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続編-ゴールデンウィーク編-
第6話『放課後デート-後編-』
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「ねえ、ダイちゃん。夕方だし、お腹空いていない?」
「うん、空いてる」
「じゃあ、スイーツ食べに行こうか! ダイちゃんと行ってみたいお店がオリオの中にあるんだ」
「そうなのか。いくつかあるから、どんなお店か楽しみだな」
俺達はベンチから立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。オリオの中にあるそうなので、今回も到着するまで、どこのお店なのかは訊かないでおこう。オリオにはどんなスイーツ系のお店があるのか知っているので予想するのを楽しもう。
歩き始めてすぐに、俺はサクラと恋人繋ぎをする。
「やっぱり、ダイちゃんと一緒にアニメイクに行くと楽しいね」
「俺も楽しいよ」
「良かった。きっと、これからはたくさん放課後に駅周辺へ遊びに行くと思う。そのときはアニメイクは定番にしようか」
「そうだな」
アニメイクに一緒に行くのはもちろんだけど、これからは放課後にこうした時間を過ごすことが定番になるのが嬉しい。ただ、それはサクラとの仲が良くなければ成り立たないことだ。それは身をもって知っている。
エスカレーターでレストラン街のある1階へ向かう。様々なジャンルの飲食店が揃っており、スイーツを楽しめるお店もいくつかある。
1階に降り、目的地が近くなったのか、サクラに手を引かれる形に。そういえば、小さい頃はサクラと和奏姉さんに手を引かれて、2人の行きたいお店に連れて行かされたことが何度もあったなぁ。
「ここだよ、ダイちゃん」
「……ここか」
目の前にあったのは、『幸福なパンケーキ』というパンケーキ屋さん。記憶が正しければ、去年の春頃にオープンした。テレビなどのメディアで紹介されるほどに人気が高く、ここ以外にもいくつも店舗を構えている。
入口近くに立っているので、店内の方からパンケーキの甘い匂いが感じられる。そのことでお腹が空いてきた。
「このお店、私達が高校に入学した頃にできたの。友達と何度も行ったことがあって。ダイちゃんも甘いものは結構食べるから、いつかダイちゃんと一緒に行ってみたいなって」
「そうだったのか。ここには一度行ったことがあるけど、パンケーキ美味しかったな」
「えっ」
サクラはそう声を漏らすと、見開いた目で俺を見てくる。俺の右手を今一度ぎゅっと握り、
「ねえ、ダイちゃん。一人で来たの? 誰かと一緒に来たの? ここって女性グループやカップルに人気なんだよ? これまで私がこのお店に行ったとき、女性のお客さんや仲睦まじいカップルばかりだったよ? ダイちゃんが行ったときのことを教えてくれるかなぁ? 高校に入学したときには、ダイちゃんは女の子とも普通に話すようになっていたよね?」
矢継ぎ早にそう言ってきたのだ。あと、右手を握ってくる力が物凄く強いから痛い。サクラは微笑んでいるけど、ちょっと恐怖心を抱く。
そういえば、このお店……女性やカップルに人気だって紹介されていたっけ。俺が行ったときも、周りにいるお客さんは女性ばかりだったし。女性からの人気が高いから、サクラは誰か女性と一緒にこのお店に来たと思って嫉妬しているのかな? そう考えると可愛く思えてくる。
「羽柴と2人で来たんだよ」
「は、羽柴君と?」
きょとんとした様子になるサクラ。
「1年生のゴールデンウィークが明けた頃だったかな。あいつ、サクラに負けないくらいに甘いもの好きだからさ」
「そういえば、甘いお菓子を美味しそうに食べているところを何度も見たことある」
「だろう? 入学した直後にこのお店がオープンしたことを知ったみたいで。ただ、女性客やカップルが多いから、行く勇気が出なかったんだと。俺が甘いものが好きなのを知って、一緒に行こうって誘われたんだ。ゴールデンウィークまではかなりの行列ができるほどだったから、お客さんの数も落ち着くゴールデンウィーク明けの放課後に行ったんだ」
「なるほどね。……付き合う前でも、誰か女の子と一緒に行っていたら、ちょっと嫉妬しちゃうなぁって思って」
「そうだったのか」
俺に訊いてくるさっきの様子からして、もし和奏姉さん以外の女性と一緒に行っていたら、ちょっとどころじゃない嫉妬心を抱いていた気がする。
「ちなみに、サクラは今まで男の人と一緒に行ったことはあるか?」
「男の子とは一度もないよ」
「……そうか」
