サクラブストーリー

桜庭かなめ

文字の大きさ
上 下
66 / 194
本編-新年度編-

第33話『歓迎会-後編-』

しおりを挟む
「ちなみに、杏奈さん。どの作品が面白かったのかしら?」

 握手し終わり、再びお菓子を食べ始めたとき、一紗が杏奈にそんな質問をする。

「えっと……『白濁エスプレッソ』っていうBLの短編作品が面白かったです」
「あら、そうなの」

 サクラと羽柴と一緒に朗読した作品だったので、思わずドキッとしてしまう。あの作品、かなり人気があるのかな。まあ、短編だし、気軽に読む気になれるのかも。登場人物は2人しかいないし、2人が結ばれるまでという恋愛ものとして王道な内容だから。

「私も大好きだよっ!」

 同じ作品が好きだと分かったからか、サクラは興奮気味。もしかしたら、朗読したときのことを思い出しているのかもしれない。

「その作品なら、あたしも読んだことあるよ。BL好きの大学の友達も興奮してた」
「そうなんですね。嬉しいです。2人も読んだことがあるとのことなので、聴かせてあげましょうか」
「……はっ?」

 聴かせてあげる? 一紗のその一言に、思わずそんな声が出てしまった。何だかとても嫌な予感がする。

「一紗。一つ訊きたいことがあるんだけど。聴かせてあげるって……何を?」
「この前の朗読」
「……ろ、朗読? えっ?」
「数日前の記憶がなくなってしまったのかしら? 大輝君と羽柴君が『白濁エスプレッソ』を朗読してくれたじゃない。あれ、スマホでこっそり録音しておいたの。2人の声が素敵だし、自分の書いた作品をいつでも耳から楽しみたいと思って」
「何だとおおっ!」

 驚きのあまり、かなりの大声を出してしまった。こんなにも大きな声を出すのは、サクラがうちに引っ越してくることを話されたとき以来かもしれない。

「……あっ。ここ……アパートですね。大きな声を出してすみません」
「夕方だし大丈夫だと思うよ」
「それならいいのですが」

 もし、他の部屋の住人からクレームが来たら、俺が謝らなければ。
 まさか、あの朗読を録音されていたとは。全然気付かなかったな。サクラも目を見開いているので、録音の事実は今まで知らなかったと思われる。きっと、羽柴も気付いていないんだろうな。

「気持ちは分かるけど、こっそり録音するのは良くないなぁ」
「本番直前に録音しようって思いついて」
「本当かなぁ。……ちなみに、その録音データ、誰かに送ったりしてないだろうな」
「誰にも送っていないわ。自宅で妹に聴かせただけ。妹もあの作品が好きだから」
「……まあ、それならいいか」
「……やっぱりヤバい人ですね、一紗先輩って。ただ、大輝先輩には申し訳ないですが、朗読がどんな感じなのかは興味があります」

 苦笑いをしながら俺をチラチラと見てくる杏奈。面白いと思った作品を音声で聴けるんだ。興味が湧くのは当然だと思う。
 羽柴にあの朗読が録音されていたことをメッセージで送る。すると、スマホを手にしているのか、瞬間的に既読マークが付いて、

『マジかよ。やってくれたな、あいつ。まあ、妹さんに聴かせただけなら別にいい。誰にも送らず、あんまり多くの人に聴かせなければ、録音データは消さなくてもいい』

 という返信をもらった。いきなり俺に録音の事実を知らされたのに、すぐにこういうメッセージを送れるとは。優しい奴だな、羽柴って。

「羽柴もデータを消さなくていいそうだ。その代わり、誰にも送らずに、あまり多くの人には聴かせるなよ」
「分かったわ」
「大輝先輩。羽柴というのは、羽柴拓海先輩のことですよね?」
「ああ、そうだよ。……そうか、羽柴とは同じ中学出身だったね」
「ええ。直接の面識はありませんが、羽柴先輩はかなりのイケメンさんですから、中学時代から人気があるので知っています。羽柴先輩に憧れている友達は何人もいますね。あと、中3の間に何度か、大輝先輩と羽柴先輩が一緒に歩いている姿を見たことがありました。大輝先輩もかっこいいと一緒にいた友人がキャーキャー言っていたこともありましたね。まあ……あたしは今までの接客もありますし、バイトでお仕事教えてくれていますから、大輝先輩の方がいいなって思ってますけど」
「……嬉しいなぁ」

