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第3章
第27話『3人での夜-前編-』
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夕食の後片付けをした俺は自分の部屋に戻る。
ベッドに仰向けの状態になり、読みかけのラブコメのライトノベルを読み始める。休日だと、食後すぐにラノベや漫画を読むことが多い。
あおいと愛実は楽しくお風呂に入れているかな。一緒に入るのは今日が初めてとのことだけど。出会ってからの1ヶ月あまりで、2人が仲良くしている姿はたくさん見てきたし、きっと楽しい時間になっているだろう。
「あははっ」
このラノベ、結構面白いな。あと、ヒロイン達の中に主人公の幼馴染がいると、その子を応援したくなる。身近に幼馴染の女の子が2人いるからかな。
「リョウ君、ただいま」
「ただいまです。一番風呂いただきました」
気付けば、お風呂から上がったあおいと愛実が部屋に戻ってきた。結構早く上がってきたな……と思って部屋の時計を見ると、ラノベを読み始めてから20分以上経っていた。俺がラノベを読むのに集中していただけか。
さっきまでとは違い、愛実は桃色の寝間着、あおいはかぶりタイプの青い寝間着を着ている。お風呂上がりだからか、2人とも肌がほんのりと赤くなっており、髪も少し湿っている。また、あおいの髪型が普段のハーフアップからストレートになっていて。そんな2人の姿がいつもより艶っぽく見える。2人からシャンプーやボディーソープの甘い匂いが香ってくるのもあってドキッとして。
「2人ともおかえり。お風呂は気持ち良かったか?」
「はいっ、気持ち良かったですよ! あと、愛実ちゃんとは初めてでしたけど、とても楽しいお風呂の時間でした」
「楽しかったね。お互いの髪や背中を洗ったんだよ」
「そうだったんだ。楽しめたようで良かった」
「ええ。この家のお風呂に入るのは10年ぶりでしたから、懐かしい気持ちにもなれました」
「私も小6以来だから懐かしかったな。リョウ君との思い出話で盛り上がって」
「盛り上がりましたね!」
共通の話題があると話が盛り上がりやすいよな。あおいも愛実も俺の幼馴染だし、俺の家のお風呂に入っているから、俺絡みのことで話が自然と弾んだのだろう。
あおいと愛実は互いの顔を見ながら笑い合っている。お風呂での時間が相当楽しかったと窺える。2人の幼馴染として嬉しい気持ちだ。
「良かった。2人とも寝間着似合ってるよ。あと、あおいはストレートヘアもいいな」
「あ、ありがとうございますっ」
「ありがとう、リョウ君」
2人ともニッコリと笑ってそう言う。あと、髪型も褒めたからか、あおいの顔の赤みが少し強くなったような気がした。
「智子さんと竜也さんにお風呂が空いたのを伝えたんだけど、次はリョウ君が入ってって」
「出たら声を掛けてほしいとのことです」
「分かった。じゃあ、俺も入ろうかな。ローテーブルにドライヤーと鏡を置いておいたから、もしよければ髪を乾かすのに使ってくれ」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね」
「私も使うね」
「ああ。じゃあ、風呂に入ってくるよ」
「いってらっしゃい、涼我君」
「リョウ君、いってらっしゃい」
「ああ、いってきます」
こうして、あおいと愛実と「いってきます」「いってらっしゃい」のやり取りをすると不思議な感じがするな。でも、何だか嬉しい気持ちにもなる。
俺は着替えを持って部屋を後にし、1階の脱衣所に向かう。
脱衣所の中に入ると……さっき、あおいと愛実から感じた匂いと同じものがしっかり香ってくる。2人が出てから、そこまで時間が経っていないからかな。
服を脱いで、俺は浴室に入る。
浴室の中に入ると、優しい温もりが全身を包み込み、シトラスのボディーソープの香りを中心に、あおいと愛実から感じたものと同じ匂いがもっと濃く香る。2人が直前まで入浴していたことを実感させられる。
