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第44話『にゃんにゃん』
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昨日は沙耶先輩が私の家に泊まったので、今日は私が沙耶先輩の家に泊まろうと提案してくれた。そのことを両親に伝えると、難なく許可をもらえた。
午前中は私の部屋でゆっくりと過ごす。私は荷物の準備をしていたけど。
お昼ご飯は外で食べようということで、昼前に自宅を出発する。今日も快晴でお出かけ日和。制服姿の沙耶先輩の横で水色のワンピースを着た私がいておかしくないかな。
「何だか、私服を来ているときに制服姿の沙耶先輩と一緒に歩いているのが不思議な感じがします」
普段、沙耶先輩と外にいるときは、お互いに制服姿だから。
「確かに、非日常な感じはするよね。ただ、琴実ちゃんのワンピース姿可愛いよ」
「あ、ありがとうございます」
「でも、今日みたいな休日に人の多いところを歩いていると、私達みたいに制服の子と私服の子が一緒に歩いているところは意外と見るよ。同級生かもしれないし、高校生とOGの大学生かもしれないし」
「じゃあ、もしかしたら、私……大学生に見えちゃうかもしれないんですね」
「大学生と言われたら信じる人は結構いるんじゃない? 琴実ちゃん、しっかりしているし、胸も大きいからね」
「……最後のは余計です」
女子大生はみんな胸が大きいとは限らないんだから。まあ、先輩好みの胸なのはちょっと嬉しい。いちいち言われるのはイライラするけど。
「にゃー」
猫の鳴き声が聞こえたから周りを見てみると、私のすぐ側に三毛猫ちゃんが座っていた。首輪が付けられていないから野良猫かな。眼がパッチリしていてかわいい。
「うわぁ、かわいいなぁ」
触れるかな。ちょっと試してみよう。
ゆっくりと手を伸ばすと、三毛猫ちゃんは逃げることなく私に頭を撫でさせてくれる。ふわふわしていて気持ちいい。
「琴実ちゃん、猫が好きなんだ」
「はい! たまに家に野良猫が来ているからその影響で。あとはのんびりとマイペースにしているところがいいんですよ」
「なるほどね。じゃあ、犬派か猫派って訊かれたら琴実ちゃんは猫派かな」
「そうですね。犬も嫌いじゃないんですけど、飛びついたり、吠えたりするのが苦手で……」
「犬が苦手な理由に多いね。あとは顔を突然舐められるのが苦手とか。私は元気があっていいと思うけどね。猫も好きだけど、私はどっちかって言うと犬派かな」
沙耶先輩が犬派っていうのは納得できるかも。パンツのことになると目を輝かせるし、飛びつくから。
「にゃーん」
三毛猫ちゃんは可愛らしく鳴くと、私の手に頭をすりすりしてきた。毛が柔らかいから気持ちいいなぁ。
「うわぁ、この猫ちゃんとても可愛いですよ。手にすりすりしてくる」
「琴実ちゃんに懐いているみたいだね」
「こんなにすんなりと懐かれたのは初めてですよ。うちに来る野良猫は初めて来てから3年くらい経ちますが、ようやく頭を少し触れるくらいで……」
黒と白のハチ割れ模様が特徴的なオス猫なんだけれど。最近、3年くらい経ってようやく触れることができた。
「猫にも性格があるからね。どうやら、この野良猫は人懐っこい性格の持ち主なんだろう」
「沙耶先輩も触ってみますか?」
「そうだね。琴実ちゃんにこんなに懐いているのを見ていて……ちょっと羨ましいと思っていたんだ」
「きっと、沙耶先輩も触れると思いますよ。ほら、私にすりすりしている間に、猫ちゃんの頭を触ってみましょう」
「分かった」
沙耶先輩は三毛猫ちゃんの頭を触る。そのことに気付いたのか、三毛猫ちゃんは沙耶先輩のことを見て、
「にゃぉん」
あれ、さっき……私が撫でたとき以上に可愛らしい鳴き声を挙げているような。私とは違って体全体をすりすりさせている。
「沙耶先輩のこと、気に入ったみたいですよ。私よりも好きそう」
「ははっ、嬉しいなぁ。三毛猫は99%がメスなんだけどね。ちなみに、この子は……」
沙耶先輩は三毛猫ちゃんを仰向けにゴロゴロさせて、猫ちゃんの性別を確認する。
「うん、やっぱり女の子だね」
「先輩、女の子なら人間からも猫ちゃんからもモテるんですね」
「そうかな。でも、私は人間の女の子の方が好きだよ。だって、人間の女の子はパンツを穿いているじゃないか。まあ、たまに家だと裸っていう女の子もいたけれど」
