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第40話『今夜は一緒に寝ませんか?』
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夜。
夕食を食べ終わってからは、優奈と一緒に優奈の部屋で今日の授業で出た課題をやったり、自分の部屋に戻って翌日の予習をやったりした。お風呂に入った後は途中まで読んでいたラノベを最後まで読んだ。読み終わったときには午後11時を過ぎていた。なので、今日はもう寝ることに。
寝る準備をするため、洗面所に行き、歯を磨く。今日はスイーツ研究部の見学中にホットケーキを食べたから、しっかりと磨いておこう。
「和真君」
「……うん?」
歯を磨き終わったとき、寝間着姿の優奈が洗面所にやってきた。優奈の頬はほんのりと赤くなっていて。どこか緊張しい感じがして。
「どうした?」
優奈と目を合わせながらそう問いかけると、優奈はゆっくりと俺の側まで近づいてくる。
「……こ、今夜は一緒に寝ませんか? 今日は初めて部活に来てもらって一緒にいる時間が多かったので。寝るときまで一緒にいたい気持ちでして……」
俺の顔をチラチラと見ながら、優奈は寝るのを誘ってきた。
連休中。雷雨があった夜に一緒に寝た翌日に、優奈は「一緒に寝たいとお願いするかもしれない」と言っていた。まさか、こんなに早くお願いされるとは。寝るときまで一緒にいたいだなんて可愛い理由だ。
「分かった。今夜は一緒に寝ようか」
「ありがとうございますっ」
優奈はとても嬉しそうにお礼を言った。一緒に寝たいと言われたのもあって、優奈の笑顔を見るとキュンとくる。
「この前、雷雨が降った日は和真君の部屋だったので、今夜は私の部屋のベッドで寝ませんか? 自分のベッドでも和真君と一緒に寝てみたくて」
「……分かった。いいよ」
今夜は優奈の部屋のベッドに寝るのか。しかも、今回は雷が怖いといった理由もない。それもあって結構ドキドキする。ちゃんと眠れるだろうか。
その後、俺はお手洗いを済ませ、自分の部屋から枕を持って優奈の部屋へ向かう。
「どうぞ、和真君」
「お邪魔します」
優奈の部屋に入ると……もう寝るだけなのもあり、部屋の照明は消しており、ベッドライトが点いている状態だ。また、優奈の部屋なのもあって、入った瞬間にボディーソープやシャンプーなどの甘い匂いが香ってくる。
「和真君。壁側と床側、どちらがいいですか? この前は床側でしたが」
「今回も床側でかまわないよ」
「分かりました」
優奈はベッドに置いてある枕を壁側に移動し、掛け布団をめくって、ベッドの中に入った。俺の方を向いて横になり、
「どうぞ、和真君」
と言って、ベッドをポンポンと軽く叩いた。優奈の優しい笑顔がベッドライトの暖色系の光に照らされているから、とても大人っぽくて艶やかな雰囲気だ。その姿にドキッとする。
「し、失礼します」
緊張しているのもあって、思わず敬語になってしまった。
枕を優奈の枕にくっつけた状態で置き、優奈のベッドの中に入る。
仰向けの状態になると、優奈は俺の胸元まで布団を掛けてくれる。そのことで優奈の甘い匂いがふんわりと香ってくる。優奈が隣にいるから、ベッドの中がすぐに温かくなって。
「どうですか? 私のベッドは……」
「凄く気持ちいいよ。あと……優奈のベッドだから、優奈の匂いとか温もりをはっきりと感じて。優奈に包まれているみたいだ。それがいいなって思う」
「そ、そうですかっ。嬉しいです」
えへへっ、と優奈は声に出しながら笑う。至近距離だし、優奈のベッドの中だからかなりドキッとして。体が段々と熱くなっていく。
「私も雷雨の日の夜、和真君のベッドで寝たとき、和真君の匂いや温もりを感じたので、和真君に包まれている感じがしました。和真君の胸に顔を埋めていましたし。雷から和真君に守ってもらっている感じもして。あのときは……とても良かったです」
「……そう言ってもらえて嬉しいよ」
「あと、今……私のベッドの中で和真君の匂いと温もりを感じられるのもいいなって思います」
「……そう言ってももらえて嬉しいよ」
俺がそう言うと、優奈は「ふふっ」と笑った。
「俺もあの日、自分のベッドで優奈の匂いとか温もりを感じていいなって思ったよ。ドキドキもしたけどな」
「そうでしたか。私も今……この状況にドキドキしています」
優奈ははにかみながらそう言った。
一緒に寝るのはこれで2度目だし、ドキドキするよな。優奈がドキドキしていると言ったからか、優奈から伝わってくる温もりが強くなった気がした。
「和真君。今日は部活を見学しに来てくれて、私の作ったホットケーキを美味しく食べてくれてありがとうございました。今日の部活はとても楽しかったです。ですから、高校生活の中でも指折りの楽しい一日になりました。ありがとうございます」
「いえいえ。俺も部活を見学したから、凄く楽しい一日になったよ。こちらこそありがとう」
「いえいえ」
優奈は朗らかな笑顔でそう言った。
お互いにお礼を言って、笑い合って。そのおかげで緊張が解けてきて、ドキドキが治まってきた。優奈の温もりや甘い匂いが心地良く思えてきた。それもあり、段々と眠気が襲ってきて。ふああっ、とあくびが出る。
「眠くなってきた」
「私もです。そろそろ寝ましょうか。この前みたいに雷は鳴っていませんから、顔を埋めて寝るとドキドキして眠れないかもしれません。ですから、今夜は手を握って寝てもいいですか?」
「ああ、いいよ」
それで優奈がよく眠れるのなら。
手を握るくらいなら、ドキドキして眠れないということにはならないと思う。
優奈がベッドライトを消す。その直後、俺の左手が優しい力で掴まれる感覚に。同時に温かくなって。この感覚からして、優奈が俺の手を握ったのだろう。今まで何度も手を繋いでいるから分かる。俺もそっと握り返した。
「これまで、一緒に外出するときには手を繋ぐことが多かったからでしょうか。気持ちが段々と落ち着いてきます」
「そっか。俺も優奈と手を繋いでいい感じだよ」
「良かったです。では、おやすみなさい」
「おやすみ」
俺はゆっくりと目を瞑る。
ベッドに入った直後は結構ドキドキしたけど、今はそれなりに落ち着いてきている。すぐ側から聞こえる優奈の寝息も可愛く思えて。
目が暗さに慣れてきたから、少し目を開けると、目の前にある優奈のとても可愛い寝顔が見えて。そのことにまたドキッとして。ただ、優奈の温もりや甘い匂い、手を握られている優しい感触、ベッドの柔らかさのおかげで、眠りにつくまではそこまで時間はかからなかった。
翌朝。
ゆっくりと目を覚ますと、薄暗い中でこちらを見ている優奈の笑顔が見えた。一瞬、これは夢なのかと思ったけど、昨日は優奈の部屋のベッドで一緒に寝たんだった。それが分かって、優奈の温もりや甘い匂いを感じるように。
俺と目が合うと、優奈はニコッと笑い、
「おはようございます、和真君」
「……おはよう」
朝の挨拶を交わすと、優奈の口角がさらに上がった。目覚めた瞬間から。優奈の笑顔は見られるのはいいな。嬉しい気持ちにもなって。
「よく眠っていましたね」
「ああ。ぐっすりと眠れたよ。優奈はよく眠れたか?」
「はい。眠れました。寝るときに和真君と手を繋いだからでしょうか」
「気持ちが段々と落ち着いてくるって言っていたもんな」
「ええ。……数分前に目が覚めたのですが、そのときも和真君と手を繋いでいました」
「そうだったんだ。俺もぐっすりと眠れたのは、優奈が手を握っていてくれたおかげかもな」
「そうだったら嬉しいです」
えへへっ、と優奈は嬉しそうに笑う。優奈の笑顔を見ていると、気持ちが癒やされていく。
「一緒に寝ようと誘ってみて良かったです」
「そう言ってくれて嬉しいよ。誘ってくれてありがとう」
「いえいえ。今は……6時半過ぎですか」
「そっか。じゃあ、起きて朝食を作るか」
「お願いします。楽しみです。私はその間に洗濯物をやりますね。今日はよく晴れるそうですから」
「うん、お願いするよ。ありがとう」
俺は優奈と一緒にベッドを降りて、洗面所へ向かう。
これからは、優奈と一緒に寝て、こういう一日の始まりを迎える日が増えていきそうだ。もしかしたら、毎日そうなるかもしれない。俺の隣で歯を磨いている優奈を見ながらそう思った。
夕食を食べ終わってからは、優奈と一緒に優奈の部屋で今日の授業で出た課題をやったり、自分の部屋に戻って翌日の予習をやったりした。お風呂に入った後は途中まで読んでいたラノベを最後まで読んだ。読み終わったときには午後11時を過ぎていた。なので、今日はもう寝ることに。
寝る準備をするため、洗面所に行き、歯を磨く。今日はスイーツ研究部の見学中にホットケーキを食べたから、しっかりと磨いておこう。
「和真君」
「……うん?」
歯を磨き終わったとき、寝間着姿の優奈が洗面所にやってきた。優奈の頬はほんのりと赤くなっていて。どこか緊張しい感じがして。
「どうした?」
優奈と目を合わせながらそう問いかけると、優奈はゆっくりと俺の側まで近づいてくる。
「……こ、今夜は一緒に寝ませんか? 今日は初めて部活に来てもらって一緒にいる時間が多かったので。寝るときまで一緒にいたい気持ちでして……」
俺の顔をチラチラと見ながら、優奈は寝るのを誘ってきた。
連休中。雷雨があった夜に一緒に寝た翌日に、優奈は「一緒に寝たいとお願いするかもしれない」と言っていた。まさか、こんなに早くお願いされるとは。寝るときまで一緒にいたいだなんて可愛い理由だ。
「分かった。今夜は一緒に寝ようか」
「ありがとうございますっ」
優奈はとても嬉しそうにお礼を言った。一緒に寝たいと言われたのもあって、優奈の笑顔を見るとキュンとくる。
「この前、雷雨が降った日は和真君の部屋だったので、今夜は私の部屋のベッドで寝ませんか? 自分のベッドでも和真君と一緒に寝てみたくて」
「……分かった。いいよ」
今夜は優奈の部屋のベッドに寝るのか。しかも、今回は雷が怖いといった理由もない。それもあって結構ドキドキする。ちゃんと眠れるだろうか。
その後、俺はお手洗いを済ませ、自分の部屋から枕を持って優奈の部屋へ向かう。
「どうぞ、和真君」
「お邪魔します」
優奈の部屋に入ると……もう寝るだけなのもあり、部屋の照明は消しており、ベッドライトが点いている状態だ。また、優奈の部屋なのもあって、入った瞬間にボディーソープやシャンプーなどの甘い匂いが香ってくる。
「和真君。壁側と床側、どちらがいいですか? この前は床側でしたが」
「今回も床側でかまわないよ」
「分かりました」
優奈はベッドに置いてある枕を壁側に移動し、掛け布団をめくって、ベッドの中に入った。俺の方を向いて横になり、
「どうぞ、和真君」
と言って、ベッドをポンポンと軽く叩いた。優奈の優しい笑顔がベッドライトの暖色系の光に照らされているから、とても大人っぽくて艶やかな雰囲気だ。その姿にドキッとする。
「し、失礼します」
緊張しているのもあって、思わず敬語になってしまった。
枕を優奈の枕にくっつけた状態で置き、優奈のベッドの中に入る。
仰向けの状態になると、優奈は俺の胸元まで布団を掛けてくれる。そのことで優奈の甘い匂いがふんわりと香ってくる。優奈が隣にいるから、ベッドの中がすぐに温かくなって。
「どうですか? 私のベッドは……」
「凄く気持ちいいよ。あと……優奈のベッドだから、優奈の匂いとか温もりをはっきりと感じて。優奈に包まれているみたいだ。それがいいなって思う」
「そ、そうですかっ。嬉しいです」
えへへっ、と優奈は声に出しながら笑う。至近距離だし、優奈のベッドの中だからかなりドキッとして。体が段々と熱くなっていく。
「私も雷雨の日の夜、和真君のベッドで寝たとき、和真君の匂いや温もりを感じたので、和真君に包まれている感じがしました。和真君の胸に顔を埋めていましたし。雷から和真君に守ってもらっている感じもして。あのときは……とても良かったです」
「……そう言ってもらえて嬉しいよ」
「あと、今……私のベッドの中で和真君の匂いと温もりを感じられるのもいいなって思います」
「……そう言ってももらえて嬉しいよ」
俺がそう言うと、優奈は「ふふっ」と笑った。
「俺もあの日、自分のベッドで優奈の匂いとか温もりを感じていいなって思ったよ。ドキドキもしたけどな」
「そうでしたか。私も今……この状況にドキドキしています」
優奈ははにかみながらそう言った。
一緒に寝るのはこれで2度目だし、ドキドキするよな。優奈がドキドキしていると言ったからか、優奈から伝わってくる温もりが強くなった気がした。
「和真君。今日は部活を見学しに来てくれて、私の作ったホットケーキを美味しく食べてくれてありがとうございました。今日の部活はとても楽しかったです。ですから、高校生活の中でも指折りの楽しい一日になりました。ありがとうございます」
「いえいえ。俺も部活を見学したから、凄く楽しい一日になったよ。こちらこそありがとう」
「いえいえ」
優奈は朗らかな笑顔でそう言った。
お互いにお礼を言って、笑い合って。そのおかげで緊張が解けてきて、ドキドキが治まってきた。優奈の温もりや甘い匂いが心地良く思えてきた。それもあり、段々と眠気が襲ってきて。ふああっ、とあくびが出る。
「眠くなってきた」
「私もです。そろそろ寝ましょうか。この前みたいに雷は鳴っていませんから、顔を埋めて寝るとドキドキして眠れないかもしれません。ですから、今夜は手を握って寝てもいいですか?」
「ああ、いいよ」
それで優奈がよく眠れるのなら。
手を握るくらいなら、ドキドキして眠れないということにはならないと思う。
優奈がベッドライトを消す。その直後、俺の左手が優しい力で掴まれる感覚に。同時に温かくなって。この感覚からして、優奈が俺の手を握ったのだろう。今まで何度も手を繋いでいるから分かる。俺もそっと握り返した。
「これまで、一緒に外出するときには手を繋ぐことが多かったからでしょうか。気持ちが段々と落ち着いてきます」
「そっか。俺も優奈と手を繋いでいい感じだよ」
「良かったです。では、おやすみなさい」
「おやすみ」
俺はゆっくりと目を瞑る。
ベッドに入った直後は結構ドキドキしたけど、今はそれなりに落ち着いてきている。すぐ側から聞こえる優奈の寝息も可愛く思えて。
目が暗さに慣れてきたから、少し目を開けると、目の前にある優奈のとても可愛い寝顔が見えて。そのことにまたドキッとして。ただ、優奈の温もりや甘い匂い、手を握られている優しい感触、ベッドの柔らかさのおかげで、眠りにつくまではそこまで時間はかからなかった。
翌朝。
ゆっくりと目を覚ますと、薄暗い中でこちらを見ている優奈の笑顔が見えた。一瞬、これは夢なのかと思ったけど、昨日は優奈の部屋のベッドで一緒に寝たんだった。それが分かって、優奈の温もりや甘い匂いを感じるように。
俺と目が合うと、優奈はニコッと笑い、
「おはようございます、和真君」
「……おはよう」
朝の挨拶を交わすと、優奈の口角がさらに上がった。目覚めた瞬間から。優奈の笑顔は見られるのはいいな。嬉しい気持ちにもなって。
「よく眠っていましたね」
「ああ。ぐっすりと眠れたよ。優奈はよく眠れたか?」
「はい。眠れました。寝るときに和真君と手を繋いだからでしょうか」
「気持ちが段々と落ち着いてくるって言っていたもんな」
「ええ。……数分前に目が覚めたのですが、そのときも和真君と手を繋いでいました」
「そうだったんだ。俺もぐっすりと眠れたのは、優奈が手を握っていてくれたおかげかもな」
「そうだったら嬉しいです」
えへへっ、と優奈は嬉しそうに笑う。優奈の笑顔を見ていると、気持ちが癒やされていく。
「一緒に寝ようと誘ってみて良かったです」
「そう言ってくれて嬉しいよ。誘ってくれてありがとう」
「いえいえ。今は……6時半過ぎですか」
「そっか。じゃあ、起きて朝食を作るか」
「お願いします。楽しみです。私はその間に洗濯物をやりますね。今日はよく晴れるそうですから」
「うん、お願いするよ。ありがとう」
俺は優奈と一緒にベッドを降りて、洗面所へ向かう。
これからは、優奈と一緒に寝て、こういう一日の始まりを迎える日が増えていきそうだ。もしかしたら、毎日そうなるかもしれない。俺の隣で歯を磨いている優奈を見ながらそう思った。
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