普段から、バイトがある日を中心に家族の中で最後に入浴することが多い。そういうときも、浴室に入るとボディーソープやシャンプーの匂いが香る。
ただ、今香っている匂いはあおいと愛実によるもの。そう考えると結構ドキドキしてきて。体も熱くなってきて。家族のときよりも凄くいい匂いがするし。昔のお泊まりのときは、そういったことはあまり感じなかったんだけどな。
髪と体、顔を洗って、俺は湯船に浸かる。
「あぁ、気持ちいい……」
胸元までお湯に浸かって、脚を伸ばすと……全身が癒やされる。とても気持ちいい。今日のバイトの疲れが取れていく。昔からお風呂に入るのは好きだけど、高校生になってバイトを始めてからより好きになった。
このお湯は2人が浸かったお湯なんだよな。そう思うと、体がもっと癒やされる感じがする。……って、何て気持ち悪いことを考えているんだ。
「今、2人は俺の部屋にいるんだよな」
2人は何をしているだろうか。髪を乾かしたり、スキンケアをしたり、あとは……ストレッチをしたりしているのかな。あおいは分からないけど、愛実はお風呂から出た後にストレッチするって前に言っていたし。
2人のことを考えていたら、いつもよりも早く体が温まってきた。このままだとのぼせてしまうかもしれないので、今日はもう出るか。
今日は普段よりも短く、10分ほどで湯船を上がり、浴室から出た。
寝間着に着替えて、リビングにいる両親にお風呂が空いたことを伝える。あおいと愛実が一緒に入ったことに影響されたようで、母さんの誘いで両親も一緒に入浴するそうだ。
自分の部屋に戻ると、
「この体勢で60秒保ちます」
「ろ、60秒だね」
「時間を計りますが、キツいと思ったらその場で止めてください。無理は良くないですから」
「分かった」
うつぶせになっているあおいと愛実が上半身だけ体を上げていた。まるで、オットセイのように。今の会話からして、あおいがやっているストレッチを2人でしているのかな。
「あっ、涼我君おかえりなさい」
「お、おかえりリョウ君」
「ただいま。ストレッチしているのか。俺は髪を乾かしているから、気にせずにやってくれ」
「はいっ」
「うん」
俺はあおいと愛実のストレッチをたまに見ながら、ドライヤーで髪を乾かしていく。
2人曰く、このストレッチはあおいが普段やっているもの。スタイルのいいあおいがこなしているストレッチをしたら、今までよりも太りにくい体質になるのでは……と愛実が考えたのだそうだ。なので、今はあおいにストレッチを教えてもらっているとのこと。
ただ、あおいのストレッチは愛実にとってキツいようで、いくつかの体勢は途中で止めていた。また、全ての内容が終わると、愛実は疲れたのかベッドにもたれかかる形でぐったりしていた。
「はあっ、疲れた……」
「お疲れ様でした、愛実ちゃん」
「……あおいちゃんもお疲れ。でも、あおいちゃんは平気そうだね」
「まあ、普段からやっていますからね」
「……あおいちゃんのスタイルがいい理由が分かったよ」
あおいは中学生の間はずっと部活でテニスをしていたし、高1の頃はファミレスでバイトをしていた。そのことで、基礎体力や筋力がついているから、今のストレッチをしても平気なのだと思う。そのストレッチを習慣にしているから、スタイルが維持できているのだろう。
「愛実。疲れているなら、俺のベッドで横になるといいよ。そうした方がリラックスできて、疲れも早く取れるだろうし」
「うん、ありがとう。お言葉に甘えるよ」
愛実は俺のベッドに入って横たわる。そのことで、愛実の表情が幾らか和らいだ。
「あぁ、ベッドふかふかで気持ちいい。リョウ君の匂いもするし……これなら疲れが早く取れそう」
「それなら良かった」
お風呂に入る直前まで、ベッドで仰向けになってラノベを読んでいたからな。俺の匂いが付いていて嫌だと言われないで良かった。
「あおいちゃん、ごめんね。いくつかの姿勢では途中でギブアップして」
「気にしないでください。さっきも言ったように、無理をせずにストレッチするのが大切ですから。体力や筋肉が付いてきたら、姿勢を保つ時間を少しずつ長くしていけばいいんです。私もこのストレッチを初めてやったときは、姿勢を保つことができませんでしたから」