「別にパンツで人と猫を比べなくてもいいじゃないですか」
沙耶先輩のことは好きだし、猫ちゃんのことも好きだけど、その気持ちを比べる気なんて全くないし。
ただ、この猫ちゃんは私よりも沙耶先輩の方が好きそう。でも、猫ちゃん相手に先輩を争うつもりはないよ。
「琴実ちゃん、一つ提案があるんだけれど」
「何ですか?」
「お昼ご飯を食べたら猫カフェに行こうか。最寄り駅のすぐ近くに猫カフェがあるんだ」
「いいですね! 私、猫カフェはあまり行ったことがなくて……」
家に来る野良猫ちゃんと戯れて満足するときもあったけど、最近、触れるようになってもっと猫ちゃんと戯れたいと思っていたんだ。
「よし、じゃあ……お昼ご飯を食べたら猫カフェに行くことにしようか」
「はい!」
私は沙耶先輩と一緒に駅の方へと歩いていく。
途中、駅の近くにあるパスタ屋さんでお昼ご飯を食べることに。私は和風パスタ、沙耶先輩はナポリタン。一口交換し合ったりした。
沙耶先輩と一緒にいることがこんなに楽しいなんて。もし、ダブル・ブレッドのメンバーが今の様子を盗撮していたなら写真がほしいくらい。
昼食を食べ終わり、電車で沙耶先輩の家の最寄り駅まで行く。乗り換えなしで15分くらいなのでこれなら通学するにもいいなと思う。もし、大学に通うとしたらこのくらいの近さにある大学がいいなぁ。
沙耶先輩の家の最寄り駅から歩いて1分も経たず、
「ここだよ、琴実ちゃん」
「うわぁ、楽しみです!」
目的地である猫カフェの前に到着する。
沙耶先輩の後についていく形で、猫カフェの中に入っていく。
「いらっしゃいませ~」
「あっ、猫ちゃんだ……!」
受付にいる若い女性店員さんの後ろには白いペルシャ猫が。可愛いなぁ。
「高校生2人でとりあえず1時間お願いします」
「かしこまりました。学生証を見せていただければ、300円引きになります」
学生証を見せて無事に学生料金で猫カフェを利用できることに。荷物は受け付けのところに置かせてもらい、沙耶先輩と一緒に店の奥へと。
「うわあっ、すごーい!」
一つの空間にこんなにたくさんの猫ちゃんがいるなんて。夢みたいだなぁ。
「あら、沙耶に折笠さん」
声の主の方に振り向くと、そこにはたくさんの猫に囲まれた会長さんがいたのであった。
午前中は私の部屋でゆっくりと過ごす。私は荷物の準備をしていたけど。
お昼ご飯は外で食べようということで、昼前に自宅を出発する。今日も快晴でお出かけ日和。制服姿の沙耶先輩の横で水色のワンピースを着た私がいておかしくないかな。
「何だか、私服を来ているときに制服姿の沙耶先輩と一緒に歩いているのが不思議な感じがします」
普段、沙耶先輩と外にいるときは、お互いに制服姿だから。
「確かに、非日常な感じはするよね。ただ、琴実ちゃんのワンピース姿可愛いよ」
「あ、ありがとうございます」
「でも、今日みたいな休日に人の多いところを歩いていると、私達みたいに制服の子と私服の子が一緒に歩いているところは意外と見るよ。同級生かもしれないし、高校生とOGの大学生かもしれないし」
「じゃあ、もしかしたら、私……大学生に見えちゃうかもしれないんですね」
「大学生と言われたら信じる人は結構いるんじゃない? 琴実ちゃん、しっかりしているし、胸も大きいからね」
「……最後のは余計です」
女子大生はみんな胸が大きいとは限らないんだから。まあ、先輩好みの胸なのはちょっと嬉しい。いちいち言われるのはイライラするけど。
「にゃー」
猫の鳴き声が聞こえたから周りを見てみると、私のすぐ側に三毛猫ちゃんが座っていた。首輪が付けられていないから野良猫かな。眼がパッチリしていてかわいい。
「うわぁ、かわいいなぁ」
触れるかな。ちょっと試してみよう。
ゆっくりと手を伸ばすと、三毛猫ちゃんは逃げることなく私に頭を撫でさせてくれる。ふわふわしていて気持ちいい。
「琴実ちゃん、猫が好きなんだ」
「はい! たまに家に野良猫が来ているからその影響で。あとはのんびりとマイペースにしているところがいいんですよ」
「なるほどね。じゃあ、犬派か猫派って訊かれたら琴実ちゃんは猫派かな」
「そうですね。犬も嫌いじゃないんですけど、飛びついたり、吠えたりするのが苦手で……」
