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特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-
プロローグ『球技大会-前編-』
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特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-
7月15日、水曜日。
期末試験も終わり、先週からは午前中のみの日程でお昼に下校する半日期間となっている。東京都立四鷹高等学校では期末試験や学年末試験の後は半日期間となるので、この期間を過ごしているともうすぐ長期休暇なのだと実感する。
ただ、今日だけは午後までの日程となっている。それはどうしてなのか。
球技大会があるからだ。
四鷹高校では、毎年1学期の期末試験が終わった後のこの時期に球技大会が実施される。
球技大会の種目はバスケットボール、ドッジボール、卓球の3つ。
どの種目も男女別で、バスケットボールとドッジボールはクラス単位のチーム戦、卓球は個人戦だ。学年は関係なくトーナメント形式で実施される。
どの種目に出場するのかは、6月中にあったロングホームルームで決めた。俺・速水大輝と親友の羽柴拓海は男子ドッジボール。俺の恋人のサクラこと桜井文香と、友人の麻生一紗さんと小泉青葉さんは女子ドッジボール。1年生で俺にとってはバイトの後輩でもある小鳥遊杏奈は女子バスケットボールに出場する。
去年の球技大会も羽柴と一緒に男子ドッジボールに出場したけど、初戦で2年生のクラスに当たってしまい早々に敗退。なので、今年はせめて1回は勝利したい。それに、今年は去年と違ってサクラという恋人がいるからな。かっこいいところを見せたいのだ。
もちろん、サクラと一紗、杏奈、小泉さんのことを応援するつもりだ。去年よりも球技大会を楽しみたい。
午前9時過ぎ。
始業式のときのように、テレビ中継の形で球技大会の開会式が行なわれた。種目ごとに会場が違うし、移動のことを考えてこの形なのだろう。
開会式が終わり、球技大会が始まった。
球技大会は自分の出場する試合に参加すれば、それ以外の時間は基本的には自由に過ごしていいことになっている。
去年は初戦で敗退してしまったので、サクラと小泉さん、男子の友人達が出場する試合を応援したとき以外は、涼しい教室の中で羽柴などの友達と駄弁っていた記憶がある。そういう過ごし方も魅力的だけど、今年はできるだけ長く試合に出場して、サクラ達を応援できたらいいなと思っている。
教室の黒板に、担任の流川愛実先生が各種目のトーナメント表の紙を貼る。トーナメント表には、うちのクラスの2年3組に赤く印が付いている。
トーナメント表によると、男子ドッジボールは第2試合。うちのクラスにとって初陣となる。相手は3年6組。去年と同じく上級生チームに当たってしまったか。
女子ドッジボールは第4試合。なので、サクラと一紗と小泉さんは男子ドッジボールを応援してくれるそうだ。
また、杏奈からメッセージがあり、杏奈のクラスである1年5組の女子バスケの初戦は第7試合なので、杏奈はうちのクラスのドッジボールを応援してくれるとのこと。杏奈も応援してくれるのは心強い。杏奈とは会場である校庭で会うことになった。
俺と羽柴、サクラと一紗と小泉さんは、水筒やタオルなどを持って教室を後にして、校庭に向かい始める。
「今年も初戦は上級生か。頑張ろうな、速水」
「ああ、頑張ろう」
俺がそう言うと、羽柴は右手を拳にした状態で俺に差し出してくる。なので、俺も右手を拳にして羽柴とグータッチをした。そうすると、羽柴は持ち前の爽やかな笑顔を見せた。
「ダイちゃん、羽柴君、応援してるよ」
「頑張ってね。みんなと一緒に応援するわ」
「頑張ってね!」
サクラと一紗と小泉さんは明るい笑顔で応援してくれる。3人の今の言葉のおかげで力が出てきたぞ。
