29 / 194
本編-春休み編-
第28話『おなまえ』
しおりを挟む
アニメイクを後にした俺は羽柴と一緒に帰路に就く。
途中のところにあるスーパーで、俺はボトル缶のブラックコーヒーとこの前小泉さんが持っていたいちご味のラムネ菓子、羽柴はタピオカミルクティーを買うことに。
タピオカドリンク店でバイトをしているのに、スーパーでタピオカミルクティーを買うのを不思議に思ったので、羽柴に訊いてみる。すると、
「たまに、スーパーやコンビニで売ってるタピオカドリンクを飲みたくなるんだよなぁ」
と、羽柴は笑顔で答えてくれた。
あと、母さんがパートをしているので店内を廻ると、精肉コーナーでウインナーの試食担当をしていた。さすがは母さんと言うべきか、試食で提供しているウインナーの袋がお客さんの買い物カゴにどんどん入っていく。母さん曰く、パート仲間や常連のお客さんから「試食の女神」と呼ばれているらしい。
お客さんがいなくなったタイミングで行くと、母さんは焼いたウインナーを俺達に渡してきた。
「美味いっすね!」
「美味しいな」
「ふふっ、ありがとう。このウインナー美味しいから、いつか買ってみてね」
「分かりました」
「母さん、パート頑張って」
「頑張ってください。これから、速水の家で今日買ったBlu-rayを一緒に観ます」
「そうなの。ゆっくりしていってね」
俺と羽柴が離れると、俺達の会話で笑顔を見せていたからか、すぐに多くのお客さんが母さんのところにやってきていた。さすがは試食の女神。
レジで会計を済ませ、俺達はスーパーを後にする。
それからはどこにも立ち寄らず、まっすぐ帰宅した。
「ただいま」
「お邪魔します」
家の中に入ると、玄関が開く音や俺達の声に気付いたのか、階段から文香が姿を現した。
「大輝、おかえり。羽柴君、こんにちは。予約していたものは受け取れた?」
「ああ、ちゃんと速水も俺も引き取れたぞ」
「予定通り、俺達はリビングでBlu-ray観たりしているから」
「分かった。私は部屋で漫画読んでいるから。羽柴君、ごゆっくり」
俺達に小さく手を振り、文香は再び2階へ上がっていった。
「桜井、ここでの生活に慣れてきた感じがするな」
「ああ。引っ越してきてから10日くらい経ったからな。それに、小学生時代は特にたくさん遊んだり、泊まりに来たりしていたし」
文香がここに住み始めてから色々なことがあった。だから、引っ越してきてから10日くらいしか経っていないことにちょっと不思議な気持ちになる。
俺と羽柴はリビングに入り、向かい合う形でソファーに座る。
俺の買ってきた俺勝の同梱版を開封。Blu-rayパッケージに描かれているウエディングドレス姿のヒロイン達が可愛らしい。
「真夏先生可愛いなぁ!」
羽柴はニッコリと笑みを浮かべながらそう言う。日本史教師の真夏先生が彼の推しキャラだもんなぁ。
OVAを観ようとテレビの電源を入れると、武蔵原市で起きた連続窃盗事件のニュースが映し出された。
「また武蔵原で窃盗が起きたんだね。今回は大学生の持っていたエコバッグか……」
「俺の家の方には大学がいくつもあるからなぁ。……盗まれたバッグには、タブレットや講義で使う教科書が入っていたのか。これは災難だな」
「そうだね」
そういえば、昨日のバイトの休憩中、萩原店長や百花さんに「武蔵原の方だけど、窃盗が起きているから気を付けた方がいい」って注意されたな。百花さんや彼女の友達は、幸いにも窃盗には遭っていないとのこと。
犯人は今も逃走中。パーカーを被っていたので、顔や年齢ははっきりしないそうだ。ただ、背は175cmくらいあって、脚も速いので若い男性ではないかといわれている。俺も気を付けないと。俺は走るのが得意なので、盗まれても犯人に追いつくかもしれないが。
気を取り直して、Blu-rayプレイヤーにOVAが収録されたディスクを挿入。
俺はスーパーで買った缶コーヒーや飲んだり、いちご味のラムネを食べたりしながらOVAを観ていく。
内容は原作では人気がありながらも、TVアニメ化されていなかったエピソード。主人公はヒロイン達のいる前で、以前バイトした店長から、近日オープンする結婚式場のパンフレットを渡される。それをきっかけに、ヒロイン達が主人公と同棲生活や新婚生活、結婚式について妄想する様子が描かれている。俺も原作漫画で初めて読んだときから、このエピソードが大好きだ。
ウエディングドレス姿のヒロイン達はもちろんのこと、妄想の中で主人公とイチャイチャする様子がとても可愛らしかった。満足の30分だった。
「最高だったな! 速水!」
「そうだな! 原作で読んだとき、このエピソードは五本指に入るくらいに好きだから、アニメで観られて感激した! 動きがあって、声や音楽がついているって凄いな!」
俺が右手を出すと、すかさず速水は右手でハイタッチ。そして、その流れで速水と固く握手を交わした。お互いに好きなアニメを一緒に観た後はこうすることが多い。
「途中から見入って、コーヒーもラムネもあんまり口に入れなかった」
