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本編-春休み編-
第11話『お花見-前編-』
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午前11時過ぎ。
お弁当や飲み物などを持った文香達がやってきた。文香は前に俺がプレゼントをしたバッグを肩に掛けている。そういえば、休日に外で見かけるときはいつも肩に掛けているなぁ。どこに行くにも持っていくのかな。
おそらく、和奏姉さんの持っている包みの中に、おかずが詰められた重箱が入っているのだろう。あと、母さんと美紀さんが2人で青いクーラーボックスを持っている。結構大きいけど、どれだけ飲み物を入れてきたんだ?
母親達を含めて美人揃いだから、近くにいる花見客達の多くから視線を集めている。俺にとっては文香がひときわ魅力的に見えて。ベージュのロングスカートに、桃色の長袖のカットソーという服装がよく似合っている。
「大輝、いい場所を確保できたね! よくやった!」
「いい場所ですよね、和奏ちゃん」
「ありがとう、和奏姉さん、文香。9時過ぎに来たから人もあまりいなかったよ。だから、ここにシートを敷けたんだ。ラノベを読んだり、羽柴が来てからはアニメとかの話題で盛り上がったりしたからあっという間だったよ。お弁当作り、お疲れ様です」
「文香と大輝君のお友達も来るし、あたしは明日引っ越すから、いつも以上に腕によりを掛けて作ったわ!」
「とても楽しそうに作っていたよね、美紀ちゃん。学生時代や文香ちゃん達が小さい頃のことを思い出したわ」
美紀さんは料理やお菓子作りが好きだからなぁ。文香と俺が小さい頃は特に、文香の家に遊びに行くと手作りのお菓子を出してくれたっけ。たまに、お菓子作りを手伝わされたこともあったな。
明日、哲也おじさんと一緒に名古屋に引っ越して、文香達と離れ離れになる。だから、お弁当作りを通して、思い出を作りたかったのかもしれない。そして、その時間はとても楽しいものになったようだ。
「ところで、大輝君。こちらの金髪のイケメン君が大輝君の誘ったお友達かしら?」
美紀さんが俺にそう訊いてくる。そうか、美紀さんと羽柴は面識がないのか。羽柴と一緒に文香の家に行ったことはないし、俺の家に遊びに来たときも美紀さんと会うことはなかったな。
「そうです。羽柴拓海といって、文香と俺、これから来る小泉さんともクラスメイトです」
「そうなのね。初めまして、文香の母で美紀といいます」
「羽柴拓海です、初めまして。速水達とは高校で同じクラスになったことで知り合って、特に速水とは漫画やアニメ仲間で親友です」
「そうなんだ。これからもよろしくね。ところで、あなたとはどこかで話したような気がするけど……大輝君みたいに飲食店でバイトしてる?」
「はい。四鷹駅の北口にあるタピオカドリンク店で。パールヨタカって言うんですけど」
「ああ、あそこね! 去年の夏頃に、主人とデートしたときにその店へ行ったわ。そのときに接客してくれたのがあなただった」
美紀さんと哲也おじさんは仲がいいので、小さい頃から休日に2人でデートした話は文香が何度もしてくれた。ただ、デート中にタピオカドリンク店に行くとは。美紀さんはまだしも、哲也おじさんまで。おじさんがタピオカドリンクを飲む姿……シュールな映像が浮かんだぞ。強面だし。
