレーメンバーとハイタッチしたり、抱きしめ合ったりしている。そんな中、俺達と目が合うと葉月さんはウインクしてきて。とても可愛い敵だ。
『4位は桃チーム、5位は白チーム、6位は黄色チームとなりました!』
これで、チーム対抗女子リレーも終わったか。
さあ、今年の体育祭も、残る種目は俺と氷織が出場するチーム対抗混合リレーのみ。この種目で今年の体育祭が終わり、勝負が決される。
俺達の青チームはまずまずの戦績。ただ、葉月さんのいる緑チームも調子がいい。また、午後になってからは赤チームの調子が上がり、得点もかなり伸ばしてきた。この2チームと優勝争いをすることになりそうかな。
『ここで招集の連絡です。男子・女子・混合各種のチーム対抗リレーに出場する生徒のみなさんは、本部テント横の出場者集合場所に来てください。繰り返します――』
種目が進んでいき、ついにチーム対抗リレーに出場する生徒の招集がかかった。そのときが近づいているのだと実感する。
「よし、行くか! アキ、青山!」
「そうだな」
「行きましょうか」
チーム対抗男子リレーに出場する和男と、混合リレーに出場する氷織と俺はブルーシートから立ち上がる。
「氷織も紙透も倉木も頑張って! ここから応援しているわ!」
「みんな頑張ってね! 応援してる!」
「先生もここから青チームを応援するわ~」
火村さんと清水さん、高橋先生からはもちろんのこと、クラスメイトの大半から「頑張れ」とか「応援してる」といった激励の言葉をかけられる。力になるなぁ。
俺はその言葉を胸に、氷織や和男などチーム対抗リレーに出るクラスメイトと一緒に、本部テント横の集合場所まで向かう。
集合場所に行くと、係の生徒がリレーごとに集まるようにと案内している。
「みんな! それぞれのリレーを頑張ろうな!」
和男が元気良くそう言うと、俺や氷織を含めてみんな頷き、それぞれのリレーの集合場所へ。その際、女子リレーのところに葉月さんがいるのを確認した。
氷織と一緒に混合リレーの集合場所に行くと、青チームの混合リレーのメンバーである上重先輩、松島先輩、下田君、梅原さんの4人が集まっていた。
「おっ、紙透と青山も来たか」
「2人ともお疲れ様~」
「お疲れ様っす! いやぁ、借り物競走のときの紙透先輩は格好良かったっすよ!」
「格好良かったよね! あのとき、うちのクラスは大盛り上がりでした!」
「そ、そうだったんだ」
「あのときは会場全体がとても盛り上がっていましたもんね」
ふふっ、と氷織は楽しそうに笑う。
そういえば、昼休みに校舎へ戻るときや、今さっきブルーシートからここに来るときも、多くの生徒から視線を向けられたな。これからの混合リレーでも、氷織からバトンを受け取るし。今後しばらくの間は、普段よりもたくさん視線を集めることになりそうだ。
その後、係の生徒によって、俺は6番の青いゼッケンを受け取る。アンカーだと分かるように着てほしいとのこと。俺は体操着の上にゼッケンを身に付ける。
周りを見てみると、どうやらチームの色と同じ色のゼッケンを付けるようだ。和男は青い4番のゼッケン。葉月さんは緑色の5番のゼッケン。番号が違うけど……もしかしたら、リレーの種類で番号を分けているのかも。4番が男子、5番が女子、6番が混合といった感じで。俺の近くにいる別のチームのアンカーゼッケンを見ると、みんな6番のゼッケンを身に付けていた。
「明斗さん、ゼッケン似合っていますよ」
「ありがとう」
よーし、アンカーとして走るモチベーションが上がってきたぞ。
その後、係の生徒によって、俺達は集合場所からグラウンドのトラックの内側まで案内される。
校舎の窓に貼られている各チームの総合得点を見ると……青チームは2位か。1位は緑チームで、3位は赤チーム。ただ、どちらのチームとも、得点の差はそんなにない。リレー次第では順位が普通に変わるだろう。ちなみに、4位は黄色、5位は桃色、6位は白だ。
『さあ。今年の体育祭もチーム対抗リレーのみとなりました! 手元にある資料によると、リレーの結果次第ではどのチームにも優勝の可能性が残っているとのことです! リレーに参加するみなさん、頑張ってください! そして、会場にいるみなさん、応援をよろしくお願いします!』
放送委員の元気なアナウンスもあり、会場が盛り上がっていく。その盛り上がりが空まで届いたのだろうか。所々、雲の切れ間から青空が見えるように。陽も差して、これまでよりも暑くなってきた。
チーム対抗リレーは配点が高いと、種目決めのときに体岡が言っていたな。だから、3レースの結果次第では、現在最下位の白チームでも逆転優勝の可能性があるのか。
『チーム対抗リレーは男子、女子、混合の順番でレースをします。各チームの代表制と6人が参加するリレーとなります! 男子リレーは1人トラック1周、女子と混合はトラック半周を走ります。それでは、男子のリレーから始めます! 各チームの第1走者のみなさんはスタート地点に立ってください!』
そんなアナウンスがあると、各チームのバトンを持った生徒がスタート地点に立ち、クラウチングスタートの構えを見せる。
――パンッ!