「俺は逆で、ずっとカップを持っていたから、終わったときにはタピオカミルクティーがなくなってたわ」
「ははっ、そっか」
「……ところで、5人のヒロイン達のウエディングドレス姿は可愛かったけど、速水なら誰と結婚したい? 俺は真夏先生がより好きになって、一番結婚したいと思っているけどな! でも、はるかちゃんもなかなかいいなって思ってる」
「なんだ? 羽柴は推しをはるかに変えるのか? 俺は文佳一筋なのは変わらないな。俺は文佳と結婚したい!」
「ほえっ?」
羽柴にしては物凄く可愛い声が聞こえてきたんだけど。しかも、羽柴のいる正面じゃなくて、キッチンのある方から。
キッチンの方を向くと、キッチンには顔を真っ赤にして俺を見ている文香の姿があった。そんな彼女はマグカップを持っている。
「えっと、その……わ、私と結婚したいってどういうこと? 1階に降りてきたときに、私一筋って言葉も聞こえた気がしたんだけど」
「……あー」
なるほど、状況を理解した。羽柴も理解したのか、右手で口を添えながら笑みを浮かべている。
「速水、俺から説明するか?」
「……いや、俺が説明するよ」
俺がやらなきゃいけないと思う。
さっき、俺は俺勝のヒロイン・文佳について、一筋であり、結婚したいと言った。
ただ、文佳の読みは「ふみか」。
なので、文香にとっては「自分一筋で、自分と結婚したい」と俺が言ったと勘違いしているんだ。まあ、三次元の人に限れば、俺は文香一筋で文香と結婚したいと思っているけれどさ。二次元を含めても文香が一番好きだし、結婚したい。
俺と文香以外には羽柴しかいないし、告白しようかと頭によぎったけど、そこまでの勇気は出なかった。それに、3年前に比べればマシな関係になっているけど、かつてのような仲には戻っていないし。
しかし、俺の反応や説明次第では、再びかなりの距離が生じてしまうかもしれない。慎重に話さなければ。
「えっと、文香。『ふみか』が一筋とか、結婚したいって確かに言った。ただ、その……アニメを観ている文香が覚えているかどうか分からないけれど、今、俺が言ったのはこの俺勝のヒロインの『文佳』ってキャラクターについてなんだ。そのキャラクターを推していて。だから、その……勘違いさせてごめんなさい」
俺は文香に向かって頭を下げた。
これで、さっき言った言葉が『文佳』というキャラクターに向けたものだと分かってくれただろうか。
「そ、そんな頭を下げるほどのことじゃないって。顔上げて」
文香がそう言ってくれるので、俺はゆっくりと顔を上げる。すると、目の前にははにかんで俺を見る文香の姿があった。怒ってはいない……かな。
「私こそ勘違いしちゃってごめん。名前が同じだから、つい私のことじゃないかと思っちゃって。1階に降りてきたときに『ふみか』って大輝が言ったのが聞こえたから」
「俺もOVAを観た直後じゃなかったら、桜井のことかなって思っていただろうな」
「同じ読み方だと勘違いしちゃうよな」
もし、俺勝のOVAを観ていなかったら、どんなことになっていただろうか。
文佳は同梱版の箱を手に取る。
「文佳ちゃんがウエディングドレスを着てる。テレビにも絵柄は違うけど、ウエディングドレスの文佳ちゃんが映っているし。これなら、大輝が文佳ちゃんと結婚したいって大声で言うのも納得ね」
「そう言われると、何か恥ずかしい気分になってくる」
「ふふっ。私もアニメを観ていたときは、同じ名前だから文佳ちゃんは気になっていたよ。あとは、かすみ先輩も好きかな」
「おおっ、桜井はかすみ先輩推しか」
「文佳ちゃんほどじゃないけどね。ただ、大輝がこんなにも文佳ちゃん推しなのは知らなかったわ。……わ、私と同じ名前なのも、推す理由やきっかけだったりするの?」
さっきほどではないけど、文香は顔を赤くしてチラチラと俺を見てくる。そんな文香を見ていると、文香は次元を問わず一番好きだと改めて思う。
「幼馴染と同じ読み方だから、文佳を気になるきっかけにはなったよ。もちろん、苦手な科目を頑張って勉強する姿勢とか、美人なところも気に入って彼女が推しになったんだ」
「……そうなんだ。そうなんだね」
えへへっ、と文香は可愛く笑った。その姿に凄くキュンときて。羽柴がいるから何とか冷静でいられるけど、2人きりだったらどうなっていたことか。
「わ、私も観てみたいな。TVアニメを観ていたし、ウエディングドレス姿のヒロイン達を見たら興味が出てきた」
「おっ、いいじゃないか。俺ももう一回、真夏先生のウエディングドレス姿を観たいぜ。速水はどうだ?」
「好きなエピソードだし、俺もこの大画面でもう一度観たいと思ってた。じゃあ、今度は文香と3人で観るか」
「ありがとう、大輝、羽柴君」
文香はキッチンでホットティーを作ると、俺の隣に座った。初めて観るので俺よりもテレビに近い方に。
今度は文香と3人でOVAを観始める。
文香がOVAに集中しているのをいいことに、俺は何度も文香を見るのであった。
途中のところにあるスーパーで、俺はボトル缶のブラックコーヒーとこの前小泉さんが持っていたいちご味のラムネ菓子、羽柴はタピオカミルクティーを買うことに。
