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特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-
第4話『1学期の終わり』
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7月17日、金曜日。
今日は朝から曇っており、1日中曇りの予報だ。週間の天気予報では曇りや雨のマークがあるけど、来週に入ると晴れが続くとのこと。梅雨が明けて夏本番になるまであと少しだな。
今日は1学期の終業式の日。今日で1学期が終わり、明日からは夏休みだ。
終業式は始業式のときや、一昨日の球技大会の開会式や閉会式のときと同じように、テレビ中継の形で実施される。移動することなく、涼しい教室で終業式に臨めるのは嬉しい。中学までは校庭や体育館でやっていたからなぁ。1学期の終業式は、暑い中で先生達の話を聞いていたっけ。あれは長く感じた。
涼しい教室の中で終業式の中継を見ているので、中学までよりは校長先生の話をちゃんと聞くことができた。
終業式の後は1学期最後のロングホームルームだ。今日で1学期が終わるということで、
「はーい。これからみんなに通知表を渡すよー」
今日のメインともいえる通知表の配布が行なわれる。
「通知表か。どんな成績になってるかな」
俺の前の席に座っているサクラは、こちらに振り返ってそう言ってくる。ちょっとそわそわした様子で。小学生の頃から、サクラは通知表が渡される前はそわそわしたり、緊張したりしていることがあったっけ。
「中間も期末も文系科目は結構良かったし、不安に思っている理系科目も平均点以上は取れていたからいい成績を取れていると思うぞ」
「そうだと嬉しいな。定期試験の調子が良かったけど、ちょっと緊張しちゃって」
「なるほどな。まあ、課題とか小テストとかも成績に含まれるもんな」
「うん。……ダイちゃんはかなりいい成績だと思う。中間も期末も学年でトップテンに入っていたし、課題もちゃんと出していたし」
「それが成績に反映されていたら嬉しいな」
果たして、どんな成績になっているだろうか。
「出席番号順に渡すね。……まずは一紗ちゃん」
「はい」
出席番号順なので、まずは一紗からか。
一紗は流川先生から通知表を受け取り、自分の席に座ってさっそく見る。その直後、一紗はほっとした様子になっている。一紗は理系科目で苦手な科目があるからな。中間も期末も赤点ではなかったけど、どんな成績をつけられているか不安だったのかも。あの様子からして、赤点となった科目はなかったようだ。
あと、赤点の科目があると、特別課題が渡されたり、科目によっては夏休み中に学校で補習を受けたりしなければならない。それを逃れられたのも一紗がほっとしている一因かも。
その後も出席番号順に通知表が配布されていく。喜ぶ生徒もいれば、がっかりする生徒もいる。
「次、青葉ちゃん」
「はいっ」
小泉さんはそう返事すると、教卓まで行って通知表を受け取る。その場で通知表を見て、
「やった! 赤点科目なし!」
持ち前の明るい笑顔でそう言った。小泉さんも苦手な科目がいくつかあったからな。中間、期末と赤点はなかったけど、成績も赤点がなかったのが嬉しいのだろう。
小泉さんは自分の席に戻るとき、途中で一紗と左手でハイタッチしていた。微笑ましい光景だ。
「次、文香ちゃん」
「はい」
サクラは返事をして、流川先生のいる教卓へ向かう。
サクラは流川先生から何か言葉を掛けられながら通知表を受け取り、小泉さんとは違ってその場で見ることはせず、自分の席に戻ってきた。
「ただいま」
「おかえり。何か言われてたみたいだけど」
「頑張ったねって言われた。……一緒に見てくれる?」
「ああ」
