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特別編-入れ替わりの夏-
第64話『まじわり』
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午後10時半過ぎ。
俺と彩花は自分達が泊まっている部屋に戻ってきた。ようやく、彩花と一緒に帰ってくることができたような気がする。
「ひさしぶりに帰ることができましたね」
「2日ぶりだもんな」
「ええ。だからなのか、元の体に戻って、直人先輩とこうして2人きりでいることが新鮮に思えてしまうくらいです」
2日経つと、入れ替わった遥香さんの体に慣れる頃なのかな。彩花と同じ女性だし、体格もそんなに違わないから。
「これで明日には帰るんですよね。何だか、誰と一緒に旅行に来たのか分からなくなっちゃいますね。もちろん、遥香さん達と仲良くなれましたし、思い出深い旅行になったのでいいんですけど!」
「ははっ、そうだな」
正直、俺も彩花と2人きりで旅行に来た感覚がないな。昨日の朝からは遥香さんと一緒にいる時間が一番長かったし。
あっ、そうだ……明日になったら、売店で渚達へのお土産を買わなきゃ。すっかりと忘れていた。
――ぎゅっ。
お土産のことを考えていたら、彩花が俺のことを抱きしめた。急なことで驚くけど、抱きついたのが彩花だけということもあってすぐに心が和らぐ。
「……やっぱり、自分の体で直人先輩に抱きしめると安心しますね」
「そうか」
「……今夜はずっと先輩と一緒にいたいです。もう夜遅いですし、一緒にお風呂に入ったら……先輩とね?」
そう言うと、彩花は俺のことを見上げてにっこりと笑う。そんな笑顔を見せられたら、可愛すぎて何も言えなくなっちゃうじゃないか。
「……嫌なんですか? 直人先輩」
「そんなわけないだろ。それに……彩花が元の体に戻ったら、絶対にイチャイチャしたいと思っていたんだ」
遥香さんが中に入っていたときは、さすがに最後まではできないからな。だからこそ、元の体に戻ったときは絶対にしたいと思っていた。
俺は彩花にキスする。今は彩花が元の体に戻ったからか、彼女の唇に触れた瞬間に懐かしい感覚に浸ることができる。やっぱり、彩花とのキスが一番いい。
唇を離すと、そこには嬉しそうに笑っている彩花の顔があった。
「……やっぱり、直人先輩とのキスが一番いいですね」
「ははっ、俺もそう思っていたよ」
「……嬉しいです」
目の前で笑っている女の子は……間違いなく宮原彩花だ。それが分かってとても嬉しかった。
「……それにしても、2日間しなかっただけで、こんなにも彩花とキスしたいと思うなんて。それだけ彩花のことが好きで、求めていたんだろうな」
「そうですか。私も同じです。今、直人先輩とキスしていて、とても幸せな気持ちになりました。ただ、私は先輩と一緒にもっと幸せになりたいです」
俺と一緒に、というフレーズをさりげなく入れるところが彩花らしい感じ。俺の側にいたいという気持ちが伝わってくる。
「じゃあ、お風呂に入ったらイチャイチャしようか」
「ええ」
そして、僕と彩花はこの2日間を取り戻すくらいにイチャイチャした。
「これで、2日分の埋め合わせはできましたか?」
「イチャイチャについては、ね。あと1日しかないけれど、明日も楽しもう」
あまり時間はないけれど、最終日も彩花と一緒に旅行を楽しみたいと思う。渚達へのお土産を忘れないように気をつけなければ。
「そうだ。朝になったら温泉に入ろうかな。まだ一度も入っていないんだ」
「昨日は入らなかったんですか?」
「……遥香さんと一緒に部屋のお風呂に入ったんだよ」
「……そ、そうですか」
しまった、彩花のことをまた不機嫌にさせてしまった。暫くの間、遥香さんと2人きりのときの話はしない方がいいかもしれない。もしかしたら、絢さんも彩花のことを話したら遥香さんに嫉妬されていたりするかも。
彩花にとっては元の体に戻っても、遥香さんのことは要注意って感じなのかな。
「たくさんイチャイチャして汗を掻いちゃったから、一緒にシャワーでも浴びようか。その……遥香さんとはそこまでしなかったから」
「……そうですね。直人先輩の汗を流してあげますね。あの……私の汗は先輩が流してくれますか?」
「ああ、分かった」
遥香さんにはしていないことをしてもらうことで、自分の方が俺との距離が近いのだと安心したいのかも。遥香さんには絢さんがいるから不安に思う必要はないと思うけど。
