サクラブストーリー

桜庭かなめ

文字の大きさ
上 下
19 / 194
本編-春休み編-

第18話『季節外れの雪』

しおりを挟む
 3月29日、日曜日。
 ゆっくりと目を覚ますと、部屋の中がうっすらと明るくなっている。
 壁に掛かっている時計を見ると……今は午前7時過ぎか。今日はバイトがないけど、もう起きようかな。そう思ってベッドから降りた瞬間、

「寒っ」

 真冬の時期のような冷たい空気が体を包み込む。そういえば、昨日の天気予報で夜中から雪が降ると言っていたか。まったく、冬の間に寒くなってほしいものだ。いったい何があって、冬将軍様はこの時期に起きてしまわれたのか。最近は暖かい日が多かったから、かなり寒く感じるなぁ。
 どのくらい降っているのかを確かめるため、窓を少し開けて外を見てみると、

「おおっ、これは凄い」

 外には銀世界が広がっていた。昨日の天気予報では数センチ積もる予想になっていたけど、既にそのくらいは積もっていると思われる。今も大粒の雪が降っているし、10センチくらいは積もりそうな勢いだ。
 小さい頃なら、この季節外れの大雪にはしゃぎ、すぐに外へ出ていたと思う。だけど、今は――。

「二度寝しよう」

 今日は春休みでバイトもないんだ。まだ午前7時過ぎだし、二度寝をするには最高の条件じゃないか。それに、こんなに寒い日に温かいふとんの中に入らないなんてもったいない。

「うわあっ、雪が積もってるっ! すごーい!」

 そんな文香の楽しげな声が聞こえたので、文香の部屋の方を見てみると、文香が窓から顔を出して雪景色を楽しんでいるようだ。文香は小さい頃のように無邪気な表情をしており、目を輝かせている。現在の文香からでは考えられない様子なので、今も夢を見ているのかと思ってしまう。
 雪景色を堪能するためか、文香は周りの景色を見ていく。

「……えっ」

 当然、俺と目が合ってしまうわけで。その瞬間、文香の顔から笑みは消え、とても強い赤みを帯びるように。

「おはよう、文香」
「……お、おはよう、大輝。よ、予報以上に雪が積もってるね……」
「そうだな。今も降っているし、数センチどころか10センチくらいは積もりそうだ」
「そ、そうだね。こんなに雪が積もるのは珍しいし、小さい頃は雪が大好きだったから、さっきは思わず大きな声が出ちゃったの。それだけなんだから」
「……そうか」

 雪が積もっていると言ったときの声のトーンと無邪気そうな表情からして、文香は現在進行形で雪が大好きに思えるけど。
 このまま窓を開けていると寒いし、俺がいたら文香の顔の赤みも引かなそうなので、そろそろ会話を終わらせるか。

「まだ7時過ぎだし、今日はバイトもないから俺は二度寝するよ」
「そ、そうなんだ。こんなに寒い日だと、ベッドの中は温かくて気持ちいいもんね。私ももう少しベッドに入っていようかな」
「うんうん、それがいい。それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」

 文香は小さく手を振ってくるので、俺は彼女に向けて小さく手を振り、窓を閉めた。まさか、ああいう形で文香と話せるとは。季節外れの雪も悪くないかも。
 ベッドの中に入ると、まだまだ温もりが残っていて気持ちがいい。もし、文香と一緒に寝たらもっと温かくなって、いい匂いもして気持ち良さそ――。

「……って、何を考えているんだ」

 文香の住まいがあのマンションだったならまだしも、今は一つ屋根の下で隣の部屋にいる。やろうと思えばすぐにできるからこそ、大きな罪悪感を抱く。
 文香のことを考えたから体がかなり熱くなって、ベッドの中も温かくなったけど、二度寝をするまでには時間がかかってしまったのであった。



 午前9時過ぎに二度寝から起床。
 外を見てみると、依然として大粒の雪が降っていた。
 朝食を食べているときに見た天気予報では、雪は昼過ぎまで降り、四鷹市が該当する東京都下は15センチ積もる予想になっている。この時期に、ここまでの大雪になるのは珍しいらしい。
 朝食中に、母さんから父さんと一緒に雪かきをしてほしいとお願いされた。ただ、文香が、

「私も雪かきをやりますので、徹さんはゆっくりしていてください。私、雪好きですし」

 と申し出たため、文香と2人で雪かきをすることになった。小さい頃ほどではないかもしれないけど、文香の雪好きは健在か。
 そういえば、文香と俺が小学生の頃、遊びに来た文香と3人で家の雪かきをしたことがあったな。ただ、途中から雪かきはそっちのけで、庭で雪合戦したり、雪だるまを作ったりしたことも。そのせいで体が冷えたから、3人で風呂に入ったときもあった。
 朝食を食べ終わり、少し食休みをした後、俺は文香と一緒に雪かきをすることに。

「おおっ、寒いな」

 厚手の服の上に冬の黒いコートを着て、手袋を付けているにも関わらず、外に出た瞬間に体が震える。雪が降るほどだもんなぁ。最近は暖かい日が多いからか、とても寒く感じられる。
 うちの敷地内にも雪が積もっている。新聞を取りに行ったからか、玄関からポストの間にある足跡以外はまっさらだ。

