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第30話『作戦の名は。』
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――今日は犯人捜しを行なう。見つけられなかったら、警察に通報する。
東雲先生がそう提案する。何かあったときの責任は全て取ってくれるとまで言ってくれるのは、覚悟があっていいと思うけれど。
「……東雲先生」
「何だ? 藤堂」
「結局、犯人捜しは行うのですか! それに向けた方法も思いついていない中で!」
「ああ、そうだ。犯人を捕まえることができる可能性が少しでもあるなら、それを追求して損はないだろう。朝倉の言うように、目の前の問題を一つ一つ解決する考えも納得できる。それに、警察沙汰になるのは何かと面倒だし」
何か東雲先生の本音が垣間見ることができた気がする。特に最後の一言。警察沙汰になるのは面倒だし、学校内で事が収まるならそっちの方がいいよね。
「ただ、藤堂の言うとおり、盗撮は歴とした犯罪だ。証拠がある以上、通報すれば警察も動いてくれるだろう。だから、2人の考えを汲み取って、今日は犯人捜しを行い、もし犯人を捕まえることや特定することができなかったら、今日中に職員会議を開いて警察に通報するかどうか判断するよ」
沙耶先輩、千晴先輩の両方の意見を取り入れるなら、それが一番いい方法だよね。
「……ただ、これは風紀委員会とは関係のない一般教師からの提案だ。判断は風紀委員のメンバーと担当教師である恵に委ねたい。もちろん、この提案が採用されたら、発案者として私が責任を取るつもりだから安心してくれ」
爽やかな笑みを浮かべながらそう言ってくれるので安心する。東雲先生、とても頼りになるなぁ。秋川先生はこういうところに惹かれて付き合おうと思ったのかな。
「真衣子さんはこう言っているけど、みんなはどうかな? まずは藤堂さん」
「……まだ考えるべき点はありますが、早急に何か手を打たなければならない今の状況を考えれば、今日に限っては私達が動く必要があるでしょう。なので、私は東雲先生の提案に賛成です」
「私も同じです。今日、やるべきことをきちんとやって、それで駄目だったらあとは職員や警察の方にお世話になりたいと思います」
「沙耶ちゃんも同じ意見ね。成田さんは?」
「私も東雲先生の意見に賛成です」
「うん。折笠さんは?」
「3年の先輩方の考えはどちらも取り入れるべきだと思っていましたので、東雲先生の提案に賛成です」
風紀委員のメンバーは東雲先生の提案に満場一致の賛成。ただ、担当教師である秋川先生の判断で、どうしていくのか変わっていくけど。
「みんなの意思を尊重するよ。もし、沙奈ちゃんを盗撮した人がうちの生徒なら、校内で事を収めてあげたい気持ちもある。でも、盗撮は犯罪だから、今日の放課後であまり進展がなかったら警察の力を借りましょう」
「……風紀委員会の関係者全員が私の提案に賛成か。よし、分かった。そうとなれば、今日は恵と私が風紀委員会の指揮を執ることにしよう」
「真衣子さんがいると心強いです」
秋川先生、とても嬉しそうだな。でも、東雲先生がいれば犯人が分かり次第、すぐに捕まえてくれそうな気がする。
「とりあえず、今はこの放課後の時間にどうしていくのかを早急に決める。とりあえず、目標は朝倉を盗撮した犯人を捕まえることにしよう。後々のことを考えると、考慮すべきことも色々とあるだろうが、まずは盗撮した犯人を捕まえることに集中しよう」
「東雲先生」
「何だ、藤堂」
「先ほど、私が言ったことなのですが、考えるべき点……それはどのようにして朝倉さんを盗撮した人物をおびき出すか、ということです」
捕まえるなら、私達の前に沙耶先輩のことを盗撮した人をおびき出さないとないといけないんだよね。
「なるほど。でも、盗撮した人物が誰であるか分かっていない。特定できなくとも、朝倉を盗撮した可能性のある怪しい人物の心当たりがあるか?」
「盗撮されたことを知ってから、スマホを使って調べましたが……例の写真がネット上にアップされていませんでしたし、私を盗撮したことを思わせるような発言の投稿は一切ありませんでした。ダブル・ブレッドについても、白布女学院に存在する変態集団ということだけで」
「つまり、今回の盗撮に関する手がかりは一切ないのか」
「はい」
沙耶先輩、いつの間にそんなことを調べていたんだろう。まさか、授業中に? まあ、盗撮されたらそっちばかり気になっちゃうか。
「確かに、Twitterにもダブル・ブレッドのアカウントはあるけど、これはツールを使って定期的に呟いているようだ。女子高生の穿くパンツは最高……か。ダブル・ブレッドだからパンツってか」
ははっ、と国語教師の東雲先生はスマートフォンを見ながら面白そうに笑っている。それとは対称的に、英語教師の秋川先生は苦笑い。
「つまり、あの集団が朝倉さんの盗撮に関わっているかどうかは分からないということですね?」
