サクラブストーリー

桜庭かなめ

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本編-新年度編-

第32話『歓迎会-中編-』

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 杏奈のマシュマロ好きも分かってか、歓迎会は平和なムードでスタートしていく。
 杏奈は甘いものだけでなく、塩系のお菓子も好きなようで、百花さんが選んだえびせんべいやポテトチップスなども美味しそうに食べている。
 俺もクッキーやベビーカステラなど、コーヒーに合う甘いお菓子を中心に食べる。バイトの後だから凄く美味しく感じるなぁ。

「ところで、杏奈ちゃん。マスバーガーでバイトを始めようと思ったきっかけって、大輝君がバイトしているから? これまでに何度も接客されていたし」
「えっ? そ、それも理由の一つですね。何度も話したことがある人がいると心強いといいますか。それに、大輝先輩は高校の先輩ですし、優しそうですから。あと、あたしは大学1年の兄がいるので、少し年上の男性と話すことに慣れているんです」

 頬をほんのりと赤くし、俺のことをチラチラと見ながら杏奈はそう言う。とても可愛いじゃないか。帰りにいちごマシュマロとチョコレートマシュマロを1袋ずつ買ってあげたくなっちゃうよ。
 あと、杏奈には大学生のお兄さんがいるのか。それなら、1つ年上の俺とも話しやすいのかな。

「なるほど。確かに、大輝君は優しいわね。窃盗犯に突き飛ばされたときも助けてくれたし」
「あのときのダイちゃんかっこよかったよね。私のバッグを取り返してくれたし。あと、面倒見もいいよ。小学生の頃は宿題でよく助けてもらっていたから」

 サクラと一紗は納得した様子。被害者なのもあってか、2人は連続窃盗犯を捕まえたときの俺を強く印象に残っているようだ。
 あと、サクラの言う通り、小学生の頃はよく宿題を助けていたな。夏休みの宿題を俺と和奏姉さんが手伝ったこともあったっけ。

「窃盗犯を捕まえた? も、もしかして……春休み中に四鷹駅で連続窃盗犯を捕まえた男子高校生って、大輝先輩のことだったんですか!」

 驚いた様子で杏奈はそう言う。窃盗犯は杏奈の住む武蔵原市で何度も窃盗事件を起こしていた。女子大生の荷物を盗んだ事件もあったし、杏奈も気にしていたのかも。

「そうだよ。そのときにサクラのバッグが盗まれて、逃げているときに犯人が一紗とぶつかったんだ」
「大輝君が抱き止めてくれてね。そのおかげでケガもなかったし。あと、それをきっかけに彼に惚れたの」
「そうなんですか。大輝先輩に惚れるのも納得です」
「でしょう?」

 そのときのことを思い出しているのか、一紗はうっとりとした表情に。

「ところで、杏奈ちゃん。マスバーガーでバイトを始めたから、部活や同好会には入る予定はもうないのかな? 文化部なら週1か週2くらいに活動する部活も多いよ。ちなみに、私の入っている手芸部は火曜日と木曜日に活動してるよ」
「私の入っている文芸部は月曜日と木曜日よ」

 ここで部活動の勧誘をするとは、さすがはサクラと一紗。まあ、こんなに可愛い後輩と話せるようになったら、自分の入っている部活に誘いたくなるか。

「……誘ってもらえるのは嬉しいですけど、高校生になったらバイトしたいなって思っていたので、今のところはどこにも入る予定はないです。バイトで趣味とかに使うお金を稼いで、それ以外の日は友達とかと遊んだりしたいなって」

 苦笑いをしながら杏奈は勧誘をやんわりと断った。趣味とかに使うお金をバイトで稼ぎたい気持ちは分かるなぁ。初めてバイト代が入って、好きな漫画やラノベを買ったときは感動したな。

「なるほどね。高校生になったらバイトできるし、それもいいよね」
「そういうことなら、無理には誘わないわ。ただ、入りたくなったらいつでも言って」
「分かりました。大輝先輩は部活や同好会には入っているんですか?」
「ううん、入ってないよ。中学を含めて、どこにも入ったことがないんだよな」
「そうなんですね」
「杏奈は中学時代って部活に入っていたのか?」
「美術部に入っていました。小さい頃から絵を描くのが好きで」
「おぉ、美術部か」
「コンクール用の油絵を描いたり、それが仕上がったら気分転換に水墨画を描いてみたり。ただ、そういう系の絵を描くのはもう満足してしまって。高校では芸術科目での美術を選択すればいいかなと。あとは、趣味でデジタルイラストを描いてみたいなって思っています」
「そうなんだね」

 趣味だからこそ、楽しくできることもあるだろう。
 それにしても、杏奈は絵を描けるのか。凄いなぁ。俺は美術は課題を何とか形にするのが精一杯だった。成績はずっと4だったけど、それは定期試験でいい点数を取れたからだと思っている。

「現役の美大生だから、杏奈ちゃんが芸術授業で美術を選択したり、趣味でも絵を描きたい気持ちがあったりするのが分かって嬉しいな。もし、芸術方面で深く勉強したくなったら、うちの大学の後輩になってね。あたしが留年しない限りは一緒には通えないけど」
「百花先輩とは4学年差ありますもんね。自宅から徒歩で行けるのは魅力的ですし、考えておきますね」
「うんっ」

