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特別編6-星空に願う夏の夜編-
第1話『キスマーク』
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定期試験前の部活動禁止期間なのもあり、夜になるとサクラと一緒に彼女の部屋で試験勉強をする。ちなみに、勉強する場所は、俺の部屋と毎日交互に変えることが多い。
サクラが苦手意識を持っている数学Ⅱの問題集の試験範囲を一緒に取り組み、たまにサクラからの質問に解説していった。サクラは苦手意識があるけど、基礎的な内容はできているから、この調子で勉強すれば赤点にはならないだろう。
一段落し、夕方には一紗や杏奈達とも勉強会をしたから、サクラは漫画、俺はラノベを読んで長めの休憩を取ることに。
サクラはベッドで横に、俺はベッドを背もたれにしてクッションに座りながら読む。
普段からも、こうして同じ部屋にいるけど、別々のことをすることはある。サクラと一緒に同じことをするのも好きだけど、個人的には今のような時間も結構好きだ。
「ふぅ……」
キリのいいところまで読み終わったので、俺はアイスコーヒーを一口飲む。好きなことをしているときに飲むコーヒーは凄く美味しい。
「あぁ、良かったぁ」
背後から、サクラの感嘆の声が聞こえてきた。読んでいる少女漫画が凄く良かったのだろうか。
ベッドの方を振り返ると、サクラはうっとりとした様子になっている。いつもならドキッとするけど、今は漫画を持っているし、ピンクの寝間着姿なので可愛い印象が強い。
「その漫画……とても良かったのか?」
「うんっ! 恋愛系の少女漫画なんだけどね。主人公の女の子が意中の男の子と結ばれて、イチャイチャするシーンにキュンとして」
「そうなのか。だから、うっとりとした様子になっているんだ」
「うんっ」
うっとりとしたまま返事をするサクラ。相当キュンとしたようだ。
「ねえ、ダイちゃん」
「うん?」
「この漫画を見て、ダイちゃんとやりたいことができたの」
「へえ、どんなことだ?」
「……キ、キスマークを付けてほしいなって」
頬を中心に顔を赤くしながらそう言うと、サクラは俺をチラチラと見てそう言ってくる。エアコンがかかっているし、アイスコーヒーも飲んだから、体はそれなりに冷やされていたけど、今のサクラの言葉で一瞬にして熱くなった。顔も熱いから、サクラのように赤くなっているんだろうな。
「キ、キスマークか」
「うんっ。この漫画で、2人が付き合うことになった直後に、主人公の子が恋人の男の子からキスマークを付けられるシーンがあってね」
そう言うと、サクラはベッドから下りてきて、漫画をペラペラとめくっている。きっと、今言ったシーンを俺に見せてくれるのだろう。
ここ、と言うと、サクラは漫画を開いたまま俺に渡してくる。
サクラが開いたページを見てみると、制服姿の男子が制服姿の女子の胸元に『ちゅーっ』と効果音が付くほどにキスしている。そして、男子が唇を離すと、キスした箇所が赤くなっており、
『俺の女っていう証を刻みたかったんだよ』
と、男子がちょっと照れくさそうにそう言う。その一言に女子が『きゅーんっ!』とときめく……というシーンが描かれていた。
「……なるほど。この2ページを見て、サクラは俺にキスマークを付けてほしいと思ったんだな」
「うん。ダイちゃんはお風呂に入っているときとか、ベッドでえっちするときとかに私の体にキスするけど、優しくしてくれるからキスマークが付かないじゃない。だから、一度、この漫画みたいに強くキスして、私の体にキスマークを付けてほしいなって」
「なるほどな」
サクラの体は白くて綺麗だし、高校では水泳の授業がある。だから、体にキスするときはキスマークがつかないよう優しくするように心がけている。それもあってか、サクラにキスマークを付けたことが一度もなかった。
あとは、男子キャラの『俺の女っていう証を刻みたかったんだよ』っていうセリフもあって、俺にキスマークを付けてほしいと思ったのかもしれない。
「分かった。じゃあ……サクラの体にキスマークを付けてみるか」
「うんっ!」
サクラ、凄く嬉しそうだな。恋愛漫画だし、登場人物に自分と俺を重ねて読んでいたのかもしれないな。
「サクラはどこか付けてほしいところってある?」
「この漫画を読んだのもあるけど……やっぱり胸元かな。ここなら、制服でも水泳の授業で着るスクール水着でも隠れると思うから。私服でも隠せるだろうし」
「分かった。じゃあ、胸元にキスするか」