 お世辞だろうけど嬉しい。お礼に頭を撫でてあげたいくらいだ。
 あと、羽柴は中学時代から人気があったか。さすがだ。杏奈は羽柴のことは知っているけど、羽柴は杏奈のことは……知らなさそうだな。学年も違うし。中学時代にはもう二次元にハマっていたそうだし。

「じゃあ、これから『白濁エスプレッソ』の朗読を流します!」

 パチパチ、と女子4人は楽しそうに拍手をする。
 自分の声を聴くだけでも変な感じがするのに、ましてやBL作品の朗読。しかも、4人とも俺のことも羽柴のことも知っている。朗読が流れている間だけでも、この場から離れたい。

「……あの。外の空気を吸いたいので、少しの間、外にいてもいいですか」
「もちろんだよ。ダイちゃん、顔色が悪くなっているし。気分転換した方がいいかも」
「バイトの疲れもあるかもしれませんね。先輩、行ってきてください」
「2人の言うとおりだね」
「読んだ本人もいた方が面白そうな気がするけど、大輝君がそう言うなら」
「……じゃあ、ちょっとの間、外に出てますね。スマホは持っていくので、聴き終わったら一言メッセージください」
「了解だよ、ダイちゃん」

 俺はスマホとボトル缶のコーヒーを持ち、みんなに手を振って百花さんの家を一旦出る。日も傾き始め、ここに来たときよりも空気が涼しく感じるな。
 朗読する自分の声にどんな感想を抱くのか。不安だ。地の文担当のサクラは淡々と読んでいたけど、俺と羽柴は一紗の指示により、登場人物の台詞を感情込めて読んだからな。

「さっそく戻りづらくなってきたな」

 スマホを持っているので、このまま家に帰っても大丈夫そうだ。でも、あとで何を言われるのか怖い。なので止めておこう。
 ボトル缶のブラックコーヒーを一口飲むと……やけに苦い。チョコレートマシュマロを袋ごと持ってくれば良かったな。

「ガルバンでもやるか」

 ズボンのポケットからスマホを取り出し、『ガールズバンドデイズ!』というリズムゲームをやり始める。画面越しの二次元美少女はやっぱりいいなと思う。
 ただ、二次元美少女に見とれてしまったからか。それとも、三次元美少女が俺のBL朗読を聴いてどう思っているのか不安になってしまったからか、普段ならほぼミスなくできるゲームでミスが続出してしまった。

『もっと練習しなきゃダメだよ!』

 挙げ句の果てには、ゲーム終了後にキャラクターからお叱りを受ける始末。今日はもうやらない方がいいな。午前中から数時間もバイトしたんだし。休めっていうサインなんだろう。そう思っておく。
 ――プルルッ。
 LIMEの通知が届いたのでさっそく見てみると、サクラから、

『聴き終わったよ!』

 というメッセージが。さてと、戻るか。
 朗読の際に絶賛してくれたサクラと一紗はいいとして、杏奈と百花さんがどんな感想を抱くのか。そんな不安はあるけど、一度、長く息を吐いて、百花さんの家の中に戻った。
 部屋に入ると、4人が可愛らしい笑顔を浮かべながらこっちを見てくる。サクラだけがちょっと照れくさそうだけど。

