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特別編7
第2話『都大会1日目』
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東京国際プールセンターの最寄り駅の克己駅は、伯分寺駅から小一時間ほどのところにある。車窓から見える東京の景色や、美優先輩達との談笑を楽しんだから、克己駅まではあっという間だった。
東京国際プールセンターは東京23区の東側にある陽東区にある屋内プール施設で、国際的な大会にも使われる。だからか、所々にプールセンターの方向を示す案内板が設置されている。そのおかげで、俺達は迷うことなくプールセンターに到着することができた。
霧嶋先生と大宮先生の割り勘で5人分の入場券を購入し、俺達は観客席に向かう。
「おおっ……」
立派なプール施設なので、観客席に入った瞬間、思わず声が漏れてしまった。さすがは国際大会にも使われるだけのことはある。あと、空調が効いていて涼しい。
「このプール……何年か前の世界水泳のテレビ中継で観たことあるわ」
「私も観たことあるよ、瑠衣ちゃん。テレビに映るような場所に来ると、ちょっとワクワクするね」
「それ分かる!」
美優先輩と花柳先輩は興奮気味。テレビで観たことのある場所に実際に来るとワクワクする気持ち……分かる気がする。
「ふふっ。美優ちゃんも瑠衣ちゃんも可愛いわ」
「そうですね、成実さん」
霧嶋先生と大宮先生は微笑ましそうな様子で、美優先輩と花柳先輩のことを見ている。
観客席を見渡すと、前列の方に同じ制服やTシャツ姿の人達が固まって座っているな。各校の水泳部の生徒だろうか。
「由弦君、あそこにうちの高校の水泳部の人達がいるよ」
「……あっ、本当ですね」
美優先輩が指さす方を見ると、そこには陽出学院高校の水泳部のTシャツを着た生徒達が固まって座っているエリアがあった。俺達はそちらに向かう。
「水泳部の生徒の中に姫宮さんがいたわ」
「さすがは担任の先生。すぐに見つけたね」
「それほどでも。彼女は綺麗な金髪ですから見つけやすいですし」
と、霧嶋先生は言うけど、大宮先生に褒められて嬉しそうだ。
「結構目立ちますよね。……おーい、風花ちゃーん」
いつもよりも大きな声で美優先輩が風花のことを呼ぶ。
すると、風花はすぐにこちらを向き、嬉しそうな様子で大きく手を振ってきた。周囲にいる女子生徒もこちらに小さく手を振っていた。
俺達は陽出学院高校の水泳部がいる後方の席を陣取り、横一列で座る。ちなみに、席順は俺、美優先輩、花柳先輩、霧嶋先生、大宮先生だ。
「プール全体が見やすいところに座れたね」
「そうですね。オリンピックや世界水泳のテレビ放送で水泳の試合を見たことはありますけど、まさか、実際に足を運んで、生で見る日が来るとは思いませんでした。俺もちょっとワクワクしてます」
「ふふっ、そっか。風花ちゃんはもちろんだけど、陽出学院の生徒が関東大会に行けるように応援しようね!」
「そうですね!」
「あたしも応援するわ」
「私達も陽出学院に勤める教師としてたくさん応援しましょう。ね、成実さん」
「そうね、一佳ちゃん」
美優先輩はもちろんのこと、花柳先輩と霧嶋先生、大宮先生も応援する気満々のようだ。5人で風花はもちろん、陽出学院高校の生徒達を応援しよう。
また、霧嶋先生が大会要項の競技日程を印刷したものを俺達に渡してくれた。ご丁寧に、風花が出場する種目に丸が付いている。今日、風花が出場する種目は……女子400m個人メドレーだけか。女子100m自由形と女子400mメドレーリレーは明日行なわれるとのこと。
そして、午前9時半。
東京都高等学校選手権水泳大会の1日目の競技が始まった。
霧嶋先生がくれた競技日程を見ると……風花の出場する女子個人400mメドレーは結構後の方だ。それまでは、風花以外の生徒を応援しよう。
風花が出場する個人メドレーより前は、全て予選レースだ。霧嶋先生曰く、どの種目の予選レースもタイム上位10名までが決勝に進出できるのだという。
さすがは都大会に出るだけあって、どの種目に出る生徒も泳ぐスピードが結構速いな。きっと、俺はどの種目に出ても予選突破はできず、最下位のタイムになるのは間違いないだろう。男子はもちろんのこと、女子に混ざっても。
陽出学院高校の水泳部の生徒は結構多いため、定期的にレースに登場する。それに伴い、水泳部の部員が時折、観客席を行き交いして。たまに、俺達に声を掛けてくれる生徒もいる。中には俺に向かって両手を合わせる生徒もいて。俺は神でも仏でもないし、あなた達よりもスロースイマーなんだけどね。