サクラと一緒に、サクラの通知表を見ることに。
通知表には各教科の成績と学年の平均点が100点満点の形で記載されている。30点未満だと赤点判定となり、『*』マークが付く。また、端にはクラスでの順位と2年生文系での順位も。
サクラの成績を見てみると……定期試験のように、文系科目は満点に近い成績だ。英語科目や数学Ⅱも好成績。苦手意識のある数学Bや化学基礎も平均点よりも10点くらい高いし。期末試験のみや定期試験のない体育や情報、保健、選択芸術の音楽もなかなかいい。
順位は……クラス順位は6位で、学年順位は22位か。
「かなりいい成績じゃないか」
「うんっ。こんなにもいい成績になったのは初めてだよ。きっと、普段から分からないところをダイちゃんに教えてもらって、試験前にはみんなで勉強したおかげだろうね。ダイちゃん、ありがとう」
サクラは嬉しそうな笑顔でお礼を言ってくれる。
確かに、普段の勉強も試験前の勉強でも、サクラは分からないところがあると俺に質問してくる。分からないところをなくす努力が、好成績に結びついたんじゃないかと思う。
「いえいえ。サクラが頑張ったのが一番の理由だと思うぞ。良かったな」
「うんっ。これで安心してお母さんとお父さんに報告できるよ」
「そうだな」
サクラの御両親は、父親の哲也おじさんの転勤が理由で、今年の春休みに名古屋に引っ越した。それもあって、定期試験や成績についてはスマホで写真を送って報告することになっているのだ。
そういえば、小学生の頃……成績があまり良くなくて、母親の美紀さんに叱られたってサクラが話していたことがあったな。もしかしたら、それがあって、定期試験が良くても、通知表をもらう前はちょっと緊張していたのかもしれない。
それ以降も通知表が渡され、
「次、羽柴君」
「はい」
俺の一つ前の出席番号である羽柴が呼ばれた。
羽柴は流川先生から通知表をもらい、自分の席に戻ってから見る。
「……よしっ」
通知表を見ながら、右手でガッツポーズしていた。羽柴も苦手な科目があるから、あの様子だと赤点科目がなかったってことかな。
「次、速水君」
「はい」
俺は席から立ち上がって、教卓にいる流川先生のところに向かう。
「よく頑張ったね。この調子でこれからも勉強頑張ってね」
流川先生はニコッとした笑顔でそう言いながら、俺に通知表を渡してきた。先生がそう言うってことは結構いい成績なんだろうな。
はい、と返事をして、俺は自分の席に戻った。
「ダイちゃんも何か言われてたね」
「『よく頑張ったね。この調子で頑張ってね』って言われた」
「そうだったんだ。じゃあ、かなりいい成績だろうね」
「そう……かな。どんな成績か見てみよう」
俺は机に通知表を置いて、サクラと一緒に俺の1学期の成績を見る。
国語科目と社会科科目は満点かそれに近い成績だ。英語科目も90点以上、理系科目も85点以上取れている。
期末試験のみあった保健と情報、それと試験のない体育も80点ほど。一番低い選択芸術の音楽は70点台だけど平均点以上か。良かった。嬉しいな。
順位は……クラス2位で、学年7位か。
「ダイちゃん凄くいい成績だね! さすがだよ!」
サクラは可愛い笑顔でそう言ってくれる。通知表を見たときも嬉しくなったけど、サクラが褒めてくれるともっと嬉しい気持ちになるな。
「ありがとう。俺もここまでいい成績を取るのは初めてだ。たぶん、普段はみんなの分からないところを教えたり、試験前にはみんなと一緒に勉強したりしたおかげだろうな。文系科目や英語ではサクラに教えてもらうこともあったし。ありがとな」
再びお礼を言い、サクラの頭を優しく撫でる。すると、サクラは「えへへっ」と笑って、へにゃっとした柔らかい笑顔を見せてくれる。
今後もこの成績が維持できるように勉強を頑張っていこう。サクラを中心に助け合いながら勉強していければと思う。
