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第48話『にゃんばつー』
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沙耶先輩と梢さんがカレーを作り終わったので、夕食までの間、何か遊ぼうということに。
テレビゲームにしようという話になったけど、コントローラが3つしかないので断念。なので、トランプで遊ぶことになった。そういえば、トランプで遊ぶのって中学の修学旅行以来かな。私、トランプはポーカー以外弱いんだよね。
「琴実ちゃんってトランプは得意?」
「好きなんですけど、弱くて」
そう言えるのは、勝負に負けても嫌な罰ゲームをさせられたという経験が特にないからかもしれない。
梢さんはなぜか嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「へえ、そうなんだ。私、昔から沙耶ちゃんと京華ちゃんには負けっ放しなの」
「そうなんですか」
沙耶先輩と会長さん、トランプ強いんだ。それとも、梢さんがかなり弱いのか。もし、後者の方だったら、梢さんとはいい勝負ができるかもしれないな。
「なるほど、琴実ちゃんになら勝てると思っているんだ、お姉ちゃん」
「そんなことないよー」
いや、さっきの梢さんの笑顔はどう考えても、私が弱いことを知って嬉しいっていう笑顔だったよ。
「それで、トランプで何のゲームをする? 折笠さんは何か希望はある?」
「えっ、いや……満遍なく負けているので、勝てそうなゲームがないんですよね」
ポーカー以外は。ただ、4人でポーカーをするのは何だか味気ない気がして。
「折笠さん、別に勝ちに拘らなくて大丈夫よ。負けても何もないから」
「……いや、ゲームである以上、勝ちに拘った方がいいよ。だから、負けたら罰ゲームってことにしよう」
口元をニヤリとさせて、沙耶先輩は私のことを見てくる。あっ、これ……私がトランプに弱いからって良からぬことを思いついた顔だ。絶対にパンツ絡み。
「1位の人は最下位の人に好きなことを1つ命令できるっていうのはどう?」
「それ面白いね、沙耶ちゃん!」
梢さん、自分が最下位にならないかもしれないからって楽しそうに言っちゃって。
「……折笠さん。沙耶がこう言っているけど、どう?」
「会長さん……」
まるで、私が負けることがほぼ決まりのように訊かないでほしいよ。会長さんの優しい表情を見ていると切なく感じる。
ううっ、こんな扱いをされると、実際に勝負しないと気が済まなくなってきた。
「やってやろうじゃないですか! 負けなければいいんですよね!」
「おおっ、ここまでやる気に満ちている琴実ちゃんを見るのは初めてだ。私達も全力でやらないと琴実ちゃんに負けちゃうかもしれないね。琴実ちゃん、もしリクエストがあったら遠慮なく言って」
「ババ抜きでお願いします! 1番で上がったことは全然ないですけど、一番好きなゲームなので」
「ババ抜きか、いいね。4人くらいが一番面白いよね」
ということで、4人でババ抜きをすることに決まった。中学の修学旅行から1年以上経っているし、もしかしたら強くなっているかもしれない。高校生になったもんね。
もし、私が1番になって、沙耶先輩が最下位になったら、先輩にこれまでのお返しをするんだから!