「うんっ」
そう言うと、サクラは寝間着のボタンを外して、上半身のみ下着姿になる。淡い水色の下着なので爽やかでありつつも、同時に艶やかな印象を抱かせる。Dカップの胸による谷間もしっかりできて素晴らしい光景だ。ボディーソープの甘い匂いが香ってくるのがまたいい。
「そんなに胸をじっと見られるとドキドキしちゃうな」
「ご、ごめん。胸元にキスマークを付けるからじっと見ちゃって」
「ふふっ」
頬が赤くなっているけど、サクラの顔には笑みが浮かんでいる。嫌がっているようではなくて良かった。
「どこら辺に付けようか。リクエストはある?」
「そうだね……じゃあ、左の胸元にしてもらおうかな。心臓により近いから、こっちの方がよりダイちゃんのものになった感覚になれそう」
ここら辺かな、とサクラは右手の人差し指で左胸を指し示す。指し示している場所はしっかりと膨らんでいるので、そこは胸元ではなく胸なのでは。そう思いつつも、
「分かったよ」
と一言言った。
俺はサクラの胸元にゆっくりと顔を近づけ、サクラが指定した左の胸元に唇をそっと触れさせる。その瞬間、サクラの体がピクッと小刻みに震えた。胸元なので唇に触れた感覚も柔らかくていい。
いつも体にキスするときはこういった感じだ。ただ、今回はキスマークを付けるのでここから、
――ちゅーっ。
と、サクラの胸元を吸っていく。
「んんっ。吸われてるっ……」
サクラは甘い声色でそう呟く。事実しか呟いていないのに凄くドキッとして。痛みがないといいなと思いつつ、吸う力を強くした。
時折「あっ」という甘い声を漏らしたり、体をピクッと震わせたりする反応が可愛いと思いつつ、何度か同じ場所を強めに吸った。
「……付いた」
数回ほど吸い、サクラの胸元には赤いキスマークが付いた。さっきまではなかった白い柔肌に赤い痕が付くと、何だかキュンとなるな。
俺が顔を離すと、サクラは自分の胸元を確認する。俺によってキスマークが付けられたからか、サクラは嬉しそうな様子に。
「えへへっ、ダイちゃんに赤いキスマーク付けてもらっちゃった。いい感じだね。ありがとう、ダイちゃん」
「いえいえ。気に入ってもらえて良かった」
「……あと、ちゅーって吸われる感覚……悪くなかったよ」
「そ、そうか」
強めに吸った自覚があるので、悪くなかったと言ってもらえてほっとした。
俺にキスマークを付けてもらえたのが嬉しかったのだろうか。サクラは自分のスマホで自撮り写真を撮っていた。可愛いな。
「よし、初キスマーク記念写真撮れた」
「……そうか」
「ねえ、ダイちゃん。キスマークを付けられて、自分の体に付いているキスマークを見たら……ダイちゃんにキスマーク付けたくなっちゃった。……いい?」
顔の赤みを強くしながらそう問いかけると、サクラは上目遣いで俺のことを見てくる。それが凄く可愛いし、今も上半身は下着姿だからドキドキさせられて。
俺がやったことを自分もしてみたい。俺の体に自分の痕を刻みたい。そんな思いがあって、サクラは俺にキスマークを付けたいと言っているのだろう。
「ああ。いいよ、サクラ」
「ありがとう、ダイちゃん!」
えへへっ、とサクラは嬉しそうに笑う。
「どこにキスマークを付けようか。水泳の授業があるから、そのときでも隠しやすい場所がいいよね?」
「そういう場所の方がいいな。授業で着る水着のことを考えると……太ももがいいかな。サクラには左の胸元に付けたから、俺も左で」
「左の太ももだね。分かった。じゃあ、寝間着のスラックスを脱いで」
「分かった」
サクラの指示通り、俺は寝間着のスラックスを脱ぐ。サクラとは一緒にお風呂に入るし、たまにベッドの中で裸を見せ合うけど、これからキスマークを付けられたり、サクラが未だに上半身が下着姿なのもあったりして、ちょっと恥ずかしい気分に。
俺が寝間着のズボンを脱ぐと、サクラは俺のすぐ左側にうつぶせの状態になる。そのことで、サクラのすぐ目の前には俺の左の太ももがある……という状態に。
「こうして間近で見ると、ダイちゃんの脚って程良く筋肉が付いていていいなって思う」
「嬉しいな。部活はやっていないけど、バイト中は立って仕事をするからかな。それで脚の筋肉が鍛えられるのかも」
「それはありそうだね。……じゃあ、付けるよ」
「ああ」
サクラは俺の左脚に両手を添えて、左の太ももに唇を触れさせる。肌を重ねるときに、脚にキスされることはあるけど、これからキスマークを付けるから、今までよりもサクラの唇から熱を強く感じた。
――ちゅーっ。