 百花さんは杏奈の頭を撫でる。
 自宅から徒歩で行けるのが魅力的、という杏奈の言葉は共感できる。バイトを始めた頃、疲れて寝坊してしまったことがあった。ただ、徒歩数分で行ける距離なので、一度も遅刻をせずに済んだ。
 理系なら東都科学大学、芸術系なら百花さんの通う日本芸術大学と地元にあるけど、文系の大学はないからなぁ。大学も近いところがいい。

「百花先輩って、大学では何か部活やサークルは入っているんですか?」
「百合作品研究会っていうサークルに入ってるよ。通称『百合研』。百合っていうジャンルは知っているかな。女の子同士の恋愛のことなんだけど」
「あー、知ってますよ」
「いつもは連載中の百合漫画や、放送されている百合アニメなどを話し合うのがメインで。それで、秋の学祭やお盆と年末に開催される同人誌即売会では、メンバーが作った百合作品の漫画や小説を収録した冊子を販売するの」
「創る方の活動もしているんですね。研究会ですから、てっきり既にある作品についてだけ活動しているのかと」
「クリエイティブな活動もしてるよ~。美大生だし!」

 そう言ってウインクをする百花さんが可愛らしい。美大生の多くは普通の大学生よりは物作りをしているイメージがある。講義の課題とかでも色々と創っているだろうに。

「杏奈ちゃんは百合作品って好き?」

 目を輝かせ、杏奈の手を両手で握りながら問いかける百花さん。
 すると、杏奈は苦笑いをして、

「えっと……百合作品はあんまり読まないですね。嫌いじゃないんですけど。中高生とかの話だと特に、登場人物に自分と友達と重ねちゃうことが多くて。男女のラブコメがメインで、ヒロイン達がイチャついていたり、ヒロインに恋する女子がいたりする……くらいの作品なら普通に読めるんですけどね。……すみません」

 普段よりも元気のない声で答える。申し訳ないと思っているのか、顔を俯かせる。その姿勢もあってか、杏奈の笑みに寂しげな印象を抱いた。
 自分と友人を重ねてしまう……か。BL作品だけど、俺も『白濁エスプレッソ』を羽柴と朗読したときは、登場人物に自分と羽柴を重ねることがあったな。だから、杏奈が今言ったことはいくらか理解できる。

「そっか……」

 独り言のように百花さんはそう言うと、それまで杏奈の手を握っていた両手を離し、右手で杏奈の頭を撫でる。そんな彼女は姉のような優しい笑みを杏奈に見せていた。

「好みは人それぞれだもんね。そういえば、あたしも小学生の頃に初めて百合漫画を読んだ後、ヒロインと容姿が似ている友達を見るとドキドキしちゃったな」
「私もありました」
「文香ちゃんも経験者か。……もし、興味が出たらあたしに言ってくれていいからね。一通りの百合漫画や小説はあるから、貸してあげる」
「……ありがとうございます」

 ゆっくりと顔を上げ、杏奈は百花さんを見ながら微笑んだ。
 百花さんは百合作品をオススメはするけど、こちらが断れば無理強いはしない。そういうところは羽柴と似ているなと思う。

「杏奈さんが百合作品に興味があるなら、私の小説を勧めようと思ったのだけどね。合田さんの言う通り、人には好みがあるものね」
「一紗ちゃんは百合作品を書いているの?」

 さすがは百花さん。食いついてきたな。

「ええ。カップリングの性別を問わず、恋愛小説を書いて投稿サイトで公開しています。朝生美紗というペンネームなのですが」
「ええっ! あなたが朝生美紗さんなの? あたし、去年の夏に連載してた『向日葵は笑う』を読んだよ! 感動したなぁ。完結してから何度も読み返したよ! サークルでも新作の百合小説が始まったときを中心に、朝生さんの作品が話題になっているよ! 百合小説だけじゃなくて、朝生さんの作品をよく読んでいるサークルメンバーもいるくらい」
「ふふっ、ありがとうございます。そういう話を聞くと、有名人になったような気分ですね」

 いつもより嬉しそうな様子で一紗はそう言う。
 一紗は『朝生美紗』のペンネームで複数のサイトに小説を公開している。どのサイトで恋愛のカテゴリで上位にランクインしているほどの人気なので、百合研のメンバーにも知られていたのかも。

「あ、握手してもらってもいいですか! 朝生先生!」
「もちろん」

 百花さんと一紗は握手を交わす。その瞬間、興奮しているのか百花さんは「はぅぅっ!」と可愛らしい声を上げていた。それとは対照的に、一紗は落ち着いた笑みを浮かべて、

「ふふっ、可愛い人」

 と呟く。どっちが年上なのか分からないな。

「あたしも中学時代に友達からの勧めで、朝生美紗さんの作品を読んだことがありますよ。男女のラブコメとBL作品の短編作品中心ですが。面白い作品もありました。プロフィールを見て女性だとは分かっていましたけど、まさかこんな近くにいたなんて」
「ふふっ。読んでくれてありがとう。杏奈さんさえよければ、あなたにも握手しましょうか?」
「百花先輩ほどハマったわけではありませんが……まあ、握手くらいなら」

 杏奈は膝立ちして右手を伸ばす。テーブル越しなら変なことはされる心配はないと思っているのかな。一紗に接客したときに比べれば、少しは距離が縮まっているだろうか。
 一紗も杏奈と同じような体勢になり、杏奈と握手を交わす。お店でお持ち帰りしたい発言をしただけあってか、杏奈と握手をした瞬間、一紗は嬉しそうな笑みを浮かべるのであった。
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