それを知って、何だかほっとした気分になり、一緒に行く初めての男が自分だと分かって嬉しくもなる。もし、既に誰か男性と一緒に来たことがあったなら気になるし。きっと、サクラはこういう心境だったのだろう。
「じゃあ、中に入るか」
「うんっ」
サクラと一緒にお店の中に入ると、四鷹高校を含め制服姿の女子が多い。以前、羽柴と来たときと同じように女性のグループがメインで、俺達の男女のカップルがちらほらと。
お店は盛況だが、2人用のテーブル席が空いていたので、俺達は運良くすぐに座ることができた。
俺は抹茶のパンケーキのアイスコーヒーセット、サクラは苺たっぷりパンケーキのアイスティーセットを注文した。
ふわふわなパンケーキを提供するため、だいたい20分近くかかるらしい。サクラと一緒だし、ドリンクがすぐにテーブルに運ばれてきたので、あっという間に過ぎるだろう。
「アイスティー美味しい」
「良かったな。アイスコーヒーも美味しいよ。4月も下旬になったし、今日みたいに晴れている日だと冷たいものが美味しく感じられるな」
「そうだね。下旬ってことは、もうすぐゴールデンウィークなんだ。一日かけて、どこか遊びに行きたいよね」
「行きたいな。月曜日のバイトのときに、5月の連休までのシフト希望を出しておいた。連休中もシフトに入るつもりだけど、何日かは休みにしてる。サクラと一緒に休みを過ごしたくて。あと、来週水曜の祝日もバイトは入ってない」
「そうなんだ! じゃあ、5月の連休までの間に、一度でもいいからお出かけしようね」
「そうしよう」
今年のゴールデンウィークはとても楽しいものになりそうだ。
サクラと一日かけて遊びに行くなら、どこがいいだろうか。3年以上、遠くへ遊びに行っていないから、昔行ったことのある場所へ遊びに行くのもいいかも。
「……それにしても、今日も女性のお客さんが多いなぁ」
「ああ。本当に女性人気の高いお店だよな」
「そうだね。ダイちゃんと羽柴君がここに来たら、大半のお客さんから視線が集まりそう。2人ともかなりのイケメンだし」
「……あのときは、お客さんからも店員さんからも視線を感じたよ」
羽柴が1人で入店する勇気が出なかったのは納得できたし、俺も羽柴と一緒で良かったと思ったほどだ。
ちなみに、今は……サクラと一緒に来ているからか、こちらを見てくるお客さんはあまりいない。
「やっぱり。……お客さんから逆ナンされたりしなかった?」
半目で俺を見つめ、そう問いかけるサクラ。未だに前回来店したときに、女性絡みで何かあったんじゃないかと思っているのか。まあ、可能性がある限り、色々と訊きたい気持ちは理解できる。
「一度もされなかったな。注文した直後から、羽柴とアニメとかの話でずっと盛り上がっていたからかな。注文したパンケーキを食べ始めてしばらくの間は、美味い美味いって言い合っていたし」
「あははっ、なるほどね。2人らしいかも。その光景が想像できるよ」
サクラは楽しげにそう言った。
仮に逆ナンされたとしても、俺はサクラ一筋だし、羽柴は二次元女子一筋なのでその場にきっぱりと断っていたと思う。
「ちなみに、サクラは……ここに来たときにナンパはされなかったか? 男女問わず」
「私はなかったよ。でも、靑葉ちゃんは一度、女の子に連絡先を交換してほしいって言われたことがあるね。断っていたけど」
「そ、そうだったのか」
小泉さんは明るくて笑顔の素敵な女の子だからなぁ。あと、よく食べるし。もしかしたら、連絡先を交換してほしいといった女の子は、パンケーキを美味しそうにたくさん食べる姿にキュンときたのかもしれない。
「お待たせしました~! 抹茶のパンケーキと苺たっぷりパンケーキになります!」
女性の店員さんが、俺達の注文したパンケーキを運んできてくれた。
俺の目の前に抹茶のパンケーキが置かれる。あぁ、美味しそうだ。抹茶のいい香りがしてくる。甘い匂いも香ってくるので食欲がそそられる。
「苺たっぷりだぁ。美味しそう……」
えへへっ、とサクラはとても柔らかな笑みを浮かべ、パンケーキをスマホで撮っている。俺もサクラの真似をして、抹茶のパンケーキをスマホで撮影した。
「ダイちゃん、さっそく食べようか!」
「そうだな。いただきます」
「いただきます!」
ナイフとフォークを使って、抹茶のパンケーキを一口サイズに切り分ける。切り分けたパンケーキにつぶあんを乗せ口の中に入れる。すると、さっそく抹茶とあんこの和の風味が広がっていく。
「う~ん、美味しい! 苺の甘酸っぱさが最高だよ。幸せ」
普段よりもかなり甘い声色でそう言うと、サクラは言葉通りの幸せそうな表情を見せる。凄く可愛いんですけど。スマホで撮ってもいいですか?
