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第27話『初めて入る友達の部屋』
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俺達は2階にある咲夜の部屋へと案内される。また、美里さんが俺達の後についてきた。
「どうぞ、ここがあたしの部屋です」
咲夜の部屋は俺や紗衣の部屋と同じくらいの広さだ。絨毯やベッドのシーツ、クッションなどの色が暖色系で統一されているな。ベッドの上にはクマのぬいぐるみが置いてあって。そういったところが小雪の部屋に似ている。
「素敵な部屋ね、咲夜ちゃん」
「そうですね、麗奈会長。咲夜らしい可愛らしい雰囲気ですよね」
「ありがとうございます。昨日まで散らかっていたので、今日の午前中に頑張って片付けました。は、颯人君はどうかな?」
「可愛らしい雰囲気で綺麗な部屋だと思う」
「あ、ありがとう。颯人君にそう言ってもらえて嬉しいな」
えへへっ、と咲夜は嬉しそうな笑みを浮かべている。
「みなさん、適当なところにくつろいでください! あたし、飲み物を持ってきますので! あと、お姉ちゃんは部屋にいてもいいけれど、みんなの勉強の邪魔をしないように気を付けてよ!」
「は~い」
咲夜は一旦、部屋を後にした。
適当な場所にくつろいでと咲夜は言っていたけれど、ベッドの横にあるテーブルの周りにクッションが4つあったので、紗衣、麗奈先輩、俺はそこに腰を下ろす。美里さんは勉強机の椅子に座る。
ベッドの近くにあるクッションに座ったこともあってか、咲夜の甘い匂いが感じるような気がする。親戚以外の女の子の部屋は初めてだから緊張するな。
勉強を始めようとは思うけれど、どうも部屋の中が気になってしまう。本棚の中にある漫画や小説は若い女性中心に人気が高い作品が多いな。CDもある。そんな本棚の横にはタンスがある。
「咲夜がお友達を連れてくることは結構あるけれど、男の子は結構久しぶりだな。親戚以外だと、数年ぶりくらいじゃないかなぁ。少なくとも中学になってからは初めてだよ」
「そうなんですか。グループでなら男子とも遊ぶと以前に聞いていたので、女子と一緒に男子もここで遊んだことがあるのかと思いました」
「外に遊びに行くことはあるんだけどね。ただ、今日の咲夜は今まで以上に楽しそう。高校でいいお友達ができたんだなって実感する。これからも咲夜と仲良くしてあげてね」
「もちろんです!」
「颯人のおかげでいい友達ができたと思っています」
「……色々とあったからか、咲夜とは仲良くやっていけそうです」
俺達はそう返事をして笑い合う。
美里さんと話して気持ちが落ち着いたので、そろそろ勉強を始めるか。明日は数学Ⅰと世界史Aと家庭科なので、それらの教科を中心に勉強しよう。
「色々とあったってどういうことかな? お姉さん、気になっちゃうなぁ」
気付けば、美里さんは俺のすぐ側に正座の状態で座り、ワクワクとした様子で俺のことを見つめている。今の美里さんを見ていると、咲夜のお姉さんってことが納得できるな。近くに座っていて、肩開きのTシャツを着ているからなのか、美里さんから甘い匂いがしてくる。
俺だけじゃなくて咲夜のことでもあるから、ワケありでも彼女とキスをしたということはさすがに言えないな。
「咲夜から聞いているかもしれませんが、先週の前半は喧嘩していたんです。喧嘩してもこうして仲直りして彼女の部屋にいますので、咲夜とは仲良く付き合っていけるかなと」
「そういうことね。確かに先週の月曜日や火曜日は元気がなかったな。水曜日の朝もそうだったかな。それまでと違って神楽君のことを一切話さないから、神楽君絡みのことで何かあったんだとは思ってた。でも、仲直りして、元気になって、こうして神楽君を家に連れて来るようになって良かったわ。今の話を聞いたからか、神楽君が可愛く見えてきたよ」
美里さんは優しい笑顔を浮かべながら俺の頭を撫でてきた。年上の女性に頭を撫でられるなんてこと、母親や真弓さん、小学校のときの先生くらいしかなかったから、ちょっとドキドキするな。
「私も撫でます! その……はやちゃんのことが好きなので!」