ちょっと音を立てながら、サクラは俺の太ももを吸い始める。吸われるのは初めてなのもあり、独特の感覚が。痛みはないから、これならキスマークを付けられるまで吸われ続けても大丈夫そうだ。場所は違うけど、さっきもサクラはこういう感覚だったのかな。
あと、場所は太ももだけど、俺の体を吸い付けているサクラの姿は艶めかしい。たまに唇を離して、また吸い始める瞬間は特に。そんなサクラを見ているとドキドキして、脚を含めて体が熱くなってくる。この熱がサクラにも伝わっているかもしれないと思うと、ちょっと恥ずかしい気持ちになる。
「……付いた」
数回ほど吸って、サクラは嬉しそうに言った。
サクラが何度も吸い付けた箇所を見てみると……そこには赤くくっきりとキスマークが付いていた。それを見ると、心臓の鼓動が跳ねて、そこから温もりが全身へ広がっていくのが分かった。
自分の体に、恋人のサクラから刻まれた痕がある。その事実が幸せな気持ちにさせてくれる。
「いいな。サクラ、ありがとう」
「いえいえ」
サクラはニッコリと笑ってそう言った。
「初キスマークを付けた記念に、太ももの写真撮ってもいい?」
「ああ、いいぞ」
「さっきの私と写真と一緒にLIMEで送るよ」
「ありがとう」
その後、サクラは自分のスマホで、キスマークを付けた左の太ももの写真を撮った。俺の顔にスマホが向けられているわけではないけど、ちょっと恥ずかしさを感じた。
――プルルッ。
ローテーブルに置いてある俺のスマホが鳴る。
さっそく確認してみると、サクラからLIMEを通じて写真が送られたと通知が。その通知をタップすると、サクラとのトーク画面が開かれ、胸元にキスマークが付いた自撮り写真と、俺の太ももの写真が表示された。写真で見るキスマークもいいなと思いつつ、2枚の写真をスマホに保存した。
「ありがとう、サクラ」
お礼を言って、サクラの唇にキスする。互いにキスマークを付けた後だから、いつもよりもサクラの唇が熱く感じられた。数秒ほどして唇を離すと、サクラは至近距離から可愛い笑顔を見せてくれた。
予想外の休憩になったけど、サクラとの距離がより縮まった時間になったな。
それから程なくして、俺達は試験勉強を再開するのであった。
サクラが苦手意識を持っている数学Ⅱの問題集の試験範囲を一緒に取り組み、たまにサクラからの質問に解説していった。サクラは苦手意識があるけど、基礎的な内容はできているから、この調子で勉強すれば赤点にはならないだろう。
一段落し、夕方には一紗や杏奈達とも勉強会をしたから、サクラは漫画、俺はラノベを読んで長めの休憩を取ることに。
サクラはベッドで横に、俺はベッドを背もたれにしてクッションに座りながら読む。
普段からも、こうして同じ部屋にいるけど、別々のことをすることはある。サクラと一緒に同じことをするのも好きだけど、個人的には今のような時間も結構好きだ。
「ふぅ……」
キリのいいところまで読み終わったので、俺はアイスコーヒーを一口飲む。好きなことをしているときに飲むコーヒーは凄く美味しい。
「あぁ、良かったぁ」
背後から、サクラの感嘆の声が聞こえてきた。読んでいる少女漫画が凄く良かったのだろうか。
ベッドの方を振り返ると、サクラはうっとりとした様子になっている。いつもならドキッとするけど、今は漫画を持っているし、ピンクの寝間着姿なので可愛い印象が強い。
「その漫画……とても良かったのか?」
「うんっ! 恋愛系の少女漫画なんだけどね。主人公の女の子が意中の男の子と結ばれて、イチャイチャするシーンにキュンとして」
「そうなのか。だから、うっとりとした様子になっているんだ」
「うんっ」
うっとりとしたまま返事をするサクラ。相当キュンとしたようだ。
「ねえ、ダイちゃん」
「うん?」
「この漫画を見て、ダイちゃんとやりたいことができたの」
「へえ、どんなことだ?」
「……キ、キスマークを付けてほしいなって」
頬を中心に顔を赤くしながらそう言うと、サクラは俺をチラチラと見てそう言ってくる。エアコンがかかっているし、アイスコーヒーも飲んだから、体はそれなりに冷やされていたけど、今のサクラの言葉で一瞬にして熱くなった。顔も熱いから、サクラのように赤くなっているんだろうな。
「キ、キスマークか」
「うんっ。この漫画で、2人が付き合うことになった直後に、主人公の子が恋人の男の子からキスマークを付けられるシーンがあってね」
そう言うと、サクラはベッドから下りてきて、漫画をペラペラとめくっている。きっと、今言ったシーンを俺に見せてくれるのだろう。
ここ、と言うと、サクラは漫画を開いたまま俺に渡してくる。