会場アナウンスで名前と学校名を言われるので、俺達5人は名前を言いながら応援する。美優先輩も「頑張って!」とたくさん応援している。もちろん、風花のいる水泳部のエリアからも多くの声援が。
陽出学院高校の選手達はたくさんの声援を受けながらレースに挑む。その結果、決勝に進むことが決定して喜ぶ選手もいれば、予選敗退となって涙を流す選手も。
ただ、どんな結果になっても、みんな一生懸命に泳いだと思っている。だから、レースが終わったときには必ず拍手を送ろうと俺は心がけている。
また、応援している中で意外だったのは、
「佐藤君! 頑張りなさい!」
「鈴木さん! その調子! あなたなら大丈夫よ!」
と、霧嶋先生が一部生徒について、力を込めて応援し、好タイムを出したり、決勝進出を決めたりすると結構喜んでいたことだ。先生に理由を訊いたら、現代文や古典の授業で教えている生徒だからとのこと。喜んでいる姿はかなり可愛く、花柳先輩がニヤニヤしながらスマホで撮影していた。
霧嶋先生ほどではないけど、大宮先生も授業で教えている生徒が出場すると大きな声で応援していた。授業で教えている生徒が出場したら、そりゃ力を入れて応援したくなるよな。
定期的に陽出学院高校の生徒が登場したり、応援するみんなの姿を見たりしたので、あっという間に時間が過ぎていく。昼休憩もあって。そして、
「由弦、美優先輩、瑠衣先輩、一佳先生、成実先生」
荷物を持った風花が俺達のところまでやってくる。
「400mメドレーの時間が近いので、あたしは控え室に行きますね!」
もうそんな時間なのか。もうすぐ大会のレースで泳げるからか、風花はワクワクした様子だ。
ちなみに、これまでも水泳部の生徒達は荷物を持って観客席から離れたり、競技が終わって観客席に戻ったりしている。
「初戦のメドレー、頑張れよ、風花」
「頑張ってね、風花ちゃん! ここから応援しているから!」
「美優達と一緒に応援するわ!」
「まずはメドレーで関東大会に行けるように、そして都大会のいいスタートが切れるように応援するわ、姫宮さん」
「頑張ってね、風花ちゃん」
俺達5人はメドレーに挑む風花にそれぞれ応援の言葉を送る。
風花は白い歯を見せてニッコリと笑う。
「ありがとうございます! レースと全体タイムで1位を取れるように頑張ります! じゃあ、行ってきますっ!」
元気良くそう言うと、風花は俺達のところから離れていき、個人メドレーに一緒に参加すると思われる女子生徒と一緒に、出入口の方へと歩いていく。これから競技に挑むのもあって、風花の後ろ姿がとてもかっこよく見える。
さあ、風花の初戦はもうすぐだ。
東京国際プールセンターは東京23区の東側にある陽東区にある屋内プール施設で、国際的な大会にも使われる。だからか、所々にプールセンターの方向を示す案内板が設置されている。そのおかげで、俺達は迷うことなくプールセンターに到着することができた。
霧嶋先生と大宮先生の割り勘で5人分の入場券を購入し、俺達は観客席に向かう。
「おおっ……」
立派なプール施設なので、観客席に入った瞬間、思わず声が漏れてしまった。さすがは国際大会にも使われるだけのことはある。あと、空調が効いていて涼しい。
「このプール……何年か前の世界水泳のテレビ中継で観たことあるわ」
「私も観たことあるよ、瑠衣ちゃん。テレビに映るような場所に来ると、ちょっとワクワクするね」
「それ分かる!」
美優先輩と花柳先輩は興奮気味。テレビで観たことのある場所に実際に来るとワクワクする気持ち……分かる気がする。
「ふふっ。美優ちゃんも瑠衣ちゃんも可愛いわ」
「そうですね、成実さん」
霧嶋先生と大宮先生は微笑ましそうな様子で、美優先輩と花柳先輩のことを見ている。
観客席を見渡すと、前列の方に同じ制服やTシャツ姿の人達が固まって座っているな。各校の水泳部の生徒だろうか。
「由弦君、あそこにうちの高校の水泳部の人達がいるよ」
「……あっ、本当ですね」
美優先輩が指さす方を見ると、そこには陽出学院高校の水泳部のTシャツを着た生徒達が固まって座っているエリアがあった。俺達はそちらに向かう。
「水泳部の生徒の中に姫宮さんがいたわ」
「さすがは担任の先生。すぐに見つけたね」
「それほどでも。彼女は綺麗な金髪ですから見つけやすいですし」
と、霧嶋先生は言うけど、大宮先生に褒められて嬉しそうだ。
「結構目立ちますよね。……おーい、風花ちゃーん」
いつもよりも大きな声で美優先輩が風花のことを呼ぶ。
すると、風花はすぐにこちらを向き、嬉しそうな様子で大きく手を振ってきた。周囲にいる女子生徒もこちらに小さく手を振っていた。
俺達は陽出学院高校の水泳部がいる後方の席を陣取り、横一列で座る。ちなみに、席順は俺、美優先輩、花柳先輩、霧嶋先生、大宮先生だ。