「3人ともありがとう」
「ありがとな!」
俺と羽柴がお礼を言うと、3人の笑顔はニコッとした可愛いものになった。
昇降口で外での体育用のシューズに履き替え、校舎の外に出る。
校舎を出ると、蒸し暑い空気が体を包み込む。
今日の天気は曇りで、たまに雲の合間から晴れ間が見えることがあるという。まだ梅雨明けはしていないけど、雨が降る心配がなくて良かった。また、晴れではなく曇りなのも運がいいな。
会場である校庭に向かうと……男女ともに第1試合が始まっている。外は蒸し暑いけど、結構盛り上がっているな。
うちのクラスは男子の方が試合が早いので、俺達は男子の試合会場のコートの近くに行く。
「試合を見ると、大会が始まったんだなって実感するぜ」
「そうだな、羽柴。うちは第2試合だから、もうすぐで初戦なんだって思うよ」
「この次だもんね、ダイちゃん」
ドッジボールの試合時間は5分間だし、どっちかのチームの内野にいる生徒が全員アウトになったら、その時点で試合が終わるからな。
ちなみに、両チームの内野に人がいる状態で5分経った場合は、内野にいる人数の多いチームの勝利である。
「あっ、先輩方! おはようございますっ!」
校舎の方から杏奈の声が聞こえた。なので、そちらを見ると、体操着姿の杏奈がこちらに手を振りながら歩いてきた。体操着姿の杏奈は全然見たことがないので新鮮だ。
俺達は杏奈に「おはよう」と朝の挨拶をする。また、一紗は、
「体操着姿の杏奈さんも可愛いわぁ」
デレッとした様子でそう言い、杏奈の頭を撫でていた。一紗……杏奈のことを気に入っているからな。当初はそんな一紗に杏奈は警戒しているところがあったけど、今は「ふふっ」と可愛い笑顔を見せている。
「大輝先輩と羽柴先輩は第2試合なんですよね。頑張ってください!」
「ありがとう、杏奈。頑張るよ」
「3年生相手だけど、速水達と一緒に頑張るぜ」
「頑張ってくださいね。ただ……上級生相手ですか。それは大変そうですね。ちなみに、先輩方ってドッジボールは強いんですか?」
「私も気になるわ」
杏奈と一紗は俺と羽柴のことを見てくる。去年は杏奈は中学生だったし、別のクラスだった一紗は俺と羽柴の出場した試合を見ていなかったのだろう。
「速水は強いよな。去年も2年相手に何人かボールを当てていたし」
「あたしも速水君が当てたの覚えてる」
「ダイちゃん強いよ。小学校のときも結構当ててたからね」
「そうなんですか!」
「さすがは大輝君だわ! ボールを当てる姿を見たいわ!」
「あたしもですっ」
そう言い、杏奈と一紗は目を輝かせながら俺のことを見てくる。2人の期待に応えるためにも頑張らないとな。
「確かに、ドッジボールでは相手をアウトにすることが多いかな。羽柴も強いぞ。去年の試合で相手を1人アウトにしたよな」
「そうだったな」
「羽柴君が当てたのも覚えてるよ」
「私も。羽柴君も強い印象があるよ」
「そうなんですね」
「羽柴君も強いのなら、3年生相手にいい勝負ができそうね」
「そうなるように頑張りたいな」
「そうだな、羽柴」
去年は1勝もできなかったから、今年は1勝はしたい気持ちもあるし。
サクラ達と話していたのもあり、第1試合が終了するまではあっという間だった。
「いよいよ、俺達の番だな。今年も一緒に頑張ろうな、速水」
「ああ。一緒に頑張ろう」
「ダイちゃん、羽柴君、頑張ってね!」
「大輝君も羽柴君も頑張ってね!」
「ここで応援しています! 頑張ってください!」
「文香達と一緒に応援するからね! 頑張ってね!」
サクラ達4人は応援の言葉を送ってくれる。杏奈以外はさっきも応援してくれたけど、応援は何度されてもいい気持ちになるな。
これから試合なので、俺はサクラ、羽柴は小泉さんに荷物を預ける。
校舎内での俺と羽柴を見てか、サクラ、一紗、小泉さんは右手を拳にして俺達に突き出す。3人に倣ってか杏奈も。俺と羽柴は女子4人とグータッチした。
コートには誰もいなくなったので、俺は羽柴と一緒にコートへ行こうとする。そのとき、
「ダイちゃん」
