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続編-螺旋百合-
第23話『声楽ヒロインズ』
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今日は始業式だけの予定だったので、午前10時過ぎには終礼が終わった。
声楽部の方で今日はミーティングがあるので、私と乃愛ちゃんは部活の活動場所である第2音楽室へと向かう。
「あら、美来ちゃんに乃愛ちゃん。ひさしぶりね」
第2音楽室には既に声楽部部長の3年生・新藤花音先輩がいた。先輩の爽やかな笑みを見ると何だか気持ちが軽やかになる。
中学生の頃、声楽コンクールの高校の部を鑑賞した。そのとき、花音先輩が歌う姿を見た。あのコンクールで印象に残った人のうちの1人。天羽女子に編入して、この声楽部で花音先輩と初めて会ったときは感激したな。それからは、私の目標にしている。
「おひさしぶりです、花音先輩」
「あたしは何日か前に会ったよね、花音ちゃん」
「ふふっ、そうだったわね」
「……あれ? 8月中に部活動ってありましたっけ?」
もし、あったとしたら乃愛ちゃんや花音先輩から何かしらの連絡があったはず。でも、そんな連絡は一切なかったので、活動はなかったはずだけど。
「ううん、ないよ。ただ、乃愛ちゃんのお姉さんの玲奈ちゃんが私のクラスメイトで友人だから、受験勉強をするために彼女の家に行ったの。玲奈ちゃんとは1年生のときもクラスメイトで、当時から何度か家に遊びに行ったことがあるの」
「そういうことだったんですか。ほっとしました」
まさか、花音先輩と乃愛ちゃんにそんな繋がりがあったなんて。乃愛ちゃんに3年生のお姉さんがいることは知っていたけれど。
「だから、乃愛ちゃんは先輩方の中でも花音先輩だけに対してはタメ口なんですね。不思議だなとは思っていたんですけど」
ただ、他の先輩方もそんな乃愛ちゃんに嫌悪感を示してはいなかったし、花音先輩本人が乃愛ちゃんと仲良く話していたから、私もさほど気にはしていなかった。
「そうね。隣の吹奏楽部みたいに上下関係が厳しくなくてフランクな雰囲気だし、部員も7人だし、こっちは声で勝負できるし。吹奏楽部とは違って、やろうと思えばどこでもできるしね」
「……なるほどです」
花音先輩、以前に吹奏楽部と何かあったのかな。吹奏楽部への強い対抗意識をひしひしと感じる。
「だいたい、あんなに練習ばかりして休みが全然ないなんて部活じゃないって話よ。適度に練習して、適度に休んでこそ部活だと私は思うの。学生の本業はあくまでも勉強だからね。あれじゃブラック部活だって。ブラックなのはコーヒーだけでいいのよ。コーヒーはそこまで飲めないけど。もちろん、うちだって大切な大会やコンサート前は集中して練習はするけどね」
「……花音先輩の言う通りだと思います」
どうやら、花音先輩は以前、吹奏楽部絡みで辛い経験をしたみたい。だから、吹奏楽部のことをあまり快く思っていないのかも。
「……ごめんね。2学期早々、愚痴を聞かせちゃって」
「いえいえ、気にしないでください。それよりも、夏休み中に恋人と一緒に旅行へ行ってきたのでお土産です。抹茶のゴーフレットです。声楽部の先輩方と一緒に食べたいと思いまして」
「へえ、ゴーフレットなんだ! ありがとう!」
あまりに嬉しいのか、花音先輩はぴょんと跳ねた。その際に、おさげにしている黒髪もぴょんと揺れる。凄く可愛いんですけど。
「じゃあ、さっそくミーティングのときにでも食べようか。あと、彼氏って……確か、結婚を前提に付き合っている社会人の方だっけ」
「はい、そうですよ。実は夏休み中に同棲を始めました」
「あたしはそんな美来のことを恋愛マスターって呼んでるよ!」