「そうだったんだね。あおいちゃんでも……」
「ええ。LIMEで今日やった内容をメッセージで送っておきますね」
「ありがとう」
愛実はお礼を言うと、あおいにいつもの柔和な笑顔を向ける。そんな愛実にあおいは優しい笑顔を向けていた。お風呂やストレッチを通して、2人の仲がさらに深まったように思える。
あと、あおいが愛実にかけた言葉……俺にも響く。以前、ジョギングのし過ぎで体調を崩してしまったから。ジョギングも無理せずにすることが大切で、体力や筋力が付いてきたら走る速さや長さを変えていけばいいのだと思う。胸に刻んでおこう。
「リョウ君のベッドのおかげで疲れが取れてきたよ。ありがとう」
「いえいえ。元気になってきて良かった。これなら、予定通り、お菓子を食べながらアニメを観ることができそうかな」
「そうだね。ストレッチしたからって、たくさん食べちゃわないように気をつけないと」
「ははっ。……2人は何か観たいアニメはある?」
「クリスのアニメを観たいねって愛実ちゃんと話していました。私も愛実ちゃんも好きで、この3人ではまだ一緒に観ていないエピソードがいくつかありまして。そのエピソードを録画してあるBlu-rayを持ってきました」
「そうなのか。じゃあ、そのBlu-rayを観ようか」
クリスのアニメは25年以上やっているし、愛実が「この話好きだな」って言っていたエピソードは結構ある。どんなエピソードなのか楽しみだ。
それから、俺がバイト帰りに買ってきたお菓子をローテーブルに出したり、3人分のアイスティーを淹れたりして準備する。
準備が完了すると、俺達は3人並んでクッションに座って、クリスのアニメのBlu-rayを観始める。
あおいと愛実がチョイスしたエピソードは俺もよく知っている話。なので、3人でたくさん語り合い、アイスティーやお菓子を味わいながら観ていく。
あおいとも愛実とも、お泊まりの日の夜は今のように過ごすことが多かった。愛実とはリアルタイムで深夜アニメを観ることはあるけど、お泊まりの夜としては久しぶりのこと。あおいとは10年ぶりで。そんな時間を3人で楽しく過ごせていることをとても嬉しく思った。
ベッドに仰向けの状態になり、読みかけのラブコメのライトノベルを読み始める。休日だと、食後すぐにラノベや漫画を読むことが多い。
あおいと愛実は楽しくお風呂に入れているかな。一緒に入るのは今日が初めてとのことだけど。出会ってからの1ヶ月あまりで、2人が仲良くしている姿はたくさん見てきたし、きっと楽しい時間になっているだろう。
「あははっ」
このラノベ、結構面白いな。あと、ヒロイン達の中に主人公の幼馴染がいると、その子を応援したくなる。身近に幼馴染の女の子が2人いるからかな。
「リョウ君、ただいま」
「ただいまです。一番風呂いただきました」
気付けば、お風呂から上がったあおいと愛実が部屋に戻ってきた。結構早く上がってきたな……と思って部屋の時計を見ると、ラノベを読み始めてから20分以上経っていた。俺がラノベを読むのに集中していただけか。
さっきまでとは違い、愛実は桃色の寝間着、あおいはかぶりタイプの青い寝間着を着ている。お風呂上がりだからか、2人とも肌がほんのりと赤くなっており、髪も少し湿っている。また、あおいの髪型が普段のハーフアップからストレートになっていて。そんな2人の姿がいつもより艶っぽく見える。2人からシャンプーやボディーソープの甘い匂いが香ってくるのもあってドキッとして。
「2人ともおかえり。お風呂は気持ち良かったか?」
「はいっ、気持ち良かったですよ! あと、愛実ちゃんとは初めてでしたけど、とても楽しいお風呂の時間でした」
「楽しかったね。お互いの髪や背中を洗ったんだよ」
「そうだったんだ。楽しめたようで良かった」
「ええ。この家のお風呂に入るのは10年ぶりでしたから、懐かしい気持ちにもなれました」
「私も小6以来だから懐かしかったな。リョウ君との思い出話で盛り上がって」
「盛り上がりましたね!」
共通の話題があると話が盛り上がりやすいよな。あおいも愛実も俺の幼馴染だし、俺の家のお風呂に入っているから、俺絡みのことで話が自然と弾んだのだろう。
