恋人、はじめました。

桜庭かなめ

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第48話『まちぶせ』

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 5月13日、木曜日。
 今日も穏やかで、氷織の姿を見ながら癒される学校生活を送っていく。
 中間試験が近いのもあり、自習形式の教科もあれば、これまで習った内容を纏めたプリントが配られ、復習の時間に充てる教科もあった。分からないところがあればすぐに先生に質問できるから、個人的にはこういう時間は凄く有り難い。
 後ろの席が和男なので、自習となった授業では和男と2人で勉強した。


 昼休み。
 いつも通り、俺は氷織の席に行き、氷織と2人きりでお昼ご飯を食べ始める。
 お試しで付き合い始めた直後は、教室にいる大多数の生徒から視線が集まっていた。でも、今は和男や清水さん、火村さんなどの友人を除けば、見てくる生徒はごく一部。なので、氷織との昼休みをゆったりと楽しめている。
 氷織と一緒に昼休みを過ごすことにも慣れてきた。周りも、俺達が一緒にいる状況に慣れてきたのかもしれない。

「午前中は数学Ⅱが自習になったり、古典Bがこれまでの復習の時間になったりして良かったです。試験対策の勉強が捗りました」
「良かったな。俺も結構捗った」
「そうですか。数Ⅱのときは倉木さんにたくさん教えていましたね。明斗さんの声がずっと聞こえていました」
「そうだったんだ。周りに勉強している生徒がいるし、あまり大きな声で喋らなかったつもりだったんだけどな。もし、迷惑だったならごめん」
「迷惑だなんてこれっぽっちも。ただ、小さくても明斗さんの声が聞こえているのはいいなって思いました。昨日の放課後の勉強会には明斗さんがいませんでしたし。メッセージを送るほどに寂しいと思っていましたから」

 そう言うと、氷織は微笑んだ。あと、ちょっと恥ずかしいのだろうか。頬を微かに赤くして、それまで俺にじっと向けていた視線がちらついた。寂しいという言葉もあって、とても可愛らしく感じられる。

「俺も昨日のバイト中は寂しかったよ。だから、氷織のメッセージを見たとき、とても嬉しくて心が温まった」
「私も明斗さんのメッセージを見たときに同じことを思いました。もちろん、こうして一緒にいられる方がいいですが」
「……凄く嬉しい言葉だ」

 好きな人からそう言われる俺はとても幸せ者だと思う。

「俺も氷織と一緒にいられる方がいいよ」
「……はい」

 氷織は優しい声で返事してくれた。そんな彼女の頬はさっきより赤みが増している。けれど、俺の目をしっかり見てくれていて。告白し、お試しで付き合い始めた頃よりも氷織との距離がかなり縮まったと思う。

「話を戻しますが、昨日は化学基礎の課題が出たので、私が3人同時に課題の解説をしました。ちょっと先生気分になれて楽しかったです」
「ははっ、そうだったんだ。見てみたかったな」

 昨日の勉強会メンバーは氷織の他に和男と清水さん、火村さんか。みんな化学基礎は苦手だって言っていたな。それじゃ、氷織が先生役になるのは自然な流れか。氷織の教え方は分かりやすいし、きっと和男達も課題の内容を理解できただろう。

「明斗さんはバイトどうでしたか?」
「寂しいと思ったこと以外はいつも通りだったな。……いや、普段と違うことが一つあったか」
「どんなことですか?」
「お店の入口前の掃除をする前に、女子高生が落としたスマホを見つけたんだよ。しかも、その女子高生……ゴールデンウィーク中のバイトのときに店内で助けた子でさ。その子も言っていたんだけど、こんな偶然もあるんだなって」
「そうですか。ちなみに、その女子高生は笠ヶ谷の生徒ですか?」
「ううん、萩窪学園の高校の制服を着てた。ウェーブがかかった黒髪で俺達と同い年……って言っても、氷織の知っている人とは限らないか。……氷織?」

 氷織は視線を下に向け、さっきまで見せていた笑みが消えていた。もしかして、話の内容が人助けとはいえ、同い年の女子高生のことだから怒ったり、嫉妬したりしているのかな。