沙耶先輩がトランプを配り終えて、ババ抜きスタート。最初からジョーカーがあるけど、このジョーカーを動かせばいいんだから。
「う、ううっ……」
何で一度もジョーカーが動かずに終わっちゃうの。私のトランプを引くのは会長さんだけど、ババを引かせるための私のトラップに全然引っかからなかった。
「ふふっ、琴実ちゃんに何を命令しようかな……」
よりによって、最初に上がったのが沙耶先輩。何を命令されるんだろう。パンツ絡みの命令だったら凄く嫌なんだけど。沙耶先輩ならあり得そう。でも、キスとかだったらどうしよう。
「そうだ」
そう言うと、沙耶先輩はリビングから出て行った。まさか、恥ずかしいパンツを穿けって命令されるのかな。
「琴実ちゃん、これを付けてもらおうかな」
沙耶先輩はそう言うと、私に猫耳付きの黒いカチューシャを渡してきた。酷い命令をされると思っていたから。
「猫耳のカチューシャなんてどこに売っているんですか」
「今日行った猫カフェで買ったんだよ」
いつの間に買ったんだろう。というか、猫カフェってそういうグッズを売っているものなの? コスプレグッズを扱う店で売っているイメージがあるけど。あとは、ハロウィンの時期のショッピングセンターとか。
「ええと、これを付ければいいんですね」
「うん。それで、夕ご飯が終わるまで語尾に『にゃん』って付けてね」
「嫌ですよ! ていうか、1つ命令できるっていう話だったじゃないですか!」
「『猫カチューシャを付け、語尾ににゃんって付ける』っていう一つの命令だよ。まあ、これが嫌なら、パンツを履き替えてもらって、今まで穿いていたパンツを堪能させてもらおうと思っているけれど」
「そっちの方がもっと嫌ですよ! それなら、カチューシャを付けて猫っぽく喋ります……にゃんっ!」
私は先輩から渡されたカチューシャを頭に付ける。
沙耶先輩に上手いこと誘導されてしまった気もするけど、脱いで間もないパンツを堪能されるよりも、にゃんにゃん言っていた方がマシだよ。今は午後4時過ぎだから、あと数時間くらいは言わなきゃいけないんだ。
「おっ、琴実ちゃん、可愛いね。スマホで写真を撮ろっと。後で送るね」
「確かに、これは可愛いわね。折笠さん、猫耳似合いそうだなって思っていたけれど。私も撮っておこうかな」
「琴実ちゃん、両手を猫っぽくしてくれる?」
「こうですか? お姉さん……にゃん」
「うん、そうそう!」
ううっ、猫耳カチューシャを付けた瞬間に撮影会になっちゃったよ。沙耶先輩に脱いだばかりのパンツを堪能されるよりはいいけど。
「折笠さん、次勝つためのアドバイスだけど……トランプを引かれるときに表情をあまり出さない方がいいかな」
「えっ、出ていたんですか? にゃん」
「面白いくらいに出ていたよ。あと、ジョーカーをじっと見すぎかな」
「なるほど……にゃん」
ポーカーフェイスはできていたつもりだったのに。ジョーカーをじっと見ちゃうのは……気になっちゃうからね。今の会長さんのアドバイスを参考にしよう。
「じゃあ、次もババ抜きでいいかな、琴実ちゃん」
「はい、リベンジしますにゃん」
「意外と早くその語尾に馴染んできているね」
今度、トランプを引かれるときは目を瞑ってみよう。そうすれば、最下位から奪取できるかもしれない。
私がトランプを配り、手札を見てみると……よし、今度はジョーカーがない。
「じゃあ、折笠さんからスタートしようか」
「分かりましたにゃん」
私は沙耶先輩の持っている手札からトランプを引くことに。どれにすればいいのか分からない。沙耶先輩、ずっと爽やかな笑顔を浮かべているから。
「これにゃん」
沙耶先輩の手札から左端のトランプを1枚引くと、
「えっ!」
ジョ、ジョーカーだなんて。沙耶先輩がジョーカーを持っているなんて気付かなかった。これぞポーカーフェイスなのかも。もしかして、私が気付いていないだけで、他にも癖があったりするの?
「ふふっ」
沙耶先輩、声に出して笑っている。今の私の反応で会長さんも梢さんも優しい視線を私に送っている。ううっ、私がジョーカーを引いたのがバレたんだ。
こうなったら、手札をシャッフルして……目を瞑った状態で会長さんにジョーカーを引かせる!