きっと、今までもここでパンケーキを食べると、こういう笑顔になっていたんだろうな。
「良かったな、サクラ。抹茶のパンケーキも美味しいぞ。サクラさえ良ければ、一口食べてみるか?」
「ありがとう。じゃあ、苺のパンケーキも一口あげるね」
「ありがとう。まずは俺の方から……」
さっきと同じように俺は抹茶のパンケーキを一口サイズに切り分け、つぶあんをケーキの上に乗せる。切り分けたパンケーキをサクラの口元まで持っていく。
「はい、サクラ。あーん」
「あ~ん」
大きめに開いたサクラにパンケーキを食べさせる。
サクラはもぐもぐと咀嚼していくと、さっきと同じように幸せそうな笑顔を見せる。我慢できず、俺はスマホでサクラを撮った。それでも、サクラの笑みが崩れることがなかった。
「抹茶のケーキも凄く美味しいね」
「美味しいよな。あと、勝手にスマホで撮ってごめん。パンケーキを食べるサクラがあまりにも可愛かったから」
「ふふっ、そういう理由なら全然いいよ。ダイちゃんにも食べさせてあげるね」
「ああ」
サクラはパンケーキを一口サイズに切り分けていく。切り分けたパンケーキにホイップクリームを結構塗り、苺の果実をいくつも乗せる。
「随分とサービスしてくれるんだな」
「抹茶ケーキを食べさせてくれたお礼にね。苺もたっぷりあるし、贅沢な一口をダイちゃんに提供したいと思って」
「なるほど。それは有り難い」
苺がいくつも乗っかっているので、一口で食べられるかどうかが不安だけど。
サクラは苺とホイップクリームたっぷりのパンケーキを口元まで持っていく。
「は~い、ダイちゃん。あ~ん」
「あーん」
俺はサクラにパンケーキを食べさせてもらう。
何とか口に入った。メニュー通り、苺たっぷりで、噛んでいくと苺の甘酸っぱさが口の中に広がっていく。ただ、サクラが食べさせてくれたからか、甘味が強いかな。あと、パンケーキの量が多いので、なかなか喉を通らない。
「ダイちゃん、どう?」
期待の眼差しを向けてくるサクラ。口を開いたら、リバースしてしまう危険があるので、右手でサムズアップした。すると、サクラはニッコリ。
「苺のパンケーキ美味しいよね」
サクラのその言葉に何度も首肯した。
ようやく苺のパンケーキが喉を通る。クリームたっぷりだったから、甘味が今も口の中に残っている。
「美味しいな」
「美味しいよね。……ちなみに、羽柴君と一緒に来たときは、こうして食べさせ合っていたの?」
「一口交換はしたけど、自分のフォークとナイフで切り分けたよ」
「そうだったんだ。それを知ると、何だか羽柴君に勝った気分になるね」
張り合っていたのかよ。ちょっとドヤ顔になるところが可愛らしい。
もし、今のサクラのように羽柴とパンケーキを食べさせ合っていたら……店内が盛り上がったかもしれないな。
その後も、サクラはあまり手を休めることなく、苺たっぷりのパンケーキを美味しく食べていた。モリモリと食べる人はいいなぁと思う。
「ごちそうさまでした! 美味しかった……」
「良かったな。俺もごちそうさまでした。じゃあ、俺が支払うよ」
「自分の頼んだ分はちゃんと払うよ」
そう言うと、サクラはスクールバッグから財布を取り出す。
「今回は俺に払わせてくれ。恋人になって初めてのデート記念と、さっき小白のイラストカードをくれたお礼に」
ラノベ1冊よりも、サクラの頼んだパンケーキの方が高いけど。ただ、小白のイラストカードをプレゼントしてくれたことと、サクラと放課後デートができた嬉しさを加味すれば、パンケーキの値段なんて安いくらいだ。
理由をいくつも言ったからか、サクラは納得した様子で一度頷く。
「分かった。じゃあ、今回はダイちゃんに奢ってもらうね。ありがとう」
「ああ」
それから、サクラが注文したパンケーキのお代も支払ってお店を後にした。
「うん、空いてる」
「じゃあ、スイーツ食べに行こうか! ダイちゃんと行ってみたいお店がオリオの中にあるんだ」
「そうなのか。いくつかあるから、どんなお店か楽しみだな」
俺達はベンチから立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。オリオの中にあるそうなので、今回も到着するまで、どこのお店なのかは訊かないでおこう。オリオにはどんなスイーツ系のお店があるのか知っているので予想するのを楽しもう。