「プール全体が見やすいところに座れたね」
「そうですね。オリンピックや世界水泳のテレビ放送で水泳の試合を見たことはありますけど、まさか、実際に足を運んで、生で見る日が来るとは思いませんでした。俺もちょっとワクワクしてます」
「ふふっ、そっか。風花ちゃんはもちろんだけど、陽出学院の生徒が関東大会に行けるように応援しようね!」
「そうですね!」
「あたしも応援するわ」
「私達も陽出学院に勤める教師としてたくさん応援しましょう。ね、成実さん」
「そうね、一佳ちゃん」
美優先輩はもちろんのこと、花柳先輩と霧嶋先生、大宮先生も応援する気満々のようだ。5人で風花はもちろん、陽出学院高校の生徒達を応援しよう。
また、霧嶋先生が大会要項の競技日程を印刷したものを俺達に渡してくれた。ご丁寧に、風花が出場する種目に丸が付いている。今日、風花が出場する種目は……女子400m個人メドレーだけか。女子100m自由形と女子400mメドレーリレーは明日行なわれるとのこと。
そして、午前9時半。
東京都高等学校選手権水泳大会の1日目の競技が始まった。
霧嶋先生がくれた競技日程を見ると……風花の出場する女子個人400mメドレーは結構後の方だ。それまでは、風花以外の生徒を応援しよう。
風花が出場する個人メドレーより前は、全て予選レースだ。霧嶋先生曰く、どの種目の予選レースもタイム上位10名までが決勝に進出できるのだという。
さすがは都大会に出るだけあって、どの種目に出る生徒も泳ぐスピードが結構速いな。きっと、俺はどの種目に出ても予選突破はできず、最下位のタイムになるのは間違いないだろう。男子はもちろんのこと、女子に混ざっても。
陽出学院高校の水泳部の生徒は結構多いため、定期的にレースに登場する。それに伴い、水泳部の部員が時折、観客席を行き交いして。たまに、俺達に声を掛けてくれる生徒もいる。中には俺に向かって両手を合わせる生徒もいて。俺は神でも仏でもないし、あなた達よりもスロースイマーなんだけどね。
会場アナウンスで名前と学校名を言われるので、俺達5人は名前を言いながら応援する。美優先輩も「頑張って!」とたくさん応援している。もちろん、風花のいる水泳部のエリアからも多くの声援が。
陽出学院高校の選手達はたくさんの声援を受けながらレースに挑む。その結果、決勝に進むことが決定して喜ぶ選手もいれば、予選敗退となって涙を流す選手も。
ただ、どんな結果になっても、みんな一生懸命に泳いだと思っている。だから、レースが終わったときには必ず拍手を送ろうと俺は心がけている。
また、応援している中で意外だったのは、
「佐藤君! 頑張りなさい!」
「鈴木さん! その調子! あなたなら大丈夫よ!」
と、霧嶋先生が一部生徒について、力を込めて応援し、好タイムを出したり、決勝進出を決めたりすると結構喜んでいたことだ。先生に理由を訊いたら、現代文や古典の授業で教えている生徒だからとのこと。喜んでいる姿はかなり可愛く、花柳先輩がニヤニヤしながらスマホで撮影していた。
霧嶋先生ほどではないけど、大宮先生も授業で教えている生徒が出場すると大きな声で応援していた。授業で教えている生徒が出場したら、そりゃ力を入れて応援したくなるよな。
定期的に陽出学院高校の生徒が登場したり、応援するみんなの姿を見たりしたので、あっという間に時間が過ぎていく。昼休憩もあって。そして、
「由弦、美優先輩、瑠衣先輩、一佳先生、成実先生」
荷物を持った風花が俺達のところまでやってくる。
「400mメドレーの時間が近いので、あたしは控え室に行きますね!」
もうそんな時間なのか。もうすぐ大会のレースで泳げるからか、風花はワクワクした様子だ。
ちなみに、これまでも水泳部の生徒達は荷物を持って観客席から離れたり、競技が終わって観客席に戻ったりしている。
「初戦のメドレー、頑張れよ、風花」
「頑張ってね、風花ちゃん! ここから応援しているから!」
「美優達と一緒に応援するわ!」
「まずはメドレーで関東大会に行けるように、そして都大会のいいスタートが切れるように応援するわ、姫宮さん」
「頑張ってね、風花ちゃん」
俺達5人はメドレーに挑む風花にそれぞれ応援の言葉を送る。
風花は白い歯を見せてニッコリと笑う。
「ありがとうございます! レースと全体タイムで1位を取れるように頑張ります! じゃあ、行ってきますっ!」
元気良くそう言うと、風花は俺達のところから離れていき、個人メドレーに一緒に参加すると思われる女子生徒と一緒に、出入口の方へと歩いていく。これから競技に挑むのもあって、風花の後ろ姿がとてもかっこよく見える。
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