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最終章
第45話『気付いた気持ち』
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愛実の家ではあおいと海老名さんと3人でお泊まり女子会が開催されている。
愛実の家に友達が泊まりに来ているときには大抵、部屋の窓を開けて少し話すのが恒例になっている。今回もその通りになった。それが嬉しくて。
愛実と海老名さんが夕食を作ったり、3人一緒に入浴したり、アニメ鑑賞をしたり。盛りだくさんで楽しいお泊まり女子会になっていると分かって。
蒸し暑い空気が部屋に入ってきているから、これでお開きにしようと言った直後だった。あおいと愛実が俺のことを呼んで、
『大好きっ!』
とても可愛い笑顔で2人一緒にそう言ってくれた。
突然だったのもあって驚いた。だけど、すぐに物凄く温かい気持ちが湧いてきて。キュンとなって。2人の声に乗せられた「大好き」って言葉が体の奥まで染み渡っていき、頬が緩んでいくのが分かった。俺は唯一言、
「ありがとう」
と言った。
おやすみ、と3人に夜の挨拶を交わして、窓を閉めた後、俺はベッドで仰向けになった。
窓を閉めたから、エアコンによって部屋の空気が再び冷やされていく。
でも、窓を開けて話しているときよりもかなり体が熱くなっていて。心臓の鼓動が治まらなくて。あおいと愛実の笑顔が次々と頭をよぎると、体の熱も心臓の鼓動もさらに強くなっていく。
だけど、この感覚……嫌じゃない。
それに、全身を纏っている強い熱とは違い、胸にはとても優しい温もりを抱くのが分かって。あおいと愛実のことを思うと、その温もりが強くなって。
その瞬間に分かったんだ。
「……好きなんだ。あおいと愛実のことが」
一人の女の子として、あおいと愛実のことが好きなんだ。
好きなんだ、って声に出したら、体の熱や心臓の鼓動、胸に抱く温もりがさらに強くなる。
告白されたときのことを中心に、あおいと愛実のことを次々と思い出す。
あおいと愛実に告白されたとき、凄くドキドキして、全身が熱くなったこと。
あおいの積極的なアプローチにドキドキすること。
愛実といつも通りの時間を過ごせて嬉しいこと。
海であおいの水着が脱げたとき、俺が守るって強く思ったこと。
海で愛実がナンパに遭ったとき、気持ちがとてもモヤモヤしたこと。
海老名さんに告白されたとき、あおいと愛実のようには考えられないと思ったこと。
他にもいっぱいあるけど……これらのことはきっと、あおいと愛実への好意があるからだと思う。
「幸せなことだな」
あおいと愛実から好きだって告白されて。さっきも2人で一緒に大好きだって言ってもらえて。しかも、その2人は幼馴染で、俺の家の両隣に住んでいて。
ベッドから降りて、窓越しに愛実の家を見る。といっても、曇りガラスだから、愛実の部屋の明かりが点いていることくらいしか分からないけど。ただ、あそこにあおいも愛実もいると思うと嬉しい気持ちになる。
今、あおいと愛実は海老名さんと3人で何をしているだろう。アニメを観ているのか。それとも、お泊まりの夜だからガールズトークをしているのか。3人にとって楽しい時間になっていたらいいな。
好きだって自覚したから、あおいと愛実のことを考えると気持ちがとても温かくなっていく。
「どうするか……」
大好きな2人の想いに応えたい。
ただ、応え抜いたり、2人を幸せにしたりすることを考えたら……やっぱり、どっちか1人を選ばないといけないよな。
日中はずっとバイトをしていたから、その後すぐに眠気が襲ってきた。明日はあおいと愛実と海老名さんと一緒にアニメを観る約束もしているし、今日は早めに寝るか。
寝る準備をして、俺はベッドに入る。
あおいと愛実に告白された夜のように、ベッドの中がすぐに暑くなっていく。でも、今回は凄く心地良い感覚に包まれて。だから、目を瞑ると、程なくして眠りに落ちていった。
8月15日、月曜日。
バイトの疲れのおかげか、あおいや愛実への想いに気づけたからか、昨日はぐっすりと眠れた。
