サクラブストーリー

桜庭かなめ

文字の大きさ
上 下
52 / 194
本編-新年度編-

第19話『初週の終わり』

しおりを挟む
 午後の授業になると、一紗はいつも通りの雰囲気に戻る。時々、一紗と目が合うと美しい笑顔を見せてくれ、何度か小さく手を挙げるときもあって。そんな一紗を見て安心した。


 放課後。
 これからバイトがあるとはいえ、今週の学校生活が終わった開放感に浸っている。明日はサクラと2人きりでお出かけするからだろうか。
 今日も羽柴と一緒に下校。ただ、今日は羽柴もタピオカドリンク店でのバイトがあるため、マスバーガーの前で彼と別れた。
 そういえば、彼のバイトしているお店は最近あまり行っていなかったな。サクラは甘いもの好きだから、明日のお出かけ中に行ってみるのも良さそうだ。
 従業員用の入口からマスバーガーに入る。
 スタッフルームに行くと、今日も萩原店長がホットコーヒーを飲んでいた。思えば、今日のように放課後になってすぐに出勤すると、店長がスタッフルームで休憩していることが多い。午後3時台に休憩しようと決めているのかな?

「学校お疲れ様、大輝君。今日もよろしく」
「はい、よろしくお願いします。すぐに着替えて、ホールへ行きますね」
「ああ、頼むよ」

 ふっ、と店長は笑う。左手を腰に当てながらコーヒーを飲む姿は何ともダンディズム。ホールで飲んで味わい深い声で一言「美味い」と言えば、コーヒーや紅茶の注文が増えるんじゃないでしょうか。
 ロッカールームでお店の制服に着替え、ホールへと向かう。その途中で、スタッフルームに貼ってあるシフト表を見ると、百花さんは午前中からお昼過ぎまでシフトが入っていたようだ。金曜日だしサークルの呑み会でもあるのかな。
 ホールに到着し、カウンターに行くとそれまで接客をしていたベテランの女性の先輩と交代する。
 平日の夕方なのもあり、制服姿の若い人中心に多く来店される。もちろん、その中には四鷹高校の生徒もいて。
 ただ、常連の小鳥遊さんは来店していない。今まで2日連続で来ることはそこまで多くなかったけど。ただ来ないだけなのか。それとも友達に誘われて、どこか部活や同好会を見学しているのかな。
 ほぼ絶え間なくお客様が来るので、時間の進みが早い。一段落したときには、午後5時半過ぎになっていた。

「少し落ち着いたな、速水」
「そうですね」

 隣のカウンターに立っている男性の先輩クルーにそう言われる。
 金曜日で今週の学校生活や仕事が終わった人が多いのか、心なしか昨日よりもテーブル席に座っているお客様達の表情が明るい。いいですよね、金曜日って。

「いやぁ、今年も春がやってきたねぇ」

 ホールに現れると、萩原店長は微笑みながらそんなことを言ってきた。春がやってきたってどういうことだ? 春休みが終わって、制服姿の子がたくさん来店するようになったからなのかな。
 店長が現れたことで、年代問わず一部の女性客から黄色い声が。店長は「ははっ」と笑い、軽く頭を下げた。手まで振っちゃって。これじゃまるでアイドルじゃないか。

「大輝君。今日はまだ一度も休憩を取っていないだろう。休憩に入りなさい」
「分かりました。では、休憩に入ります」

 俺はスタッフルームに戻り、アイスコーヒーを飲みながら休憩をする。
 一紗……いや、朝生美紗さんの作品『間の僕ら。』をスマホで読む。中盤になり、ラブコメのラブの要素が強くなってきて、より面白くなってきた。読みやすい文章だし、このままだと休憩時間なのを忘れてしまいそうだ。なので、1話だけ読む。

「小説を書けるとはなぁ。凄い」

 この前、サクラと羽柴と朗読した『白濁エスプレッソ』も、何だかんだ惹き込まれる内容だったし。印象的な台詞もあった。物語を思い浮かべて、それを文字に書き起こせるのはとても凄いと思うよ。人気のある作品を書ける人はなおさら。いつか、一紗は商業デビューできるんじゃないか?
 アイスコーヒーを飲みきった俺は、再びホールに戻り、カウンターでの接客の仕事を行う。
 午後6時を過ぎて、スーツ姿やオフィスカジュアルな服装の人も来店してくる。北口の方を中心に四鷹駅の周りにはオフィスビルがいくつもあるから、恐らく仕事帰りなのだろう。そんな中、