通知表が渡された後は夏休みの課題一覧のプリント、各教科の課題のプリントや冊子などが配布された。1ヶ月半近く休みがあるし、どの教科もなかなかの量だ。
また、成績で赤点判定となった教科のある生徒には特別課題も。もらった生徒の机を見ると……それなりの量がある。赤点を取らなくて本当に良かったなって思う。
課題関連の配布が終えると、流川先生は夏休み中の過ごし方や諸注意について話された。そして、
「以上で1学期最後のロングホームルームを終わります。みんな、怪我や病気には気をつけて楽しい夏休みを過ごしてください。9月1日にまた会いましょう。では、これで1学期の日程を終了します。委員長、号令をお願いします」
クラス委員長の女子生徒による号令により、2年生の1学期がこれにて終了した。
『夏休みだー!』
挨拶が終わった瞬間、男女問わず何人かの生徒がそう言う。1学期が終わったから、もう今から夏休み気分なのだろう。
最終日の日程も終わったので、教室の中はとても明るい雰囲気になる。友達と楽しく話す生徒や部活があるのか「じゃあな」と言って教室を後にする生徒など様々だ。
「1学期が終わったね、ダイちゃん! お疲れ様!」
サクラはこちらに振り返り、嬉しそうな笑顔でそう言ってくる。可愛い。
「お疲れ様、サクラ」
「うんっ。まあ、私はこの後、青葉ちゃん達と一緒に掃除があるけどね」
「そうだな。頑張れよ」
「うんっ」
「速水、桜井、お疲れさん」
「大輝君、文香さん、1学期お疲れ様」
「2人ともお疲れ様!」
羽柴と一紗と小泉さんが俺達のところにやってきた。1学期が終わったからか、3人ともいい笑顔になっている。
「みんなもお疲れ様」
「お疲れ様、青葉ちゃん、一紗ちゃん、羽柴君」
「おう。赤点の教科もなかったし、気持ち良く夏休みを迎えられるぜ」
「あたしもよ。理系科目は苦手意識があったけど、大輝君に分からないところを訊いたり、試験前にはみんなと一緒に勉強したりしたから赤点なく何とか乗り越えられたわ」
「あたしも同じ感じだよ。赤点なくて良かった。夏休み中は部活の練習や合宿もあるし。補習がある教科が赤点だったら部活に影響出てたよ」
3人ともほっとした様子でそう話す。特に小泉さんは。小泉さんは女子テニス部だし、夏休み中も練習があったり、合宿もあったりするのか。赤点の補習があったらそちらを優先しなくてはいけないから、小泉さんがほっとする気持ちも分かる。
杏奈の成績はどうだったかな。中間試験も期末試験も結構良かったと聞いているし、さすがかに赤点科目はないだろう。
「文香と速水君はどうだった?」
「結構良かったよ。理系科目も平均以上取れてた」
「俺も良かったよ」
「ダイちゃんはどの教科もいい成績だったよね」
「2人はさすがだね。……ねえ、みんなで海へ遊びに行かない? 去年は文香とか女子数人で一緒に遊びに行ったけど、今年はこのみんなで」
「いいね、青葉ちゃん! 私、行きたい!」
「俺も行きたいな」
「私も行きたいわ! 夏休み中にみんなと会ったり、遊んだりできるのは嬉しいし。それに、みんなの水着姿を見たいわ! 特に大輝君の」
「麻生らしいな。……俺も行こうかな。去年は速水とか男数人で遊びに行ったし、今年も海水浴に行きたいって思っていたから」
「じゃあ、この5人は決まりだね。あとは杏奈ちゃんと二乃ちゃんも誘おうか」
「誘いましょう! 2人の水着姿もかなり見たいから!」
俺と杏奈と、一紗の妹で中学1年生の二乃ちゃんの水着姿を想像しているのか、一紗は「はあっ、はあっ」と興奮した様子に。一紗は俺が好きだし、2人のことを気に入っているからなぁ。
そういえば、プールの初回授業の自由時間で、夏休みまでに杏奈や二乃ちゃんを誘ってみんなで海やプールで遊びたいって話したことを思い出した。もしかしたら、小泉さんもそれを思い出して俺達を誘ってくれたのかも。
