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最終章
第59話『X』
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午後6時半。
俺は彩花と一緒に家に帰ってきた。こうして彩花と一緒に帰ってくるのも、かれこれ1ヶ月ぶりくらいじゃないだろうか。懐かしくあり、安心できる。
「やっぱり、直人先輩とここに帰ってくるのが一番いいですね」
「……俺も」
リビングに入り、花畑で買ったルピナスの花をさっそく飾る。やっぱり、ルピナスの花が部屋にあるのは落ち着く。
「不思議ですね。しばらくここに帰ってこなかったのに、リビングに直人先輩とルピナスの花があるだけで、普通に帰ってきたように感じられるんです」
「そうか」
確か、ルピナスの花言葉にはいつも幸せとか、心の安らぎとかだったっけ。考えれば彩花といることで、幸せだし心の安らぎにもなるな。
「もういい時間ですし、ひさしぶりに夕ご飯作りますね。先輩はリビングで待っていてくれませんか」
「分かった」
彩花の言うとおり、俺はリビングのソファーに座る。
夕ご飯ができるまで何もしなかった。今はただ、こうやってぼうっとしていたくて。キッチンから聞こえてくる音があるっていう安心感に浸りたかったのだ。
「あまり食材がなかったのでパスタにしますね」
「うん」
彩花の声が直接聞こえる。やっぱりいいな。好きな人と一緒にいられるのって。
キッチンの方に振り返ると、IHの前に立っている彩花の後ろ姿が見える。
すると、急に彩花のことが抱きしめたくなったので、そっと彼女のすぐ後ろまで近づき、彼女のことをそっと抱きしめる。
「きゃっ」
「驚かせちゃった?」
「……ちょっとだけです。もう、先輩ったら。私はずっとここにいますし、それに、その……そういうことは後でゆっくりとしましょうよ」
そう言うと、彩花の顔が段々と赤くなっていく。はにかみながら俺のことをチラチラと見てくる。
「だから、今は……ね?」
すると、彩花は俺の方に振り返り、俺のことを抱きしめてキスした。
「……分かった」
「夕ご飯、もう少しでできますから」
それから程なくして彩花の作った夕ご飯を食べる。ひさしぶりに食べる彩花の夕ご飯はとても美味しくて、優しかった。
俺が後片付けをして、紅茶を飲みながらソファーでゆっくりしている彩花の横に座る。
「……何だか、ようやく直人先輩とゆっくりできた気がします」
「そうだな。また、彩花とこうして一緒に過ごせて嬉しいよ」
「私もです」
すると、彩花は急に顔を赤くして、もじもじし始める。
「あの、直人先輩。覚えていますか? 浅沼達から救ってくれたときに、私……直人先輩の彼女になれたら色々なことをしてほしいって」
「覚えているけど、色々なことって何なのかな」
「……分かってるくせに」
彩花はそう呟くと、俺のことを押し倒してきてキスしてくる。
「キスよりも先のことをしましょうよ」
「……分かった。お風呂に入ってから……しよっか」
「はい!」
俺の言うように……お風呂に入ってベッドの上でキスよりも先のことをした。
彩花はとても温かくて、柔らかくて、甘くて、優しくて。幸せな気分になる。そんな中、彩花と好きだと何度も言い合って、彼女との愛を深めた。
「凄く良かったです、直人先輩。身も心も愛おしさと幸せな気持ちに浸ることができました。あと、気持ち良かったです、本当に」
「それなら良かったよ。俺、こういうのは初めてだったから」
「私だって。初めてを先輩にあげることができて嬉しいです。でも、こういうことは先輩にしかさせませんから」
「俺だって、こういうことは彩花としかしないよ」
「約束ですよ。……これからもずっと私の側にいてくださいね」
「ああ。約束だ。ずっと一緒にいよう」
俺がそう言うと、彩花の眼には涙が。
「直人先輩の彼女になって、一緒にいるという今のような時間をずっと夢見ていました。だから、本当に嬉しいです。今も夢なんじゃないかって思うほどですよ」
彩花はそっとキスしてくる。これまでもたくさん彩花とキスしてきたけど、今のキスは特別なものになったかな。
「私、今日という日を忘れません」
「俺も忘れられない日になったよ。そんな日をたくさん作っていこう」
「はい!