歩き始めてすぐに、俺はサクラと恋人繋ぎをする。
「やっぱり、ダイちゃんと一緒にアニメイクに行くと楽しいね」
「俺も楽しいよ」
「良かった。きっと、これからはたくさん放課後に駅周辺へ遊びに行くと思う。そのときはアニメイクは定番にしようか」
「そうだな」
アニメイクに一緒に行くのはもちろんだけど、これからは放課後にこうした時間を過ごすことが定番になるのが嬉しい。ただ、それはサクラとの仲が良くなければ成り立たないことだ。それは身をもって知っている。
エスカレーターでレストラン街のある1階へ向かう。様々なジャンルの飲食店が揃っており、スイーツを楽しめるお店もいくつかある。
1階に降り、目的地が近くなったのか、サクラに手を引かれる形に。そういえば、小さい頃はサクラと和奏姉さんに手を引かれて、2人の行きたいお店に連れて行かされたことが何度もあったなぁ。
「ここだよ、ダイちゃん」
「……ここか」
目の前にあったのは、『幸福なパンケーキ』というパンケーキ屋さん。記憶が正しければ、去年の春頃にオープンした。テレビなどのメディアで紹介されるほどに人気が高く、ここ以外にもいくつも店舗を構えている。
入口近くに立っているので、店内の方からパンケーキの甘い匂いが感じられる。そのことでお腹が空いてきた。
「このお店、私達が高校に入学した頃にできたの。友達と何度も行ったことがあって。ダイちゃんも甘いものは結構食べるから、いつかダイちゃんと一緒に行ってみたいなって」
「そうだったのか。ここには一度行ったことがあるけど、パンケーキ美味しかったな」
「えっ」
サクラはそう声を漏らすと、見開いた目で俺を見てくる。俺の右手を今一度ぎゅっと握り、
「ねえ、ダイちゃん。一人で来たの? 誰かと一緒に来たの? ここって女性グループやカップルに人気なんだよ? これまで私がこのお店に行ったとき、女性のお客さんや仲睦まじいカップルばかりだったよ? ダイちゃんが行ったときのことを教えてくれるかなぁ? 高校に入学したときには、ダイちゃんは女の子とも普通に話すようになっていたよね?」
矢継ぎ早にそう言ってきたのだ。あと、右手を握ってくる力が物凄く強いから痛い。サクラは微笑んでいるけど、ちょっと恐怖心を抱く。
そういえば、このお店……女性やカップルに人気だって紹介されていたっけ。俺が行ったときも、周りにいるお客さんは女性ばかりだったし。女性からの人気が高いから、サクラは誰か女性と一緒にこのお店に来たと思って嫉妬しているのかな? そう考えると可愛く思えてくる。
「羽柴と2人で来たんだよ」
「は、羽柴君と?」
きょとんとした様子になるサクラ。
「1年生のゴールデンウィークが明けた頃だったかな。あいつ、サクラに負けないくらいに甘いもの好きだからさ」
「そういえば、甘いお菓子を美味しそうに食べているところを何度も見たことある」
「だろう? 入学した直後にこのお店がオープンしたことを知ったみたいで。ただ、女性客やカップルが多いから、行く勇気が出なかったんだと。俺が甘いものが好きなのを知って、一緒に行こうって誘われたんだ。ゴールデンウィークまではかなりの行列ができるほどだったから、お客さんの数も落ち着くゴールデンウィーク明けの放課後に行ったんだ」
「なるほどね。……付き合う前でも、誰か女の子と一緒に行っていたら、ちょっと嫉妬しちゃうなぁって思って」
「そうだったのか」
俺に訊いてくるさっきの様子からして、もし和奏姉さん以外の女性と一緒に行っていたら、ちょっとどころじゃない嫉妬心を抱いていた気がする。
「ちなみに、サクラは今まで男の人と一緒に行ったことはあるか?」
「男の子とは一度もないよ」
「……そうか」
それを知って、何だかほっとした気分になり、一緒に行く初めての男が自分だと分かって嬉しくもなる。もし、既に誰か男性と一緒に来たことがあったなら気になるし。きっと、サクラはこういう心境だったのだろう。
「じゃあ、中に入るか」
「うんっ」
サクラと一緒にお店の中に入ると、四鷹高校を含め制服姿の女子が多い。以前、羽柴と来たときと同じように女性のグループがメインで、俺達の男女のカップルがちらほらと。