小泉さんは杏奈に、一紗が二乃ちゃんにそれぞれ夏休み中に海水浴に行かないかどうかお誘いのメッセージを送る。すると、すぐに、
「杏奈ちゃん、行きたいって」
「二乃も行きたいって返信が来たわ」
と、小泉さんと一紗が言い、トーク画面を見せてくれる。それぞれの画面には、
『あたしも海水浴に行きたいです!』
『私もお姉ちゃん達と一緒に海へ行きたいな!』
杏奈と二乃ちゃんのそんなメッセージが表示されている。2人のワクワクとした様子が目に浮かぶ。
「杏奈ちゃんと二乃ちゃんも参加決定だね」
「良かったわ!」
「そうだな。じゃあ、いつ行こうか? 7人の中で予定が一番ありそうなのは……女子テニス部の活動や合宿がある小泉さんかな」
「そうだろうね。夏休み中はちょくちょく休みがあるけど、毎週日曜日は基本的に休みだよ」
「そうなんだ」
基本的に週に1日休みがあるのはいいな。これから夏本番で厳しい暑さになるし、体のことを考えたら定期的に休みを入れるのはいいことじゃないかと思う。
「じゃあ、行くのは日曜日がいいわね」
「そうだね」
「俺、バイトのシフトが入っているか確認するぜ」
「俺も」
7月中のバイトのシフトはもう決まっているからな。
カレンダーアプリを見て、シフトがどうなっているか確認すると……次の日曜日の19日はシフトが入っていて、その次の26日はフリーだな。
「俺、次の日曜はバイトがあるけど、その次の日曜日はフリーだよ」
「俺も速水と同じだ」
「じゃあ、26日にしようか。文香と一紗はどう?」
「私は大丈夫だよ」
「私も大丈夫よ」
「了解。あとは杏奈ちゃんと二乃ちゃんだね」
その後、小泉さんと一紗が杏奈と二乃ちゃんに『7月26日が行く日の候補だけど、予定が空いているか?』とメッセージを送る。
今も杏奈と一緒にバイトのシフトに入ることが多いけど、仕事をだいぶ覚えたので杏奈だけがシフトに入る日もある。それに、杏奈は友達が多いし、友達と遊ぶ予定が入っているかもしれない。
二乃ちゃんも夏休み中に友達と遊んだりする予定があるかもしれない。さあ、どうだろうか。
小泉さんと一紗がメッセージを送ってから少しして、
「二乃、26日はOKよ」
「杏奈ちゃんもOKだって」
2人がそう言った。杏奈も二乃ちゃんも26日は大丈夫か。それが分かった瞬間、頬が緩んでいくのが分かった。
「じゃあ、7月26日に7人で海水浴に行こう!」
小泉さんは持ち前の明るい笑顔でそう言った。
サクラ達との海水浴か。羽柴とは去年も行ったけど、サクラとは中1以来、一紗と杏奈と小泉さんと二乃ちゃんとは初めてだからとても楽しみだ。みんなも楽しみなのか、とても明るい笑顔になっている。
その後、小泉さんが海水浴へ一緒に行く7人がメンバーのグループを作り、
『海水浴へ一緒に行くメンバーのグループ作ったよ! 7月26日に海水浴へ行くことになりました!』
とメッセージを送る。するとすぐに、
『了解です! みなさんと海水浴に行くのは初めてなので楽しみです! 先輩方とは学年もクラスも違いますから、一緒に水泳の授業を受けませんし』
『私もお姉ちゃん達と一緒に海水浴行くのが楽しみですっ!』
と、杏奈と二乃ちゃんはそれぞれそんなメッセージを送ってくれた。俺達5人は同じクラスだから、水泳の初回の授業の自由時間で一緒に遊んだけど、杏奈とはそういったことがなくて。二乃ちゃんは中学生だから学校自体も違うし。もしかしたら、杏奈と二乃ちゃんは俺達5人以上に海水浴を楽しみにしているかもしれない。
俺達5人は『楽しみだね』とか『一緒に楽しもうね』といったメッセージを送った。
また、当日はどこの海水浴場に行くのか、待ち合わせはどうするかなどの必要な決め事は、今後、グループトークでメッセージをやり取りして決めることにした。