雨も降っていないし、どこかへ出かける用事もないので、今日は早朝のジョギングを行なった。いつも通りのジョギングコースを走ったけど、足取りも軽くて、結構気持ち良くジョギングすることができた。
朝食を食べ終わり、自分の部屋に戻ってスマホを確認すると、あおいと愛実から俺達3人のグループトークに新着メッセージが届いたと通知が。それを見た瞬間に心が躍って。通知をタップすると、グループのトーク画面が開き、
『おはよう、リョウ君』
『おはようございます! 何時頃に会いましょうか? あと、愛実ちゃんの家か涼我君の家、どちらでアニメを観ましょうか?』
という2つのメッセージが表示された。そういえば、4人でアニメを観ようと約束しただけで、場所や会う時間は特に決めていなかったな。
あおいと愛実とメッセージをやり取りして、午前9時半頃にあおいと愛実と海老名さんがここに来ることに決まった。あと1時間ほどで会えると思うと嬉しい気持ちになる。
部屋の掃除をしたり、読みかけのラノベを読んだりして3人が来るまでの時間を過ごした。
「……おっ、もうすぐか」
気付けば、約束の9時半まであと5分になっていた。あおいも愛実も、うちに来るのは数え切れないほどにあるのにちょっと緊張する。壁に掛かっている時計の針の進みが遅くなったような気がした。
そして、午前9時半になってすぐに、
――ピンポーン。
家のインターホンが鳴る。立っていたので、インターホンの音が鳴り終わる前に、モニターの応答ボタンを押す。すると、画面にはあおいと愛実、海老名さんの顔が映る。
「みんな、来たか。すぐに行くよ」
『はいっ!』
代表してか、あおいが元気良く返事した。そのことに頬が緩んだ。
緊張した気持ちの中で部屋を出て、俺は玄関に向かう。
玄関の扉をゆっくりと開けると、そこにはスラックスにノースリーブのVネックシャツのあおい、膝丈のスカートにフレンチスリーブのブラウスの愛実、ジーンズパンツにノースリーブの縦ニットの海老名さんが立っていた。みんな可愛いし、特にあおいと愛実の姿を見るとドキッとする。
「おはよう。みんないらっしゃい」
「おはようございます、涼我君!」
「リョウ君、おはよう」
「おはよう、麻丘君」
「ああ、おはよう。さあ、みんな入って」
『お邪魔しまーす』
あおいと愛実と海老名さんは声を揃えてそう言うと、家の中に入ってきた。
リビングにいる母さんに挨拶した後、3人を俺の部屋に通す。
部屋に通した瞬間、色々な不安が頭によぎる。掃除はしたけどゴミは落ちていないかとか、変な臭いはしないかとか、快適に思える涼しさになっているのかとか。
「あぁ、涼しいです」
「少しの間でも外に出ていたからね」
「部活で外にいることが多くても、涼しい場所はいいなって思うわ」
3人にとって快適な涼しさになっているようで良かった。ほっと胸を撫で下ろす。
部屋を見渡すけど……床にゴミが落ちていたり、本が無造作に置かれていたりもしていないな。よし。
「俺、冷たい飲み物を持ってくるよ。何か飲みたいものはあるか?」
「そうだね……あおいちゃんと理沙ちゃんは何か希望はある?」
「そうですね……アイスコーヒーがいいですね。昨日の夜はアイスティーを飲みながらアニメを観たので」
「コーヒーいいわね」
「私もコーヒーをいいなって思うよ。じゃあ、コーヒーをお願いできるかな」
「分かった。3人は適当なところにくつろいでいてくれ」
俺は部屋を一旦後にして、1階のキッチンへ向かう。
自分のマグカップ、あおい、愛実専用のマグカップ、来客用のマグカップにそれぞれアイスコーヒーを淹れていく。あおいはブラックが苦手なので、ガムシロップを入れて少し甘めにして。
アイスコーヒーの入ったマグカップを乗せたトレーを持って、俺は自分の部屋に戻っていく。
部屋の中に入ると、あおいと愛実と海老名さんはローテーブルの周りに置いてあるクッションに座って談笑していた。昨日の夜、愛実の部屋でもこんな感じだったのかなと思わせてくれる。
「みんな、ただいま。アイスコーヒー淹れてきたよ。あおいにはガムシロップを入れた」
「ありがとうございます、涼我君!」
「良かったね、あおいちゃん。リョウ君、ありがとう」
「ありがとね、麻丘君」
俺は3人の前と、空席となっているベッド近くにあるクッションの前にマグカップを置いた。