と、サクラに名前を呼ばれたのでサクラの方を振り返ると、
――ちゅっ。
サクラは俺にキスしてきた。だからか、周りから女子達の黄色い声が聞こえてきた。
数秒ほどしてサクラの方から唇を離す。すると、目の前には頬をほんのりと赤くしながら笑顔で俺を見つめるサクラがいた。
「恋人からの勝利のおまじないです。頑張ってね、ダイちゃん」
「……ああ。最高のおまじないだよ、ありがとう。……いってくる」
サクラの頭をポンポンと軽く叩くと、サクラはニコッとした笑顔を見せる。サクラのおまじないのおかげで頑張れそうだ。
良かったな、と爽やかな笑顔で羽柴に言われながらコートの中に入る。
また、他のチームメイトもサクラのおまじないを見ていたようで、「羨ましいぜ」とか「彼女にかっこいいところ見せないとな」などと言われる。こそばゆさも感じるけど、何だか嬉しい気持ちに。
10人近くいるチームメイトが集まり、相手チームに聞こえないように小さな声で作戦会議。
去年、上級生相手のドッジボールでアウトにしたのもあり、俺と羽柴がメインで攻撃することに決まった。また、チームメイトで一番背が高いのが俺なので、試合開始のジャンプボールは俺がやることになった。
試合も近づき、球技大会を運営する係の生徒から青いゼッケンを受け取る。ちなみに、俺は2番で羽柴は3番である。
ちなみに、相手の3年6組は赤いゼッケンを付けている。
それから程なくして、審判である男性教師がやってきて、フィールドのセンターライン付近に立つ。教師の指示で、両チームの生徒が向かい合う形で並んだ。
「それでは、これより3年6組対2年3組の試合を開始します」
男性教師がそう言い、両チームの選手は内野に残ったり、外野に行ったりする。
また、俺はジャンプボールを担当するので、センターライン付近でうちのチームの内野に向かって立つ。
相手のチームも1人だけ残り、赤いゼッケンの4番の生徒が俺と向かい合う形で立った。俺と背丈はあまり変わらないか。全力でジャンプして、ジャンプボールを制したい。
「それでは、試合開始!」
ピーッ! と、男性教師がホイッスルを鳴らし、ボールを高く上げた。
俺は全力でジャンプをして、落ちてくるボールに右手がしっかりと触れた。相手チームの生徒も手を触れるが、
「羽柴!」
ボールに触れている右手に力を込め、俺は羽柴のいる方に向けて弾き飛ばした!
「おう!」
羽柴は俺の声がけに素早く反応し、俺が弾き飛ばしたボールをキャッチする。そして、羽柴は相手のジャンプボールを担当したゼッケン4番の生徒に向かって投げる。
――ボンッ!
羽柴が投げたボールはゼッケン4番の生徒の左脇腹に命中。そのことでボールが浮き上がるけど、4番の生徒も、他の生徒もキャッチできず、ボールは地面に落ちた。よって、4番の生徒はアウトになった!
「よっしゃ!」
さっそくアウトにできたから、羽柴は爽やかな笑顔で喜ぶ。
「ナイス羽柴!」
「ああ! 作戦が上手くいったな!」
俺と羽柴は右手でハイタッチする。
そう。作戦会議のとき、俺がジャンプボールを制したら羽柴に向かってボールを弾き飛ばすと決めていたのだ。そう決めていたから、羽柴は素早く攻撃ができ、一投目で相手をアウトにできたのだと思う。
「羽柴君凄いね!」
「ええ!」
「羽柴君やるじゃない!」
「最初から当てるなんて凄いです、羽柴先輩!」
「凄いわ、羽柴君! うちのクラス、幸先がいいねっ」
羽柴を称賛するサクラ達の声が聞こえてくる。あと、担任の流川先生の声も聞こえてきた。応援しに来てくれたのか。サクラ達に凄いと言われる羽柴が羨ましいぜ。
最初からアウトにしたから、相手は羽柴を狙うかもしれないな――。
「試合前にキスしてくれる彼女がいるなんて羨ましいぞ! ゼッケン2番!」
5番の赤いゼッケンを身につけている大柄の男子生徒がそう言ってくる。ゼッケン2番って……俺のことかよ! サクラからのおまじないを見ていたのか。
「おりゃあっ!」
ゼッケン5番の生徒は気迫に満ちた様子で、俺に向けてボールを投げてきた!
