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特別編-入れ替わりの夏-
第40話『バスローブロマン』
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ぎゅっと抱きしめて、何度もキスすると……体だけでなく心まで熱くなってきて、このままだときっとのぼせてしまうだろう。遥香さんものぼせてしまうかもしれない。時間が空いたとはいえ、俺とは違って彼女は2回目の入浴なんだし。
「そろそろお風呂から上がりましょうか、遥香さん」
「そうですね」
「遥香さんの方から上がっていいですよ」
「どうしてですか? 一緒に上がりましょうよ」
「……着替えるとき、俺と一緒にいたら恥ずかしいでしょう?」
とは言ったけど、こうして一緒にお風呂に入っているから、恥ずかしさはもうなくなっているのかな。
「ちょっと恥ずかしいですけど、大丈夫ですよ」
「……じゃあ、バスローブを着ましょうよ。ほら、部屋の空調の効きがいいのでむしろ寒いくらいじゃないですか。俺、バスローブを着ることに憧れを抱いているんですよ。バスローブを着るって金持ちみたいでいいじゃないですか。俺のロマンなんです」
「そう、なんですか……?」
遥香さんの表情からして、納得というよりも困惑という感じだろうか。バスローブまであと一押しだ。
「それに、バスローブをしている姿は旅行に来ている気がして個人的に好きなんですよ。そういう意味でも、バスローブを着ることが俺のロマンなんです」
遥香さんの両肩を掴みながら俺はそう言った。
「……分かりました」
遥香さんはそう言うと、何かを決意したような表情をして、
「直人さんにご希望があるならば、私はそれに沿う所存であります!」
「……ありがとうございます」
それに、彩花のバスローブ姿は昨日見ているんだけどな。まあ、バスローブ姿は普段見ないので、もう一度見たかったのは本当である。
「思えば、バスローブ姿は……確かに素敵だと思いますし、普段は着ませんから憧れますよね」
「ええ、ですから早く着ましょう」
洗面所には真新しいバスローブが2つ置いてあった。ベッドシーツだけではなくて、タオルやバスローブまで交換してくれるんだな。これは有り難い。
「これがバスローブですね」
「ありがとうございます。ええと、その……互いに背を向けるようにして立って着替えましょうか。実際にこうして一緒に浴室にいると恥ずかしくなってきて」
「分かりました。じゃあ、背中合わせに立ってバスローブを着ましょうか」
「はい、直人さん」
俺と遥香さんと背中合わせの状態になって、バスローブを着る。2回目だからかまだこの感じに慣れないな。
「直人さん、バスローブを着られましたか?」
「ええ」
「じゃあ……こっちを向いてもいいですよ」
「では、お言葉に甘えて」
遥香さんの方に振り向くと、バスローブ姿の遥香さんが立っていた。彩花と違ってもじもじしている。
「私、バスローブを着るのは初めてなので、その……ドキドキしています。これで合っていますか? 直人さん……」
「……ちゃんと着ることができていますよ。よく似合っています」
「そうですか! ……良かった」
この照れくさそうに笑う感じ……さっき言ったように、見た目は彩花なのに俺の目の前にいるのが遥香さんだと思える。やはり、遥香さん……可愛いな。
「私、直人さんのロマンにきちんと応えることができていますか?」
そういえば、湯船に浸かっているときに、バスローブを着ることが俺のロマンだって豪語したんだっけ。すっかりと忘れていた。
「さ、最高ですよ。バスローブ姿、よく似合っています」
何を言っているんだ、俺は。彩花ならまだしも、遥香さんにそんなことを言ってしまうなんて。いや、体は彩花なんだから、あいつの彼氏としてこういうことを言ってもおかしくはない……のか?