「折笠さん、考えたわね」
「これがベストだと思ったんです! にゃん!」
「ふうん、なるほどね。確かに、どれがジョーカーなのか分からないな……」
目を瞑る中で会長さんにトランプを引かせる作戦、結構いいみたい。ジョーカーを引いたらこれをやってみよう。
「引いたわよ」
「ほ、本当ですか? にゃん」
「京華ちゃんがトランプを引いたのは私と沙耶ちゃんが見ているから大丈夫よ」
「そうですか、にゃん」
ゆっくりと目を開けると、自分の手札からジョーカーが消えていた。初めて自分の手札からジョーカーが動いたので凄く嬉しい。
「あぁ、京華ちゃんにジョーカーが動いちゃったのね。これは気を付けないと」
「えっ?」
「カードが引かれた後の表情も重要なんだよ、折笠さん」
「勉強になりますにゃん」
どうやら、ゲーム中、様々な場面で私の表情は変わってしまうらしい。
さっきよりは善戦したけれど、結局、再び私が最下位になってしまった。
「さてと、折笠さんへの罰ゲームはどうしようかなぁ……」
幸いにも1位抜けしたのが会長さんなので、沙耶先輩よりはまだまともな罰ゲームを言ってくれそう。
「迷ったら、私が助言するけど」
「口出ししてはいけません、にゃん」
「せっかく勝ったんだし、私1人で考えるわ。そうね……せっかく猫ちゃんにみたいになっているから、私に大好きって言って、頬にキスしてもらおうかしら」
「わ、分かりました……にゃん」
ううっ、沙耶先輩の前で他の女性にキスをするなんて。恥ずかしいし、先輩がどう思うか心配――。
「きっと可愛いんだろうなぁ」
沙耶先輩は楽しげに笑っていた。罰ゲームでやると分かっているからか、さっき、お姉さんに抱きしめられたときのような不機嫌な様子は全然見られない。
「じゃあ……やります、にゃん」
「うん、お願いするわ」
すると、私は会長さんと向かい合うように立ち、
「だ、大好きにゃんっ!」
そう言って会長さんの頬にキスをした。会長さんの頬、とても柔らかくて温かい。だけど、
「ううっ、恥ずかしい……」
思わず、会長さんの胸の中に顔を埋めてしまった。
「ふふっ、折笠さんとても可愛かったわよ。ありがとう」
会長さんはそう言うと、私のことを優しく抱きしめてくれた。沙耶先輩とも、梢さんとも違うけれど……会長さんの甘い匂いも心やすらぐ。3人の中なら、会長さんが一番お姉さんになってほしいかも。
その後もババ抜きをする。1位は変わっても、最下位はずっと私のままで、色々な罰ゲームを受けてしまうのであった……にゃん。
テレビゲームにしようという話になったけど、コントローラが3つしかないので断念。なので、トランプで遊ぶことになった。そういえば、トランプで遊ぶのって中学の修学旅行以来かな。私、トランプはポーカー以外弱いんだよね。
「琴実ちゃんってトランプは得意?」
「好きなんですけど、弱くて」
そう言えるのは、勝負に負けても嫌な罰ゲームをさせられたという経験が特にないからかもしれない。
梢さんはなぜか嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「へえ、そうなんだ。私、昔から沙耶ちゃんと京華ちゃんには負けっ放しなの」
「そうなんですか」
沙耶先輩と会長さん、トランプ強いんだ。それとも、梢さんがかなり弱いのか。もし、後者の方だったら、梢さんとはいい勝負ができるかもしれないな。
「なるほど、琴実ちゃんになら勝てると思っているんだ、お姉ちゃん」
「そんなことないよー」
いや、さっきの梢さんの笑顔はどう考えても、私が弱いことを知って嬉しいっていう笑顔だったよ。
「それで、トランプで何のゲームをする? 折笠さんは何か希望はある?」
「えっ、いや……満遍なく負けているので、勝てそうなゲームがないんですよね」
ポーカー以外は。ただ、4人でポーカーをするのは何だか味気ない気がして。
「折笠さん、別に勝ちに拘らなくて大丈夫よ。負けても何もないから」
「……いや、ゲームである以上、勝ちに拘った方がいいよ。だから、負けたら罰ゲームってことにしよう」
口元をニヤリとさせて、沙耶先輩は私のことを見てくる。あっ、これ……私がトランプに弱いからって良からぬことを思いついた顔だ。絶対にパンツ絡み。
「1位の人は最下位の人に好きなことを1つ命令できるっていうのはどう?」
「それ面白いね、沙耶ちゃん!」
梢さん、自分が最下位にならないかもしれないからって楽しそうに言っちゃって。
「……折笠さん。沙耶がこう言っているけど、どう?」
「会長さん……」
まるで、私が負けることがほぼ決まりのように訊かないでほしいよ。会長さんの優しい表情を見ていると切なく感じる。
ううっ、こんな扱いをされると、実際に勝負しないと気が済まなくなってきた。
「やってやろうじゃないですか! 負けなければいいんですよね!」
「おおっ、ここまでやる気に満ちている琴実ちゃんを見るのは初めてだ。私達も全力でやらないと琴実ちゃんに負けちゃうかもしれないね。琴実ちゃん、もしリクエストがあったら遠慮なく言って」
「ババ抜きでお願いします! 1番で上がったことは全然ないですけど、一番好きなゲームなので」
「ババ抜きか、いいね。4人くらいが一番面白いよね」
ということで、4人でババ抜きをすることに決まった。中学の修学旅行から1年以上経っているし、もしかしたら強くなっているかもしれない。高校生になったもんね。
もし、私が1番になって、沙耶先輩が最下位になったら、先輩にこれまでのお返しをするんだから!