去年までと違って、今はサクラと一緒に住んで、サクラと仲直りして恋人の関係になっている。サクラ達と一緒に海水浴へ行く予定もできた。今年の夏休みは今までで一番楽しい夏休みになりそうだ。
今日は朝から曇っており、1日中曇りの予報だ。週間の天気予報では曇りや雨のマークがあるけど、来週に入ると晴れが続くとのこと。梅雨が明けて夏本番になるまであと少しだな。
今日は1学期の終業式の日。今日で1学期が終わり、明日からは夏休みだ。
終業式は始業式のときや、一昨日の球技大会の開会式や閉会式のときと同じように、テレビ中継の形で実施される。移動することなく、涼しい教室で終業式に臨めるのは嬉しい。中学までは校庭や体育館でやっていたからなぁ。1学期の終業式は、暑い中で先生達の話を聞いていたっけ。あれは長く感じた。
涼しい教室の中で終業式の中継を見ているので、中学までよりは校長先生の話をちゃんと聞くことができた。
終業式の後は1学期最後のロングホームルームだ。今日で1学期が終わるということで、
「はーい。これからみんなに通知表を渡すよー」
今日のメインともいえる通知表の配布が行なわれる。
「通知表か。どんな成績になってるかな」
俺の前の席に座っているサクラは、こちらに振り返ってそう言ってくる。ちょっとそわそわした様子で。小学生の頃から、サクラは通知表が渡される前はそわそわしたり、緊張したりしていることがあったっけ。
「中間も期末も文系科目は結構良かったし、不安に思っている理系科目も平均点以上は取れていたからいい成績を取れていると思うぞ」
「そうだと嬉しいな。定期試験の調子が良かったけど、ちょっと緊張しちゃって」
「なるほどな。まあ、課題とか小テストとかも成績に含まれるもんな」
「うん。……ダイちゃんはかなりいい成績だと思う。中間も期末も学年でトップテンに入っていたし、課題もちゃんと出していたし」
「それが成績に反映されていたら嬉しいな」
果たして、どんな成績になっているだろうか。
「出席番号順に渡すね。……まずは一紗ちゃん」
「はい」
出席番号順なので、まずは一紗からか。
一紗は流川先生から通知表を受け取り、自分の席に座ってさっそく見る。その直後、一紗はほっとした様子になっている。一紗は理系科目で苦手な科目があるからな。中間も期末も赤点ではなかったけど、どんな成績をつけられているか不安だったのかも。あの様子からして、赤点となった科目はなかったようだ。
あと、赤点の科目があると、特別課題が渡されたり、科目によっては夏休み中に学校で補習を受けたりしなければならない。それを逃れられたのも一紗がほっとしている一因かも。
その後も出席番号順に通知表が配布されていく。喜ぶ生徒もいれば、がっかりする生徒もいる。
「次、青葉ちゃん」
「はいっ」
小泉さんはそう返事すると、教卓まで行って通知表を受け取る。その場で通知表を見て、
「やった! 赤点科目なし!」
持ち前の明るい笑顔でそう言った。小泉さんも苦手な科目がいくつかあったからな。中間、期末と赤点はなかったけど、成績も赤点がなかったのが嬉しいのだろう。
小泉さんは自分の席に戻るとき、途中で一紗と左手でハイタッチしていた。微笑ましい光景だ。
「次、文香ちゃん」
「はい」
サクラは返事をして、流川先生のいる教卓へ向かう。
サクラは流川先生から何か言葉を掛けられながら通知表を受け取り、小泉さんとは違ってその場で見ることはせず、自分の席に戻ってきた。
「ただいま」
「おかえり。何か言われてたみたいだけど」
「頑張ったねって言われた。……一緒に見てくれる?」
「ああ」
サクラと一緒に、サクラの通知表を見ることに。
通知表には各教科の成績と学年の平均点が100点満点の形で記載されている。30点未満だと赤点判定となり、『*』マークが付く。また、端にはクラスでの順位と2年生文系での順位も。