「そ、そうですか? ありがとう……ございます」
遥香さんの顔の赤みが更に増し、恥ずかしいのか俯いてしまう。
何だか変な空気になってしまったな。このまま遥香さんの恥ずかしさが続くのなら、特に何も起こらずに眠ることができそうだけれど。果たして、このままでいいのだろうか。
「あの……直人さん」
「何ですか?」
「……とりあえず、ベッドに行きましょうか」
「そうですね」
俺は遥香さんにぎゅっと手を掴まれる。そして、そのまま手を引かれ、ベッドへと真っ直ぐ向かうのであった。
「そろそろお風呂から上がりましょうか、遥香さん」
「そうですね」
「遥香さんの方から上がっていいですよ」
「どうしてですか? 一緒に上がりましょうよ」
「……着替えるとき、俺と一緒にいたら恥ずかしいでしょう?」
とは言ったけど、こうして一緒にお風呂に入っているから、恥ずかしさはもうなくなっているのかな。
「ちょっと恥ずかしいですけど、大丈夫ですよ」
「……じゃあ、バスローブを着ましょうよ。ほら、部屋の空調の効きがいいのでむしろ寒いくらいじゃないですか。俺、バスローブを着ることに憧れを抱いているんですよ。バスローブを着るって金持ちみたいでいいじゃないですか。俺のロマンなんです」
「そう、なんですか……?」
遥香さんの表情からして、納得というよりも困惑という感じだろうか。バスローブまであと一押しだ。
「それに、バスローブをしている姿は旅行に来ている気がして個人的に好きなんですよ。そういう意味でも、バスローブを着ることが俺のロマンなんです」
遥香さんの両肩を掴みながら俺はそう言った。
「……分かりました」
遥香さんはそう言うと、何かを決意したような表情をして、
「直人さんにご希望があるならば、私はそれに沿う所存であります!」
「……ありがとうございます」
それに、彩花のバスローブ姿は昨日見ているんだけどな。まあ、バスローブ姿は普段見ないので、もう一度見たかったのは本当である。
「思えば、バスローブ姿は……確かに素敵だと思いますし、普段は着ませんから憧れますよね」
「ええ、ですから早く着ましょう」
洗面所には真新しいバスローブが2つ置いてあった。ベッドシーツだけではなくて、タオルやバスローブまで交換してくれるんだな。これは有り難い。
「これがバスローブですね」
「ありがとうございます。ええと、その……互いに背を向けるようにして立って着替えましょうか。実際にこうして一緒に浴室にいると恥ずかしくなってきて」
「分かりました。じゃあ、背中合わせに立ってバスローブを着ましょうか」
「はい、直人さん」
俺と遥香さんと背中合わせの状態になって、バスローブを着る。2回目だからかまだこの感じに慣れないな。
「直人さん、バスローブを着られましたか?」
「ええ」
「じゃあ……こっちを向いてもいいですよ」
「では、お言葉に甘えて」
遥香さんの方に振り向くと、バスローブ姿の遥香さんが立っていた。彩花と違ってもじもじしている。
「私、バスローブを着るのは初めてなので、その……ドキドキしています。これで合っていますか? 直人さん……」
「……ちゃんと着ることができていますよ。よく似合っています」
「そうですか! ……良かった」
この照れくさそうに笑う感じ……さっき言ったように、見た目は彩花なのに俺の目の前にいるのが遥香さんだと思える。やはり、遥香さん……可愛いな。
「私、直人さんのロマンにきちんと応えることができていますか?」
そういえば、湯船に浸かっているときに、バスローブを着ることが俺のロマンだって豪語したんだっけ。すっかりと忘れていた。
「さ、最高ですよ。バスローブ姿、よく似合っています」
何を言っているんだ、俺は。彩花ならまだしも、遥香さんにそんなことを言ってしまうなんて。いや、体は彩花なんだから、あいつの彼氏としてこういうことを言ってもおかしくはない……のか?
「そ、そうですか? ありがとう……ございます」
遥香さんの顔の赤みが更に増し、恥ずかしいのか俯いてしまう。
何だか変な空気になってしまったな。このまま遥香さんの恥ずかしさが続くのなら、特に何も起こらずに眠ることができそうだけれど。果たして、このままでいいのだろうか。
「あの……直人さん」
「何ですか?」
「……とりあえず、ベッドに行きましょうか」
「そうですね」
俺は遥香さんにぎゅっと手を掴まれる。そして、そのまま手を引かれ、ベッドへと真っ直ぐ向かうのであった。
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