サクラが開いたページを見てみると、制服姿の男子が制服姿の女子の胸元に『ちゅーっ』と効果音が付くほどにキスしている。そして、男子が唇を離すと、キスした箇所が赤くなっており、
『俺の女っていう証を刻みたかったんだよ』
と、男子がちょっと照れくさそうにそう言う。その一言に女子が『きゅーんっ!』とときめく……というシーンが描かれていた。
「……なるほど。この2ページを見て、サクラは俺にキスマークを付けてほしいと思ったんだな」
「うん。ダイちゃんはお風呂に入っているときとか、ベッドでえっちするときとかに私の体にキスするけど、優しくしてくれるからキスマークが付かないじゃない。だから、一度、この漫画みたいに強くキスして、私の体にキスマークを付けてほしいなって」
「なるほどな」
サクラの体は白くて綺麗だし、高校では水泳の授業がある。だから、体にキスするときはキスマークがつかないよう優しくするように心がけている。それもあってか、サクラにキスマークを付けたことが一度もなかった。
あとは、男子キャラの『俺の女っていう証を刻みたかったんだよ』っていうセリフもあって、俺にキスマークを付けてほしいと思ったのかもしれない。
「分かった。じゃあ……サクラの体にキスマークを付けてみるか」
「うんっ!」
サクラ、凄く嬉しそうだな。恋愛漫画だし、登場人物に自分と俺を重ねて読んでいたのかもしれないな。
「サクラはどこか付けてほしいところってある?」
「この漫画を読んだのもあるけど……やっぱり胸元かな。ここなら、制服でも水泳の授業で着るスクール水着でも隠れると思うから。私服でも隠せるだろうし」
「分かった。じゃあ、胸元にキスするか」
「うんっ」
そう言うと、サクラは寝間着のボタンを外して、上半身のみ下着姿になる。淡い水色の下着なので爽やかでありつつも、同時に艶やかな印象を抱かせる。Dカップの胸による谷間もしっかりできて素晴らしい光景だ。ボディーソープの甘い匂いが香ってくるのがまたいい。
「そんなに胸をじっと見られるとドキドキしちゃうな」
「ご、ごめん。胸元にキスマークを付けるからじっと見ちゃって」
「ふふっ」
頬が赤くなっているけど、サクラの顔には笑みが浮かんでいる。嫌がっているようではなくて良かった。
「どこら辺に付けようか。リクエストはある?」
「そうだね……じゃあ、左の胸元にしてもらおうかな。心臓により近いから、こっちの方がよりダイちゃんのものになった感覚になれそう」
ここら辺かな、とサクラは右手の人差し指で左胸を指し示す。指し示している場所はしっかりと膨らんでいるので、そこは胸元ではなく胸なのでは。そう思いつつも、
「分かったよ」
と一言言った。
俺はサクラの胸元にゆっくりと顔を近づけ、サクラが指定した左の胸元に唇をそっと触れさせる。その瞬間、サクラの体がピクッと小刻みに震えた。胸元なので唇に触れた感覚も柔らかくていい。
いつも体にキスするときはこういった感じだ。ただ、今回はキスマークを付けるのでここから、
――ちゅーっ。
と、サクラの胸元を吸っていく。
「んんっ。吸われてるっ……」
サクラは甘い声色でそう呟く。事実しか呟いていないのに凄くドキッとして。痛みがないといいなと思いつつ、吸う力を強くした。
時折「あっ」という甘い声を漏らしたり、体をピクッと震わせたりする反応が可愛いと思いつつ、何度か同じ場所を強めに吸った。
「……付いた」
数回ほど吸い、サクラの胸元には赤いキスマークが付いた。さっきまではなかった白い柔肌に赤い痕が付くと、何だかキュンとなるな。
俺が顔を離すと、サクラは自分の胸元を確認する。俺によってキスマークが付けられたからか、サクラは嬉しそうな様子に。
「えへへっ、ダイちゃんに赤いキスマーク付けてもらっちゃった。いい感じだね。ありがとう、ダイちゃん」
「いえいえ。気に入ってもらえて良かった」
「……あと、ちゅーって吸われる感覚……悪くなかったよ」
「そ、そうか」
強めに吸った自覚があるので、悪くなかったと言ってもらえてほっとした。
俺にキスマークを付けてもらえたのが嬉しかったのだろうか。サクラは自分のスマホで自撮り写真を撮っていた。可愛いな。
「よし、初キスマーク記念写真撮れた」
「……そうか」
「ねえ、ダイちゃん。キスマークを付けられて、自分の体に付いているキスマークを見たら……ダイちゃんにキスマーク付けたくなっちゃった。……いい?」
顔の赤みを強くしながらそう問いかけると、サクラは上目遣いで俺のことを見てくる。それが凄く可愛いし、今も上半身は下着姿だからドキドキさせられて。