あおいと愛実は互いの顔を見ながら笑い合っている。お風呂での時間が相当楽しかったと窺える。2人の幼馴染として嬉しい気持ちだ。
「良かった。2人とも寝間着似合ってるよ。あと、あおいはストレートヘアもいいな」
「あ、ありがとうございますっ」
「ありがとう、リョウ君」
2人ともニッコリと笑ってそう言う。あと、髪型も褒めたからか、あおいの顔の赤みが少し強くなったような気がした。
「智子さんと竜也さんにお風呂が空いたのを伝えたんだけど、次はリョウ君が入ってって」
「出たら声を掛けてほしいとのことです」
「分かった。じゃあ、俺も入ろうかな。ローテーブルにドライヤーと鏡を置いておいたから、もしよければ髪を乾かすのに使ってくれ」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね」
「私も使うね」
「ああ。じゃあ、風呂に入ってくるよ」
「いってらっしゃい、涼我君」
「リョウ君、いってらっしゃい」
「ああ、いってきます」
こうして、あおいと愛実と「いってきます」「いってらっしゃい」のやり取りをすると不思議な感じがするな。でも、何だか嬉しい気持ちにもなる。
俺は着替えを持って部屋を後にし、1階の脱衣所に向かう。
脱衣所の中に入ると……さっき、あおいと愛実から感じた匂いと同じものがしっかり香ってくる。2人が出てから、そこまで時間が経っていないからかな。
服を脱いで、俺は浴室に入る。
浴室の中に入ると、優しい温もりが全身を包み込み、シトラスのボディーソープの香りを中心に、あおいと愛実から感じたものと同じ匂いがもっと濃く香る。2人が直前まで入浴していたことを実感させられる。
普段から、バイトがある日を中心に家族の中で最後に入浴することが多い。そういうときも、浴室に入るとボディーソープやシャンプーの匂いが香る。
ただ、今香っている匂いはあおいと愛実によるもの。そう考えると結構ドキドキしてきて。体も熱くなってきて。家族のときよりも凄くいい匂いがするし。昔のお泊まりのときは、そういったことはあまり感じなかったんだけどな。
髪と体、顔を洗って、俺は湯船に浸かる。
「あぁ、気持ちいい……」
胸元までお湯に浸かって、脚を伸ばすと……全身が癒やされる。とても気持ちいい。今日のバイトの疲れが取れていく。昔からお風呂に入るのは好きだけど、高校生になってバイトを始めてからより好きになった。
このお湯は2人が浸かったお湯なんだよな。そう思うと、体がもっと癒やされる感じがする。……って、何て気持ち悪いことを考えているんだ。
「今、2人は俺の部屋にいるんだよな」
2人は何をしているだろうか。髪を乾かしたり、スキンケアをしたり、あとは……ストレッチをしたりしているのかな。あおいは分からないけど、愛実はお風呂から出た後にストレッチするって前に言っていたし。
2人のことを考えていたら、いつもよりも早く体が温まってきた。このままだとのぼせてしまうかもしれないので、今日はもう出るか。
今日は普段よりも短く、10分ほどで湯船を上がり、浴室から出た。
寝間着に着替えて、リビングにいる両親にお風呂が空いたことを伝える。あおいと愛実が一緒に入ったことに影響されたようで、母さんの誘いで両親も一緒に入浴するそうだ。
自分の部屋に戻ると、
「この体勢で60秒保ちます」
「ろ、60秒だね」
「時間を計りますが、キツいと思ったらその場で止めてください。無理は良くないですから」
「分かった」
うつぶせになっているあおいと愛実が上半身だけ体を上げていた。まるで、オットセイのように。今の会話からして、あおいがやっているストレッチを2人でしているのかな。
「あっ、涼我君おかえりなさい」
「お、おかえりリョウ君」
「ただいま。ストレッチしているのか。俺は髪を乾かしているから、気にせずにやってくれ」
「はいっ」
「うん」
俺はあおいと愛実のストレッチをたまに見ながら、ドライヤーで髪を乾かしていく。