「そうだね、藤堂さん。手分けして情報収集というのもありだけれど、時間もあまりないから盗撮した人物をおびき出したいと思っている」
「……あの、沙耶先輩。犯人は隠れてこっそりと先輩のことを撮影したんです。もしかしたら、これまでの会話を、盗聴器などを使ってこっそりと聞かれているんじゃ……」
「その心配は多分ないよ、琴実ちゃん。その可能性も考えて、さっきここに来たときに盗聴器や小型カメラが仕掛けられているかどうか調べたけれど、そんなものは見つからなかった。まあ、実はこの中に共犯者がいて、スマートフォンを使ってこっそりと誰かと通話状態にしていたら話は別だけど。まあ、いないって信じてるよ、私は」
そう言って沙耶先輩は爽やかな笑みを浮かべる。もちろん、私だってこの中に共犯者がいるとは思っていない。
「例の写真をこの部屋の扉に挟んでいたことからして、盗撮した人物はおそらく風紀委員の反応を伺うはずだ。だから、今も校内にいる可能性は高い。私のパンツ好きは校内でも有名だから、きっとパンツ絡みの私の写真を今日もこっそりと撮影するかもしれないね」
「その行動を逆手に取るということですか?」
「その通りだよ、藤堂さん。もちろん、上手くいくっていう保証はないけど、今日中に盗撮した人物を捕まえるなら、これが一番手っ取り早く捕まえられる方法だと思うんだ。どうかな?」
「確かに、そうですわね……」
沙耶先輩の話を聞くと、上手くいきそうな感じではあるけれど、相手は写真をわざわざこの活動室に置くような人。風紀委員会が何か対策を練っていると絶対に考えていると思う。
「でも、沙耶ちゃん。こっちが策を練っているように、向こうも風紀委員会に捕まえられないように対策を練っているんじゃない? しかも、その背後にダブル・ブレッドが関わっているとしたら……」
「恵の言うとおりだ。犯人も人間。捕まえられないための策を練っていると考えていいだろう。朝倉の提案には賛成だが、犯人をより捕まえやすくするためには細かいことも考えていく必要がある」
「はい。詳細はこれから考えるつもりです。さっそくですが……」
盗撮した人物を捕まえるための作戦を、沙耶先輩を中心にして考えていく。今日中に決行する予定なので短い時間の中で。
「……この方法で行くか。今日中にやるなら、これが最善の策か」
「そうでしょうね、真衣子さん。みんな、くれぐれも無理はしないで。危険だと思ったら、その場から逃げること。私と真衣子さんで何とかします」
「すっかりと一人前の教師の顔してるじゃないか、恵。頼もしくなったな。もちろん、私も協力する」
「ありがとうございます。……それじゃ、せっかくだから、琴実ちゃん。この作戦に名前を付けてくれるかな」
「えっ?」
突然言われても困るんですけど。というか、作戦名なんて必要ないんじゃない?
そうだなぁ、コソコソしている相手にはコソコソするのが一番っていう考えの基で立てていった作戦だから、
「……コソコソ作戦というのはどうでしょうか」
「ははっ、可愛らしいね」
「でも、馴染みやすくていいと思いますよ。琴実ちゃんみたいに可愛い名前ですし」
沙耶先輩に笑われた、恥ずかしい。だって、上手い名前なんてすぐに思いつかないもん。ひより先輩がすぐにフォローしてくれたけれど。
「まあ、コソコソしている人間を捕まえに行くからいいかも。コソコソにはコソコソを、っていう考えから立てた作戦だもんね。じゃあ、コソコソ作戦を始めましょう!」
そして、私達はコソコソ作戦実行のために動き出す。
果たして、この作戦が上手くいくのかどうか。個人的には五分五分かな。少しでも成功する確率が上がるように、与えられた役目を果たすことにしよう。
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「真衣子さんはこう言っているけど、みんなはどうかな? まずは藤堂さん」
「……まだ考えるべき点はありますが、早急に何か手を打たなければならない今の状況を考えれば、今日に限っては私達が動く必要があるでしょう。なので、私は東雲先生の提案に賛成です」
「私も同じです。今日、やるべきことをきちんとやって、それで駄目だったらあとは職員や警察の方にお世話になりたいと思います」
「沙耶ちゃんも同じ意見ね。成田さんは?」
「私も東雲先生の意見に賛成です」
「うん。折笠さんは?」
「3年の先輩方の考えはどちらも取り入れるべきだと思っていましたので、東雲先生の提案に賛成です」
風紀委員のメンバーは東雲先生の提案に満場一致の賛成。ただ、担当教師である秋川先生の判断で、どうしていくのか変わっていくけど。
「みんなの意思を尊重するよ。もし、沙奈ちゃんを盗撮した人がうちの生徒なら、校内で事を収めてあげたい気持ちもある。でも、盗撮は犯罪だから、今日の放課後であまり進展がなかったら警察の力を借りましょう」
「……風紀委員会の関係者全員が私の提案に賛成か。よし、分かった。そうとなれば、今日は恵と私が風紀委員会の指揮を執ることにしよう」