「本当に寒いね。雪も結構積もっているし。もうすぐで4月になるとは思えない」

 ブラウンのダッフルコートを着て、ベージュの手袋を身につけている文香も、寒そうな様子だ。

「そういえば、さっき、千葉は雪が降ってるって和奏姉さんからメッセージをもらったけど、名古屋の方はどうなんだろう?」
「私も同じことを思って、お母さんに訊いた。二度目に起きて、部屋から見える雪景色の写真を送ったときに。向こうは雨で昼頃からは晴れるって。最高気温も15℃くらい行くらしい」
「こっちとは随分違うな」

 東京は昼過ぎに雪が止むけど、その後はずっと曇り。最高気温も4℃だからな。

「大輝。どこら辺を雪かきすればいい? もう何年もここの雪かきをしていないから忘れちゃって。といっても、遊んじゃうことが多かったけど」
「そうだったな。毎回、雪が積もったときにやるのは、そこにある雪かきスコップを使って、玄関から門まで道を作ることと、物干し場に積もっている雪を取り除くことだね。俺が門までの道を作るから、文香は物干し場の方をやってくれるか? 物干し場の雪は近くに置いてくれればいいから」
「分かった」

 それから、俺は玄関から門までの間、文香は物干し場の雪かきを始める。
 まさか、文香と一緒に家の雪かきをする日が来るとは。3年前のあのことがあってからも、雪が積もっても文香が家に来ることはなかった。それもあってか、こうしていることに嬉しい気持ちになる。
 文香の方をチラッと見てみると、文香はスコップを使って、黙々と物干し場で雪かきをしている。ほんと、夢みたいな光景だ。ずっと見続けていたいけど、バレたら気まずい空気になりそうだからちゃんと雪かきしよう。
 ほとんど踏まれていないからか、スコップが雪の中にすんなりと入っていく。高校生になって体力がついたのもあるだろうけど、とても雪かきがしやすい。

「ねえ、大輝。こうしていると、懐かしい気分になるね」
「そうだな。俺達が小学生だったときは、このくらいの雪が降ると、庭で雪遊びをしたり、こもれび公園で待ち合わせして雪合戦したりしてたよな」
「うん、してた。和奏ちゃん、雪合戦強かったよね。投げる雪玉がとても速くて」
「そうだったなぁ。中学生になると、バドミントン部で鍛えたからなのか、速さと当たったときの痛さがえげつなかった。よけるのは得意だけど、あの時代の姉さんの雪玉は結構当たったし。そういえば、文香も雪合戦は得意だったよな」
「和奏ちゃんほどじゃないけど」

 何度か、男女別という分け方で、俺1人で和奏姉さんと文香と対戦したことがあった。だけど、一度も勝てたことがなかったな。当時は闘志を燃やしていたけど、今思えば一度も勝てないのは当たり前だと分かる。

「雪玉を投げることを、大輝は別の言い方をしてなかった? 何とかストレート」
「雪玉ストレートだな。小学校の低学年のときに俺が命名した」

 そういう名前を付けると、何だか格好いい気がしたから。それに、ただ投げるよりも速くて強い雪玉になりそうだと思えたから。子供らしい夢のある考えだ。実際は多少かっこよく思えたくらいで、速くて強い雪玉にはならなかった。そうした体験を経て現実を知っていくのだ。

「雪玉ストレートだったか。ただ、大輝は雪合戦よりも、雪だるまやミニかまくらを作るのが得意だったよね」
「庭によく作ってたな」

 雪合戦も好きだけど、平和に何かを作る方がより好きだった。
 そういえば、俺がとても小さいとき、和奏姉さんが雪合戦で投げた雪玉が俺の作った雪だるまに当たって、壊されたことがあったな。それが凄くショックだった。雪の上で駄々をこねて、そのせいで翌日に風邪を引いたんだっけ。
 こうして振り返ると、雪絡みでの文香との思い出は結構あるんだなぁと思うのであった。
しおりを挟む
読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。

『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の続編がスタートしました!(2025.2.8) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/89864889

『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』は全編公開中です。 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。宜しくお願いします。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/441389601

『まずはお嫁さんからお願いします。』は全編公開中です。高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/347811610/120759248
感想 1

あなたにおすすめの小説

僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】 ・第1章  彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。  そんな彼を想う二人。  席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。  所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。  そして彼は幸せにする方法を考えつく―――― 「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」  本当にそんなこと上手くいくのか!?  それで本当に幸せなのか!?  そもそも幸せにするってなんだ!? ・第2章  草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。  その目的は―――― 「付き合ってほしいの!!」 「付き合ってほしいんです!!」  なぜこうなったのか!?  二人の本当の想いは!?  それを叶えるにはどうすれば良いのか!? ・第3章  文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。  君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……  深町と付き合おうとする別府!  ぼーっとする深町冴羅!  心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!? ・第4章  二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。  期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する―― 「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」  二人は何を思い何をするのか!?  修学旅行がそこにもたらすものとは!?  彼ら彼女らの行く先は!? ・第5章  冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。  そんな中、深町凛紗が行動を起こす――  君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!  映像部への入部!  全ては幸せのために!  ――これは誰かが誰かを幸せにする物語。 ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。 作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2024.8.2)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編10が完結しました!(2024.6.21)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※続編がスタートしました!(2025.2.8)  ※1日1話ずつ公開していく予定です。  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

処理中です...