美里さんのことが羨ましいと思ったのか、麗奈先輩も俺の頭を撫でてくる。まさか、2人同時に撫でられるとは。そんな俺達のことを、紗衣はテーブルを挟んだ向かい側から微笑ながら見ている。
「はやちゃんか。ふふっ、可愛いニックネームだね。それにしても、麗奈ちゃん、さりげなく大胆なことを言っちゃったよ?」
「好きだっていうことは、以前にはやちゃんに伝えていますので。ただ、その……まずはお友達から付き合っているんです」
「ふふっ、恋する女の子って可愛いわね。でも、こんなに素敵な子が神楽君のことが好きなんだ……」
美里さんはしんみりとした様子でそう呟いた。
それにしても、両サイドから頭を撫でられるとかなり気持ちがいいな。猫ってこういう感じなのだろうか。あと、麗奈先輩からも甘い匂いがして、美里さんとの匂いといい感じに混ざっている。気持ち良くて段々と眠くなってきた。
「お待たせしました。すみません、5人分のアイスティーを作ったら遅く……って、颯人君。どうしてお姉ちゃんと会長さんに撫でられているの?」
今の俺達の様子を見て、咲夜は眼をまん丸くし、頬をほんのりと赤く染めながらじっと見ている。
「ええと、色々と話をしたことの流れ……ですよね?」
「そうね。神楽君、見た目に迫力があるけれど、咲夜ちゃんの言うとおり落ち着いているし、いい声をしているなって。あと、話していくと段々可愛く思えてきて。綺麗な白髪だから触ってみたくてね。だから、こうして撫でているの。そうしたら、麗奈ちゃんも撫でたいって」
俺の白髪に触ってみたいのは初耳だったな。
「そ、そうなんだね。お姉ちゃんと会長さんらしいかも。アイスティーと抹茶のチョコレートを持ってきました。お姉ちゃんの分のアイスティーも作ってきたよ」
「ありがとう、咲夜。神楽君も撫でさせてくれてありがとう。いい髪だったよ」
最後に俺の頭をポンポン、と軽く叩き、美里さんは咲夜の作ったアイスティーを持って再び勉強机の椅子に座った。それを確認してか、麗奈先輩も自分の座っているクッションへと戻る。
咲夜が作ってきてくれたアイスティーをさっそく飲んでみる。
「うん、美味しいよ。作ってくれてありがとう、咲夜」
「良かった」
咲夜はトレイを勉強机に置き、教科書やノートなどの勉強道具を持って俺の左斜め前にあるクッションに座った。
「ねえ、颯人君。あたしが飲み物を用意している間に……へ、変なことしてない? ベッドの近くのクッションに座っているから、例えば……ベッドの匂いを嗅いだり、タンスの中を確認してみたり」
「ううん、してないよ。美里さん達と話をしていたからな。まあ、親戚以外の女の子の部屋に入るのは初めてだから、正直ソワソワはしてた」
俺、咲夜にそんなイメージを持たれているのかな。
というか、変なことの例えにベッドの匂いを嗅ぐということを言ってしまっていいのか? それ、俺の部屋に遊びに来たときに自分がやったことだぞ。
また、昨日、俺のベッドに横になった麗奈先輩は顔を真っ赤にして俺のことをチラチラと見る。俺と目を合わすと視線を逸らし、アイスティーをゴクゴクと飲む。
「颯人の言うことは本当だよ。主に美里さんと話をして、その流れで麗奈会長と一緒に颯人の頭を撫でたんだ」
「そうなんだ。紗衣ちゃんがそう言うなら本当だろうね」
「ははっ」
咲夜と紗衣は笑い合っている。仲良くなってから10日ほどだけれど、2人は早くも信頼関係を築いたようだ。俺と喧嘩してても、紗衣と一緒にお昼を食べたりしたからだろうか。そのついででもいいから、俺のことも少しは信頼してくれると嬉しいのだが。
「では、そろそろ勉強を始めましょうか。あたし達のクラスって、数学Ⅰと世界史Aと家庭科だっけ?」
「ああ、そうだ」
「私のクラスも同じ。もしかしたら、学年単位で期末試験の時間割が決まっているのかもね。ちなみに、麗奈会長はどんな科目を?」
「私は古典Bと英語表現Ⅱと保健だね。咲夜ちゃんの言った3科目だったら教えることができると思う」
「お姉ちゃんも文系科目と英語と数学だったら教えることができると思うよ。遠慮なく訊いてね」