トレーを勉強机に置いて、俺はベッド近くのクッションに腰を下ろす。
『いただきまーす』
と、あおいと愛実と海老名さんは言い、アイスコーヒーを一口飲む。3人が美味しいと思ってもらえると嬉しいな。みんなに飲み物を作ることはたくさんあるけど、今日は緊張する。
「あぁ、冷たくて美味しい」
「美味しいわね」
「ほんのりと甘みがあって美味しいです! 苦味もしっかりありますが、涼我君の作ってくれたコーヒーは本当に美味しいですね」
「……ありがとう」
あおいも愛実も海老名さんも笑顔で美味しいと言ってくれて嬉しい。
俺も自分のマグカップに入ったアイスコーヒーを飲むと……凄く美味しい。いつも飲んでいるインスタントコーヒーだけど、いつもより美味しく感じられるよ。
「じゃあ、約束通り、まずは昨日のラブコメアニメを観るか」
「観ましょう! 今日も涼我君のお隣で観ていいですか?」
「私も」
「……ああ、いいぞ」
俺がそう言うと、あおいも愛実も嬉しそうに「ありがとう」と言って、クッションと一緒に俺の隣に動いてくる。ちなみに、あおいが左側で、愛実が右側だ。
移動が完了すると、2人は俺に体を寄せてきた。そのことで、あおいと愛実それぞれの温もりや柔らかさが腕に伝わってきて。また、呼吸すると2人の甘い匂いが香ってきて。かなりドキドキする。2人もこういう感覚なのかな。
また、俺の正面に座っている海老名さんは、テレビを観やすいように、愛実が元々座っていた窓側のところまで移動する。
「幼馴染3人が寄り添ういい光景ね。それがいつものスタイルなの?」
「告白してからは寄り添って観るのがほとんどですね」
「私も」
「ふふっ、そうなの」
海老名さんは楽しげな笑顔で俺達のことを見ている。この様子なら……先日、俺にフラれたことのショックは癒えてきているのかな。
「じゃあ、アニメを観よう」
それから、俺達は録画した昨晩放送されたラブコメアニメの最新話を観ていく。4人とも、昨日の夜にリアルタイムで観ていたので、キャラやストーリーのことを語りながら。
ただ、あおいや愛実に寄り添われていて、2人のことを常に感じているからかなりドキドキして。2人のことばかり考えてしまうのであった。
愛実の家に友達が泊まりに来ているときには大抵、部屋の窓を開けて少し話すのが恒例になっている。今回もその通りになった。それが嬉しくて。
愛実と海老名さんが夕食を作ったり、3人一緒に入浴したり、アニメ鑑賞をしたり。盛りだくさんで楽しいお泊まり女子会になっていると分かって。
蒸し暑い空気が部屋に入ってきているから、これでお開きにしようと言った直後だった。あおいと愛実が俺のことを呼んで、
『大好きっ!』
とても可愛い笑顔で2人一緒にそう言ってくれた。
突然だったのもあって驚いた。だけど、すぐに物凄く温かい気持ちが湧いてきて。キュンとなって。2人の声に乗せられた「大好き」って言葉が体の奥まで染み渡っていき、頬が緩んでいくのが分かった。俺は唯一言、
「ありがとう」
と言った。
おやすみ、と3人に夜の挨拶を交わして、窓を閉めた後、俺はベッドで仰向けになった。
窓を閉めたから、エアコンによって部屋の空気が再び冷やされていく。
でも、窓を開けて話しているときよりもかなり体が熱くなっていて。心臓の鼓動が治まらなくて。あおいと愛実の笑顔が次々と頭をよぎると、体の熱も心臓の鼓動もさらに強くなっていく。
だけど、この感覚……嫌じゃない。
それに、全身を纏っている強い熱とは違い、胸にはとても優しい温もりを抱くのが分かって。あおいと愛実のことを思うと、その温もりが強くなって。
その瞬間に分かったんだ。
「……好きなんだ。あおいと愛実のことが」
一人の女の子として、あおいと愛実のことが好きなんだ。
好きなんだ、って声に出したら、体の熱や心臓の鼓動、胸に抱く温もりがさらに強くなる。
告白されたときのことを中心に、あおいと愛実のことを次々と思い出す。
あおいと愛実に告白されたとき、凄くドキドキして、全身が熱くなったこと。
あおいの積極的なアプローチにドキドキすること。
愛実といつも通りの時間を過ごせて嬉しいこと。
海であおいの水着が脱げたとき、俺が守るって強く思ったこと。