花音先輩の前で恋愛マスターって呼ばれると恥ずかしいな。
「へえ、そうなんだ。……何だか、美来ちゃんがとても大きな存在に思えてきたよ。実際に私よりも背が高いけどね」
どうやら、天羽女子高校には恋愛経験を一つのステータスとして考えている生徒が多いのかもしれない。私は特にそう思わないけれど。
その後、他の先輩方と顧問の先生が第2音楽室にやってきて、抹茶ゴーフレットを食べながらミーティングを行なった。今月参加するコンクールについてや文化祭でのコンサートのセットリストの確認が主な内容。2学期は練習を頑張らないと。
ただ、必要な話が終わったら、また乃愛ちゃんが勝手にインタビュアーになって、智也さんとの夏の日々を話すことになった。高校1年生の女子高生が、社会人の男性と結婚前提に付き合っているのは珍しいから、みんな聞きたがるんだろうと割り切ることにしたのであった。
正午過ぎにミーティングは終わって、私は乃愛ちゃんと一緒に下校することに。乃愛ちゃんは地元だけど、駅前を通るので鏡原駅まで一緒に帰るのがお決まり。
今日から秋だけれど、お昼という時間だからか、容赦なく陽差しが照り付け、夏のような蒸し暑い空気が私達を包み込む。
「何だか、教室で話したときよりもノリノリだったね」
「2回目だからね。それに、聞きたいって言ってくれる人がいるっていうのは有り難いことだから。それに、話すと智也さんとのことを思い出すから、嬉しい気持ちが膨らむの」
「お、大人だ……」
私が大人かどうかは分からないけれど、智也さんとのことについてキワドイ内容まで根掘り葉掘り訊いてくる乃愛ちゃんは子供っぽいかなと思う。
それにしても暑いな。学校の自販機で何か冷たいものを買えば良かった。駅に着いたら何か買おうかな。
そんなことを考えていると、いつの間にか私の横から乃愛ちゃんの姿がなくなっていた。どこに行ってしまったのかと周りを見てみると、乃愛ちゃんは立ち止まって真剣な表情をしながら私のことを見ている。
「……大人な恋愛マスターに相談したいことがあるんだけど、いいかな」
普段よりも低い声色で言ってきたから、乃愛ちゃんには本当に相談したいことがあるとすぐに分かった。私は彼女のすぐ目の前まで行く。
「私で良ければ聞くよ」
「ありがとう。……ここで立ち止まり続けるのは何だし、歩きながら話すよ」
「うん」
いつもの元気そうな乃愛ちゃんが嘘だと思えるくらいに、今はとても落ち着いている。私に相談したいことってそんなに深刻なのかな。
「ねえ、美来。あたしがこれから話すことを聞いても……引かない?」
「引かないよ、たぶん」
よほどのことじゃない限りは。ただ、教室で恋愛マスターだって豪語されたときには、さすがに頭を抱えたけど。
「実は恋愛についての相談なんだ」
「やっぱり。恋愛マスターである私に相談したいことがあるんだもんね。そのくらいの想像は何となくついていたよ」
「そっか。ちょっと話しやすくなったかも」
そう言って、乃愛ちゃんは微笑む。
「実は……お姉ちゃんのことが好きなんだ。姉としてじゃなくて、女性として」
乃愛ちゃんのその言葉を聞いた瞬間、私は思わず立ち止まって彼女の顔をじっと見る。彼女のはにかんだ表情は、桃花さんと似ているような気がした。
「どうしたの、美来。女性が好きなことに引いちゃった?」
「ううん、そんなことないよ。性別関係なく、人を好きになることはとても素敵なことだと思う。ただ……つい最近、乃愛ちゃんみたいに女性同士の恋愛について相談されて」
「そうだったの?」
「うん。クラスや部活では話さなかったけど、つい、数日前に智也さんの従妹の方が遊びに来たの。その方は同い年の幼なじみの女の子のことが好きで。智也さんと一緒にその方からの恋愛相談を受けてね」
「それで、その女性はどうなったの?」