剛速球とも言えるスピードでボールが俺に向かってくる。
――ボンッ!!
俺は抱き込むような形でボールを受け止めた。かなりのスピードなので、体に当たったときの衝撃はかなりのものだ。ボールを投げた生徒がゼッケン2番って言ってくれたからボールを受けられる準備ができたけど、もしそうじゃなかったらボールが当たってアウトになっていた可能性は高かっただろう。
「ダイちゃん、頑張って!」
サクラの大きな応援の声が聞こえてくる。おかげで力が湧いてきたぜ!
俺はセンターライン付近まで勢い良く走り、
「それっ!」
さっき、俺に向かって投げてきたゼッケン5番の生徒の脚を狙って、ボールを全力で投げる!
俺が投げたボールはゼッケン5番に向かって飛んでいき、
――バンッ!
ゼッケン5番の生徒の右膝に命中した! 膝に当たったボールはその場で落ちたので、ゼッケン5番の生徒はアウトになった!
「よしっ!」
「やったな、速水!」
さっきと同じく、近くにいた羽柴と右手でハイタッチした。俺も相手をアウトにできて良かった。
「ダイちゃんかっこいいよー!」
「大輝君最高っ!」
「大輝先輩かっこいいですっ!」
「速水君も凄いよ!」
「2人とも凄いね!」
サクラ達から俺を称賛してくれる声が聞こえてきた。サクラと一紗と杏奈の声は黄色くなっていて。
サクラ達の方を見ると、みんなは俺に向かって嬉しそうな笑顔を見せてくれて。去年もサクラと小泉さんが応援してくれて、相手をアウトにすると褒めてくれたけど、去年よりもかなり嬉しい。
その後もドッジボールの試合は進む。
アウトにしたからなのか。それとも、サクラ達から応援されているからなのか。はたまた、試合前にサクラからおまじないされる俺を見たのか。相手チームは俺や羽柴を中心に狙ってくる。
ただ、チームの作戦会議で俺と羽柴中心に攻撃すると決めていたし、相手が俺達に投げてくれるので素早く攻撃できる。それもあり、相手チームの生徒を続々とアウトにして、
――ピーッ!
「試合終了! 3年6組は……残り2人。2年3組は……残り6人。よって、2年3組の勝利です!」
うちのクラスが勝利した!