旅行3日目も色々なことがあったけれど、彩花と遥香さんの体が元に戻り、いつも通りに一日を終えることができたのであった。
俺と彩花は自分達が泊まっている部屋に戻ってきた。ようやく、彩花と一緒に帰ってくることができたような気がする。
「ひさしぶりに帰ることができましたね」
「2日ぶりだもんな」
「ええ。だからなのか、元の体に戻って、直人先輩とこうして2人きりでいることが新鮮に思えてしまうくらいです」
2日経つと、入れ替わった遥香さんの体に慣れる頃なのかな。彩花と同じ女性だし、体格もそんなに違わないから。
「これで明日には帰るんですよね。何だか、誰と一緒に旅行に来たのか分からなくなっちゃいますね。もちろん、遥香さん達と仲良くなれましたし、思い出深い旅行になったのでいいんですけど!」
「ははっ、そうだな」
正直、俺も彩花と2人きりで旅行に来た感覚がないな。昨日の朝からは遥香さんと一緒にいる時間が一番長かったし。
あっ、そうだ……明日になったら、売店で渚達へのお土産を買わなきゃ。すっかりと忘れていた。
――ぎゅっ。
お土産のことを考えていたら、彩花が俺のことを抱きしめた。急なことで驚くけど、抱きついたのが彩花だけということもあってすぐに心が和らぐ。
「……やっぱり、自分の体で直人先輩に抱きしめると安心しますね」
「そうか」
「……今夜はずっと先輩と一緒にいたいです。もう夜遅いですし、一緒にお風呂に入ったら……先輩とね?」
そう言うと、彩花は俺のことを見上げてにっこりと笑う。そんな笑顔を見せられたら、可愛すぎて何も言えなくなっちゃうじゃないか。
「……嫌なんですか? 直人先輩」
「そんなわけないだろ。それに……彩花が元の体に戻ったら、絶対にイチャイチャしたいと思っていたんだ」
遥香さんが中に入っていたときは、さすがに最後まではできないからな。だからこそ、元の体に戻ったときは絶対にしたいと思っていた。
俺は彩花にキスする。今は彩花が元の体に戻ったからか、彼女の唇に触れた瞬間に懐かしい感覚に浸ることができる。やっぱり、彩花とのキスが一番いい。
唇を離すと、そこには嬉しそうに笑っている彩花の顔があった。
「……やっぱり、直人先輩とのキスが一番いいですね」
「ははっ、俺もそう思っていたよ」
「……嬉しいです」
目の前で笑っている女の子は……間違いなく宮原彩花だ。それが分かってとても嬉しかった。
「……それにしても、2日間しなかっただけで、こんなにも彩花とキスしたいと思うなんて。それだけ彩花のことが好きで、求めていたんだろうな」
「そうですか。私も同じです。今、直人先輩とキスしていて、とても幸せな気持ちになりました。ただ、私は先輩と一緒にもっと幸せになりたいです」
俺と一緒に、というフレーズをさりげなく入れるところが彩花らしい感じ。俺の側にいたいという気持ちが伝わってくる。
「じゃあ、お風呂に入ったらイチャイチャしようか」
「ええ」
そして、僕と彩花はこの2日間を取り戻すくらいにイチャイチャした。
「これで、2日分の埋め合わせはできましたか?」
「イチャイチャについては、ね。あと1日しかないけれど、明日も楽しもう」
あまり時間はないけれど、最終日も彩花と一緒に旅行を楽しみたいと思う。渚達へのお土産を忘れないように気をつけなければ。
「そうだ。朝になったら温泉に入ろうかな。まだ一度も入っていないんだ」
「昨日は入らなかったんですか?」
「……遥香さんと一緒に部屋のお風呂に入ったんだよ」
「……そ、そうですか」
しまった、彩花のことをまた不機嫌にさせてしまった。暫くの間、遥香さんと2人きりのときの話はしない方がいいかもしれない。もしかしたら、絢さんも彩花のことを話したら遥香さんに嫉妬されていたりするかも。
彩花にとっては元の体に戻っても、遥香さんのことは要注意って感じなのかな。
「たくさんイチャイチャして汗を掻いちゃったから、一緒にシャワーでも浴びようか。その……遥香さんとはそこまでしなかったから」
「……そうですね。直人先輩の汗を流してあげますね。あの……私の汗は先輩が流してくれますか?」
「ああ、分かった」
遥香さんにはしていないことをしてもらうことで、自分の方が俺との距離が近いのだと安心したいのかも。遥香さんには絢さんがいるから不安に思う必要はないと思うけど。
旅行3日目も色々なことがあったけれど、彩花と遥香さんの体が元に戻り、いつも通りに一日を終えることができたのであった。
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