2人曰く、このストレッチはあおいが普段やっているもの。スタイルのいいあおいがこなしているストレッチをしたら、今までよりも太りにくい体質になるのでは……と愛実が考えたのだそうだ。なので、今はあおいにストレッチを教えてもらっているとのこと。
ただ、あおいのストレッチは愛実にとってキツいようで、いくつかの体勢は途中で止めていた。また、全ての内容が終わると、愛実は疲れたのかベッドにもたれかかる形でぐったりしていた。
「はあっ、疲れた……」
「お疲れ様でした、愛実ちゃん」
「……あおいちゃんもお疲れ。でも、あおいちゃんは平気そうだね」
「まあ、普段からやっていますからね」
「……あおいちゃんのスタイルがいい理由が分かったよ」
あおいは中学生の間はずっと部活でテニスをしていたし、高1の頃はファミレスでバイトをしていた。そのことで、基礎体力や筋力がついているから、今のストレッチをしても平気なのだと思う。そのストレッチを習慣にしているから、スタイルが維持できているのだろう。
「愛実。疲れているなら、俺のベッドで横になるといいよ。そうした方がリラックスできて、疲れも早く取れるだろうし」
「うん、ありがとう。お言葉に甘えるよ」
愛実は俺のベッドに入って横たわる。そのことで、愛実の表情が幾らか和らいだ。
「あぁ、ベッドふかふかで気持ちいい。リョウ君の匂いもするし……これなら疲れが早く取れそう」
「それなら良かった」
お風呂に入る直前まで、ベッドで仰向けになってラノベを読んでいたからな。俺の匂いが付いていて嫌だと言われないで良かった。
「あおいちゃん、ごめんね。いくつかの姿勢では途中でギブアップして」
「気にしないでください。さっきも言ったように、無理をせずにストレッチするのが大切ですから。体力や筋肉が付いてきたら、姿勢を保つ時間を少しずつ長くしていけばいいんです。私もこのストレッチを初めてやったときは、姿勢を保つことができませんでしたから」
「そうだったんだね。あおいちゃんでも……」
「ええ。LIMEで今日やった内容をメッセージで送っておきますね」
「ありがとう」
愛実はお礼を言うと、あおいにいつもの柔和な笑顔を向ける。そんな愛実にあおいは優しい笑顔を向けていた。お風呂やストレッチを通して、2人の仲がさらに深まったように思える。
あと、あおいが愛実にかけた言葉……俺にも響く。以前、ジョギングのし過ぎで体調を崩してしまったから。ジョギングも無理せずにすることが大切で、体力や筋力が付いてきたら走る速さや長さを変えていけばいいのだと思う。胸に刻んでおこう。
「リョウ君のベッドのおかげで疲れが取れてきたよ。ありがとう」
「いえいえ。元気になってきて良かった。これなら、予定通り、お菓子を食べながらアニメを観ることができそうかな」
「そうだね。ストレッチしたからって、たくさん食べちゃわないように気をつけないと」
「ははっ。……2人は何か観たいアニメはある?」
「クリスのアニメを観たいねって愛実ちゃんと話していました。私も愛実ちゃんも好きで、この3人ではまだ一緒に観ていないエピソードがいくつかありまして。そのエピソードを録画してあるBlu-rayを持ってきました」
「そうなのか。じゃあ、そのBlu-rayを観ようか」
クリスのアニメは25年以上やっているし、愛実が「この話好きだな」って言っていたエピソードは結構ある。どんなエピソードなのか楽しみだ。
それから、俺がバイト帰りに買ってきたお菓子をローテーブルに出したり、3人分のアイスティーを淹れたりして準備する。
準備が完了すると、俺達は3人並んでクッションに座って、クリスのアニメのBlu-rayを観始める。
あおいと愛実がチョイスしたエピソードは俺もよく知っている話。なので、3人でたくさん語り合い、アイスティーやお菓子を味わいながら観ていく。
あおいとも愛実とも、お泊まりの日の夜は今のように過ごすことが多かった。愛実とはリアルタイムで深夜アニメを観ることはあるけど、お泊まりの夜としては久しぶりのこと。あおいとは10年ぶりで。そんな時間を3人で楽しく過ごせていることをとても嬉しく思った。
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