海で愛実がナンパに遭ったとき、気持ちがとてもモヤモヤしたこと。
海老名さんに告白されたとき、あおいと愛実のようには考えられないと思ったこと。
他にもいっぱいあるけど……これらのことはきっと、あおいと愛実への好意があるからだと思う。
「幸せなことだな」
あおいと愛実から好きだって告白されて。さっきも2人で一緒に大好きだって言ってもらえて。しかも、その2人は幼馴染で、俺の家の両隣に住んでいて。
ベッドから降りて、窓越しに愛実の家を見る。といっても、曇りガラスだから、愛実の部屋の明かりが点いていることくらいしか分からないけど。ただ、あそこにあおいも愛実もいると思うと嬉しい気持ちになる。
今、あおいと愛実は海老名さんと3人で何をしているだろう。アニメを観ているのか。それとも、お泊まりの夜だからガールズトークをしているのか。3人にとって楽しい時間になっていたらいいな。
好きだって自覚したから、あおいと愛実のことを考えると気持ちがとても温かくなっていく。
「どうするか……」
大好きな2人の想いに応えたい。
ただ、応え抜いたり、2人を幸せにしたりすることを考えたら……やっぱり、どっちか1人を選ばないといけないよな。
日中はずっとバイトをしていたから、その後すぐに眠気が襲ってきた。明日はあおいと愛実と海老名さんと一緒にアニメを観る約束もしているし、今日は早めに寝るか。
寝る準備をして、俺はベッドに入る。
あおいと愛実に告白された夜のように、ベッドの中がすぐに暑くなっていく。でも、今回は凄く心地良い感覚に包まれて。だから、目を瞑ると、程なくして眠りに落ちていった。
8月15日、月曜日。
バイトの疲れのおかげか、あおいや愛実への想いに気づけたからか、昨日はぐっすりと眠れた。
雨も降っていないし、どこかへ出かける用事もないので、今日は早朝のジョギングを行なった。いつも通りのジョギングコースを走ったけど、足取りも軽くて、結構気持ち良くジョギングすることができた。
朝食を食べ終わり、自分の部屋に戻ってスマホを確認すると、あおいと愛実から俺達3人のグループトークに新着メッセージが届いたと通知が。それを見た瞬間に心が躍って。通知をタップすると、グループのトーク画面が開き、
『おはよう、リョウ君』
『おはようございます! 何時頃に会いましょうか? あと、愛実ちゃんの家か涼我君の家、どちらでアニメを観ましょうか?』
という2つのメッセージが表示された。そういえば、4人でアニメを観ようと約束しただけで、場所や会う時間は特に決めていなかったな。
あおいと愛実とメッセージをやり取りして、午前9時半頃にあおいと愛実と海老名さんがここに来ることに決まった。あと1時間ほどで会えると思うと嬉しい気持ちになる。
部屋の掃除をしたり、読みかけのラノベを読んだりして3人が来るまでの時間を過ごした。
「……おっ、もうすぐか」
気付けば、約束の9時半まであと5分になっていた。あおいも愛実も、うちに来るのは数え切れないほどにあるのにちょっと緊張する。壁に掛かっている時計の針の進みが遅くなったような気がした。
そして、午前9時半になってすぐに、
――ピンポーン。
家のインターホンが鳴る。立っていたので、インターホンの音が鳴り終わる前に、モニターの応答ボタンを押す。すると、画面にはあおいと愛実、海老名さんの顔が映る。
「みんな、来たか。すぐに行くよ」
『はいっ!』
代表してか、あおいが元気良く返事した。そのことに頬が緩んだ。
緊張した気持ちの中で部屋を出て、俺は玄関に向かう。
玄関の扉をゆっくりと開けると、そこにはスラックスにノースリーブのVネックシャツのあおい、膝丈のスカートにフレンチスリーブのブラウスの愛実、ジーンズパンツにノースリーブの縦ニットの海老名さんが立っていた。みんな可愛いし、特にあおいと愛実の姿を見るとドキッとする。
「おはよう。みんないらっしゃい」
「おはようございます、涼我君!」
「リョウ君、おはよう」
「おはよう、麻丘君」
「ああ、おはよう。さあ、みんな入って」
『お邪魔しまーす』
あおいと愛実と海老名さんは声を揃えてそう言うと、家の中に入ってきた。
リビングにいる母さんに挨拶した後、3人を俺の部屋に通す。