俺がやったことを自分もしてみたい。俺の体に自分の痕を刻みたい。そんな思いがあって、サクラは俺にキスマークを付けたいと言っているのだろう。
「ああ。いいよ、サクラ」
「ありがとう、ダイちゃん!」
えへへっ、とサクラは嬉しそうに笑う。
「どこにキスマークを付けようか。水泳の授業があるから、そのときでも隠しやすい場所がいいよね?」
「そういう場所の方がいいな。授業で着る水着のことを考えると……太ももがいいかな。サクラには左の胸元に付けたから、俺も左で」
「左の太ももだね。分かった。じゃあ、寝間着のスラックスを脱いで」
「分かった」
サクラの指示通り、俺は寝間着のスラックスを脱ぐ。サクラとは一緒にお風呂に入るし、たまにベッドの中で裸を見せ合うけど、これからキスマークを付けられたり、サクラが未だに上半身が下着姿なのもあったりして、ちょっと恥ずかしい気分に。
俺が寝間着のズボンを脱ぐと、サクラは俺のすぐ左側にうつぶせの状態になる。そのことで、サクラのすぐ目の前には俺の左の太ももがある……という状態に。
「こうして間近で見ると、ダイちゃんの脚って程良く筋肉が付いていていいなって思う」
「嬉しいな。部活はやっていないけど、バイト中は立って仕事をするからかな。それで脚の筋肉が鍛えられるのかも」
「それはありそうだね。……じゃあ、付けるよ」
「ああ」
サクラは俺の左脚に両手を添えて、左の太ももに唇を触れさせる。肌を重ねるときに、脚にキスされることはあるけど、これからキスマークを付けるから、今までよりもサクラの唇から熱を強く感じた。
――ちゅーっ。
ちょっと音を立てながら、サクラは俺の太ももを吸い始める。吸われるのは初めてなのもあり、独特の感覚が。痛みはないから、これならキスマークを付けられるまで吸われ続けても大丈夫そうだ。場所は違うけど、さっきもサクラはこういう感覚だったのかな。
あと、場所は太ももだけど、俺の体を吸い付けているサクラの姿は艶めかしい。たまに唇を離して、また吸い始める瞬間は特に。そんなサクラを見ているとドキドキして、脚を含めて体が熱くなってくる。この熱がサクラにも伝わっているかもしれないと思うと、ちょっと恥ずかしい気持ちになる。
「……付いた」
数回ほど吸って、サクラは嬉しそうに言った。
サクラが何度も吸い付けた箇所を見てみると……そこには赤くくっきりとキスマークが付いていた。それを見ると、心臓の鼓動が跳ねて、そこから温もりが全身へ広がっていくのが分かった。
自分の体に、恋人のサクラから刻まれた痕がある。その事実が幸せな気持ちにさせてくれる。
「いいな。サクラ、ありがとう」
「いえいえ」
サクラはニッコリと笑ってそう言った。
「初キスマークを付けた記念に、太ももの写真撮ってもいい?」
「ああ、いいぞ」
「さっきの私と写真と一緒にLIMEで送るよ」
「ありがとう」
その後、サクラは自分のスマホで、キスマークを付けた左の太ももの写真を撮った。俺の顔にスマホが向けられているわけではないけど、ちょっと恥ずかしさを感じた。
――プルルッ。
ローテーブルに置いてある俺のスマホが鳴る。
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「ありがとう、サクラ」
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予想外の休憩になったけど、サクラとの距離がより縮まった時間になったな。
それから程なくして、俺達は試験勉強を再開するのであった。
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読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。
『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889
『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601
『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
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とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
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