「覚えていてくれて嬉しいですね。常連の方なら覚えているんですが。……あっ、ただ……去年の夏頃だと、とても大柄で強面の中年男性の方は覚えてます。そういえば、その方は桜井のお袋さんのような感じの女性と一緒でしたね」
「もしかしたら、その強面の男性は主人かもしれない」
美紀さんと母さんはクーラーボックスをレジャーシートの上に置く。
美紀さんはズボンのポケットからスマホを取り出し、何度か操作した後、画面を羽柴に見せる。その瞬間、羽柴は目を見開く。
「こ、この方です。そうでしたか。ご主人でしたか」
「主人の顔は印象に残りやすいからね。主人はタピオカミルクコーヒーを買ったけど、とても美味しいと絶賛していたわ」
「それは良かったです。文香さんと速水から聞いていますけど、名古屋に引っ越すんですよね。姉妹店に『パールナゴヤ』がありますので、向こうでは是非、ご利用ください。四鷹に帰ってきたときには、また『パールヨタカ』を」
「ええ、もちろん!」
上機嫌で返事をする美紀さん。
バイトしている店だけじゃなくて、名古屋にある姉妹店の宣伝をするとは。さすがは羽柴だ。
あと、萩原店長から聞いた話だと、羽柴のおかげでパールヨタカの女性のリピーターが激増したそうだ。タピオカ好きの女子に好かれそうなイケメン顔だからな、こいつ。
「そういえば、母さん。そのクーラーボックスには何が入っているんだ? 随分デカいけど」
「飲み物よ。私と美紀ちゃんが呑むお酒もたくさん入っているわ」
「なるほど。だから、こんなに大きいのか」
母さんも美紀さんも、呑むときは結構呑むからなぁ。
レジャーシートの真ん中辺りに、文香達が作ってくれたおかずや煮物、ちらし寿司が入った重箱、羽柴が買ってきてくれたお菓子を並べる。それを囲むようにして、俺達は腰を下ろす。ちなみに、座る位置は俺から時計回りに、文香、美紀さん、母さん、羽柴、和奏姉さん。
母さん発案で乾杯することになり、母さんと美紀さんは缶ビール。未成年組はノンカロリーコーラを飲むことに。俺は文香が持ってきた紙コップを人数分取って、コーラを注ぎ始める。
「そういえば、文香もコーラで大丈夫か? 小さい頃は炭酸は一口で限界だったけど」
「さすがに、あのときに比べれば炭酸を飲めるようになったよ。だから、コーラで大丈夫」
「了解」
4人分のコーラを紙コップに注ぎ、それぞれに渡していく。
「全員に飲み物が行き渡ったわね。乾杯しようって言ったから、私が音頭をとるね。今年も穏やかな気候の中で、こもれび公園でみんなとお花見ができて嬉しいです。羽柴君も来てくれてありがとう。じゃあ、飲んで食べて楽しみましょう! 乾杯!」
『かんぱーい!』
俺は持っている紙コップを、みんなの持っている紙コップや缶に軽く当て、コップに入っているコーラを一気に飲む。
「あー、冷えてて美味い!」
普段はコーヒーやお茶系ばかり飲むから、コーラを飲むのはひさしぶりだ。今年に入ってからは初めてかもしれない。
「ノンカロリーでも、甘さがあって美味しいよな」
「美味しいわよね。美味しくてカロリー無しって最強よね!」
羽柴と和奏姉さんはノンカロリーコーラに満足しているようだ。
文香の方を見ると、ちょうどコーラを飲んでいるところだった。ゴクッ、ゴクッと飲むと文香は顔をしかめる。その直後に俺に見られていることに気付き、彼女の頬が紅潮する。
「あ、開けたばっかりだから、炭酸強いね。普段はあまり飲まないし、ちょっと驚いちゃった。でも、美味しい」
「良かったな。……重箱に入っているおかず、どれも美味しそうだ」