沙耶先輩がトランプを配り終えて、ババ抜きスタート。最初からジョーカーがあるけど、このジョーカーを動かせばいいんだから。
「う、ううっ……」
何で一度もジョーカーが動かずに終わっちゃうの。私のトランプを引くのは会長さんだけど、ババを引かせるための私のトラップに全然引っかからなかった。
「ふふっ、琴実ちゃんに何を命令しようかな……」
よりによって、最初に上がったのが沙耶先輩。何を命令されるんだろう。パンツ絡みの命令だったら凄く嫌なんだけど。沙耶先輩ならあり得そう。でも、キスとかだったらどうしよう。
「そうだ」
そう言うと、沙耶先輩はリビングから出て行った。まさか、恥ずかしいパンツを穿けって命令されるのかな。
「琴実ちゃん、これを付けてもらおうかな」
沙耶先輩はそう言うと、私に猫耳付きの黒いカチューシャを渡してきた。酷い命令をされると思っていたから。
「猫耳のカチューシャなんてどこに売っているんですか」
「今日行った猫カフェで買ったんだよ」
いつの間に買ったんだろう。というか、猫カフェってそういうグッズを売っているものなの? コスプレグッズを扱う店で売っているイメージがあるけど。あとは、ハロウィンの時期のショッピングセンターとか。
「ええと、これを付ければいいんですね」
「うん。それで、夕ご飯が終わるまで語尾に『にゃん』って付けてね」
「嫌ですよ! ていうか、1つ命令できるっていう話だったじゃないですか!」
「『猫カチューシャを付け、語尾ににゃんって付ける』っていう一つの命令だよ。まあ、これが嫌なら、パンツを履き替えてもらって、今まで穿いていたパンツを堪能させてもらおうと思っているけれど」
「そっちの方がもっと嫌ですよ! それなら、カチューシャを付けて猫っぽく喋ります……にゃんっ!」
私は先輩から渡されたカチューシャを頭に付ける。
沙耶先輩に上手いこと誘導されてしまった気もするけど、脱いで間もないパンツを堪能されるよりも、にゃんにゃん言っていた方がマシだよ。今は午後4時過ぎだから、あと数時間くらいは言わなきゃいけないんだ。
「おっ、琴実ちゃん、可愛いね。スマホで写真を撮ろっと。後で送るね」
「確かに、これは可愛いわね。折笠さん、猫耳似合いそうだなって思っていたけれど。私も撮っておこうかな」
「琴実ちゃん、両手を猫っぽくしてくれる?」
「こうですか? お姉さん……にゃん」
「うん、そうそう!」
ううっ、猫耳カチューシャを付けた瞬間に撮影会になっちゃったよ。沙耶先輩に脱いだばかりのパンツを堪能されるよりはいいけど。
「折笠さん、次勝つためのアドバイスだけど……トランプを引かれるときに表情をあまり出さない方がいいかな」
「えっ、出ていたんですか? にゃん」
「面白いくらいに出ていたよ。あと、ジョーカーをじっと見すぎかな」
「なるほど……にゃん」
ポーカーフェイスはできていたつもりだったのに。ジョーカーをじっと見ちゃうのは……気になっちゃうからね。今の会長さんのアドバイスを参考にしよう。
「じゃあ、次もババ抜きでいいかな、琴実ちゃん」
「はい、リベンジしますにゃん」
「意外と早くその語尾に馴染んできているね」
今度、トランプを引かれるときは目を瞑ってみよう。そうすれば、最下位から奪取できるかもしれない。
私がトランプを配り、手札を見てみると……よし、今度はジョーカーがない。
「じゃあ、折笠さんからスタートしようか」
「分かりましたにゃん」
私は沙耶先輩の持っている手札からトランプを引くことに。どれにすればいいのか分からない。沙耶先輩、ずっと爽やかな笑顔を浮かべているから。
「これにゃん」
沙耶先輩の手札から左端のトランプを1枚引くと、
「えっ!」
ジョ、ジョーカーだなんて。沙耶先輩がジョーカーを持っているなんて気付かなかった。これぞポーカーフェイスなのかも。もしかして、私が気付いていないだけで、他にも癖があったりするの?