タピオカドリンク店でバイトをしているのに、スーパーでタピオカミルクティーを買うのを不思議に思ったので、羽柴に訊いてみる。すると、
「たまに、スーパーやコンビニで売ってるタピオカドリンクを飲みたくなるんだよなぁ」
と、羽柴は笑顔で答えてくれた。
あと、母さんがパートをしているので店内を廻ると、精肉コーナーでウインナーの試食担当をしていた。さすがは母さんと言うべきか、試食で提供しているウインナーの袋がお客さんの買い物カゴにどんどん入っていく。母さん曰く、パート仲間や常連のお客さんから「試食の女神」と呼ばれているらしい。
お客さんがいなくなったタイミングで行くと、母さんは焼いたウインナーを俺達に渡してきた。
「美味いっすね!」
「美味しいな」
「ふふっ、ありがとう。このウインナー美味しいから、いつか買ってみてね」
「分かりました」
「母さん、パート頑張って」
「頑張ってください。これから、速水の家で今日買ったBlu-rayを一緒に観ます」
「そうなの。ゆっくりしていってね」
俺と羽柴が離れると、俺達の会話で笑顔を見せていたからか、すぐに多くのお客さんが母さんのところにやってきていた。さすがは試食の女神。
レジで会計を済ませ、俺達はスーパーを後にする。
それからはどこにも立ち寄らず、まっすぐ帰宅した。
「ただいま」
「お邪魔します」
家の中に入ると、玄関が開く音や俺達の声に気付いたのか、階段から文香が姿を現した。
「大輝、おかえり。羽柴君、こんにちは。予約していたものは受け取れた?」
「ああ、ちゃんと速水も俺も引き取れたぞ」
「予定通り、俺達はリビングでBlu-ray観たりしているから」
「分かった。私は部屋で漫画読んでいるから。羽柴君、ごゆっくり」
俺達に小さく手を振り、文香は再び2階へ上がっていった。
「桜井、ここでの生活に慣れてきた感じがするな」
「ああ。引っ越してきてから10日くらい経ったからな。それに、小学生時代は特にたくさん遊んだり、泊まりに来たりしていたし」
文香がここに住み始めてから色々なことがあった。だから、引っ越してきてから10日くらいしか経っていないことにちょっと不思議な気持ちになる。
俺と羽柴はリビングに入り、向かい合う形でソファーに座る。
俺の買ってきた俺勝の同梱版を開封。Blu-rayパッケージに描かれているウエディングドレス姿のヒロイン達が可愛らしい。
「真夏先生可愛いなぁ!」
羽柴はニッコリと笑みを浮かべながらそう言う。日本史教師の真夏先生が彼の推しキャラだもんなぁ。
OVAを観ようとテレビの電源を入れると、武蔵原市で起きた連続窃盗事件のニュースが映し出された。
「また武蔵原で窃盗が起きたんだね。今回は大学生の持っていたエコバッグか……」
「俺の家の方には大学がいくつもあるからなぁ。……盗まれたバッグには、タブレットや講義で使う教科書が入っていたのか。これは災難だな」
「そうだね」
そういえば、昨日のバイトの休憩中、萩原店長や百花さんに「武蔵原の方だけど、窃盗が起きているから気を付けた方がいい」って注意されたな。百花さんや彼女の友達は、幸いにも窃盗には遭っていないとのこと。
犯人は今も逃走中。パーカーを被っていたので、顔や年齢ははっきりしないそうだ。ただ、背は175cmくらいあって、脚も速いので若い男性ではないかといわれている。俺も気を付けないと。俺は走るのが得意なので、盗まれても犯人に追いつくかもしれないが。
気を取り直して、Blu-rayプレイヤーにOVAが収録されたディスクを挿入。
俺はスーパーで買った缶コーヒーや飲んだり、いちご味のラムネを食べたりしながらOVAを観ていく。
内容は原作では人気がありながらも、TVアニメ化されていなかったエピソード。主人公はヒロイン達のいる前で、以前バイトした店長から、近日オープンする結婚式場のパンフレットを渡される。それをきっかけに、ヒロイン達が主人公と同棲生活や新婚生活、結婚式について妄想する様子が描かれている。俺も原作漫画で初めて読んだときから、このエピソードが大好きだ。
ウエディングドレス姿のヒロイン達はもちろんのこと、妄想の中で主人公とイチャイチャする様子がとても可愛らしかった。満足の30分だった。
「最高だったな! 速水!」
「そうだな! 原作で読んだとき、このエピソードは五本指に入るくらいに好きだから、アニメで観られて感激した! 動きがあって、声や音楽がついているって凄いな!」
俺が右手を出すと、すかさず速水は右手でハイタッチ。そして、その流れで速水と固く握手を交わした。お互いに好きなアニメを一緒に観た後はこうすることが多い。
「途中から見入って、コーヒーもラムネもあんまり口に入れなかった」
「俺は逆で、ずっとカップを持っていたから、終わったときにはタピオカミルクティーがなくなってたわ」
「ははっ、そっか」
「……ところで、5人のヒロイン達のウエディングドレス姿は可愛かったけど、速水なら誰と結婚したい? 俺は真夏先生がより好きになって、一番結婚したいと思っているけどな! でも、はるかちゃんもなかなかいいなって思ってる」