サクラの成績を見てみると……定期試験のように、文系科目は満点に近い成績だ。英語科目や数学Ⅱも好成績。苦手意識のある数学Bや化学基礎も平均点よりも10点くらい高いし。期末試験のみや定期試験のない体育や情報、保健、選択芸術の音楽もなかなかいい。
順位は……クラス順位は6位で、学年順位は22位か。
「かなりいい成績じゃないか」
「うんっ。こんなにもいい成績になったのは初めてだよ。きっと、普段から分からないところをダイちゃんに教えてもらって、試験前にはみんなで勉強したおかげだろうね。ダイちゃん、ありがとう」
サクラは嬉しそうな笑顔でお礼を言ってくれる。
確かに、普段の勉強も試験前の勉強でも、サクラは分からないところがあると俺に質問してくる。分からないところをなくす努力が、好成績に結びついたんじゃないかと思う。
「いえいえ。サクラが頑張ったのが一番の理由だと思うぞ。良かったな」
「うんっ。これで安心してお母さんとお父さんに報告できるよ」
「そうだな」
サクラの御両親は、父親の哲也おじさんの転勤が理由で、今年の春休みに名古屋に引っ越した。それもあって、定期試験や成績についてはスマホで写真を送って報告することになっているのだ。
そういえば、小学生の頃……成績があまり良くなくて、母親の美紀さんに叱られたってサクラが話していたことがあったな。もしかしたら、それがあって、定期試験が良くても、通知表をもらう前はちょっと緊張していたのかもしれない。
それ以降も通知表が渡され、
「次、羽柴君」
「はい」
俺の一つ前の出席番号である羽柴が呼ばれた。
羽柴は流川先生から通知表をもらい、自分の席に戻ってから見る。
「……よしっ」
通知表を見ながら、右手でガッツポーズしていた。羽柴も苦手な科目があるから、あの様子だと赤点科目がなかったってことかな。
「次、速水君」
「はい」
俺は席から立ち上がって、教卓にいる流川先生のところに向かう。
「よく頑張ったね。この調子でこれからも勉強頑張ってね」
流川先生はニコッとした笑顔でそう言いながら、俺に通知表を渡してきた。先生がそう言うってことは結構いい成績なんだろうな。
はい、と返事をして、俺は自分の席に戻った。
「ダイちゃんも何か言われてたね」
「『よく頑張ったね。この調子で頑張ってね』って言われた」
「そうだったんだ。じゃあ、かなりいい成績だろうね」
「そう……かな。どんな成績か見てみよう」
俺は机に通知表を置いて、サクラと一緒に俺の1学期の成績を見る。
国語科目と社会科科目は満点かそれに近い成績だ。英語科目も90点以上、理系科目も85点以上取れている。
期末試験のみあった保健と情報、それと試験のない体育も80点ほど。一番低い選択芸術の音楽は70点台だけど平均点以上か。良かった。嬉しいな。
順位は……クラス2位で、学年7位か。
「ダイちゃん凄くいい成績だね! さすがだよ!」
サクラは可愛い笑顔でそう言ってくれる。通知表を見たときも嬉しくなったけど、サクラが褒めてくれるともっと嬉しい気持ちになるな。
「ありがとう。俺もここまでいい成績を取るのは初めてだ。たぶん、普段はみんなの分からないところを教えたり、試験前にはみんなと一緒に勉強したりしたおかげだろうな。文系科目や英語ではサクラに教えてもらうこともあったし。ありがとな」
再びお礼を言い、サクラの頭を優しく撫でる。すると、サクラは「えへへっ」と笑って、へにゃっとした柔らかい笑顔を見せてくれる。
今後もこの成績が維持できるように勉強を頑張っていこう。サクラを中心に助け合いながら勉強していければと思う。
通知表が渡された後は夏休みの課題一覧のプリント、各教科の課題のプリントや冊子などが配布された。1ヶ月半近く休みがあるし、どの教科もなかなかの量だ。
また、成績で赤点判定となった教科のある生徒には特別課題も。もらった生徒の机を見ると……それなりの量がある。赤点を取らなくて本当に良かったなって思う。