「数ヶ月くらい会っていなかったから、一度会ってみて……私が協力して意中の女性の気持ちを探ってみたの。彼氏がいなくて、女性と付き合うことに抵抗はないってことは知って。だから、従妹の方は告白することを決めて、実際にしたよ。私はその様子を見守ってた」
「そうだったんだ。それで……告白の結果は?」
「見事に成功。相手の方も気にはなっていたから、告白されて凄く嬉しそうだった」
桃花さんと仁実さん、あれからも相手のことが可愛いというメッセージや、仲良さげな写真を定期的に送ってきている。どうやら、順調に交際をスタートできたようだ。
「そういうカップルを見たんだね、美来は」
「うん。お姉さんに付き合っている人がいなくて、女性と付き合うことについて嫌悪感を持っていないなら告白してみるのはアリだと思う。あとはお姉さんへの気持ちを整理することかな。例の女性も一度落ち着いて考えて、その上で告白することを決めたから」
お姉さんのことはよく知らないので、そういう風にしかアドバイスができない。
「お姉ちゃんが誰かと付き合っているようには見えないし、一番あり得そうな花音ちゃんも仲のいいクラスメイトっていう感じだから……」
「そっか」
私もパッと思いついたのが花音先輩。ただ、乃愛ちゃんが付き合っているように見えないのであれば、単なるクラスメイトの友人なのかな。でも、近くにいても分からないことはあるかもしれないし。
「美来、ありがとう。一晩、お姉ちゃんへの気持ちを整理して、告白するかどうか考えてみるよ。恋人がいるかとか、女性でもOKなのかとか……お姉ちゃんに訊けそうなら訊いてみることにする」
「分かった。ただ、ゆっくりと考えていいからね。私に相談してきていいし」
「うん、ありがとね。このことは……誰にも喋らないでくれると嬉しいな。せいぜい、亜依くらいで」
「うん、分かった。美来に相談して正解だったよ」
「そう言ってくれると私も嬉しいよ」
再び歩き始めるとすぐに鏡原駅に到着し、乃愛ちゃんと別れた。まずは今日一日考えてみて、気持ちの整理ができればいいのかなと思う。
声楽部の方で今日はミーティングがあるので、私と乃愛ちゃんは部活の活動場所である第2音楽室へと向かう。
「あら、美来ちゃんに乃愛ちゃん。ひさしぶりね」
第2音楽室には既に声楽部部長の3年生・新藤花音先輩がいた。先輩の爽やかな笑みを見ると何だか気持ちが軽やかになる。
中学生の頃、声楽コンクールの高校の部を鑑賞した。そのとき、花音先輩が歌う姿を見た。あのコンクールで印象に残った人のうちの1人。天羽女子に編入して、この声楽部で花音先輩と初めて会ったときは感激したな。それからは、私の目標にしている。
「おひさしぶりです、花音先輩」
「あたしは何日か前に会ったよね、花音ちゃん」
「ふふっ、そうだったわね」
「……あれ? 8月中に部活動ってありましたっけ?」
もし、あったとしたら乃愛ちゃんや花音先輩から何かしらの連絡があったはず。でも、そんな連絡は一切なかったので、活動はなかったはずだけど。
「ううん、ないよ。ただ、乃愛ちゃんのお姉さんの玲奈ちゃんが私のクラスメイトで友人だから、受験勉強をするために彼女の家に行ったの。玲奈ちゃんとは1年生のときもクラスメイトで、当時から何度か家に遊びに行ったことがあるの」
「そういうことだったんですか。ほっとしました」
まさか、花音先輩と乃愛ちゃんにそんな繋がりがあったなんて。乃愛ちゃんに3年生のお姉さんがいることは知っていたけれど。
「だから、乃愛ちゃんは先輩方の中でも花音先輩だけに対してはタメ口なんですね。不思議だなとは思っていたんですけど」
ただ、他の先輩方もそんな乃愛ちゃんに嫌悪感を示してはいなかったし、花音先輩本人が乃愛ちゃんと仲良く話していたから、私もさほど気にはしていなかった。