「なんだ? 羽柴は推しをはるかに変えるのか? 俺は文佳一筋なのは変わらないな。俺は文佳と結婚したい!」
「ほえっ?」
羽柴にしては物凄く可愛い声が聞こえてきたんだけど。しかも、羽柴のいる正面じゃなくて、キッチンのある方から。
キッチンの方を向くと、キッチンには顔を真っ赤にして俺を見ている文香の姿があった。そんな彼女はマグカップを持っている。
「えっと、その……わ、私と結婚したいってどういうこと? 1階に降りてきたときに、私一筋って言葉も聞こえた気がしたんだけど」
「……あー」
なるほど、状況を理解した。羽柴も理解したのか、右手で口を添えながら笑みを浮かべている。
「速水、俺から説明するか?」
「……いや、俺が説明するよ」
俺がやらなきゃいけないと思う。
さっき、俺は俺勝のヒロイン・文佳について、一筋であり、結婚したいと言った。
ただ、文佳の読みは「ふみか」。
なので、文香にとっては「自分一筋で、自分と結婚したい」と俺が言ったと勘違いしているんだ。まあ、三次元の人に限れば、俺は文香一筋で文香と結婚したいと思っているけれどさ。二次元を含めても文香が一番好きだし、結婚したい。
俺と文香以外には羽柴しかいないし、告白しようかと頭によぎったけど、そこまでの勇気は出なかった。それに、3年前に比べればマシな関係になっているけど、かつてのような仲には戻っていないし。
しかし、俺の反応や説明次第では、再びかなりの距離が生じてしまうかもしれない。慎重に話さなければ。
「えっと、文香。『ふみか』が一筋とか、結婚したいって確かに言った。ただ、その……アニメを観ている文香が覚えているかどうか分からないけれど、今、俺が言ったのはこの俺勝のヒロインの『文佳』ってキャラクターについてなんだ。そのキャラクターを推していて。だから、その……勘違いさせてごめんなさい」
俺は文香に向かって頭を下げた。
これで、さっき言った言葉が『文佳』というキャラクターに向けたものだと分かってくれただろうか。
「そ、そんな頭を下げるほどのことじゃないって。顔上げて」
文香がそう言ってくれるので、俺はゆっくりと顔を上げる。すると、目の前にははにかんで俺を見る文香の姿があった。怒ってはいない……かな。
「私こそ勘違いしちゃってごめん。名前が同じだから、つい私のことじゃないかと思っちゃって。1階に降りてきたときに『ふみか』って大輝が言ったのが聞こえたから」
「俺もOVAを観た直後じゃなかったら、桜井のことかなって思っていただろうな」
「同じ読み方だと勘違いしちゃうよな」
もし、俺勝のOVAを観ていなかったら、どんなことになっていただろうか。
文佳は同梱版の箱を手に取る。
「文佳ちゃんがウエディングドレスを着てる。テレビにも絵柄は違うけど、ウエディングドレスの文佳ちゃんが映っているし。これなら、大輝が文佳ちゃんと結婚したいって大声で言うのも納得ね」
「そう言われると、何か恥ずかしい気分になってくる」
「ふふっ。私もアニメを観ていたときは、同じ名前だから文佳ちゃんは気になっていたよ。あとは、かすみ先輩も好きかな」
「おおっ、桜井はかすみ先輩推しか」
「文佳ちゃんほどじゃないけどね。ただ、大輝がこんなにも文佳ちゃん推しなのは知らなかったわ。……わ、私と同じ名前なのも、推す理由やきっかけだったりするの?」
さっきほどではないけど、文香は顔を赤くしてチラチラと俺を見てくる。そんな文香を見ていると、文香は次元を問わず一番好きだと改めて思う。
「幼馴染と同じ読み方だから、文佳を気になるきっかけにはなったよ。もちろん、苦手な科目を頑張って勉強する姿勢とか、美人なところも気に入って彼女が推しになったんだ」
「……そうなんだ。そうなんだね」
えへへっ、と文香は可愛く笑った。その姿に凄くキュンときて。羽柴がいるから何とか冷静でいられるけど、2人きりだったらどうなっていたことか。
「わ、私も観てみたいな。TVアニメを観ていたし、ウエディングドレス姿のヒロイン達を見たら興味が出てきた」
「おっ、いいじゃないか。俺ももう一回、真夏先生のウエディングドレス姿を観たいぜ。速水はどうだ?」
「好きなエピソードだし、俺もこの大画面でもう一度観たいと思ってた。じゃあ、今度は文香と3人で観るか」
「ありがとう、大輝、羽柴君」
文香はキッチンでホットティーを作ると、俺の隣に座った。初めて観るので俺よりもテレビに近い方に。
今度は文香と3人でOVAを観始める。
文香がOVAに集中しているのをいいことに、俺は何度も文香を見るのであった。
0
読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。
『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889
『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601