「やったな、速水!」
「ああ! 去年できなかった初勝利だ!」
「そうだな!」
嬉しそうにそう言うと、羽柴は両手を顔の高さまで挙げてくる。そんな羽柴に俺は両手でハイタッチした。
去年は初戦敗退だったから、高校の球技大会で初めて勝利を飾れて嬉しいな。しかも、上級生相手に。作戦がハマったのもあるけど、サクラ達が応援してくれたのが大きいと思っている。個人的にはサクラのおまじないのおかげもあるかな。
サクラ達の方を見ると……うちのクラスが勝利したからか、嬉しそうな笑顔でハイタッチしている。そして、こちらを向いて、
「ダイちゃん! 羽柴君! みんなおめでとう!」
「初戦突破おめでとう! いい試合だったわ!」
「おめでとう!」
「おめでとうございますっ!」
「おめでとう! 先生嬉しいわ!」
と、俺達に向かって勝利を祝福する言葉を言ってくれる。そのことで、嬉しい気持ちが膨らんだのであった。
7月15日、水曜日。
期末試験も終わり、先週からは午前中のみの日程でお昼に下校する半日期間となっている。東京都立四鷹高等学校では期末試験や学年末試験の後は半日期間となるので、この期間を過ごしているともうすぐ長期休暇なのだと実感する。
ただ、今日だけは午後までの日程となっている。それはどうしてなのか。
球技大会があるからだ。
四鷹高校では、毎年1学期の期末試験が終わった後のこの時期に球技大会が実施される。
球技大会の種目はバスケットボール、ドッジボール、卓球の3つ。
どの種目も男女別で、バスケットボールとドッジボールはクラス単位のチーム戦、卓球は個人戦だ。学年は関係なくトーナメント形式で実施される。
どの種目に出場するのかは、6月中にあったロングホームルームで決めた。俺・速水大輝と親友の羽柴拓海は男子ドッジボール。俺の恋人のサクラこと桜井文香と、友人の麻生一紗さんと小泉青葉さんは女子ドッジボール。1年生で俺にとってはバイトの後輩でもある小鳥遊杏奈は女子バスケットボールに出場する。
去年の球技大会も羽柴と一緒に男子ドッジボールに出場したけど、初戦で2年生のクラスに当たってしまい早々に敗退。なので、今年はせめて1回は勝利したい。それに、今年は去年と違ってサクラという恋人がいるからな。かっこいいところを見せたいのだ。
もちろん、サクラと一紗、杏奈、小泉さんのことを応援するつもりだ。去年よりも球技大会を楽しみたい。
午前9時過ぎ。
始業式のときのように、テレビ中継の形で球技大会の開会式が行なわれた。種目ごとに会場が違うし、移動のことを考えてこの形なのだろう。
開会式が終わり、球技大会が始まった。
球技大会は自分の出場する試合に参加すれば、それ以外の時間は基本的には自由に過ごしていいことになっている。
去年は初戦で敗退してしまったので、サクラと小泉さん、男子の友人達が出場する試合を応援したとき以外は、涼しい教室の中で羽柴などの友達と駄弁っていた記憶がある。そういう過ごし方も魅力的だけど、今年はできるだけ長く試合に出場して、サクラ達を応援できたらいいなと思っている。
教室の黒板に、担任の流川愛実先生が各種目のトーナメント表の紙を貼る。トーナメント表には、うちのクラスの2年3組に赤く印が付いている。
トーナメント表によると、男子ドッジボールは第2試合。うちのクラスにとって初陣となる。相手は3年6組。去年と同じく上級生チームに当たってしまったか。
女子ドッジボールは第4試合。なので、サクラと一紗と小泉さんは男子ドッジボールを応援してくれるそうだ。
また、杏奈からメッセージがあり、杏奈のクラスである1年5組の女子バスケの初戦は第7試合なので、杏奈はうちのクラスのドッジボールを応援してくれるとのこと。杏奈も応援してくれるのは心強い。杏奈とは会場である校庭で会うことになった。
俺と羽柴、サクラと一紗と小泉さんは、水筒やタオルなどを持って教室を後にして、校庭に向かい始める。
「今年も初戦は上級生か。頑張ろうな、速水」
「ああ、頑張ろう」
俺がそう言うと、羽柴は右手を拳にした状態で俺に差し出してくる。なので、俺も右手を拳にして羽柴とグータッチをした。そうすると、羽柴は持ち前の爽やかな笑顔を見せた。