『さあ、男子のチーム対抗リレーがスタートしました!』
いよいよチーム対抗男子リレーがスタートした。
チームごとの戦いであることや、ラストであること。配点が高いことから、スタート直後から会場から「頑張れ!」という応援の声がたくさん聞こえてくる。
「青チーム頑張れー!」
「頑張ってくださーい!」
俺も氷織や混合リレーのメンバーと一緒に青チームを応援する。
配点の高いリレー種目だからか、各チームとも足の速い生徒ばかりだ。見ていてかなり迫力がある。
先頭は赤チーム。その少し後ろで、青チームは緑チームと2位争いを繰り広げている。そこから差が開いて、白、黄色、桃色と続いている。
赤チームが速いこと。4位以下のチームとの差が開いていることもあり、終盤まで緑チームと2位争いが続く。
5人目の生徒が走り始めたので、アンカーの和男がスタート地点へ向かう。
「和男、頑張れよ!」
「倉木さん、頑張ってください!」
「おう!」
俺達の応援に、和男は笑顔で返事をして右手を突き上げた。
5人目になっても、青チームは緑チームと争い続ける。そして、そのままの順位で青チームのバトンがアンカーの和男へと渡った。
和男にバトンが渡った瞬間、それまでよりも青チームの走るスピードがグンとアップしたように見える。これまでずっと2位争いをしていた緑チームを引き離し、1位で走っている赤チームに迫っている。
「和男君。頑張ってー!」
「頑張りなさい倉木! あなたなら逆転できるわー!」
うちのクラスのブルーシートから、清水さんと火村さんの応援も聞こえてくる。そちらを見てみると、クラスメイトも高橋先生も総立ちで和男を応援している。
「いけー! 和男ー!」
「頑張ってー!」
俺と氷織も今までよりも大きな声で和男を応援する。
俺達の声援があったからだろうか。それとも、和男の足の速さなら必然だったのだろうか。和男は最終コーナーに差し掛かったところで、これまでずっと先頭を走っていた赤チームを抜き去り、ついにトップに躍り出る。その瞬間、会場からは「おおっ!」と興奮と驚きの声が響き渡る。
和男はそのまま1位を守り、2位以下の差を広げながら、見事にゴールテープを切った!
『ゴール! 青チームがアンカーで逆転し、1位となりました! それまでトップを走っていた赤チームが2位、そして緑チームが3位です!』
緑チームとの2位争いから抜け出し、そして赤チームを逆転しての1位。そんなドラマがあったからか、会場はとても盛り上がっている。
「青チームが1位ですよ!」
「そうだな!」
とても喜んだ様子で、氷織は大きく拍手をする。
和男は喜んだ様子で男子のリレーメンバーと抱きしめ合っている。そんな中、和男はこちらを向いて、大きく手を振ってくる。
「やったな和男!」
「おめでとうございます!」
「おう! 1位やったぜ!」
大声でそう言うと、和男は右手でピースサイン……ではなく、人差し指を一本立てた状態でこちらに向けてきた。1位を取った! ってことかな。本当にかっこいいぜ。
「これで青チームが勢いづきますね」
「そうだね。あと、さっきの和男を見たら、1位でゴールテープを切りたい気持ちがより強くなったよ」
「期待していますよ、明斗さん。そうできるように、私もバトンを繋げますね」
「うん」
チーム対抗リレーも始まって、アンカーとしてのプレッシャーが強まった。だけど、和男のゴールを見たら、俺も1位でゴールするんだっていう気持ちが大きくなって。この気持ちで、混合リレーを走りたい。
『さあ、続いては女子のチーム対抗リレーです!』
それからすぐに、チーム対抗女子リレーのレースが始まる。
序盤は全チームとも差があまりなかったけど、中盤になると緑、赤、青チームが先頭争いを繰り広げるように。
ただ、終盤になると青チームが先頭争いから脱落してしまい、赤チームと緑チームの一騎打ちという構図になる。4位以下との差はあるので、青チームは3位以内でゴールをしてほしいところ。
緑チームのアンカーとして葉月さんが出場する。その葉月さんは、赤チームのアンカーとほぼ同じタイミングでバトンを受け取った。
葉月さんは部活動対抗リレーでも見せた足の速さを再び発揮。部活動リレーでは終盤まで順位争いがもつれ込んだけど、今回はバトンを受け取ってすぐに1位を争ってきた赤チームを引き離していく。これには、別チームである俺と氷織も興奮してしまう。
「沙綾さん凄いですっ!」
「足速いな!」
運動系の部活に入っているんじゃないかと思わせるほどの速さだ。
男子リレーでの和男のように、葉月さんは1位の状態を保ち、2位以下と差を広げながらゴールテープを切った!
『ゴール! 緑チームがゴールです! 序盤からずっと1位争いをしていましたが、アンカーで一気に1位に躍り出て、そのままゴールしました!』
葉月さんは見事な走りをまた見せてくれた。敵ながら天晴だ。俺も氷織も葉月さんの走りぶりに自然と拍手。
『緑チームと1位争いをした赤チームが2位! そして、青チームが3位でゴールしました!』
青チームは3位でゴールできたか。これなら、混合リレーの結果で優勝できる可能性は十分にありそうだ。
1位でゴールした葉月さんは、嬉しそうな様子で緑チームのリレーメンバーとハイタッチしたり、抱きしめ合ったりしている。そんな中、俺達と目が合うと葉月さんはウインクしてきて。とても可愛い敵だ。
『4位は桃チーム、5位は白チーム、6位は黄色チームとなりました!』
これで、チーム対抗女子リレーも終わったか。
さあ、今年の体育祭も、残る種目は俺と氷織が出場するチーム対抗混合リレーのみ。この種目で今年の体育祭が終わり、勝負が決される。
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