サクラブストーリー

桜庭かなめ

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本編-新年度編-

第38話『夢の一つ』

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 会計を済ませ、俺は店の外で待っている杏奈と羽柴のところへ向かう。何の話題かは分からないけど、普通に話していて一安心。校門では、2人を取り巻く空気が微妙なものだったから。

「お待たせ」
「おう。ちゃんと買えたか? 金が足りなかったってことはなかったか?」
「ちゃんと買えたよ」
「羽柴先輩がそう言うってことは、大輝先輩はお金が足りずに買えなかったことがあるんですか?」
「ううん、ないよ」
「むしろ、俺が速水に金を貸してもらったことが何度かある」
「バイトの給料日前とかゲーセンに行った直後とかが多いよな。バイト代が入ったらすぐに返してくれるから、こいつには貸しているんだ」
「なるほどです。優しい人が親友で良かったですね、羽柴先輩」

 苦笑いをしながらそう言う杏奈。そんな杏奈に、羽柴は笑顔で「おう」と返事する。
 羽柴はちゃんと貸したお金を返してくれるからな。たまに、缶コーヒー1本という利子が付いて。貸してほしい額は毎回そこまで大きくないし、踏み倒された経験もないので、頼まれたらお金を貸すようにしている。

「今回、俺が行こうと思っていたのはアニメイクだけだ。だから、杏奈と羽柴が行きたいところがあれば遠慮なく言ってくれ」
「俺は特にないな。小鳥遊が行きたいところがあればどこでも。もしないなら、ここで解散でもかまわないぞ」
「そうですね……」

 う~ん、と右手の人差し指を唇に当てながら杏奈は考える。

「本当にどこでもいいんですか?」
「いいぞ、杏奈」
「俺もどこでもいいぞ」
「分かりました。では……マスバーガーに行きたいです」
「マスバーガー?」

 予想もしなかった場所だったので、思わずオウム返しのように訊き返してしまう。
 すると、杏奈はほんのりと頬を赤くしながら、俺をチラチラと見てくる。

「い、今までに何度も大輝先輩には接客してもらいました。なので、いつかは大輝先輩と一緒にお客さんとしてマスバーガーに行ってみたいと思っていたんです。……どうですか?」

 上目遣いで俺を見つめてくる杏奈。俺達はどこでもいいと言っているのに、再度確認してくるところが可愛いなと思う。
 思い返せば、マスバーガーでは今まで俺は杏奈に何度も接客をしたり、バイトの先輩後輩として一緒に仕事を始めたり。店員としての関わりしかなかったので、一緒にお客さんとして行ってみたいという言葉が新鮮に感じた。
 杏奈からの提案に対する答えは……もちろん。

「もちろんいいさ。羽柴もいいよな?」
「ああ」

 俺達が肯定的な返事をしたからか、杏奈はニッコリと笑顔を見せる。

「ありがとうございます! では、マスバーガーに行きましょう!」

 俺達は3人でマスバーガー四鷹駅南口店に向かって歩き始める。マスバーガーに行こうと提案したからなのか、杏奈は羽柴と俺よりもちょっと前のところで歩いている。
 杏奈とはバイトを通じて関わりを持つようになったし、いつかは一緒にマスバーガーに客として行くだろうとは思っていた。ただ、初めて行くのが、羽柴と3人という組み合わせなのは予想外だった。
 四鷹駅北口方面のエスカレーターを降りて、オリオ四鷹店を出る。すると、さっきよりも制服姿の人が多い。
 羽柴と杏奈と一緒に歩いているからか、黄色い声や男女問わず「可愛い……」と呟きも聞こえてくる。やっぱり、杏奈のことを可愛いと思う人はたくさんいるようだ。呟いた人の中には、将来のマスバーガーの常連客もいるだろう。
 アニメイクから歩き始めて3分ほど。俺達はマスバーガーに到着した。
 お店の中に入ると。カウンターの近くに萩原店長の姿が。俺達に気付くと、店長は白い歯を見せながら笑い、軽く手を挙げた。

「いらっしゃい。この3人で来店してくるとは意外だねぇ」
「羽柴と帰ろうとしたときに杏奈と会いまして。杏奈の希望でここに来ることになったんです」
「大輝先輩と、いつか一緒にお客さんとして来てみたかったので」
「それは素敵だね。後輩に好かれて良かったじゃないか、大輝君」
「もう、店長さんったら。言葉選びを考えてください……」