「ダイちゃん、羽柴君、応援してるよ」
「頑張ってね。みんなと一緒に応援するわ」
「頑張ってね!」
サクラと一紗と小泉さんは明るい笑顔で応援してくれる。3人の今の言葉のおかげで力が出てきたぞ。
「3人ともありがとう」
「ありがとな!」
俺と羽柴がお礼を言うと、3人の笑顔はニコッとした可愛いものになった。
昇降口で外での体育用のシューズに履き替え、校舎の外に出る。
校舎を出ると、蒸し暑い空気が体を包み込む。
今日の天気は曇りで、たまに雲の合間から晴れ間が見えることがあるという。まだ梅雨明けはしていないけど、雨が降る心配がなくて良かった。また、晴れではなく曇りなのも運がいいな。
会場である校庭に向かうと……男女ともに第1試合が始まっている。外は蒸し暑いけど、結構盛り上がっているな。
うちのクラスは男子の方が試合が早いので、俺達は男子の試合会場のコートの近くに行く。
「試合を見ると、大会が始まったんだなって実感するぜ」
「そうだな、羽柴。うちは第2試合だから、もうすぐで初戦なんだって思うよ」
「この次だもんね、ダイちゃん」
ドッジボールの試合時間は5分間だし、どっちかのチームの内野にいる生徒が全員アウトになったら、その時点で試合が終わるからな。
ちなみに、両チームの内野に人がいる状態で5分経った場合は、内野にいる人数の多いチームの勝利である。
「あっ、先輩方! おはようございますっ!」
校舎の方から杏奈の声が聞こえた。なので、そちらを見ると、体操着姿の杏奈がこちらに手を振りながら歩いてきた。体操着姿の杏奈は全然見たことがないので新鮮だ。
俺達は杏奈に「おはよう」と朝の挨拶をする。また、一紗は、
「体操着姿の杏奈さんも可愛いわぁ」
デレッとした様子でそう言い、杏奈の頭を撫でていた。一紗……杏奈のことを気に入っているからな。当初はそんな一紗に杏奈は警戒しているところがあったけど、今は「ふふっ」と可愛い笑顔を見せている。
「大輝先輩と羽柴先輩は第2試合なんですよね。頑張ってください!」
「ありがとう、杏奈。頑張るよ」
「3年生相手だけど、速水達と一緒に頑張るぜ」
「頑張ってくださいね。ただ……上級生相手ですか。それは大変そうですね。ちなみに、先輩方ってドッジボールは強いんですか?」
「私も気になるわ」
杏奈と一紗は俺と羽柴のことを見てくる。去年は杏奈は中学生だったし、別のクラスだった一紗は俺と羽柴の出場した試合を見ていなかったのだろう。
「速水は強いよな。去年も2年相手に何人かボールを当てていたし」
「あたしも速水君が当てたの覚えてる」
「ダイちゃん強いよ。小学校のときも結構当ててたからね」
「そうなんですか!」
「さすがは大輝君だわ! ボールを当てる姿を見たいわ!」
「あたしもですっ」
そう言い、杏奈と一紗は目を輝かせながら俺のことを見てくる。2人の期待に応えるためにも頑張らないとな。
「確かに、ドッジボールでは相手をアウトにすることが多いかな。羽柴も強いぞ。去年の試合で相手を1人アウトにしたよな」
「そうだったな」
「羽柴君が当てたのも覚えてるよ」
「私も。羽柴君も強い印象があるよ」
「そうなんですね」
「羽柴君も強いのなら、3年生相手にいい勝負ができそうね」
「そうなるように頑張りたいな」
「そうだな、羽柴」
去年は1勝もできなかったから、今年は1勝はしたい気持ちもあるし。
サクラ達と話していたのもあり、第1試合が終了するまではあっという間だった。
「いよいよ、俺達の番だな。今年も一緒に頑張ろうな、速水」
「ああ。一緒に頑張ろう」
「ダイちゃん、羽柴君、頑張ってね!」
「大輝君も羽柴君も頑張ってね!」
「ここで応援しています! 頑張ってください!」
「文香達と一緒に応援するからね! 頑張ってね!」
サクラ達4人は応援の言葉を送ってくれる。杏奈以外はさっきも応援してくれたけど、応援は何度されてもいい気持ちになるな。
これから試合なので、俺はサクラ、羽柴は小泉さんに荷物を預ける。
校舎内での俺と羽柴を見てか、サクラ、一紗、小泉さんは右手を拳にして俺達に突き出す。3人に倣ってか杏奈も。俺と羽柴は女子4人とグータッチした。