部屋に通した瞬間、色々な不安が頭によぎる。掃除はしたけどゴミは落ちていないかとか、変な臭いはしないかとか、快適に思える涼しさになっているのかとか。
「あぁ、涼しいです」
「少しの間でも外に出ていたからね」
「部活で外にいることが多くても、涼しい場所はいいなって思うわ」
3人にとって快適な涼しさになっているようで良かった。ほっと胸を撫で下ろす。
部屋を見渡すけど……床にゴミが落ちていたり、本が無造作に置かれていたりもしていないな。よし。
「俺、冷たい飲み物を持ってくるよ。何か飲みたいものはあるか?」
「そうだね……あおいちゃんと理沙ちゃんは何か希望はある?」
「そうですね……アイスコーヒーがいいですね。昨日の夜はアイスティーを飲みながらアニメを観たので」
「コーヒーいいわね」
「私もコーヒーをいいなって思うよ。じゃあ、コーヒーをお願いできるかな」
「分かった。3人は適当なところにくつろいでいてくれ」
俺は部屋を一旦後にして、1階のキッチンへ向かう。
自分のマグカップ、あおい、愛実専用のマグカップ、来客用のマグカップにそれぞれアイスコーヒーを淹れていく。あおいはブラックが苦手なので、ガムシロップを入れて少し甘めにして。
アイスコーヒーの入ったマグカップを乗せたトレーを持って、俺は自分の部屋に戻っていく。
部屋の中に入ると、あおいと愛実と海老名さんはローテーブルの周りに置いてあるクッションに座って談笑していた。昨日の夜、愛実の部屋でもこんな感じだったのかなと思わせてくれる。
「みんな、ただいま。アイスコーヒー淹れてきたよ。あおいにはガムシロップを入れた」
「ありがとうございます、涼我君!」
「良かったね、あおいちゃん。リョウ君、ありがとう」
「ありがとね、麻丘君」
俺は3人の前と、空席となっているベッド近くにあるクッションの前にマグカップを置いた。
トレーを勉強机に置いて、俺はベッド近くのクッションに腰を下ろす。
『いただきまーす』
と、あおいと愛実と海老名さんは言い、アイスコーヒーを一口飲む。3人が美味しいと思ってもらえると嬉しいな。みんなに飲み物を作ることはたくさんあるけど、今日は緊張する。
「あぁ、冷たくて美味しい」
「美味しいわね」
「ほんのりと甘みがあって美味しいです! 苦味もしっかりありますが、涼我君の作ってくれたコーヒーは本当に美味しいですね」
「……ありがとう」
あおいも愛実も海老名さんも笑顔で美味しいと言ってくれて嬉しい。
俺も自分のマグカップに入ったアイスコーヒーを飲むと……凄く美味しい。いつも飲んでいるインスタントコーヒーだけど、いつもより美味しく感じられるよ。
「じゃあ、約束通り、まずは昨日のラブコメアニメを観るか」
「観ましょう! 今日も涼我君のお隣で観ていいですか?」
「私も」
「……ああ、いいぞ」
俺がそう言うと、あおいも愛実も嬉しそうに「ありがとう」と言って、クッションと一緒に俺の隣に動いてくる。ちなみに、あおいが左側で、愛実が右側だ。
移動が完了すると、2人は俺に体を寄せてきた。そのことで、あおいと愛実それぞれの温もりや柔らかさが腕に伝わってきて。また、呼吸すると2人の甘い匂いが香ってきて。かなりドキドキする。2人もこういう感覚なのかな。
また、俺の正面に座っている海老名さんは、テレビを観やすいように、愛実が元々座っていた窓側のところまで移動する。
「幼馴染3人が寄り添ういい光景ね。それがいつものスタイルなの?」
「告白してからは寄り添って観るのがほとんどですね」
「私も」
「ふふっ、そうなの」
海老名さんは楽しげな笑顔で俺達のことを見ている。この様子なら……先日、俺にフラれたことのショックは癒えてきているのかな。
「じゃあ、アニメを観よう」
それから、俺達は録画した昨晩放送されたラブコメアニメの最新話を観ていく。4人とも、昨日の夜にリアルタイムで観ていたので、キャラやストーリーのことを語りながら。
ただ、あおいや愛実に寄り添われていて、2人のことを常に感じているからかなりドキドキして。2人のことばかり考えてしまうのであった。
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