「そうね。隣の吹奏楽部みたいに上下関係が厳しくなくてフランクな雰囲気だし、部員も7人だし、こっちは声で勝負できるし。吹奏楽部とは違って、やろうと思えばどこでもできるしね」
「……なるほどです」
花音先輩、以前に吹奏楽部と何かあったのかな。吹奏楽部への強い対抗意識をひしひしと感じる。
「だいたい、あんなに練習ばかりして休みが全然ないなんて部活じゃないって話よ。適度に練習して、適度に休んでこそ部活だと私は思うの。学生の本業はあくまでも勉強だからね。あれじゃブラック部活だって。ブラックなのはコーヒーだけでいいのよ。コーヒーはそこまで飲めないけど。もちろん、うちだって大切な大会やコンサート前は集中して練習はするけどね」
「……花音先輩の言う通りだと思います」
どうやら、花音先輩は以前、吹奏楽部絡みで辛い経験をしたみたい。だから、吹奏楽部のことをあまり快く思っていないのかも。
「……ごめんね。2学期早々、愚痴を聞かせちゃって」
「いえいえ、気にしないでください。それよりも、夏休み中に恋人と一緒に旅行へ行ってきたのでお土産です。抹茶のゴーフレットです。声楽部の先輩方と一緒に食べたいと思いまして」
「へえ、ゴーフレットなんだ! ありがとう!」
あまりに嬉しいのか、花音先輩はぴょんと跳ねた。その際に、おさげにしている黒髪もぴょんと揺れる。凄く可愛いんですけど。
「じゃあ、さっそくミーティングのときにでも食べようか。あと、彼氏って……確か、結婚を前提に付き合っている社会人の方だっけ」
「はい、そうですよ。実は夏休み中に同棲を始めました」
「あたしはそんな美来のことを恋愛マスターって呼んでるよ!」
花音先輩の前で恋愛マスターって呼ばれると恥ずかしいな。
「へえ、そうなんだ。……何だか、美来ちゃんがとても大きな存在に思えてきたよ。実際に私よりも背が高いけどね」
どうやら、天羽女子高校には恋愛経験を一つのステータスとして考えている生徒が多いのかもしれない。私は特にそう思わないけれど。
その後、他の先輩方と顧問の先生が第2音楽室にやってきて、抹茶ゴーフレットを食べながらミーティングを行なった。今月参加するコンクールについてや文化祭でのコンサートのセットリストの確認が主な内容。2学期は練習を頑張らないと。
ただ、必要な話が終わったら、また乃愛ちゃんが勝手にインタビュアーになって、智也さんとの夏の日々を話すことになった。高校1年生の女子高生が、社会人の男性と結婚前提に付き合っているのは珍しいから、みんな聞きたがるんだろうと割り切ることにしたのであった。
正午過ぎにミーティングは終わって、私は乃愛ちゃんと一緒に下校することに。乃愛ちゃんは地元だけど、駅前を通るので鏡原駅まで一緒に帰るのがお決まり。
今日から秋だけれど、お昼という時間だからか、容赦なく陽差しが照り付け、夏のような蒸し暑い空気が私達を包み込む。
「何だか、教室で話したときよりもノリノリだったね」
「2回目だからね。それに、聞きたいって言ってくれる人がいるっていうのは有り難いことだから。それに、話すと智也さんとのことを思い出すから、嬉しい気持ちが膨らむの」
「お、大人だ……」
私が大人かどうかは分からないけれど、智也さんとのことについてキワドイ内容まで根掘り葉掘り訊いてくる乃愛ちゃんは子供っぽいかなと思う。
それにしても暑いな。学校の自販機で何か冷たいものを買えば良かった。駅に着いたら何か買おうかな。
そんなことを考えていると、いつの間にか私の横から乃愛ちゃんの姿がなくなっていた。どこに行ってしまったのかと周りを見てみると、乃愛ちゃんは立ち止まって真剣な表情をしながら私のことを見ている。
「……大人な恋愛マスターに相談したいことがあるんだけど、いいかな」