お店は盛況だが、2人用のテーブル席が空いていたので、俺達は運良くすぐに座ることができた。
俺は抹茶のパンケーキのアイスコーヒーセット、サクラは苺たっぷりパンケーキのアイスティーセットを注文した。
ふわふわなパンケーキを提供するため、だいたい20分近くかかるらしい。サクラと一緒だし、ドリンクがすぐにテーブルに運ばれてきたので、あっという間に過ぎるだろう。
「アイスティー美味しい」
「良かったな。アイスコーヒーも美味しいよ。4月も下旬になったし、今日みたいに晴れている日だと冷たいものが美味しく感じられるな」
「そうだね。下旬ってことは、もうすぐゴールデンウィークなんだ。一日かけて、どこか遊びに行きたいよね」
「行きたいな。月曜日のバイトのときに、5月の連休までのシフト希望を出しておいた。連休中もシフトに入るつもりだけど、何日かは休みにしてる。サクラと一緒に休みを過ごしたくて。あと、来週水曜の祝日もバイトは入ってない」
「そうなんだ! じゃあ、5月の連休までの間に、一度でもいいからお出かけしようね」
「そうしよう」
今年のゴールデンウィークはとても楽しいものになりそうだ。
サクラと一日かけて遊びに行くなら、どこがいいだろうか。3年以上、遠くへ遊びに行っていないから、昔行ったことのある場所へ遊びに行くのもいいかも。
「……それにしても、今日も女性のお客さんが多いなぁ」
「ああ。本当に女性人気の高いお店だよな」
「そうだね。ダイちゃんと羽柴君がここに来たら、大半のお客さんから視線が集まりそう。2人ともかなりのイケメンだし」
「……あのときは、お客さんからも店員さんからも視線を感じたよ」
羽柴が1人で入店する勇気が出なかったのは納得できたし、俺も羽柴と一緒で良かったと思ったほどだ。
ちなみに、今は……サクラと一緒に来ているからか、こちらを見てくるお客さんはあまりいない。
「やっぱり。……お客さんから逆ナンされたりしなかった?」
半目で俺を見つめ、そう問いかけるサクラ。未だに前回来店したときに、女性絡みで何かあったんじゃないかと思っているのか。まあ、可能性がある限り、色々と訊きたい気持ちは理解できる。
「一度もされなかったな。注文した直後から、羽柴とアニメとかの話でずっと盛り上がっていたからかな。注文したパンケーキを食べ始めてしばらくの間は、美味い美味いって言い合っていたし」
「あははっ、なるほどね。2人らしいかも。その光景が想像できるよ」
サクラは楽しげにそう言った。
仮に逆ナンされたとしても、俺はサクラ一筋だし、羽柴は二次元女子一筋なのでその場にきっぱりと断っていたと思う。
「ちなみに、サクラは……ここに来たときにナンパはされなかったか? 男女問わず」
「私はなかったよ。でも、靑葉ちゃんは一度、女の子に連絡先を交換してほしいって言われたことがあるね。断っていたけど」
「そ、そうだったのか」
小泉さんは明るくて笑顔の素敵な女の子だからなぁ。あと、よく食べるし。もしかしたら、連絡先を交換してほしいといった女の子は、パンケーキを美味しそうにたくさん食べる姿にキュンときたのかもしれない。
「お待たせしました~! 抹茶のパンケーキと苺たっぷりパンケーキになります!」
女性の店員さんが、俺達の注文したパンケーキを運んできてくれた。
俺の目の前に抹茶のパンケーキが置かれる。あぁ、美味しそうだ。抹茶のいい香りがしてくる。甘い匂いも香ってくるので食欲がそそられる。
「苺たっぷりだぁ。美味しそう……」
えへへっ、とサクラはとても柔らかな笑みを浮かべ、パンケーキをスマホで撮っている。俺もサクラの真似をして、抹茶のパンケーキをスマホで撮影した。
「ダイちゃん、さっそく食べようか!」
「そうだな。いただきます」
「いただきます!」
ナイフとフォークを使って、抹茶のパンケーキを一口サイズに切り分ける。切り分けたパンケーキにつぶあんを乗せ口の中に入れる。すると、さっそく抹茶とあんこの和の風味が広がっていく。
「う~ん、美味しい! 苺の甘酸っぱさが最高だよ。幸せ」
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きっと、今までもここでパンケーキを食べると、こういう笑顔になっていたんだろうな。