 杏奈はほんのりと赤くする。店長の言葉のせいか、俺と目が合うと露骨に視線を逸らしてしまった。ただ、店長と羽柴は一緒に面白そうに笑っている。

「端のレジが空いたから、そちらに行きなさい」

 萩原店長の指示で端のレジに行くと、そこにはおさげの茶髪が印象的な女性店員の松田美里まつだみさとさんが立っている。俺が新人のとき、百花さんが体調を崩してバイトを休んだときなどに、彼女から仕事を教わったことがある。柔らかい雰囲気の方だ。

「いらっしゃい、速水君」
「お疲れ様です、松田さん」
「美里君。そちらの金髪の女の子が、日曜日からバイトをし始めた小鳥遊杏奈君だ。ホール担当だから指導係は大輝君だけど、同じシフトのときは君も気に掛けてあげてくれ」
「分かりました。初めまして、松田美里です。東都科学大学に通う3年生だよ」
「初めまして、小鳥遊杏奈といいます。四鷹高校の1年です。よろしくお願いします」
「よろしくね。私にも遠慮なく聞いてね」
「分かりました」

 話しかけやすい人が何人もいるのは心強いと思う。美里さんは同じ女性だし。

「杏奈君。前に話したかもしれないけど、店員特典でマスバーガーのメニューが3割引になるからね」
「分かりました!」
「あと、店員2人と一緒に来店した羽柴君にも3割引を適用してあげてね、美里君」
「あざっす」

 羽柴は嬉しそうな様子で軽く頭を下げる。彼一人のときはもちろん通常価格だけど、俺と一緒に来たときは、彼にも3割引を適用される。

「店内でお召し上がりですか?」
「はい。店内で」
「かしこまりました。ご注文をどうぞ」
「……大輝先輩。今まで接客してくれたお礼に、何か一つ奢らせてください」
「いいのか? でも、後輩に奢ってもらうのはなぁ……」

 有り難いけど、ちょっと気が引けるというか。接客してくれたお礼があるとはいえ。

「奢ってもらえよ、速水。奢ってもらう食べ物や飲み物は美味いもんだぞ。もし、速水が辞退するなら、代わりに俺が……」
「どうして羽柴先輩に奢らなきゃいけないんですか。むしろ、今の一言で羽柴先輩に奢ってもらいたくなりましたよ。3割引になるんですし」
「……俺の分は自分で払うよ」

 ははっ、と羽柴は苦笑い。杏奈、たまに羽柴には当たりが強くなるなぁ。
 きっと、杏奈は俺に何か奢りたいと思って、マスバーガーに行きたいと提案したのだと思う。そのご厚意はちゃんと受けよう。

「分かったよ、杏奈。じゃあ、チーズバーガーを奢ってくれるか? 昔から好きなんだ」
「そうなんですね。分かりました!」

 杏奈はとても嬉しそうに言ってくれた。
 俺はアイスコーヒーのSサイズ、杏奈はチーズバーガーとポテトSサイズ、アイスレモンティーSサイズ、羽柴はオニオンリングとアイスティーSサイズを注文。ここで接客をしているからか、店員の動きが気になってしまうな。これがいわゆる職業病か?
 注文したものを受け取り、俺達は4人用のテーブル席に。俺と羽柴が隣同士に座り、杏奈はテーブルを介して俺の正面の席に座った。

「はいっ、大輝先輩。チーズバーガーです」
「ありがとう。じゃあ、さっそく食べようか」
「そうですね! ポテトいただきまーす」
「オニオンリングいただきます」
「チーズバーガーいただきます」

 俺は杏奈に奢ってもらったチーズバーガーを一口食べる。ハンバーグとチーズの旨みが口の中で混ざり合って。昔からこの味は変わらないな。あぁ、幸せ。

「オニオンリング美味いな」
「美味しいですよね。ポテトも安定した美味しさです。……ふふっ、大輝先輩ったら凄く幸せそうな顔をしてますよ?」
「そうか? 昔から変わらず、とても美味しいからさ」

 幸せな気持ちが顔に出てしまったのか。特におかしいことじゃないけど、指摘されると何だか恥ずかしい気持ちになるな。

「あと、羽柴の言う通り、誰かに奢ってもらうとより美味しく思えるな」
「だろう?」
「ふふっ、奢った甲斐がありますね。さっきの大輝先輩の顔、ちょっと可愛かったですし」
「か、可愛いか。何か照れるな」