普段よりも低い声色で言ってきたから、乃愛ちゃんには本当に相談したいことがあるとすぐに分かった。私は彼女のすぐ目の前まで行く。
「私で良ければ聞くよ」
「ありがとう。……ここで立ち止まり続けるのは何だし、歩きながら話すよ」
「うん」
いつもの元気そうな乃愛ちゃんが嘘だと思えるくらいに、今はとても落ち着いている。私に相談したいことってそんなに深刻なのかな。
「ねえ、美来。あたしがこれから話すことを聞いても……引かない?」
「引かないよ、たぶん」
よほどのことじゃない限りは。ただ、教室で恋愛マスターだって豪語されたときには、さすがに頭を抱えたけど。
「実は恋愛についての相談なんだ」
「やっぱり。恋愛マスターである私に相談したいことがあるんだもんね。そのくらいの想像は何となくついていたよ」
「そっか。ちょっと話しやすくなったかも」
そう言って、乃愛ちゃんは微笑む。
「実は……お姉ちゃんのことが好きなんだ。姉としてじゃなくて、女性として」
乃愛ちゃんのその言葉を聞いた瞬間、私は思わず立ち止まって彼女の顔をじっと見る。彼女のはにかんだ表情は、桃花さんと似ているような気がした。
「どうしたの、美来。女性が好きなことに引いちゃった?」
「ううん、そんなことないよ。性別関係なく、人を好きになることはとても素敵なことだと思う。ただ……つい最近、乃愛ちゃんみたいに女性同士の恋愛について相談されて」
「そうだったの?」
「うん。クラスや部活では話さなかったけど、つい、数日前に智也さんの従妹の方が遊びに来たの。その方は同い年の幼なじみの女の子のことが好きで。智也さんと一緒にその方からの恋愛相談を受けてね」
「それで、その女性はどうなったの?」
「数ヶ月くらい会っていなかったから、一度会ってみて……私が協力して意中の女性の気持ちを探ってみたの。彼氏がいなくて、女性と付き合うことに抵抗はないってことは知って。だから、従妹の方は告白することを決めて、実際にしたよ。私はその様子を見守ってた」
「そうだったんだ。それで……告白の結果は?」
「見事に成功。相手の方も気にはなっていたから、告白されて凄く嬉しそうだった」
桃花さんと仁実さん、あれからも相手のことが可愛いというメッセージや、仲良さげな写真を定期的に送ってきている。どうやら、順調に交際をスタートできたようだ。
「そういうカップルを見たんだね、美来は」
「うん。お姉さんに付き合っている人がいなくて、女性と付き合うことについて嫌悪感を持っていないなら告白してみるのはアリだと思う。あとはお姉さんへの気持ちを整理することかな。例の女性も一度落ち着いて考えて、その上で告白することを決めたから」
お姉さんのことはよく知らないので、そういう風にしかアドバイスができない。
「お姉ちゃんが誰かと付き合っているようには見えないし、一番あり得そうな花音ちゃんも仲のいいクラスメイトっていう感じだから……」
「そっか」
私もパッと思いついたのが花音先輩。ただ、乃愛ちゃんが付き合っているように見えないのであれば、単なるクラスメイトの友人なのかな。でも、近くにいても分からないことはあるかもしれないし。
「美来、ありがとう。一晩、お姉ちゃんへの気持ちを整理して、告白するかどうか考えてみるよ。恋人がいるかとか、女性でもOKなのかとか……お姉ちゃんに訊けそうなら訊いてみることにする」
「分かった。ただ、ゆっくりと考えていいからね。私に相談してきていいし」
「うん、ありがとね。このことは……誰にも喋らないでくれると嬉しいな。せいぜい、亜依くらいで」
「うん、分かった。美来に相談して正解だったよ」
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