「良かったな、サクラ。抹茶のパンケーキも美味しいぞ。サクラさえ良ければ、一口食べてみるか?」
「ありがとう。じゃあ、苺のパンケーキも一口あげるね」
「ありがとう。まずは俺の方から……」
さっきと同じように俺は抹茶のパンケーキを一口サイズに切り分け、つぶあんをケーキの上に乗せる。切り分けたパンケーキをサクラの口元まで持っていく。
「はい、サクラ。あーん」
「あ~ん」
大きめに開いたサクラにパンケーキを食べさせる。
サクラはもぐもぐと咀嚼していくと、さっきと同じように幸せそうな笑顔を見せる。我慢できず、俺はスマホでサクラを撮った。それでも、サクラの笑みが崩れることがなかった。
「抹茶のケーキも凄く美味しいね」
「美味しいよな。あと、勝手にスマホで撮ってごめん。パンケーキを食べるサクラがあまりにも可愛かったから」
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「ああ」
サクラはパンケーキを一口サイズに切り分けていく。切り分けたパンケーキにホイップクリームを結構塗り、苺の果実をいくつも乗せる。
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「は~い、ダイちゃん。あ~ん」
「あーん」
俺はサクラにパンケーキを食べさせてもらう。
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「ダイちゃん、どう?」
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「苺のパンケーキ美味しいよね」
サクラのその言葉に何度も首肯した。
ようやく苺のパンケーキが喉を通る。クリームたっぷりだったから、甘味が今も口の中に残っている。
「美味しいな」
「美味しいよね。……ちなみに、羽柴君と一緒に来たときは、こうして食べさせ合っていたの?」
「一口交換はしたけど、自分のフォークとナイフで切り分けたよ」
「そうだったんだ。それを知ると、何だか羽柴君に勝った気分になるね」
張り合っていたのかよ。ちょっとドヤ顔になるところが可愛らしい。
もし、今のサクラのように羽柴とパンケーキを食べさせ合っていたら……店内が盛り上がったかもしれないな。
その後も、サクラはあまり手を休めることなく、苺たっぷりのパンケーキを美味しく食べていた。モリモリと食べる人はいいなぁと思う。
「ごちそうさまでした! 美味しかった……」
「良かったな。俺もごちそうさまでした。じゃあ、俺が支払うよ」
「自分の頼んだ分はちゃんと払うよ」
そう言うと、サクラはスクールバッグから財布を取り出す。
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ラノベ1冊よりも、サクラの頼んだパンケーキの方が高いけど。ただ、小白のイラストカードをプレゼントしてくれたことと、サクラと放課後デートができた嬉しさを加味すれば、パンケーキの値段なんて安いくらいだ。
理由をいくつも言ったからか、サクラは納得した様子で一度頷く。
「分かった。じゃあ、今回はダイちゃんに奢ってもらうね。ありがとう」
「ああ」
それから、サクラが注文したパンケーキのお代も支払ってお店を後にした。
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読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。
『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
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弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?
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