「氷織。もし、今の話で嫌な気分になったら……ごめん」
「……えっ?」

 氷織はハッとした様子になり、俺のことを見てくる。俺と目が合うと、氷織は微笑んで首をゆっくりと横に振った。

「嫌な気分になっていませんよ。人助けの話ですし。ただ、私の知っている人の中に、明斗さんが言った特徴の女の子がいたかな……と思いまして」
「そうだったんだ」

 特に嫌悪感を抱いていないようで良かった。ただ、女の子の話をするときは、注意を払うように心がけよう。
 あと、萩窪学園の最寄り駅は、笠ヶ谷駅からでも2つ隣だ。氷織の中学時代の同級生の中には、萩窪学園に通っている人はいるだろう。俺も笠ヶ谷駅の周辺で、萩窪学園の制服を着た女子を何度も見たことがあるし。

「人助けをしたご褒美に、私のお弁当に入っているハンバーグを半分ほどあげましょう。私が作ったわけではありませんが」
「ははっ。ハンバーグは好物だから嬉しいな。ありがとう、氷織」

 それから、俺は氷織のお弁当に入っていたハンバーグ半分を食べさせてもらう。ご褒美という名目や、笑顔の氷織に食べさせてもらったのもあってとても美味しい。
 そういえば、母の日の夕食に氷織はハンバーグを作っていたっけ。氷織の手作りハンバーグをいつか食べてみたいな……と思うのであった。


 放課後。
 今日は火曜日と同じく、6人で勉強会をする予定だ。勉強会の会場は和男の家。彼の家に行くのは……1年生の学年末試験の頃以来かな。
 火村さんと葉月さんが掃除当番なので、残りの勉強会メンバーは2年2組の教室の前で待った。その間は、和男の家がどんな感じかなどについて話した。
 15分ほどして、火村さんと葉月さんがそれぞれ俺達のところにやってきた。なので、俺達は下校することに。しかし、

「あっ、図書室に本を返却するのを忘れていました」

 昇降口に着いたとき、氷織がそんなことを言ったのだ。俺と目が合うと氷織は苦笑いに。

「すみません。これから返しに行ってもいいですか?」
「もちろんいいよ。俺もついていこうか?」
「本を返すだけなので大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「じゃあ……俺達は正門のところで待っているよ」
「はいっ。では、行ってきますね」

 そう言うと、氷織は1人で昇降口を出て、小走りで図書室のある教室A棟へと向かっていった。
 俺を含めた残りの5人は外履きに履き替え、昇降口を出る。
 曇っているからか、空気が肌寒いな。体育の授業のときはちょうどいい涼しさだったんだけど。そんなことを思いながら、和男達と一緒に正門へ向かって歩く。
 途中、俺は駐輪場に行き、自分の自転車を取りに行く。カゴにスクールバッグと体操着入れを入れ、和男達が待っている正門へ行った。

「みんな、お待たせ」
「おう!」

 正門を出て、すぐ脇のところに自転車を停める。あとは氷織を待つだけか。

「あっ、店員さん! やっと会えたよー!」

 近くから、ごく最近聞いた女性の声が聞こえてきた。
 声がした方へ顔を向けると、昨日、バイト中にスマホを見つけてあげた女性がこちらに向かって歩いてきていた。俺と目線が合うと、女性はにっこりと笑みを浮かべ、俺に手を振ってきたのだ。
 今はバイトの時間ではない。だけど、これまでバイト中に会っていたから、気づけば女性に軽く頭を下げていた。

「どうも。まさか、ここで会うとは思いませんでした」
「今日は学校が早めに終わったからね。昨日、君が笠ヶ谷高校に通っているって教えてくれたから。制服姿の君に会ってみたくて。校門近くにいれば会えると思って待っていたの。それに、笠ヶ谷駅の近くに住んでいるし」
「そうだったんですか」
「ふふっ。目的が果たせて嬉しいよ。制服姿かっこいいね!」