「美味そうだよな。俺、腹減ってきたぜ」
「あたしはアスパラの肉巻きを作ったんだよ。文香ちゃんは何を作ったんだっけ?」
「ええと……ミニハンバーグとミートボール、あとは玉子焼き」
文香が作ったのはハンバーグにミートボール、玉子焼きか。覚えたぞ。
「お母さんは唐揚げにミニエビフライを作ったわ~」
「あたしは筑前煮にちらし寿司を作ったよ! 頑張ったんだから!」
「頑張ってたよね、美紀ちゃん」
ふふっ、と母さんと美紀さんは声に出して笑っている。2人の顔がほんのりと赤くなっているし、さっそく酔っ払い始めたようだ。
「さあ、みんな。お母さん達が作った料理を食べて~」
「俺が買ってきたお菓子も食べてください」
みんながつまみやすいよう、羽柴は苺マシュマロとポテトチップスの袋を広げてレジャーシートの上に置いた。すると、「おつまみにいいね」と母さんと美紀さんがさっそくポテチに手を伸ばしている。そのことに羽柴は「ははっ」と笑う。
お菓子も魅力的だけど、まずは文香達が作ってきてくれた料理だな。特に文香の作ったおかず。それだけを取ると、文香に変に思われるかもしれないので、彼女の作ったおかずだけでなく、唐揚げとアスパラの肉巻きも一つずつ取って、紙皿に乗せる。その中で、文香特製のミニハンバーグを最初に食べた。
「うん、ハンバーグ美味しい。さすがは文香」
「このミートボールも美味いぞ。桜井は料理が上手なんだな」
「ありがとう、大輝、羽柴君。昔からお母さんの手伝いをしていて。そのおかげで料理が好きになっていったの」
ちょっと照れくさそうに言う文香。そして、俺と目が合うと、恥ずかしいのかすぐに視線を逸らし、和奏姉さん特製のアスパラの肉巻きを食べる。
「美味しいです、和奏ちゃん!」
「そう言ってくれて良かった。ありがとう」
和奏姉さんは嬉しそうに言うと、紙皿に取っていたちらし寿司を食べる。
「和奏ちゃん、どうかしら?」
「とっても美味しいですよ! このタイミングで帰省して良かったです。美紀さんの作った美味しい料理が食べられたので」
「もう、和奏ちゃんったら。口が上手いんだから。でも、若い頃の優子もそう言ってくれたっけ」
「出会った中学時代には、美紀ちゃんはもう料理が上手だったからね。たまに、お弁当のおかずを交換したよね~」
「したわねぇ。今の子は分からないけど、あたし達の時代はお昼ご飯での話題は漫画とか、前日の夜にやっていたドラマやアニメのことばっかりだったなぁ」
「そうなんですか。ちなみに、お二人の中高生時代は、どんな作品を観ていたんですか? 俺、結構気になりますね」
その一言で、羽柴は母さんと美紀さんと、当時の漫画やアニメの話題で花を咲かせる。羽柴は親世代の若い頃に流行った作品も好きだからなぁ。和奏姉さんによるちらし寿司の感想から、まさかこういう展開になるとは。
「羽柴君とは去年の帰省中にアニメで盛り上がったな」
「そうだったな」
「……そうだ、大輝もあたしの作った肉巻きを食べてみてよ。食べさせてあげよっか?」
そう言うと、和奏姉さんは俺の紙皿にある肉巻きを勝手に掴んで、俺の口に近づける。
「はい、大輝。あ~ん」
「や、やめろって。家ならともかく、ここは外だぞ」
「正月以来に帰省したんだし、このくらいのことはさせてよ」
「……しょうがないな。あーん」
俺は和奏姉さんにアスパラの肉巻きを食べさせてもらう。そのときに周りの様子を見ると、俺達を見ていたのは文香くらいだった。これならあまり恥ずかしくないな。