「大輝君! とっても良かったよ! BLも百合と同じくらいにハマりそう」
「大輝先輩も羽柴先輩も声がいいですから、友人から借りたBLのドラマCDのようでした。他にも一紗先輩のBL小説を読もうかと思えたほどです」
「杏奈さんにそう言ってもらえて嬉しいわ。これで何度目かは分からないけど、本当にいい朗読だと思うわ。この朗読のおかげでBLの新作のアイデアが思い浮かんだの」
「ナレーションでも、自分の声を聴くのはちょっと恥ずかしいね。3人も一緒だったから。私も外に出れば良かったかなって思ったけど、ダイちゃんと羽柴君の演技が良かったから、ここで聴いて良かったと思っているよ」
「……そうですか」

 4人とも朗読を好評価してくれて一安心。杏奈に他の作品を読みたいと思わせたり、一紗に新作のアイデアをもたらしたりできたのは素直に嬉しく思う。羽柴と頑張って朗読した甲斐があった。
 サクラがはにかんでいるのは、一紗達の前で自分の声を聴くのが恥ずかしかったからだったのか。そんな彼女が可愛らしいし、自分と同じような気持ちを抱いてくれたことが嬉しかった。

「ああいう朗読を聴くと気になってしまうのですが、大輝先輩って男性は恋愛対象になるんですか?」

 上目遣いで俺を見ながらそう問いかけてくる杏奈。
 今の杏奈の質問に興味を持ったのか、一紗は真剣な様子で、サクラも俺のことをチラチラと見てくる。

「朗読では羽柴君といい演技していたもんね~」

 と楽しそうに言って、百花さんはマイペースにクッキーを食べている。

「今のところ、恋愛対象になる可能性があるのは女性だけかな。男性は友人だな」
「……なるほどです。分かりました」

 ちゃんと答えたのが良かったのか、杏奈はいつもの可愛らしい笑みを浮かべて、自分のミルクコーヒーを飲む。一紗はほっとした様子、サクラは依然として俺をチラッと見ながら「そっかそっか」と呟いていた。

「ただ、大輝先輩と羽柴先輩が一緒にいる場面を見たら、BL的なことを妄想してしまいそうです。2人ともイケメンですし」
「……イケメンについてはありがとう」

 頭の中で妄想してもいいけど、それを言わないでほしかったな。きっと、サクラや一紗も妄想していそうだ。特に一紗。腕を組んで「うんうん!」と何度も頷いているし。
 それからは杏奈が中学の美術部で描いた作品や、百花さんが大学の課題で制作した油絵を写真で見せてもらったり、杏奈の好きなアニメのBlu-rayがあったのでそれを5人で観たり。BL朗読が録音されていた事実が明らかになったけど、それを含めて杏奈がとても楽しそうだったので、いい歓迎会になったと思うことにしよう。
しおりを挟む
読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。

『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889

『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601

『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/120759248
感想 1

あなたにおすすめの小説

僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】 ・第1章  彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。  そんな彼を想う二人。  席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。  所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。  そして彼は幸せにする方法を考えつく―――― 「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」  本当にそんなこと上手くいくのか!?  それで本当に幸せなのか!?  そもそも幸せにするってなんだ!? ・第2章  草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。  その目的は―――― 「付き合ってほしいの!!」 「付き合ってほしいんです!!」  なぜこうなったのか!?  二人の本当の想いは!?  それを叶えるにはどうすれば良いのか!? ・第3章  文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。  君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……  深町と付き合おうとする別府!  ぼーっとする深町冴羅!  心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!? ・第4章  二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。  期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する―― 「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」  二人は何を思い何をするのか!?  修学旅行がそこにもたらすものとは!?  彼ら彼女らの行く先は!? ・第5章  冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。  そんな中、深町凛紗が行動を起こす――  君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!  映像部への入部!  全ては幸せのために!  ――これは誰かが誰かを幸せにする物語。 ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。 作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2024.8.2)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編10が完結しました!(2024.6.21)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※続編がスタートしました!(2025.2.8)  ※1日1話ずつ公開していく予定です。  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

処理中です...