コートには誰もいなくなったので、俺は羽柴と一緒にコートへ行こうとする。そのとき、
「ダイちゃん」
と、サクラに名前を呼ばれたのでサクラの方を振り返ると、
――ちゅっ。
サクラは俺にキスしてきた。だからか、周りから女子達の黄色い声が聞こえてきた。
数秒ほどしてサクラの方から唇を離す。すると、目の前には頬をほんのりと赤くしながら笑顔で俺を見つめるサクラがいた。
「恋人からの勝利のおまじないです。頑張ってね、ダイちゃん」
「……ああ。最高のおまじないだよ、ありがとう。……いってくる」
サクラの頭をポンポンと軽く叩くと、サクラはニコッとした笑顔を見せる。サクラのおまじないのおかげで頑張れそうだ。
良かったな、と爽やかな笑顔で羽柴に言われながらコートの中に入る。
また、他のチームメイトもサクラのおまじないを見ていたようで、「羨ましいぜ」とか「彼女にかっこいいところ見せないとな」などと言われる。こそばゆさも感じるけど、何だか嬉しい気持ちに。
10人近くいるチームメイトが集まり、相手チームに聞こえないように小さな声で作戦会議。
去年、上級生相手のドッジボールでアウトにしたのもあり、俺と羽柴がメインで攻撃することに決まった。また、チームメイトで一番背が高いのが俺なので、試合開始のジャンプボールは俺がやることになった。
試合も近づき、球技大会を運営する係の生徒から青いゼッケンを受け取る。ちなみに、俺は2番で羽柴は3番である。
ちなみに、相手の3年6組は赤いゼッケンを付けている。
それから程なくして、審判である男性教師がやってきて、フィールドのセンターライン付近に立つ。教師の指示で、両チームの生徒が向かい合う形で並んだ。
「それでは、これより3年6組対2年3組の試合を開始します」
男性教師がそう言い、両チームの選手は内野に残ったり、外野に行ったりする。
また、俺はジャンプボールを担当するので、センターライン付近でうちのチームの内野に向かって立つ。
相手のチームも1人だけ残り、赤いゼッケンの4番の生徒が俺と向かい合う形で立った。俺と背丈はあまり変わらないか。全力でジャンプして、ジャンプボールを制したい。
「それでは、試合開始!」
ピーッ! と、男性教師がホイッスルを鳴らし、ボールを高く上げた。
俺は全力でジャンプをして、落ちてくるボールに右手がしっかりと触れた。相手チームの生徒も手を触れるが、
「羽柴!」
ボールに触れている右手に力を込め、俺は羽柴のいる方に向けて弾き飛ばした!
「おう!」
羽柴は俺の声がけに素早く反応し、俺が弾き飛ばしたボールをキャッチする。そして、羽柴は相手のジャンプボールを担当したゼッケン4番の生徒に向かって投げる。
――ボンッ!
羽柴が投げたボールはゼッケン4番の生徒の左脇腹に命中。そのことでボールが浮き上がるけど、4番の生徒も、他の生徒もキャッチできず、ボールは地面に落ちた。よって、4番の生徒はアウトになった!
「よっしゃ!」
さっそくアウトにできたから、羽柴は爽やかな笑顔で喜ぶ。
「ナイス羽柴!」
「ああ! 作戦が上手くいったな!」
俺と羽柴は右手でハイタッチする。
そう。作戦会議のとき、俺がジャンプボールを制したら羽柴に向かってボールを弾き飛ばすと決めていたのだ。そう決めていたから、羽柴は素早く攻撃ができ、一投目で相手をアウトにできたのだと思う。
「羽柴君凄いね!」
「ええ!」
「羽柴君やるじゃない!」
「最初から当てるなんて凄いです、羽柴先輩!」
「凄いわ、羽柴君! うちのクラス、幸先がいいねっ」
羽柴を称賛するサクラ達の声が聞こえてくる。あと、担任の流川先生の声も聞こえてきた。応援しに来てくれたのか。サクラ達に凄いと言われる羽柴が羨ましいぜ。
最初からアウトにしたから、相手は羽柴を狙うかもしれないな――。
「試合前にキスしてくれる彼女がいるなんて羨ましいぞ! ゼッケン2番!」
5番の赤いゼッケンを身につけている大柄の男子生徒がそう言ってくる。ゼッケン2番って……俺のことかよ! サクラからのおまじないを見ていたのか。
「おりゃあっ!」
ゼッケン5番の生徒は気迫に満ちた様子で、俺に向けてボールを投げてきた!