『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/120759248
『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889
『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601
『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/120759248
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説

僕(じゃない人)が幸せにします。
暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】
・第1章
彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。
そんな彼を想う二人。
席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。
所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。
そして彼は幸せにする方法を考えつく――――
「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」
本当にそんなこと上手くいくのか!?
それで本当に幸せなのか!?
そもそも幸せにするってなんだ!?
・第2章
草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。
その目的は――――
「付き合ってほしいの!!」
「付き合ってほしいんです!!」
なぜこうなったのか!?
二人の本当の想いは!?
それを叶えるにはどうすれば良いのか!?
・第3章
文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。
君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……
深町と付き合おうとする別府!
ぼーっとする深町冴羅!
心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!?
・第4章
二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。
期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する――
「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」
二人は何を思い何をするのか!?
修学旅行がそこにもたらすものとは!?
彼ら彼女らの行く先は!?
・第5章
冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。
そんな中、深町凛紗が行動を起こす――
君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!
映像部への入部!
全ては幸せのために!
――これは誰かが誰かを幸せにする物語。
ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。
作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2024.8.2)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

管理人さんといっしょ。
桜庭かなめ
恋愛
桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。
しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。
風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、
「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」
高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。
ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!
※特別編10が完結しました!(2024.6.21)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※続編がスタートしました!(2025.2.8)
※1日1話ずつ公開していく予定です。
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる