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特別編
第3話『おっぱいは語る』
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6月5日、月曜日。
今日は起きたときから青空が広がっている。例年通りだとあと数日で梅雨入りだけど、それを感じさせない空模様だ。
いつも通りに優奈と一緒に平日の朝を過ごし、通っている私立常盤学院大学附属高等学校に行く準備をして、
「じゃあ、学校へ行こうか」
「はいっ」
『いってきます』
と、優奈と声を揃えて言い、いってきますのキスをして家を出発した。優奈と好き合う夫婦になってから初めての週末をとても楽しく過ごせたから、こうしていつも通りの朝を過ごせることがこれまで以上に嬉しい。
マンションを出ると強い日差しが当たって。半袖のワイシャツにベストという夏服の服装だけど、結構暑い。引っ越したばかりの頃は冬服でジャケットを着ていてもそこまで暑くなかったから、季節の進みを実感する。
ただ、暑いけど、優奈と繋ぐ手から伝わる温もりはとても気持ちがいい。
「晴れていますから暑いですね」
「暑いよな」
優奈は半袖のブラウスにベスト姿だけど、暑く感じるか。
「ただ、和真君から伝わる温もりは気持ち良く感じられます」
「そう言ってくれて嬉しいよ。俺も同じことを思ってた」
「そうですかっ。嬉しいです」
ふふっ、と優奈は嬉しそうに笑った。
朝から暑く感じることも、繋いでいる手の温もりが気持ちいいことも優奈と共感できてとても嬉しいよ。
「週明けですが、とても久しぶりの登校な気がします。好き合う夫婦になってから初めて過ごす週末でしたし、週末の間に初めて和真君と一緒にお風呂に入って、キスよりも先のことをしたからでしょうか」
優奈は優しい笑顔でそう言った。俺と一緒にお風呂に入ったり、肌を重ねたりしたときのことを思い出しているのだろうか。優奈の頬がほんのりと赤くなっている。
「優奈の言うこと……分かる気がする。週末の間に、優奈と一緒に初めてのことをいくつも経験して。優奈とより深い関係になれて。だから、先週の金曜日が結構昔のことのように感じるよ」
「そうですかっ」
優奈はニコッと笑いながらそう言った。自分と同じような感覚であることが嬉しいのかもしれない。
「優奈と一緒に楽しい週末を過ごせたし、学校でも優奈と席が隣同士だから、今週も学校生活を頑張れそうだ」
「そうですね。一緒に楽しく過ごしましょうね!」
「ああ」
俺がそう返事をすると、優奈の口角がより上がって、俺の右手を握る力が強くなった。優奈の笑顔を見ると、今週の学校生活も楽しめそうだ。
「和真君。今日の放課後はバイトがありませんよね。私も特に予定はありませんし、放課後デートをしませんか?」
「おっ、いいな。放課後にデートしよう」
「はいっ」
優奈は可愛らしく返事をした。
それからは週末のことやアニメのことを中心に話しながら、学校に向かって歩いていく。それが楽しくて、気付けば学校の校門がはっきり見えるところまで来ていた。
このあたりまで歩くと、周りにいる人の大半はうちの高校の生徒だ。優奈と結婚して、一緒に登校し始めた直後は多くの生徒から見られていたけど、今は数人ほどの生徒がこちらをチラッと見る程度だ。きっと、周りの生徒にとって、俺達が一緒に歩くのが見慣れた光景になったからだろう。
学校に到着し、俺達のクラス・3年2組の教室がある第1教室棟に入る。
昇降口で上履きに履き替え、教室のある6階まで階段で上がっていく。3年生になった直後はちょっと疲れたけど、2ヶ月経った今は息一つ乱すことなく上れるようになった。
6階に到着し、後方の扉から教室に入る。誰かがエアコンのスイッチを入れてくれたおかげで、入った瞬間に涼しくて心地いい空気が体を包み込む。暑い中歩いてきたのでとても快適だ。
友人を中心にクラスメイトに「おはよう」と挨拶を交わしながら、自分の席に向かって歩くと、
「おっ、長瀬と有栖川が来たな。おはよう」
「おはよう、優奈、長瀬君」
「2人ともおはよう!」
窓側の一番後ろのところにいる友人の西山颯太、井上さん、佐伯さんが元気良く挨拶してくれた。ちなみに、西山は半袖のワイシャツ姿、井上さんと佐伯さんは優奈と同じで半袖のブラウスにベスト姿だ。
「みんなおはよう」
「おはようございます、萌音ちゃん、千尋ちゃん、西山君」
俺と優奈は3人に向かってそう挨拶する。その直後にそれぞれの席にスクールバッグを置いた。
「2人は週末を楽しく過ごせた?」
「好き合う夫婦になってから初めての週末だもんね!」
「ええ。いつも以上に楽しく過ごせましたよ」
井上さんと佐伯さんの問いに対して、優奈は満面の笑みで答えた。週末が楽しかったと友達に言ってくれることが凄く嬉しい。
「楽しかったよな、優奈」
「はいっ」
「2人ともいい笑顔で言うわね」
「とても楽しかったんだって分かるね」
「そうだな。親友と推しの夫婦が楽しい週末になって良きかな良きかな」
うんうん、と西山は爽やかな笑顔で頷いている。西山は少し遠くから優奈を見ていたいタイプのファンなので、楽しかったという話を聞くだけでも満足なのかも。
「……ねえ、優奈。おっぱい」
井上さんはとても甘い声で優奈にそう言う。
「はいはい、どうぞ」
優奈はそう言うと、優しい笑顔になって両手を広げる。
ありがとう、と井上さんはお礼を言い、優奈の胸に顔を埋めた。
「あぁ……優奈のおっぱい最高。癒やされる。これで今日の学校生活を頑張れそう。この週末は会わなかったから、優奈の胸が恋しくなって」
「ふふっ、そうですか」
優奈は柔らかい笑顔でそう言い、井上さんの頭を優しく撫でる。
学校のある日は必ずといっていいほどに、井上さんは優奈の胸に触れたり、顔を埋めたりしている。だから、2日間会わないと優奈の胸が恋しくなるのも納得かな。
井上さんは幸せそうな様子で優奈の胸に顔をスリスリするけど、
「……!」
突然、スリスリするのを止める。そんな井上さんの表情は真剣そうで。どうしたんだろう?
「……ねえ、優奈。ちょっと2人きりになりたいんだけど、いい?」
「いいですよ」
「長瀬君。ちょっと優奈を借りるね」
「あ、ああ」
「ありがと」
井上さんは優奈の手を引く形で教室を後にした。
「萌音、どうしたんだろうね?」
「分からねえなぁ。長瀬は心当たりあるか?」
「俺も全然分からない」
さっぱり見当が付かない。ただ、大好きな優奈の胸を堪能するのを中断するほどなので、井上さんは何か重大なことを優奈に訊きたいのかもしれない。
それからは西山と佐伯さんと、2人の部活のことや現在放送中で2人も観ているアニメのことを話していく。
数分ほど3人で話した中で、
――プルルッ。
スラックスのポケットに入っているスマホが震える。この鳴り方だと、メッセージかメールが届いたのかな。
さっそくスマホを確認すると……LIMEというSNSアプリで井上さんからメッセージが届いたと通知が。どうしたんだ?
「メッセージ来たから、ちょっと話から抜ける」
俺はそう言い、西山と佐伯さんから少し離れたところに移動する。通知をタップして、井上さんとの個別トークを開くと、
『長瀬君。あなた……様々な形で優奈の胸を堪能したのね』
というメッセージが表示された。どうして、井上さんはこんなメッセージを送ってくるんだ?
優奈の胸を堪能した……という文言から、肌を重ねたときのことを中心に、週末の間の出来事が脳裏をよぎる。
画面を見ていると、上の方に優奈からメッセージが届いたと通知が表示される。そこをタッチすると、優奈との個別トークが開かれ、
『萌音ちゃんに週末の間にえっちしたことと、そのときの胸絡みの出来事について話してしまいました。左胸にキスマークを付け合いましたから、そのことも。すみません……』
というメッセージが表示された。それを見た瞬間、顔を真っ赤にして、申し訳なさそうにする優奈が頭に思い浮かんだ。
なるほどな。肌を重ねたときのことやキスマークのことを優奈が話したから、井上さんは俺に『様々な形で優奈の胸を堪能した』とメッセージを送ったのか。実際に堪能したしな。ただ、それを井上さんに知られてしまったのだと分かると、何だか恥ずかしくなってくるな。ちょっと顔が熱い。
「どうした、長瀬。さっきよりも顔が赤い気がするけど」
「……ひ、日差しが当たって暑いからかな」
「そっか」
西山は納得した様子。……恥ずかしさが顔に出ていたか。ごまかせて良かった。
まずは、俺に申し訳なく思っている優奈にメッセージを送ろう。
『気にしないでいいよ。優奈の親友の井上さんだし』
と返信を送った。これで少しは優奈の気持ちが軽くなるといいな。
次は井上さんに返信するか。
『優奈から夜のことを聞いたそうだね。まあ、その通りだよ。……もしかして、俺達が週末の間に最後までしたんじゃないかと思って、優奈を教室から連れ出したのか?』
もし、俺と優奈が最後までしたんじゃないかと考えたのなら、井上さんが優奈の胸を堪能するのを中断して、優奈と2人で教室から連れ出したのも納得だけど。
俺の送った返信にはすぐに『既読』マークが付き、
『そうよ。優奈の胸の感触が先週までよりも良くてね。週末の間に何かあったなと思って。好き合う夫婦になったから、週末の間にえっちなことをして、そのときに長瀬君が優奈の胸を堪能したんじゃないかと考えたの。長瀬君、おっぱいは語るのだよ』
というメッセージが井上さんから届いた。
胸の感触の違いで、俺達が週末に肌を重ねたんじゃないかと推理するとは。さすがは井上さんというか。2年ほどの間で、優奈の胸にたくさん触れてきたからこそ推理できたのだろう。おっぱいは語る、と井上さんが言うのも納得かも。
あと、一般的に……肌を重ねることは女性の胸に影響を及ぼすものなのだろうか。
『なるほどな。優奈と最後までしたことやキスマークのことは誰にも話さないでくれよ』
優奈と結婚しているし、合意の上でしていることはいえ、言いふらされてしまうのはさすがに恥ずかしいから。
『分かったわ。……これまで以上に優奈のことを大切にしてね。そして、優奈の胸をもっと魅力的なものにしてね! 今日の優奈の胸が今まで以上に良かったのは、長瀬君のおかげだと思うから!』
井上さんからそんな返信が届いた。優奈を大切にしてと言うだけでなく、魅力的な胸にしてと言ってくるあたりが井上さんらしい。優奈と優奈の胸が本当に好きなのだと分かる。
『井上さんらしいな。優奈のことをより大切にするよ』
優奈の体に触れ、求め合う行為をするようになったから。
今の俺の返信を最後に、井上さんからは返信が来なくなったので、俺は西山と佐伯さんと再び談笑していく。
それから程なくして、優奈と井上さんが教室に戻ってきた。俺と最後までしたことやキスマークを付け合ったことを井上さんに話したからか、優奈の頬はほんのりと赤くなっている。
「あっ、萌音と優奈が戻ってきた」
「た、ただいまです」
「ただいま。優奈との用が済んだわ。3人で何の話をしていたの?」
「今放送してるアニメのことだよ」
そのアニメは優奈と井上さんも観ていて。だから、2人も加わり、朝礼が始まることを知らせるチャイムが鳴るまで、アニメのことで話が盛り上がった。
今日は起きたときから青空が広がっている。例年通りだとあと数日で梅雨入りだけど、それを感じさせない空模様だ。
いつも通りに優奈と一緒に平日の朝を過ごし、通っている私立常盤学院大学附属高等学校に行く準備をして、
「じゃあ、学校へ行こうか」
「はいっ」
『いってきます』
と、優奈と声を揃えて言い、いってきますのキスをして家を出発した。優奈と好き合う夫婦になってから初めての週末をとても楽しく過ごせたから、こうしていつも通りの朝を過ごせることがこれまで以上に嬉しい。
マンションを出ると強い日差しが当たって。半袖のワイシャツにベストという夏服の服装だけど、結構暑い。引っ越したばかりの頃は冬服でジャケットを着ていてもそこまで暑くなかったから、季節の進みを実感する。
ただ、暑いけど、優奈と繋ぐ手から伝わる温もりはとても気持ちがいい。
「晴れていますから暑いですね」
「暑いよな」
優奈は半袖のブラウスにベスト姿だけど、暑く感じるか。
「ただ、和真君から伝わる温もりは気持ち良く感じられます」
「そう言ってくれて嬉しいよ。俺も同じことを思ってた」
「そうですかっ。嬉しいです」
ふふっ、と優奈は嬉しそうに笑った。
朝から暑く感じることも、繋いでいる手の温もりが気持ちいいことも優奈と共感できてとても嬉しいよ。
「週明けですが、とても久しぶりの登校な気がします。好き合う夫婦になってから初めて過ごす週末でしたし、週末の間に初めて和真君と一緒にお風呂に入って、キスよりも先のことをしたからでしょうか」
優奈は優しい笑顔でそう言った。俺と一緒にお風呂に入ったり、肌を重ねたりしたときのことを思い出しているのだろうか。優奈の頬がほんのりと赤くなっている。
「優奈の言うこと……分かる気がする。週末の間に、優奈と一緒に初めてのことをいくつも経験して。優奈とより深い関係になれて。だから、先週の金曜日が結構昔のことのように感じるよ」
「そうですかっ」
優奈はニコッと笑いながらそう言った。自分と同じような感覚であることが嬉しいのかもしれない。
「優奈と一緒に楽しい週末を過ごせたし、学校でも優奈と席が隣同士だから、今週も学校生活を頑張れそうだ」
「そうですね。一緒に楽しく過ごしましょうね!」
「ああ」
俺がそう返事をすると、優奈の口角がより上がって、俺の右手を握る力が強くなった。優奈の笑顔を見ると、今週の学校生活も楽しめそうだ。
「和真君。今日の放課後はバイトがありませんよね。私も特に予定はありませんし、放課後デートをしませんか?」
「おっ、いいな。放課後にデートしよう」
「はいっ」
優奈は可愛らしく返事をした。
それからは週末のことやアニメのことを中心に話しながら、学校に向かって歩いていく。それが楽しくて、気付けば学校の校門がはっきり見えるところまで来ていた。
このあたりまで歩くと、周りにいる人の大半はうちの高校の生徒だ。優奈と結婚して、一緒に登校し始めた直後は多くの生徒から見られていたけど、今は数人ほどの生徒がこちらをチラッと見る程度だ。きっと、周りの生徒にとって、俺達が一緒に歩くのが見慣れた光景になったからだろう。
学校に到着し、俺達のクラス・3年2組の教室がある第1教室棟に入る。
昇降口で上履きに履き替え、教室のある6階まで階段で上がっていく。3年生になった直後はちょっと疲れたけど、2ヶ月経った今は息一つ乱すことなく上れるようになった。
6階に到着し、後方の扉から教室に入る。誰かがエアコンのスイッチを入れてくれたおかげで、入った瞬間に涼しくて心地いい空気が体を包み込む。暑い中歩いてきたのでとても快適だ。
友人を中心にクラスメイトに「おはよう」と挨拶を交わしながら、自分の席に向かって歩くと、
「おっ、長瀬と有栖川が来たな。おはよう」
「おはよう、優奈、長瀬君」
「2人ともおはよう!」
窓側の一番後ろのところにいる友人の西山颯太、井上さん、佐伯さんが元気良く挨拶してくれた。ちなみに、西山は半袖のワイシャツ姿、井上さんと佐伯さんは優奈と同じで半袖のブラウスにベスト姿だ。
「みんなおはよう」
「おはようございます、萌音ちゃん、千尋ちゃん、西山君」
俺と優奈は3人に向かってそう挨拶する。その直後にそれぞれの席にスクールバッグを置いた。
「2人は週末を楽しく過ごせた?」
「好き合う夫婦になってから初めての週末だもんね!」
「ええ。いつも以上に楽しく過ごせましたよ」
井上さんと佐伯さんの問いに対して、優奈は満面の笑みで答えた。週末が楽しかったと友達に言ってくれることが凄く嬉しい。
「楽しかったよな、優奈」
「はいっ」
「2人ともいい笑顔で言うわね」
「とても楽しかったんだって分かるね」
「そうだな。親友と推しの夫婦が楽しい週末になって良きかな良きかな」
うんうん、と西山は爽やかな笑顔で頷いている。西山は少し遠くから優奈を見ていたいタイプのファンなので、楽しかったという話を聞くだけでも満足なのかも。
「……ねえ、優奈。おっぱい」
井上さんはとても甘い声で優奈にそう言う。
「はいはい、どうぞ」
優奈はそう言うと、優しい笑顔になって両手を広げる。
ありがとう、と井上さんはお礼を言い、優奈の胸に顔を埋めた。
「あぁ……優奈のおっぱい最高。癒やされる。これで今日の学校生活を頑張れそう。この週末は会わなかったから、優奈の胸が恋しくなって」
「ふふっ、そうですか」
優奈は柔らかい笑顔でそう言い、井上さんの頭を優しく撫でる。
学校のある日は必ずといっていいほどに、井上さんは優奈の胸に触れたり、顔を埋めたりしている。だから、2日間会わないと優奈の胸が恋しくなるのも納得かな。
井上さんは幸せそうな様子で優奈の胸に顔をスリスリするけど、
「……!」
突然、スリスリするのを止める。そんな井上さんの表情は真剣そうで。どうしたんだろう?
「……ねえ、優奈。ちょっと2人きりになりたいんだけど、いい?」
「いいですよ」
「長瀬君。ちょっと優奈を借りるね」
「あ、ああ」
「ありがと」
井上さんは優奈の手を引く形で教室を後にした。
「萌音、どうしたんだろうね?」
「分からねえなぁ。長瀬は心当たりあるか?」
「俺も全然分からない」
さっぱり見当が付かない。ただ、大好きな優奈の胸を堪能するのを中断するほどなので、井上さんは何か重大なことを優奈に訊きたいのかもしれない。
それからは西山と佐伯さんと、2人の部活のことや現在放送中で2人も観ているアニメのことを話していく。
数分ほど3人で話した中で、
――プルルッ。
スラックスのポケットに入っているスマホが震える。この鳴り方だと、メッセージかメールが届いたのかな。
さっそくスマホを確認すると……LIMEというSNSアプリで井上さんからメッセージが届いたと通知が。どうしたんだ?
「メッセージ来たから、ちょっと話から抜ける」
俺はそう言い、西山と佐伯さんから少し離れたところに移動する。通知をタップして、井上さんとの個別トークを開くと、
『長瀬君。あなた……様々な形で優奈の胸を堪能したのね』
というメッセージが表示された。どうして、井上さんはこんなメッセージを送ってくるんだ?
優奈の胸を堪能した……という文言から、肌を重ねたときのことを中心に、週末の間の出来事が脳裏をよぎる。
画面を見ていると、上の方に優奈からメッセージが届いたと通知が表示される。そこをタッチすると、優奈との個別トークが開かれ、
『萌音ちゃんに週末の間にえっちしたことと、そのときの胸絡みの出来事について話してしまいました。左胸にキスマークを付け合いましたから、そのことも。すみません……』
というメッセージが表示された。それを見た瞬間、顔を真っ赤にして、申し訳なさそうにする優奈が頭に思い浮かんだ。
なるほどな。肌を重ねたときのことやキスマークのことを優奈が話したから、井上さんは俺に『様々な形で優奈の胸を堪能した』とメッセージを送ったのか。実際に堪能したしな。ただ、それを井上さんに知られてしまったのだと分かると、何だか恥ずかしくなってくるな。ちょっと顔が熱い。
「どうした、長瀬。さっきよりも顔が赤い気がするけど」
「……ひ、日差しが当たって暑いからかな」
「そっか」
西山は納得した様子。……恥ずかしさが顔に出ていたか。ごまかせて良かった。
まずは、俺に申し訳なく思っている優奈にメッセージを送ろう。
『気にしないでいいよ。優奈の親友の井上さんだし』
と返信を送った。これで少しは優奈の気持ちが軽くなるといいな。
次は井上さんに返信するか。
『優奈から夜のことを聞いたそうだね。まあ、その通りだよ。……もしかして、俺達が週末の間に最後までしたんじゃないかと思って、優奈を教室から連れ出したのか?』
もし、俺と優奈が最後までしたんじゃないかと考えたのなら、井上さんが優奈の胸を堪能するのを中断して、優奈と2人で教室から連れ出したのも納得だけど。
俺の送った返信にはすぐに『既読』マークが付き、
『そうよ。優奈の胸の感触が先週までよりも良くてね。週末の間に何かあったなと思って。好き合う夫婦になったから、週末の間にえっちなことをして、そのときに長瀬君が優奈の胸を堪能したんじゃないかと考えたの。長瀬君、おっぱいは語るのだよ』
というメッセージが井上さんから届いた。
胸の感触の違いで、俺達が週末に肌を重ねたんじゃないかと推理するとは。さすがは井上さんというか。2年ほどの間で、優奈の胸にたくさん触れてきたからこそ推理できたのだろう。おっぱいは語る、と井上さんが言うのも納得かも。
あと、一般的に……肌を重ねることは女性の胸に影響を及ぼすものなのだろうか。
『なるほどな。優奈と最後までしたことやキスマークのことは誰にも話さないでくれよ』
優奈と結婚しているし、合意の上でしていることはいえ、言いふらされてしまうのはさすがに恥ずかしいから。
『分かったわ。……これまで以上に優奈のことを大切にしてね。そして、優奈の胸をもっと魅力的なものにしてね! 今日の優奈の胸が今まで以上に良かったのは、長瀬君のおかげだと思うから!』
井上さんからそんな返信が届いた。優奈を大切にしてと言うだけでなく、魅力的な胸にしてと言ってくるあたりが井上さんらしい。優奈と優奈の胸が本当に好きなのだと分かる。
『井上さんらしいな。優奈のことをより大切にするよ』
優奈の体に触れ、求め合う行為をするようになったから。
今の俺の返信を最後に、井上さんからは返信が来なくなったので、俺は西山と佐伯さんと再び談笑していく。
それから程なくして、優奈と井上さんが教室に戻ってきた。俺と最後までしたことやキスマークを付け合ったことを井上さんに話したからか、優奈の頬はほんのりと赤くなっている。
「あっ、萌音と優奈が戻ってきた」
「た、ただいまです」
「ただいま。優奈との用が済んだわ。3人で何の話をしていたの?」
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