「……うん、美味しいよ」
「良かった。……フミちゃんも、自分の作ったおかずを大輝に食べさせたらどうかな?」
「ほえっ?」
「へっ?」
言葉は違うけれど、文香と俺はほぼ同じタイミングで変な声を出してしまった。そんな反応が面白かったのか、和奏姉さんはニヤリと笑う。
文香をチラッと見ると、ハンバーグの感想を言ったときとは比にならないくらいに赤くなっていた。
文香とは数え切れないほどに食べさせあったり、一口交換をしたりしたけど、それは小学生までの話。高校生になった今、食べさせてもらっていいのだろうか。それに、もし文香の箸で食べさせてもらったら、彼女と間接キスすることになるし。
「和奏姉さん。姉さんならまだし――」
「いいよ。玉子焼き、食べさせてあげる」
「へっ?」
文香の方を向くと、彼女は自分の箸で重箱にある玉子焼きを一つ掴む。その玉子焼きを俺の口の近くまで持っていく。
「お、お花見は年に一度か二度くらいしかしないし。和奏ちゃんも大輝に肉巻きを食べさせたから、私も昔みたいに食べさせてもいいかなって思ったの。玉子焼きの感想も聞きたいし。そ、それだけなんだからね」
視線をちらつかせながらそう言う文香が何とも可愛らしくて。恥ずかしさはあるけど、今は文香の気持ちに応えたい気持ちの方が勝る。
「……分かった。じゃあ、その玉子焼きを食べさせてくれるかな」
「……う、うん。はい、あ~ん」
「あーん」
――カシャッ。
俺は文香に玉子焼きを食べさせてもらう。
甘めに作ったのか、玉子焼きが口の中に入った瞬間にほんのりと甘味が感じられた。噛んでいく度に、その甘味がどんどん口の中全体に広がっていく。こんなに甘いのは、文香の箸で食べさせてくれたからかな。
「凄く美味しい。甘くて俺好みだ」
「ありがとう。大輝は昔から玉子焼きは甘いのが好きだよね。……上手に作れて良かった」
俺にしか聞こえないような声でそう言うと、文香はほっと胸を撫で下ろす。そんな文香の口元は緩んでいた。
それにしても、一つ気になることがある。
「玉子焼きを食べさせてもらったとき、シャッター音が聞こえましたけど、誰か俺達のことを撮影したんですか?」
「あっ、それお母さん! 何か起こりそうだって羽柴君が教えてくれたから、スマホを持って構えてたの」
「母さんだったのか。あと、羽柴もグルだったんだな」
「お袋さん達と話しながら、たまにそっちを見ていたからな」
羽柴は笑って白い歯を見せる。けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。
母さんに写真を撮られたのは恥ずかしいけど……もし、いい感じに撮れていたら後で俺のスマホに送ってもらおう。
「あたしも今のシーンを撮影したよ」
そんな声が背後から聞こえたので、俺はゆっくりと振り返る。
すると、そこには水色のエナメルバッグを肩に掛けた、四鷹高校の制服姿の小泉さんが立っていたのであった。
お弁当や飲み物などを持った文香達がやってきた。文香は前に俺がプレゼントをしたバッグを肩に掛けている。そういえば、休日に外で見かけるときはいつも肩に掛けているなぁ。どこに行くにも持っていくのかな。
おそらく、和奏姉さんの持っている包みの中に、おかずが詰められた重箱が入っているのだろう。あと、母さんと美紀さんが2人で青いクーラーボックスを持っている。結構大きいけど、どれだけ飲み物を入れてきたんだ?