剛速球とも言えるスピードでボールが俺に向かってくる。
――ボンッ!!
俺は抱き込むような形でボールを受け止めた。かなりのスピードなので、体に当たったときの衝撃はかなりのものだ。ボールを投げた生徒がゼッケン2番って言ってくれたからボールを受けられる準備ができたけど、もしそうじゃなかったらボールが当たってアウトになっていた可能性は高かっただろう。
「ダイちゃん、頑張って!」
サクラの大きな応援の声が聞こえてくる。おかげで力が湧いてきたぜ!
俺はセンターライン付近まで勢い良く走り、
「それっ!」
さっき、俺に向かって投げてきたゼッケン5番の生徒の脚を狙って、ボールを全力で投げる!
俺が投げたボールはゼッケン5番に向かって飛んでいき、
――バンッ!
ゼッケン5番の生徒の右膝に命中した! 膝に当たったボールはその場で落ちたので、ゼッケン5番の生徒はアウトになった!
「よしっ!」
「やったな、速水!」
さっきと同じく、近くにいた羽柴と右手でハイタッチした。俺も相手をアウトにできて良かった。
「ダイちゃんかっこいいよー!」
「大輝君最高っ!」
「大輝先輩かっこいいですっ!」
「速水君も凄いよ!」
「2人とも凄いね!」
サクラ達から俺を称賛してくれる声が聞こえてきた。サクラと一紗と杏奈の声は黄色くなっていて。
サクラ達の方を見ると、みんなは俺に向かって嬉しそうな笑顔を見せてくれて。去年もサクラと小泉さんが応援してくれて、相手をアウトにすると褒めてくれたけど、去年よりもかなり嬉しい。
その後もドッジボールの試合は進む。
アウトにしたからなのか。それとも、サクラ達から応援されているからなのか。はたまた、試合前にサクラからおまじないされる俺を見たのか。相手チームは俺や羽柴を中心に狙ってくる。
ただ、チームの作戦会議で俺と羽柴中心に攻撃すると決めていたし、相手が俺達に投げてくれるので素早く攻撃できる。それもあり、相手チームの生徒を続々とアウトにして、
――ピーッ!
「試合終了! 3年6組は……残り2人。2年3組は……残り6人。よって、2年3組の勝利です!」
うちのクラスが勝利した!
「やったな、速水!」
「ああ! 去年できなかった初勝利だ!」
「そうだな!」
嬉しそうにそう言うと、羽柴は両手を顔の高さまで挙げてくる。そんな羽柴に俺は両手でハイタッチした。
去年は初戦敗退だったから、高校の球技大会で初めて勝利を飾れて嬉しいな。しかも、上級生相手に。作戦がハマったのもあるけど、サクラ達が応援してくれたのが大きいと思っている。個人的にはサクラのおまじないのおかげもあるかな。
サクラ達の方を見ると……うちのクラスが勝利したからか、嬉しそうな笑顔でハイタッチしている。そして、こちらを向いて、
「ダイちゃん! 羽柴君! みんなおめでとう!」
「初戦突破おめでとう! いい試合だったわ!」
「おめでとう!」
「おめでとうございますっ!」
「おめでとう! 先生嬉しいわ!」
と、俺達に向かって勝利を祝福する言葉を言ってくれる。そのことで、嬉しい気持ちが膨らんだのであった。
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