秀才の生徒会長と今年の春に入学した現役女子大生がいるのは心強いな。前に咲夜から聞いた話からして、きっと美里さんも教え方が上手そうだし。
俺達4人はそれぞれのペースで、試験対策の勉強を始めるのであった。
「どうぞ、ここがあたしの部屋です」
咲夜の部屋は俺や紗衣の部屋と同じくらいの広さだ。絨毯やベッドのシーツ、クッションなどの色が暖色系で統一されているな。ベッドの上にはクマのぬいぐるみが置いてあって。そういったところが小雪の部屋に似ている。
「素敵な部屋ね、咲夜ちゃん」
「そうですね、麗奈会長。咲夜らしい可愛らしい雰囲気ですよね」
「ありがとうございます。昨日まで散らかっていたので、今日の午前中に頑張って片付けました。は、颯人君はどうかな?」
「可愛らしい雰囲気で綺麗な部屋だと思う」
「あ、ありがとう。颯人君にそう言ってもらえて嬉しいな」
えへへっ、と咲夜は嬉しそうな笑みを浮かべている。
「みなさん、適当なところにくつろいでください! あたし、飲み物を持ってきますので! あと、お姉ちゃんは部屋にいてもいいけれど、みんなの勉強の邪魔をしないように気を付けてよ!」
「は~い」
咲夜は一旦、部屋を後にした。
適当な場所にくつろいでと咲夜は言っていたけれど、ベッドの横にあるテーブルの周りにクッションが4つあったので、紗衣、麗奈先輩、俺はそこに腰を下ろす。美里さんは勉強机の椅子に座る。
ベッドの近くにあるクッションに座ったこともあってか、咲夜の甘い匂いが感じるような気がする。親戚以外の女の子の部屋は初めてだから緊張するな。
勉強を始めようとは思うけれど、どうも部屋の中が気になってしまう。本棚の中にある漫画や小説は若い女性中心に人気が高い作品が多いな。CDもある。そんな本棚の横にはタンスがある。
「咲夜がお友達を連れてくることは結構あるけれど、男の子は結構久しぶりだな。親戚以外だと、数年ぶりくらいじゃないかなぁ。少なくとも中学になってからは初めてだよ」
「そうなんですか。グループでなら男子とも遊ぶと以前に聞いていたので、女子と一緒に男子もここで遊んだことがあるのかと思いました」
「外に遊びに行くことはあるんだけどね。ただ、今日の咲夜は今まで以上に楽しそう。高校でいいお友達ができたんだなって実感する。これからも咲夜と仲良くしてあげてね」
「もちろんです!」
「颯人のおかげでいい友達ができたと思っています」
「……色々とあったからか、咲夜とは仲良くやっていけそうです」
俺達はそう返事をして笑い合う。
美里さんと話して気持ちが落ち着いたので、そろそろ勉強を始めるか。明日は数学Ⅰと世界史Aと家庭科なので、それらの教科を中心に勉強しよう。
「色々とあったってどういうことかな? お姉さん、気になっちゃうなぁ」
気付けば、美里さんは俺のすぐ側に正座の状態で座り、ワクワクとした様子で俺のことを見つめている。今の美里さんを見ていると、咲夜のお姉さんってことが納得できるな。近くに座っていて、肩開きのTシャツを着ているからなのか、美里さんから甘い匂いがしてくる。
俺だけじゃなくて咲夜のことでもあるから、ワケありでも彼女とキスをしたということはさすがに言えないな。
「咲夜から聞いているかもしれませんが、先週の前半は喧嘩していたんです。喧嘩してもこうして仲直りして彼女の部屋にいますので、咲夜とは仲良く付き合っていけるかなと」
「そういうことね。確かに先週の月曜日や火曜日は元気がなかったな。水曜日の朝もそうだったかな。それまでと違って神楽君のことを一切話さないから、神楽君絡みのことで何かあったんだとは思ってた。でも、仲直りして、元気になって、こうして神楽君を家に連れて来るようになって良かったわ。今の話を聞いたからか、神楽君が可愛く見えてきたよ」
美里さんは優しい笑顔を浮かべながら俺の頭を撫でてきた。年上の女性に頭を撫でられるなんてこと、母親や真弓さん、小学校のときの先生くらいしかなかったから、ちょっとドキドキするな。
「私も撫でます! その……はやちゃんのことが好きなので!」
美里さんのことが羨ましいと思ったのか、麗奈先輩も俺の頭を撫でてくる。まさか、2人同時に撫でられるとは。そんな俺達のことを、紗衣はテーブルを挟んだ向かい側から微笑ながら見ている。