「真衣子さんがいると心強いです」
秋川先生、とても嬉しそうだな。でも、東雲先生がいれば犯人が分かり次第、すぐに捕まえてくれそうな気がする。
「とりあえず、今はこの放課後の時間にどうしていくのかを早急に決める。とりあえず、目標は朝倉を盗撮した犯人を捕まえることにしよう。後々のことを考えると、考慮すべきことも色々とあるだろうが、まずは盗撮した犯人を捕まえることに集中しよう」
「東雲先生」
「何だ、藤堂」
「先ほど、私が言ったことなのですが、考えるべき点……それはどのようにして朝倉さんを盗撮した人物をおびき出すか、ということです」
捕まえるなら、私達の前に沙耶先輩のことを盗撮した人をおびき出さないとないといけないんだよね。
「なるほど。でも、盗撮した人物が誰であるか分かっていない。特定できなくとも、朝倉を盗撮した可能性のある怪しい人物の心当たりがあるか?」
「盗撮されたことを知ってから、スマホを使って調べましたが……例の写真がネット上にアップされていませんでしたし、私を盗撮したことを思わせるような発言の投稿は一切ありませんでした。ダブル・ブレッドについても、白布女学院に存在する変態集団ということだけで」
「つまり、今回の盗撮に関する手がかりは一切ないのか」
「はい」
沙耶先輩、いつの間にそんなことを調べていたんだろう。まさか、授業中に? まあ、盗撮されたらそっちばかり気になっちゃうか。
「確かに、Twitterにもダブル・ブレッドのアカウントはあるけど、これはツールを使って定期的に呟いているようだ。女子高生の穿くパンツは最高……か。ダブル・ブレッドだからパンツってか」
ははっ、と国語教師の東雲先生はスマートフォンを見ながら面白そうに笑っている。それとは対称的に、英語教師の秋川先生は苦笑い。
「つまり、あの集団が朝倉さんの盗撮に関わっているかどうかは分からないということですね?」
「そうだね、藤堂さん。手分けして情報収集というのもありだけれど、時間もあまりないから盗撮した人物をおびき出したいと思っている」
「……あの、沙耶先輩。犯人は隠れてこっそりと先輩のことを撮影したんです。もしかしたら、これまでの会話を、盗聴器などを使ってこっそりと聞かれているんじゃ……」
「その心配は多分ないよ、琴実ちゃん。その可能性も考えて、さっきここに来たときに盗聴器や小型カメラが仕掛けられているかどうか調べたけれど、そんなものは見つからなかった。まあ、実はこの中に共犯者がいて、スマートフォンを使ってこっそりと誰かと通話状態にしていたら話は別だけど。まあ、いないって信じてるよ、私は」
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「確かに、そうですわね……」
沙耶先輩の話を聞くと、上手くいきそうな感じではあるけれど、相手は写真をわざわざこの活動室に置くような人。風紀委員会が何か対策を練っていると絶対に考えていると思う。
「でも、沙耶ちゃん。こっちが策を練っているように、向こうも風紀委員会に捕まえられないように対策を練っているんじゃない? しかも、その背後にダブル・ブレッドが関わっているとしたら……」
「恵の言うとおりだ。犯人も人間。捕まえられないための策を練っていると考えていいだろう。朝倉の提案には賛成だが、犯人をより捕まえやすくするためには細かいことも考えていく必要がある」
「はい。詳細はこれから考えるつもりです。さっそくですが……」
盗撮した人物を捕まえるための作戦を、沙耶先輩を中心にして考えていく。今日中に決行する予定なので短い時間の中で。
「……この方法で行くか。今日中にやるなら、これが最善の策か」
「そうでしょうね、真衣子さん。みんな、くれぐれも無理はしないで。危険だと思ったら、その場から逃げること。私と真衣子さんで何とかします」
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「えっ?」
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そうだなぁ、コソコソしている相手にはコソコソするのが一番っていう考えの基で立てていった作戦だから、
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「ははっ、可愛らしいね」
「でも、馴染みやすくていいと思いますよ。琴実ちゃんみたいに可愛い名前ですし」
沙耶先輩に笑われた、恥ずかしい。だって、上手い名前なんてすぐに思いつかないもん。ひより先輩がすぐにフォローしてくれたけれど。
「まあ、コソコソしている人間を捕まえに行くからいいかも。コソコソにはコソコソを、っていう考えから立てた作戦だもんね。じゃあ、コソコソ作戦を始めましょう!」
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