「来たわよ。お疲れ様、大輝君」
「お疲れ様、ダイちゃん」

 部活帰りのサクラと一紗が来店する。好きな人と友人が来てくれると嬉しいものだ。途中、休憩を挟んだものの、これまでのバイトの疲れが飛んでいく。

「いらっしゃいませ。帰りが一緒になったのか?」
「昇降口で一紗ちゃんと会ってね。ダイちゃんは7時までバイトしているって話したら、顔を出そうって話になって」
「大輝君の顔をまた見れば、今週の学校生活が気持ち良く締められると思って」
「ははっ、そっか。バイト中に2人が来てくれて嬉しいぞ。店内でお召し上がりですか?」
「持ち帰りで」
「私はダイちゃんの顔を見たかっただけだから」

 店員としては何か注文してくれると嬉しいけど、個人的には俺の顔が見たいだけでここに来てくれたのはとても嬉しい。

「では、一紗。ご注文をどうぞ」
「アイスティーのSサイズを一つお願いします。シロップを一つ付けてください」
「アイスティーのSサイズですね。そういえば、一紗って紅茶を飲むことが多いよな。コーヒーって飲まないのか?」
「コーヒーはあまり得意じゃないの。せいぜいカフェオレくらいね」
「そうなんだ。何だか意外だね」

 俺も同感だ。一紗のような人は、コーヒー好きで、特にブラックを好んで飲むイメージがあったから。
 こほん、と一紗は可愛く咳払いをすると、真剣な表情になって俺を見てくる。

「あと、もう一つ注文したいものがあるの」
「何でしょう?」
「大輝君をお持ち帰り。それか、大輝君にお持ち帰りされる」
「……は?」

 真面目そうな様子からは想像もできないような変な注文をされたので、思わず間の抜けた声が出てしまう。

「ここに来るまでの間、文香さんに週末はどう過ごすのか訊いたら、明日、2人きりでおでかけをするって聞いて。ひさしぶりのお出かけらしいから、私はこっそりついていくつもりはないわ。玉子焼き作りの練習もするし。だから、せいぜい今夜は大輝君をお持ち帰りするか、お持ち帰りされるかしたいなって思って。明日は学校ないし……」

 えへへっ、厭らしさも感じられるような声で笑う一紗。お店でこういうことを言えるなんて。そんな彼女の横で苦笑いをするサクラ。
 そういえば、明日はサクラと2人で出かけることを、両親以外には誰にも言ってなかったな。一紗のことだから、明日はこっそりと俺達の様子を見ていそうな気がするが……友人の言葉を信じよう。

「それで、いくら出せばお持ち帰りできるのかしら?」
「マスバーガーではそんな商品は扱っていません」
「……そうなの。残念ね」

 はあっ、と残念そうにため息をつく一紗。そういう反応をするってことは、割と本気でお持ち帰りかお持ち帰りされるのを望んでいたようだ。いつか本当にそんなことになってしまいそうで怖い。

「あと、日曜日はシフトが入っていると文香さんから聞いたわ」
「ああ。午前9時から午後2時までだったかな。もし良かったら来てくれ」
「分かったわ。たまに、休日は喫茶店で小説を執筆することもあるの。窓側のカウンター席なんて執筆環境に良さそう」
「かっこいいね、一紗ちゃん」
「まさに小説家って感じだな」
「アマチュアだけれどね。……今日はアイスティーだけにするわ」
「かしこまりました」

 一紗から代金を受け取り、彼女の注文したアイスティーのSサイズを用意する。
 アイスティーとガムシロップを渡すと、一紗は入口近くのゴミ箱のところでシロップ入りのアイスティーを作る。

「あと30分くらいで終わるみたいだから、ダイちゃんのことを待ってるね。近くのお店に行って時間潰したりして」
「分かった。じゃあ、午後7時過ぎに従業員用の出入口のところで」
「うんっ。じゃあ、最後まで頑張ってね」

 サクラはそう言うと俺に小さく手を振って、一紗と一緒にお店を後にする。
 1年生のときも、部活帰りに手芸部の友人と一緒に来てくれたことはあったけど、俺のバイトが終わるまで待ってくれることは一度もなかった。だから、とても嬉しいし、残りのバイトもやる気になる。
 ただ、楽しいことが待っていると分かった途端、この残り30分がとても長く感じた。


 午後7時過ぎ。
 バイトが終わり、従業員用の出入口から外に出る。陽もすっかりと暮れたからか空気が肌寒いな。

「ダイちゃん、お疲れ様」
「お疲れ様、大輝君」

 そこにはサクラと一紗の姿があった。予定がなく、サクラと話していると楽しいからと一緒に待ってくれていたそうだ。2人でお互いに入っている部活の話などをしていたとか。
 あと、サクラはたまに一紗の買ったアイスティーを分けてもらったそうで。百花さんが聞いたら興奮しそうな内容だ。
 一紗を四鷹駅の改札口まで送り、俺とサクラは帰路に就く。この時間、駅から少し歩いて住宅街に入ると、人通りは一気に少なくなる。