「はやちゃんか。ふふっ、可愛いニックネームだね。それにしても、麗奈ちゃん、さりげなく大胆なことを言っちゃったよ?」
「好きだっていうことは、以前にはやちゃんに伝えていますので。ただ、その……まずはお友達から付き合っているんです」
「ふふっ、恋する女の子って可愛いわね。でも、こんなに素敵な子が神楽君のことが好きなんだ……」
美里さんはしんみりとした様子でそう呟いた。
それにしても、両サイドから頭を撫でられるとかなり気持ちがいいな。猫ってこういう感じなのだろうか。あと、麗奈先輩からも甘い匂いがして、美里さんとの匂いといい感じに混ざっている。気持ち良くて段々と眠くなってきた。
「お待たせしました。すみません、5人分のアイスティーを作ったら遅く……って、颯人君。どうしてお姉ちゃんと会長さんに撫でられているの?」
今の俺達の様子を見て、咲夜は眼をまん丸くし、頬をほんのりと赤く染めながらじっと見ている。
「ええと、色々と話をしたことの流れ……ですよね?」
「そうね。神楽君、見た目に迫力があるけれど、咲夜ちゃんの言うとおり落ち着いているし、いい声をしているなって。あと、話していくと段々可愛く思えてきて。綺麗な白髪だから触ってみたくてね。だから、こうして撫でているの。そうしたら、麗奈ちゃんも撫でたいって」
俺の白髪に触ってみたいのは初耳だったな。
「そ、そうなんだね。お姉ちゃんと会長さんらしいかも。アイスティーと抹茶のチョコレートを持ってきました。お姉ちゃんの分のアイスティーも作ってきたよ」
「ありがとう、咲夜。神楽君も撫でさせてくれてありがとう。いい髪だったよ」
最後に俺の頭をポンポン、と軽く叩き、美里さんは咲夜の作ったアイスティーを持って再び勉強机の椅子に座った。それを確認してか、麗奈先輩も自分の座っているクッションへと戻る。
咲夜が作ってきてくれたアイスティーをさっそく飲んでみる。
「うん、美味しいよ。作ってくれてありがとう、咲夜」
「良かった」
咲夜はトレイを勉強机に置き、教科書やノートなどの勉強道具を持って俺の左斜め前にあるクッションに座った。
「ねえ、颯人君。あたしが飲み物を用意している間に……へ、変なことしてない? ベッドの近くのクッションに座っているから、例えば……ベッドの匂いを嗅いだり、タンスの中を確認してみたり」
「ううん、してないよ。美里さん達と話をしていたからな。まあ、親戚以外の女の子の部屋に入るのは初めてだから、正直ソワソワはしてた」
俺、咲夜にそんなイメージを持たれているのかな。
というか、変なことの例えにベッドの匂いを嗅ぐということを言ってしまっていいのか? それ、俺の部屋に遊びに来たときに自分がやったことだぞ。
また、昨日、俺のベッドに横になった麗奈先輩は顔を真っ赤にして俺のことをチラチラと見る。俺と目を合わすと視線を逸らし、アイスティーをゴクゴクと飲む。
「颯人の言うことは本当だよ。主に美里さんと話をして、その流れで麗奈会長と一緒に颯人の頭を撫でたんだ」
「そうなんだ。紗衣ちゃんがそう言うなら本当だろうね」
「ははっ」
咲夜と紗衣は笑い合っている。仲良くなってから10日ほどだけれど、2人は早くも信頼関係を築いたようだ。俺と喧嘩してても、紗衣と一緒にお昼を食べたりしたからだろうか。そのついででもいいから、俺のことも少しは信頼してくれると嬉しいのだが。
「では、そろそろ勉強を始めましょうか。あたし達のクラスって、数学Ⅰと世界史Aと家庭科だっけ?」
「ああ、そうだ」
「私のクラスも同じ。もしかしたら、学年単位で期末試験の時間割が決まっているのかもね。ちなみに、麗奈会長はどんな科目を?」
「私は古典Bと英語表現Ⅱと保健だね。咲夜ちゃんの言った3科目だったら教えることができると思う」
「お姉ちゃんも文系科目と英語と数学だったら教えることができると思うよ。遠慮なく訊いてね」
秀才の生徒会長と今年の春に入学した現役女子大生がいるのは心強いな。前に咲夜から聞いた話からして、きっと美里さんも教え方が上手そうだし。
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