「ふふっ」
沙耶先輩、声に出して笑っている。今の私の反応で会長さんも梢さんも優しい視線を私に送っている。ううっ、私がジョーカーを引いたのがバレたんだ。
こうなったら、手札をシャッフルして……目を瞑った状態で会長さんにジョーカーを引かせる!
「折笠さん、考えたわね」
「これがベストだと思ったんです! にゃん!」
「ふうん、なるほどね。確かに、どれがジョーカーなのか分からないな……」
目を瞑る中で会長さんにトランプを引かせる作戦、結構いいみたい。ジョーカーを引いたらこれをやってみよう。
「引いたわよ」
「ほ、本当ですか? にゃん」
「京華ちゃんがトランプを引いたのは私と沙耶ちゃんが見ているから大丈夫よ」
「そうですか、にゃん」
ゆっくりと目を開けると、自分の手札からジョーカーが消えていた。初めて自分の手札からジョーカーが動いたので凄く嬉しい。
「あぁ、京華ちゃんにジョーカーが動いちゃったのね。これは気を付けないと」
「えっ?」
「カードが引かれた後の表情も重要なんだよ、折笠さん」
「勉強になりますにゃん」
どうやら、ゲーム中、様々な場面で私の表情は変わってしまうらしい。
さっきよりは善戦したけれど、結局、再び私が最下位になってしまった。
「さてと、折笠さんへの罰ゲームはどうしようかなぁ……」
幸いにも1位抜けしたのが会長さんなので、沙耶先輩よりはまだまともな罰ゲームを言ってくれそう。
「迷ったら、私が助言するけど」
「口出ししてはいけません、にゃん」
「せっかく勝ったんだし、私1人で考えるわ。そうね……せっかく猫ちゃんにみたいになっているから、私に大好きって言って、頬にキスしてもらおうかしら」
「わ、分かりました……にゃん」
ううっ、沙耶先輩の前で他の女性にキスをするなんて。恥ずかしいし、先輩がどう思うか心配――。
「きっと可愛いんだろうなぁ」
沙耶先輩は楽しげに笑っていた。罰ゲームでやると分かっているからか、さっき、お姉さんに抱きしめられたときのような不機嫌な様子は全然見られない。
「じゃあ……やります、にゃん」
「うん、お願いするわ」
すると、私は会長さんと向かい合うように立ち、
「だ、大好きにゃんっ!」
そう言って会長さんの頬にキスをした。会長さんの頬、とても柔らかくて温かい。だけど、
「ううっ、恥ずかしい……」
思わず、会長さんの胸の中に顔を埋めてしまった。
「ふふっ、折笠さんとても可愛かったわよ。ありがとう」
会長さんはそう言うと、私のことを優しく抱きしめてくれた。沙耶先輩とも、梢さんとも違うけれど……会長さんの甘い匂いも心やすらぐ。3人の中なら、会長さんが一番お姉さんになってほしいかも。
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