母親達を含めて美人揃いだから、近くにいる花見客達の多くから視線を集めている。俺にとっては文香がひときわ魅力的に見えて。ベージュのロングスカートに、桃色の長袖のカットソーという服装がよく似合っている。
「大輝、いい場所を確保できたね! よくやった!」
「いい場所ですよね、和奏ちゃん」
「ありがとう、和奏姉さん、文香。9時過ぎに来たから人もあまりいなかったよ。だから、ここにシートを敷けたんだ。ラノベを読んだり、羽柴が来てからはアニメとかの話題で盛り上がったりしたからあっという間だったよ。お弁当作り、お疲れ様です」
「文香と大輝君のお友達も来るし、あたしは明日引っ越すから、いつも以上に腕によりを掛けて作ったわ!」
「とても楽しそうに作っていたよね、美紀ちゃん。学生時代や文香ちゃん達が小さい頃のことを思い出したわ」
美紀さんは料理やお菓子作りが好きだからなぁ。文香と俺が小さい頃は特に、文香の家に遊びに行くと手作りのお菓子を出してくれたっけ。たまに、お菓子作りを手伝わされたこともあったな。
明日、哲也おじさんと一緒に名古屋に引っ越して、文香達と離れ離れになる。だから、お弁当作りを通して、思い出を作りたかったのかもしれない。そして、その時間はとても楽しいものになったようだ。
「ところで、大輝君。こちらの金髪のイケメン君が大輝君の誘ったお友達かしら?」
美紀さんが俺にそう訊いてくる。そうか、美紀さんと羽柴は面識がないのか。羽柴と一緒に文香の家に行ったことはないし、俺の家に遊びに来たときも美紀さんと会うことはなかったな。
「そうです。羽柴拓海といって、文香と俺、これから来る小泉さんともクラスメイトです」
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「羽柴拓海です、初めまして。速水達とは高校で同じクラスになったことで知り合って、特に速水とは漫画やアニメ仲間で親友です」
「そうなんだ。これからもよろしくね。ところで、あなたとはどこかで話したような気がするけど……大輝君みたいに飲食店でバイトしてる?」
「はい。四鷹駅の北口にあるタピオカドリンク店で。パールヨタカって言うんですけど」
「ああ、あそこね! 去年の夏頃に、主人とデートしたときにその店へ行ったわ。そのときに接客してくれたのがあなただった」
美紀さんと哲也おじさんは仲がいいので、小さい頃から休日に2人でデートした話は文香が何度もしてくれた。ただ、デート中にタピオカドリンク店に行くとは。美紀さんはまだしも、哲也おじさんまで。おじさんがタピオカドリンクを飲む姿……シュールな映像が浮かんだぞ。強面だし。
「覚えていてくれて嬉しいですね。常連の方なら覚えているんですが。……あっ、ただ……去年の夏頃だと、とても大柄で強面の中年男性の方は覚えてます。そういえば、その方は桜井のお袋さんのような感じの女性と一緒でしたね」
「もしかしたら、その強面の男性は主人かもしれない」
美紀さんと母さんはクーラーボックスをレジャーシートの上に置く。
美紀さんはズボンのポケットからスマホを取り出し、何度か操作した後、画面を羽柴に見せる。その瞬間、羽柴は目を見開く。
「こ、この方です。そうでしたか。ご主人でしたか」
「主人の顔は印象に残りやすいからね。主人はタピオカミルクコーヒーを買ったけど、とても美味しいと絶賛していたわ」
「それは良かったです。文香さんと速水から聞いていますけど、名古屋に引っ越すんですよね。姉妹店に『パールナゴヤ』がありますので、向こうでは是非、ご利用ください。四鷹に帰ってきたときには、また『パールヨタカ』を」
「ええ、もちろん!」
上機嫌で返事をする美紀さん。
バイトしている店だけじゃなくて、名古屋にある姉妹店の宣伝をするとは。さすがは羽柴だ。
あと、萩原店長から聞いた話だと、羽柴のおかげでパールヨタカの女性のリピーターが激増したそうだ。タピオカ好きの女子に好かれそうなイケメン顔だからな、こいつ。
「そういえば、母さん。そのクーラーボックスには何が入っているんだ? 随分デカいけど」