今日という日は、俺と彩花が出会ってからのことを考えればゴールかもしれない。でも、俺と彩花が恋人になったことを考えればスタートなんだと思う。
「直人先輩。今日着たワイシャツ……着てもいいですか?」
「うん、いいけど」
そう言うと、彩花は部屋を出てゆく。そして、程なくして今日、俺が着たワイシャツを着て戻ってきた。そのときの彩花はとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
「私、直人先輩と最後までして、その後に直人先輩の着たワイシャツを着るのが夢だったんですよ」
「……随分とこだわった夢を持っているんだなぁ」
「えへへっ。直人先輩の匂いが感じられて凄く幸せな気分です」
その言葉の通り、彩花はワイシャツの匂いを嗅いでとても幸せな表情を見せている。
ようやく、俺は彩花と一緒にこの夏の日々を歩み始めることができたんだ。そんな気がしたのであった。
俺は彩花と一緒に家に帰ってきた。こうして彩花と一緒に帰ってくるのも、かれこれ1ヶ月ぶりくらいじゃないだろうか。懐かしくあり、安心できる。
「やっぱり、直人先輩とここに帰ってくるのが一番いいですね」
「……俺も」
リビングに入り、花畑で買ったルピナスの花をさっそく飾る。やっぱり、ルピナスの花が部屋にあるのは落ち着く。
「不思議ですね。しばらくここに帰ってこなかったのに、リビングに直人先輩とルピナスの花があるだけで、普通に帰ってきたように感じられるんです」
「そうか」
確か、ルピナスの花言葉にはいつも幸せとか、心の安らぎとかだったっけ。考えれば彩花といることで、幸せだし心の安らぎにもなるな。
「もういい時間ですし、ひさしぶりに夕ご飯作りますね。先輩はリビングで待っていてくれませんか」
「分かった」
彩花の言うとおり、俺はリビングのソファーに座る。
夕ご飯ができるまで何もしなかった。今はただ、こうやってぼうっとしていたくて。キッチンから聞こえてくる音があるっていう安心感に浸りたかったのだ。
「あまり食材がなかったのでパスタにしますね」
「うん」
彩花の声が直接聞こえる。やっぱりいいな。好きな人と一緒にいられるのって。
キッチンの方に振り返ると、IHの前に立っている彩花の後ろ姿が見える。
すると、急に彩花のことが抱きしめたくなったので、そっと彼女のすぐ後ろまで近づき、彼女のことをそっと抱きしめる。
「きゃっ」
「驚かせちゃった?」
「……ちょっとだけです。もう、先輩ったら。私はずっとここにいますし、それに、その……そういうことは後でゆっくりとしましょうよ」
そう言うと、彩花の顔が段々と赤くなっていく。はにかみながら俺のことをチラチラと見てくる。
「だから、今は……ね?」
すると、彩花は俺の方に振り返り、俺のことを抱きしめてキスした。
「……分かった」
「夕ご飯、もう少しでできますから」
それから程なくして彩花の作った夕ご飯を食べる。ひさしぶりに食べる彩花の夕ご飯はとても美味しくて、優しかった。
俺が後片付けをして、紅茶を飲みながらソファーでゆっくりしている彩花の横に座る。
「……何だか、ようやく直人先輩とゆっくりできた気がします」
「そうだな。また、彩花とこうして一緒に過ごせて嬉しいよ」
「私もです」
すると、彩花は急に顔を赤くして、もじもじし始める。
「あの、直人先輩。覚えていますか? 浅沼達から救ってくれたときに、私……直人先輩の彼女になれたら色々なことをしてほしいって」
「覚えているけど、色々なことって何なのかな」
「……分かってるくせに」
彩花はそう呟くと、俺のことを押し倒してきてキスしてくる。
「キスよりも先のことをしましょうよ」
「……分かった。お風呂に入ってから……しよっか」
「はい!」
俺の言うように……お風呂に入ってベッドの上でキスよりも先のことをした。
彩花はとても温かくて、柔らかくて、甘くて、優しくて。幸せな気分になる。そんな中、彩花と好きだと何度も言い合って、彼女との愛を深めた。
「凄く良かったです、直人先輩。身も心も愛おしさと幸せな気持ちに浸ることができました。あと、気持ち良かったです、本当に」
「それなら良かったよ。俺、こういうのは初めてだったから」
「私だって。初めてを先輩にあげることができて嬉しいです。でも、こういうことは先輩にしかさせませんから」
「俺だって、こういうことは彩花としかしないよ」
「約束ですよ。……これからもずっと私の側にいてくださいね」
「ああ。約束だ。ずっと一緒にいよう」
俺がそう言うと、彩花の眼には涙が。
「直人先輩の彼女になって、一緒にいるという今のような時間をずっと夢見ていました。だから、本当に嬉しいです。今も夢なんじゃないかって思うほどですよ」
彩花はそっとキスしてくる。これまでもたくさん彩花とキスしてきたけど、今のキスは特別なものになったかな。
「私、今日という日を忘れません」
「俺も忘れられない日になったよ。そんな日をたくさん作っていこう」
「はい!
今日という日は、俺と彩花が出会ってからのことを考えればゴールかもしれない。でも、俺と彩花が恋人になったことを考えればスタートなんだと思う。
「直人先輩。今日着たワイシャツ……着てもいいですか?」
「うん、いいけど」
そう言うと、彩花は部屋を出てゆく。そして、程なくして今日、俺が着たワイシャツを着て戻ってきた。そのときの彩花はとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
「私、直人先輩と最後までして、その後に直人先輩の着たワイシャツを着るのが夢だったんですよ」
「……随分とこだわった夢を持っているんだなぁ」
「えへへっ。直人先輩の匂いが感じられて凄く幸せな気分です」
その言葉の通り、彩花はワイシャツの匂いを嗅いでとても幸せな表情を見せている。
ようやく、俺は彩花と一緒にこの夏の日々を歩み始めることができたんだ。そんな気がしたのであった。
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