「犬が苦手な理由に多いね。あとは顔を突然舐められるのが苦手とか。私は元気があっていいと思うけどね。猫も好きだけど、私はどっちかって言うと犬派かな」
沙耶先輩が犬派っていうのは納得できるかも。パンツのことになると目を輝かせるし、飛びつくから。
「にゃーん」
三毛猫ちゃんは可愛らしく鳴くと、私の手に頭をすりすりしてきた。毛が柔らかいから気持ちいいなぁ。
「うわぁ、この猫ちゃんとても可愛いですよ。手にすりすりしてくる」
「琴実ちゃんに懐いているみたいだね」
「こんなにすんなりと懐かれたのは初めてですよ。うちに来る野良猫は初めて来てから3年くらい経ちますが、ようやく頭を少し触れるくらいで……」
黒と白のハチ割れ模様が特徴的なオス猫なんだけれど。最近、3年くらい経ってようやく触れることができた。
「猫にも性格があるからね。どうやら、この野良猫は人懐っこい性格の持ち主なんだろう」
「沙耶先輩も触ってみますか?」
「そうだね。琴実ちゃんにこんなに懐いているのを見ていて……ちょっと羨ましいと思っていたんだ」
「きっと、沙耶先輩も触れると思いますよ。ほら、私にすりすりしている間に、猫ちゃんの頭を触ってみましょう」
「分かった」
沙耶先輩は三毛猫ちゃんの頭を触る。そのことに気付いたのか、三毛猫ちゃんは沙耶先輩のことを見て、
「にゃぉん」
あれ、さっき……私が撫でたとき以上に可愛らしい鳴き声を挙げているような。私とは違って体全体をすりすりさせている。
「沙耶先輩のこと、気に入ったみたいですよ。私よりも好きそう」
「ははっ、嬉しいなぁ。三毛猫は99%がメスなんだけどね。ちなみに、この子は……」
沙耶先輩は三毛猫ちゃんを仰向けにゴロゴロさせて、猫ちゃんの性別を確認する。
「うん、やっぱり女の子だね」
「先輩、女の子なら人間からも猫ちゃんからもモテるんですね」
「そうかな。でも、私は人間の女の子の方が好きだよ。だって、人間の女の子はパンツを穿いているじゃないか。まあ、たまに家だと裸っていう女の子もいたけれど」
「別にパンツで人と猫を比べなくてもいいじゃないですか」
沙耶先輩のことは好きだし、猫ちゃんのことも好きだけど、その気持ちを比べる気なんて全くないし。
ただ、この猫ちゃんは私よりも沙耶先輩の方が好きそう。でも、猫ちゃん相手に先輩を争うつもりはないよ。
「琴実ちゃん、一つ提案があるんだけれど」
「何ですか?」
「お昼ご飯を食べたら猫カフェに行こうか。最寄り駅のすぐ近くに猫カフェがあるんだ」
「いいですね! 私、猫カフェはあまり行ったことがなくて……」
家に来る野良猫ちゃんと戯れて満足するときもあったけど、最近、触れるようになってもっと猫ちゃんと戯れたいと思っていたんだ。
「よし、じゃあ……お昼ご飯を食べたら猫カフェに行くことにしようか」
「はい!」
私は沙耶先輩と一緒に駅の方へと歩いていく。
途中、駅の近くにあるパスタ屋さんでお昼ご飯を食べることに。私は和風パスタ、沙耶先輩はナポリタン。一口交換し合ったりした。
沙耶先輩と一緒にいることがこんなに楽しいなんて。もし、ダブル・ブレッドのメンバーが今の様子を盗撮していたなら写真がほしいくらい。
昼食を食べ終わり、電車で沙耶先輩の家の最寄り駅まで行く。乗り換えなしで15分くらいなのでこれなら通学するにもいいなと思う。もし、大学に通うとしたらこのくらいの近さにある大学がいいなぁ。
沙耶先輩の家の最寄り駅から歩いて1分も経たず、
「ここだよ、琴実ちゃん」
「うわぁ、楽しみです!」
目的地である猫カフェの前に到着する。
沙耶先輩の後についていく形で、猫カフェの中に入っていく。
「いらっしゃいませ~」
「あっ、猫ちゃんだ……!」
受付にいる若い女性店員さんの後ろには白いペルシャ猫が。可愛いなぁ。
「高校生2人でとりあえず1時間お願いします」
「かしこまりました。学生証を見せていただければ、300円引きになります」
学生証を見せて無事に学生料金で猫カフェを利用できることに。荷物は受け付けのところに置かせてもらい、沙耶先輩と一緒に店の奥へと。
「うわあっ、すごーい!」
一つの空間にこんなにたくさんの猫ちゃんがいるなんて。夢みたいだなぁ。
「あら、沙耶に折笠さん」
声の主の方に振り向くと、そこにはたくさんの猫に囲まれた会長さんがいたのであった。
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