 可愛いなんて言われたのは何年ぶりだろう。小学生の頃までは和奏姉さんに可愛いと言われることはあったけど。

「じゃあ、ポテトも1本食べてみます? あたしの買ったポテトですから、いつもより美味しく感じるかもしれませんよ?」

 杏奈はポテトを1本掴み、俺に差し出してくる。

「普通はその袋ごと差し出すんじゃないか? 俺、何本も食べちゃうイメージがある?」
「そんなことはありませんよ。ただ、さっきの大輝先輩の顔が可愛かったので、食べさせてあげたくなっちゃったんですよ」
「そ、そういうことね」

 すぐ近くには羽柴もいるし、周りにはお客さんがいるし、カウンターの方からは萩原店長や松田さんがこっちを見ているかもしれないし。ここで食べさせてもらうのは恥ずかしいけど、俺に食べさせる体勢が整っているし、理由も聞いてしまった。断るわけにはいかないな。

「じゃあ、それを食べさせてもらおうかな」
「はーい。じゃあ、あ~ん」
「あ、あ~ん」

 俺は杏奈にポテトを食べさせてもらう。

「……うん。ホクホクしてて美味しいな。あと、杏奈の言う通り……普段よりも美味しく感じるよ」
「それは良かったです」

 笑顔で杏奈がそう言ってくれるからまだしも、何か頬が熱くなってきたぞ。きっと、頬が赤くなっているんだろうな。

「……今の2人を見ていると、カップルに見えてくるな。俺も一緒だけど、2人を知らない人が見たらカップルだと思う人もいるだろうな」

 羽柴はいつもの爽やかな笑みを浮かべながら、ガムシロップとミルクを入れたアイスティーを飲む。

「そ、そうですか。カップルだと思う人もいそうですか。なるほどです」

 頬がほんのりと赤くなっているものの、杏奈の顔には楽しそうな笑み。俺にポテトを食べさせたのを後悔していないようだ。杏奈はアイスレモンティーをゴクゴクと飲んでいる。
 周りの様子を見てみると、若い女性客を中心にこちらを見ている人が何人もいる。その中には四鷹高校の女子生徒もいて。俺に気付かれたと思ったのか、みんな視線を逸らす。羽柴の言う通り、この人達の中には杏奈と俺がカップルだと思う人もいそうだ。

「……夢の一つが叶いました」
「夢の一つ?」
「大輝先輩と一緒にお客さんとしてここに来ることですよ。あそこのカウンターで先輩と話したおかげで、中学3年生の1年間は楽しくなりましたし。受験勉強のいい気分転換にもなりましたからね。それがなかったら、四鷹高校に受かっていたかどうか……」
「大げさな気もするけど……杏奈の力になれていたなら嬉しいよ」

 思い返せば、去年……お客さんとしてここに来ていたときの杏奈は楽しそうだったな。

「力になっていましたよ。ありがとうございました」
「いえいえ」
「……ですから、大輝先輩と一緒にここに来て、お礼に何か奢りたいと前から思っていたんです。2人きりだと緊張してしまうかもしれないと思っていたので、羽柴先輩も一緒でちょうど良かったです」
「ははっ、そうか。後輩の役に立てて嬉しいよ」
「はい。お礼にポテトを1本あげます」
「おっ、こりゃどうも」

 杏奈はポテトの入っている袋を羽柴に差し出す。
 羽柴は袋からポテトを1本取って食べる。すぐに「美味い」と呟いて、右手でサムズアップ。

「良かったな、速水。バイト先にいい後輩が入ってきてくれて」
「そうだな。今までの接客したのもあって指導しやすいし」
「お手柔らかにお願いしますね、大輝先輩」
「……それは杏奈次第だな」
「が、頑張りますっ!」

 やる気に満ちた様子の杏奈は「ふんす!」と鼻を鳴らした。握り締めた両手を胸の前に構えているところが可愛らしい。昨日のバイトからして、これからも杏奈なりに頑張ってくれるだろう。
 杏奈と羽柴が同じ中学出身なのもあり、卒業した中学校などのことを話しながら、杏奈が奢ってくれたチーズバーガーを食べた。今日のチーズバーガーは本当に美味かったな。ごちそうさまでした。
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