課題関連の配布が終えると、流川先生は夏休み中の過ごし方や諸注意について話された。そして、
「以上で1学期最後のロングホームルームを終わります。みんな、怪我や病気には気をつけて楽しい夏休みを過ごしてください。9月1日にまた会いましょう。では、これで1学期の日程を終了します。委員長、号令をお願いします」
クラス委員長の女子生徒による号令により、2年生の1学期がこれにて終了した。
『夏休みだー!』
挨拶が終わった瞬間、男女問わず何人かの生徒がそう言う。1学期が終わったから、もう今から夏休み気分なのだろう。
最終日の日程も終わったので、教室の中はとても明るい雰囲気になる。友達と楽しく話す生徒や部活があるのか「じゃあな」と言って教室を後にする生徒など様々だ。
「1学期が終わったね、ダイちゃん! お疲れ様!」
サクラはこちらに振り返り、嬉しそうな笑顔でそう言ってくる。可愛い。
「お疲れ様、サクラ」
「うんっ。まあ、私はこの後、青葉ちゃん達と一緒に掃除があるけどね」
「そうだな。頑張れよ」
「うんっ」
「速水、桜井、お疲れさん」
「大輝君、文香さん、1学期お疲れ様」
「2人ともお疲れ様!」
羽柴と一紗と小泉さんが俺達のところにやってきた。1学期が終わったからか、3人ともいい笑顔になっている。
「みんなもお疲れ様」
「お疲れ様、青葉ちゃん、一紗ちゃん、羽柴君」
「おう。赤点の教科もなかったし、気持ち良く夏休みを迎えられるぜ」
「あたしもよ。理系科目は苦手意識があったけど、大輝君に分からないところを訊いたり、試験前にはみんなと一緒に勉強したりしたから赤点なく何とか乗り越えられたわ」
「あたしも同じ感じだよ。赤点なくて良かった。夏休み中は部活の練習や合宿もあるし。補習がある教科が赤点だったら部活に影響出てたよ」
3人ともほっとした様子でそう話す。特に小泉さんは。小泉さんは女子テニス部だし、夏休み中も練習があったり、合宿もあったりするのか。赤点の補習があったらそちらを優先しなくてはいけないから、小泉さんがほっとする気持ちも分かる。
杏奈の成績はどうだったかな。中間試験も期末試験も結構良かったと聞いているし、さすがかに赤点科目はないだろう。
「文香と速水君はどうだった?」
「結構良かったよ。理系科目も平均以上取れてた」
「俺も良かったよ」
「ダイちゃんはどの教科もいい成績だったよね」
「2人はさすがだね。……ねえ、みんなで海へ遊びに行かない? 去年は文香とか女子数人で一緒に遊びに行ったけど、今年はこのみんなで」
「いいね、青葉ちゃん! 私、行きたい!」
「俺も行きたいな」
「私も行きたいわ! 夏休み中にみんなと会ったり、遊んだりできるのは嬉しいし。それに、みんなの水着姿を見たいわ! 特に大輝君の」
「麻生らしいな。……俺も行こうかな。去年は速水とか男数人で遊びに行ったし、今年も海水浴に行きたいって思っていたから」
「じゃあ、この5人は決まりだね。あとは杏奈ちゃんと二乃ちゃんも誘おうか」
「誘いましょう! 2人の水着姿もかなり見たいから!」
俺と杏奈と、一紗の妹で中学1年生の二乃ちゃんの水着姿を想像しているのか、一紗は「はあっ、はあっ」と興奮した様子に。一紗は俺が好きだし、2人のことを気に入っているからなぁ。
そういえば、プールの初回授業の自由時間で、夏休みまでに杏奈や二乃ちゃんを誘ってみんなで海やプールで遊びたいって話したことを思い出した。もしかしたら、小泉さんもそれを思い出して俺達を誘ってくれたのかも。
小泉さんは杏奈に、一紗が二乃ちゃんにそれぞれ夏休み中に海水浴に行かないかどうかお誘いのメッセージを送る。すると、すぐに、
「杏奈ちゃん、行きたいって」
「二乃も行きたいって返信が来たわ」
と、小泉さんと一紗が言い、トーク画面を見せてくれる。それぞれの画面には、