「飲み物よ。私と美紀ちゃんが呑むお酒もたくさん入っているわ」
「なるほど。だから、こんなに大きいのか」
母さんも美紀さんも、呑むときは結構呑むからなぁ。
レジャーシートの真ん中辺りに、文香達が作ってくれたおかずや煮物、ちらし寿司が入った重箱、羽柴が買ってきてくれたお菓子を並べる。それを囲むようにして、俺達は腰を下ろす。ちなみに、座る位置は俺から時計回りに、文香、美紀さん、母さん、羽柴、和奏姉さん。
母さん発案で乾杯することになり、母さんと美紀さんは缶ビール。未成年組はノンカロリーコーラを飲むことに。俺は文香が持ってきた紙コップを人数分取って、コーラを注ぎ始める。
「そういえば、文香もコーラで大丈夫か? 小さい頃は炭酸は一口で限界だったけど」
「さすがに、あのときに比べれば炭酸を飲めるようになったよ。だから、コーラで大丈夫」
「了解」
4人分のコーラを紙コップに注ぎ、それぞれに渡していく。
「全員に飲み物が行き渡ったわね。乾杯しようって言ったから、私が音頭をとるね。今年も穏やかな気候の中で、こもれび公園でみんなとお花見ができて嬉しいです。羽柴君も来てくれてありがとう。じゃあ、飲んで食べて楽しみましょう! 乾杯!」
『かんぱーい!』
俺は持っている紙コップを、みんなの持っている紙コップや缶に軽く当て、コップに入っているコーラを一気に飲む。
「あー、冷えてて美味い!」
普段はコーヒーやお茶系ばかり飲むから、コーラを飲むのはひさしぶりだ。今年に入ってからは初めてかもしれない。
「ノンカロリーでも、甘さがあって美味しいよな」
「美味しいわよね。美味しくてカロリー無しって最強よね!」
羽柴と和奏姉さんはノンカロリーコーラに満足しているようだ。
文香の方を見ると、ちょうどコーラを飲んでいるところだった。ゴクッ、ゴクッと飲むと文香は顔をしかめる。その直後に俺に見られていることに気付き、彼女の頬が紅潮する。
「あ、開けたばっかりだから、炭酸強いね。普段はあまり飲まないし、ちょっと驚いちゃった。でも、美味しい」
「良かったな。……重箱に入っているおかず、どれも美味しそうだ」
「美味そうだよな。俺、腹減ってきたぜ」
「あたしはアスパラの肉巻きを作ったんだよ。文香ちゃんは何を作ったんだっけ?」
「ええと……ミニハンバーグとミートボール、あとは玉子焼き」
文香が作ったのはハンバーグにミートボール、玉子焼きか。覚えたぞ。
「お母さんは唐揚げにミニエビフライを作ったわ~」
「あたしは筑前煮にちらし寿司を作ったよ! 頑張ったんだから!」
「頑張ってたよね、美紀ちゃん」
ふふっ、と母さんと美紀さんは声に出して笑っている。2人の顔がほんのりと赤くなっているし、さっそく酔っ払い始めたようだ。
「さあ、みんな。お母さん達が作った料理を食べて~」
「俺が買ってきたお菓子も食べてください」
みんながつまみやすいよう、羽柴は苺マシュマロとポテトチップスの袋を広げてレジャーシートの上に置いた。すると、「おつまみにいいね」と母さんと美紀さんがさっそくポテチに手を伸ばしている。そのことに羽柴は「ははっ」と笑う。
お菓子も魅力的だけど、まずは文香達が作ってきてくれた料理だな。特に文香の作ったおかず。それだけを取ると、文香に変に思われるかもしれないので、彼女の作ったおかずだけでなく、唐揚げとアスパラの肉巻きも一つずつ取って、紙皿に乗せる。その中で、文香特製のミニハンバーグを最初に食べた。
「うん、ハンバーグ美味しい。さすがは文香」
「このミートボールも美味いぞ。桜井は料理が上手なんだな」
「ありがとう、大輝、羽柴君。昔からお母さんの手伝いをしていて。そのおかげで料理が好きになっていったの」
ちょっと照れくさそうに言う文香。そして、俺と目が合うと、恥ずかしいのかすぐに視線を逸らし、和奏姉さん特製のアスパラの肉巻きを食べる。
「美味しいです、和奏ちゃん!」
「そう言ってくれて良かった。ありがとう」
和奏姉さんは嬉しそうに言うと、紙皿に取っていたちらし寿司を食べる。
「和奏ちゃん、どうかしら?」
「とっても美味しいですよ! このタイミングで帰省して良かったです。美紀さんの作った美味しい料理が食べられたので」