「あっという間に高2最初の1週間が終わったね」
「そうだな。授業は木曜日からだったし。でも、振り返ると……盛りだくさんな1週間だった気がする」
「……確かに。一紗ちゃんと同じクラスになったのが、今週の月曜日だとは思えないくらい。もっと前な気がするよ」
「例の事件からも1週間経っていないもんな」

 それだけ、高校2年生になってからの学校の日々が濃い証拠なのだろう。
 一紗に告白され、一緒に1日遊び、マスバーガーで俺のバイトの様子を見守られ、俺の家に来てベッドを堪能され、玉子焼きになれなかった炒り卵を食べ……思い返すと色々なことがあった。一紗がいなければ、ここまで濃厚な時間は過ごさなかったかもしれない。

「今週の一紗ちゃんのことを思い出していたでしょ」
「今の話の流れだとな。彼女のおかげで一日一日が濃厚だ」
「そうだね。私もダイちゃん達と同じクラスになれて嬉しかったけど、一紗ちゃんが同じクラスじゃなかったらこんなに楽しくなかったかも」
「さっそく仲良くなったもんな」
「うん!」

 サクラは可愛らしい笑顔を浮かべ、しっかりと首肯する。さっき、出入口から出たときにもサクラと一紗は楽しそうに喋っていたからな。小泉さんと同じく一紗は高校でできた親友の1人へとなるだろう。

「話は変わるけど、明日はお出かけだね。バイトの方は大丈夫そう?」
「ああ、大丈夫だと思う。店長に明日はサクラと出かけるって言ったら、楽しんできてねって言われたから」
「そっか。良かった」

 俺も良かったよ。サクラとお出かけできるのはもちろんのこと、彼女から罰を受けずに済んで。針10本飲む罰ではなくなったけど、彼女はどんな罰を与えようとしたのだろう。怖いから、それは訊かないでおくか。

「ねえ、ダイちゃん。2人で駅周辺に遊びに行くのは結構あったけど、それって中1までだったじゃない。ひさしぶりだし、どっかで待ち合わせる?」
「それがいいな」

 昔だったらともかく、今の俺達がどこかで待ち合わせて出かけると、それってデートみたいだな。

「どこにしよっか? 昔はダイちゃんの家の前とか、こもれび公園とか、マンションのエントランス前とかだったよね」
「その3つのどこかだったよな。一緒に住んでいるから逆に難しいなぁ。……じゃあ、サクラの部屋の前にするか?」
「あははっ!」

 パッと思いついた俺の提案がツボにハマったのか、サクラは大笑い。笑い声って結構響くんだなぁ。周りに全然人がいなくて良かった。

「ごめんごめん。あまりにも近くてつい」
「サクラに笑いを提供できて何よりだ」
「でも、家の中で待ち合わせるのって、一緒に住んでいる私達らしくていいな。結構好きかも」

 俺のことじゃないけど、笑顔で好きだって言われるとドキッとする。そのことで、さっきまで感じていた肌寒さはどこかへ吹っ飛んでいき、体がポカポカしてきた。

「じゃあ、私の部屋の前で待ち合わせしようか」
「分かった」

 まさか、ふと思いついた案が採用されるとは。ただ、サクラの言う通り、一緒に住んでいるからこその待ち合わせ場所って感じがしていいな。
 高校2年生の最初の一週間はとてもいい時間になった。サクラ達と2年連続で同じクラスになって、一紗とも仲良くできそうで。いいスタートが切れたと思う。そう思っていると、サクラと住んでいる自宅が見えてきたのであった。
しおりを挟む
読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。

『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889

『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601

『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/120759248
感想 1

あなたにおすすめの小説

僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】 ・第1章  彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。  そんな彼を想う二人。  席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。  所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。  そして彼は幸せにする方法を考えつく―――― 「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」  本当にそんなこと上手くいくのか!?  それで本当に幸せなのか!?  そもそも幸せにするってなんだ!? ・第2章  草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。  その目的は―――― 「付き合ってほしいの!!」 「付き合ってほしいんです!!」  なぜこうなったのか!?  二人の本当の想いは!?  それを叶えるにはどうすれば良いのか!? ・第3章  文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。  君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……  深町と付き合おうとする別府!  ぼーっとする深町冴羅!  心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!? ・第4章  二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。  期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する―― 「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」  二人は何を思い何をするのか!?  修学旅行がそこにもたらすものとは!?  彼ら彼女らの行く先は!? ・第5章  冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。  そんな中、深町凛紗が行動を起こす――  君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!  映像部への入部!  全ては幸せのために!  ――これは誰かが誰かを幸せにする物語。 ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。 作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2024.8.2)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編10が完結しました!(2024.6.21)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※続編がスタートしました!(2025.2.8)  ※1日1話ずつ公開していく予定です。  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

処理中です...