 とても明るい笑顔でそう言う女性。俺の制服姿がお気に召したようだ。

「そういえば、店員さんの名前って何なの? あのお店の前じゃないし、店員さんって呼び続けるのは違和感あって。あたしは赤羽夏希あかばなつき
「紙透明斗といいます」
「紙透君ね。よろしくっ」

 赤羽さんは握手をしてきた。肌寒い中で待っていたからだろうか。彼女の手が冷たく感じられる。

「ちょっと、紙透。この女の子は誰なの?」

 火村さんは少し不機嫌そうに問いかける。知らない女性と話しているからだろうか。もし、氷織がここにいたら、同じような反応だったのかな。

「火村さん達には話していなかったか。ゴールデンウィークと昨日のバイト中に赤羽さんのことを助けたんだ。まあ、それだけなんだけど」
「本当にね。2回とも偶然なんだけどね。でも、1週間くらいで2回助けられると、何か運命感じちゃって」

 静かな口調でそう言い、赤羽さんは俺を見つめてくる。そんな赤羽さんの頬はさっきよりも少し赤みを帯びているように見える。

「ちょっといい雰囲気になってない? 和男君」
「アキは見た目も心もイケメンだからな! 惚れているかもしれねえな」
「紙透君。浮気はダメッスよぉ。お試しッスけど、ひおりんっていう素敵な子と付き合っているッスから」
「沙綾の言う通りよ!」
「……浮気? お試し? ひおりん? 何のことかな?」

 和男達の言う内容が分からないからか、赤羽さんは少し首を傾げている。赤羽さんは依然として笑顔を見せているけど、その笑みはさっきに比べると濁って見えた。

「実は俺――」
「明斗さん。みなさん。お待たせしました」

 氷織の声が聞こえたので校舎の方を見ると、近くに氷織の姿が。急いできてくれたのだろうか。氷織の息づかいが少し荒くなっている。微笑む顔がほんのりと赤い。

「ううん、大丈夫だよ。あと、昼休みのときに話した、俺がバイト中に助けた女性が校門の前で待っていたんだよ。ついさっき知ったんだけど、名前は赤羽夏希さんって言って、笠ヶ谷に住んでいるんだって」
「……えっ」

 小さく声を漏らすと、それまで浮かんでいた微笑みと顔の赤みが氷織の顔から一気に消えていく。どうしたんだろう?
 赤羽さんの方に顔を向けると、嫌悪感を顔に出し、物凄く鋭い目つきで氷織のことをにらんでいた。その姿は、これまでの彼女が全て嘘だったと思わせるほどだ。笠ヶ谷高校でも、氷織をにらんだり、嫌悪感を示したりする生徒は何人も見てきたけどその比ではない。ニヤニヤを隠すためににらみ続けていた火村さんがとても可愛いと思えるくらいだ。
 赤羽さんの態度もあって、和男達の顔からも笑みが消えている。火村さんは不機嫌そうに赤羽さんを見る。

「茶髪の子が言っていた『ひおりん』って、氷織のことだったんだ」

 今まで聞いたことのない低い声色で赤羽さんは言う。
 氷織の名前は誰も口にしていないのに、赤羽さんは『氷織』とはっきり言った。氷織は笠ヶ谷高校では『絶対零嬢』と呼ばれるほどの有名人。赤羽さんがうちの高校に通う生徒と友人で、氷織の話を聞いたのか。それとも、氷織と赤羽さんは中学までに関わりがあったのか。
 ただ、俺には氷織に対してかなりの嫌悪感を向ける女の子に心当たりがある。
 ――ぎゅっ。
 背後から、ブレザーのジャケットが引っ張られる感覚が。そちらに顔を向けると、氷織が俺のジャケットの裾をぎゅっと掴んでいた。氷織は俯き、体が小刻みに震えている。

「氷織。もしかして、赤羽さんは……中学に入学したときに出会った、かつて親友だった女の子のことかな?」

 氷織の笑顔を大嫌いだと言い、長い間、氷織から笑顔を奪った女の子。
 少しの間、俺達7人の間に無言の時間が流れ、

「……そうです」

 氷織はそう答えて、ゆっくりと首肯するのであった。
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