『あたしも海水浴に行きたいです!』
『私もお姉ちゃん達と一緒に海へ行きたいな!』
杏奈と二乃ちゃんのそんなメッセージが表示されている。2人のワクワクとした様子が目に浮かぶ。
「杏奈ちゃんと二乃ちゃんも参加決定だね」
「良かったわ!」
「そうだな。じゃあ、いつ行こうか? 7人の中で予定が一番ありそうなのは……女子テニス部の活動や合宿がある小泉さんかな」
「そうだろうね。夏休み中はちょくちょく休みがあるけど、毎週日曜日は基本的に休みだよ」
「そうなんだ」
基本的に週に1日休みがあるのはいいな。これから夏本番で厳しい暑さになるし、体のことを考えたら定期的に休みを入れるのはいいことじゃないかと思う。
「じゃあ、行くのは日曜日がいいわね」
「そうだね」
「俺、バイトのシフトが入っているか確認するぜ」
「俺も」
7月中のバイトのシフトはもう決まっているからな。
カレンダーアプリを見て、シフトがどうなっているか確認すると……次の日曜日の19日はシフトが入っていて、その次の26日はフリーだな。
「俺、次の日曜はバイトがあるけど、その次の日曜日はフリーだよ」
「俺も速水と同じだ」
「じゃあ、26日にしようか。文香と一紗はどう?」
「私は大丈夫だよ」
「私も大丈夫よ」
「了解。あとは杏奈ちゃんと二乃ちゃんだね」
その後、小泉さんと一紗が杏奈と二乃ちゃんに『7月26日が行く日の候補だけど、予定が空いているか?』とメッセージを送る。
今も杏奈と一緒にバイトのシフトに入ることが多いけど、仕事をだいぶ覚えたので杏奈だけがシフトに入る日もある。それに、杏奈は友達が多いし、友達と遊ぶ予定が入っているかもしれない。
二乃ちゃんも夏休み中に友達と遊んだりする予定があるかもしれない。さあ、どうだろうか。
小泉さんと一紗がメッセージを送ってから少しして、
「二乃、26日はOKよ」
「杏奈ちゃんもOKだって」
2人がそう言った。杏奈も二乃ちゃんも26日は大丈夫か。それが分かった瞬間、頬が緩んでいくのが分かった。
「じゃあ、7月26日に7人で海水浴に行こう!」
小泉さんは持ち前の明るい笑顔でそう言った。
サクラ達との海水浴か。羽柴とは去年も行ったけど、サクラとは中1以来、一紗と杏奈と小泉さんと二乃ちゃんとは初めてだからとても楽しみだ。みんなも楽しみなのか、とても明るい笑顔になっている。
その後、小泉さんが海水浴へ一緒に行く7人がメンバーのグループを作り、
『海水浴へ一緒に行くメンバーのグループ作ったよ! 7月26日に海水浴へ行くことになりました!』
とメッセージを送る。するとすぐに、
『了解です! みなさんと海水浴に行くのは初めてなので楽しみです! 先輩方とは学年もクラスも違いますから、一緒に水泳の授業を受けませんし』
『私もお姉ちゃん達と一緒に海水浴行くのが楽しみですっ!』
と、杏奈と二乃ちゃんはそれぞれそんなメッセージを送ってくれた。俺達5人は同じクラスだから、水泳の初回の授業の自由時間で一緒に遊んだけど、杏奈とはそういったことがなくて。二乃ちゃんは中学生だから学校自体も違うし。もしかしたら、杏奈と二乃ちゃんは俺達5人以上に海水浴を楽しみにしているかもしれない。
俺達5人は『楽しみだね』とか『一緒に楽しもうね』といったメッセージを送った。
また、当日はどこの海水浴場に行くのか、待ち合わせはどうするかなどの必要な決め事は、今後、グループトークでメッセージをやり取りして決めることにした。
去年までと違って、今はサクラと一緒に住んで、サクラと仲直りして恋人の関係になっている。サクラ達と一緒に海水浴へ行く予定もできた。今年の夏休みは今までで一番楽しい夏休みになりそうだ。
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