「もう、和奏ちゃんったら。口が上手いんだから。でも、若い頃の優子もそう言ってくれたっけ」
「出会った中学時代には、美紀ちゃんはもう料理が上手だったからね。たまに、お弁当のおかずを交換したよね~」
「したわねぇ。今の子は分からないけど、あたし達の時代はお昼ご飯での話題は漫画とか、前日の夜にやっていたドラマやアニメのことばっかりだったなぁ」
「そうなんですか。ちなみに、お二人の中高生時代は、どんな作品を観ていたんですか? 俺、結構気になりますね」
その一言で、羽柴は母さんと美紀さんと、当時の漫画やアニメの話題で花を咲かせる。羽柴は親世代の若い頃に流行った作品も好きだからなぁ。和奏姉さんによるちらし寿司の感想から、まさかこういう展開になるとは。
「羽柴君とは去年の帰省中にアニメで盛り上がったな」
「そうだったな」
「……そうだ、大輝もあたしの作った肉巻きを食べてみてよ。食べさせてあげよっか?」
そう言うと、和奏姉さんは俺の紙皿にある肉巻きを勝手に掴んで、俺の口に近づける。
「はい、大輝。あ~ん」
「や、やめろって。家ならともかく、ここは外だぞ」
「正月以来に帰省したんだし、このくらいのことはさせてよ」
「……しょうがないな。あーん」
俺は和奏姉さんにアスパラの肉巻きを食べさせてもらう。そのときに周りの様子を見ると、俺達を見ていたのは文香くらいだった。これならあまり恥ずかしくないな。
「……うん、美味しいよ」
「良かった。……フミちゃんも、自分の作ったおかずを大輝に食べさせたらどうかな?」
「ほえっ?」
「へっ?」
言葉は違うけれど、文香と俺はほぼ同じタイミングで変な声を出してしまった。そんな反応が面白かったのか、和奏姉さんはニヤリと笑う。
文香をチラッと見ると、ハンバーグの感想を言ったときとは比にならないくらいに赤くなっていた。
文香とは数え切れないほどに食べさせあったり、一口交換をしたりしたけど、それは小学生までの話。高校生になった今、食べさせてもらっていいのだろうか。それに、もし文香の箸で食べさせてもらったら、彼女と間接キスすることになるし。
「和奏姉さん。姉さんならまだし――」
「いいよ。玉子焼き、食べさせてあげる」
「へっ?」
文香の方を向くと、彼女は自分の箸で重箱にある玉子焼きを一つ掴む。その玉子焼きを俺の口の近くまで持っていく。
「お、お花見は年に一度か二度くらいしかしないし。和奏ちゃんも大輝に肉巻きを食べさせたから、私も昔みたいに食べさせてもいいかなって思ったの。玉子焼きの感想も聞きたいし。そ、それだけなんだからね」
視線をちらつかせながらそう言う文香が何とも可愛らしくて。恥ずかしさはあるけど、今は文香の気持ちに応えたい気持ちの方が勝る。
「……分かった。じゃあ、その玉子焼きを食べさせてくれるかな」
「……う、うん。はい、あ~ん」
「あーん」
――カシャッ。
俺は文香に玉子焼きを食べさせてもらう。
甘めに作ったのか、玉子焼きが口の中に入った瞬間にほんのりと甘味が感じられた。噛んでいく度に、その甘味がどんどん口の中全体に広がっていく。こんなに甘いのは、文香の箸で食べさせてくれたからかな。
「凄く美味しい。甘くて俺好みだ」
「ありがとう。大輝は昔から玉子焼きは甘いのが好きだよね。……上手に作れて良かった」
俺にしか聞こえないような声でそう言うと、文香はほっと胸を撫で下ろす。そんな文香の口元は緩んでいた。
それにしても、一つ気になることがある。
「玉子焼きを食べさせてもらったとき、シャッター音が聞こえましたけど、誰か俺達のことを撮影したんですか?」
「あっ、それお母さん! 何か起こりそうだって羽柴君が教えてくれたから、スマホを持って構えてたの」
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読んでいただきありがとうございます。お気に入り登録や感想をお待ちしております。
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