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第2章
第23話『普段とは違う髪型』
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「とても面白かったですね!」
「うんっ! 面白かったね!」
「今年も面白かったな」
映画が終わって、劇場が明るくなった瞬間、俺達はそんな感想を言った。
今年の劇場版も面白かったな。クリスの人気の一つであるラブコメ要素が濃かったし、推理要素もしっかりあった。キーパーソンの葉室さんも活躍していて。劇場版恒例の爆発シーンもあったし、個人的にはここ数年で一番満足な内容だった。序盤ではあおいと愛実の横顔を見ていたけど、それ以降はほとんどスクリーンに集中していた。
「タイトル通り、ラブコメ要素の強い内容でしたね」
「キュンとする場面が何度もあったよね。葉室さんも活躍してて良かったな。あと、テレビアニメのエピソードが深く関わるとは思わなかったよ」
「そうだな。いい意味でクリスらしさを感じたよ」
今年の劇場版もクオリティの高い内容だったと思う。
俺達と同じような感想を抱く人が多いのか、「面白かった!」とか「キュンとした!」という声が聞こえてくる。今年も大ヒット間違いなしだろう。
「来年のクリスの劇場版も楽しみですね!」
「制作決定のムービーを見た限り、結構シリアスな内容っぽいね」
「そうだな。来年も3人で一緒に観に来よう」
俺がそう言うと、愛実とあおいは笑顔で頷いた。来年は受験生だけど、クリスの劇場版は映画館で観たい。
「俺達もそろそろ出ようか」
「そうですね」
「そうだね。だいぶ人が出ていったし」
俺達はポップコーンとドリンクのカップが乗ったトレーを持って、劇場を出ていく。チョコレートキャラメルポップコーンが凄く美味しくて、中盤あたりで全部食べちゃったな。
劇場の出口で男性のスタッフさんにトレーを渡してロビーに行くと、劇場に入る前よりもさらに多くの人がいた。お昼の時間帯だからなぁ。館内のモニターに映っている上映案内を見ると、お昼の時間帯の上映回はクリスを含めて満席や残席僅かとなっているのがほとんどだ。
「2人とも。俺、お手洗い行ってくるよ。アイスコーヒーを飲んだから行きたくて」
「私も行こうかな」
「上映中は一度も席を立ちませんでしたからね。私も行きましょう」
「じゃあ、お手洗いの前で待ち合わせしよう」
俺は一人で男性用のお手洗いへ行く。
アイスコーヒーを飲んだし、上映中は一度も行かなかったから、実はそれなりに我慢していた。だから、用を足すと結構な開放感が。そういえば、昔は飲み物を飲みながら観ると、我慢できずに途中で席を立つことがあったっけ。
お手洗いを出て少し待っていると、あおいと愛実が女性用のお手洗いから仲良く一緒に出てきた。
「お待たせしました」
「お待たせ」
「ああ。……今は12時45分か。お昼ご飯を食べるのにもいい時間だな。ポップコーンを食べながら映画を観たけど、2人はお腹空いているか?」
「空いています! あのストロベリーキャラメルのポップコーンが美味しくて、前半のうちに全部食べてしまいましたから」
「あれ美味しいよね。私もクリス君が犯人と対峙するシーンのときには食べ終わってた。塩味なのもあってか、もうお腹空いてきてる」
「そっか。俺もお腹空いているから、これからお昼ご飯を食べに行こうか」
俺の提案にあおいと愛実は笑顔で頷いてくれる。
「お昼ご飯、どこにしようか? 2人は行きたいお店ってある?」
「調津駅の周りにはまだまだ飲食店がたくさんあるそうですし、涼我君と愛実ちゃんのオススメするお店に行きたいです」
「あおいがそう言うなら。愛実はどうだ?」
「いいと思う。美味しいお店がたくさんあるから」
「そうだな」
俺と愛実はよく行くけど、あおいを連れてっていない飲食店は調津駅の周辺にはまだまだあるからな。
「あおいちゃん。ラーメンってどうかな? この前、樹理先生の家でそうめんを食べるとき、麺類が大好きだってあおいちゃんが言っていたし」
「ああ……言っていたな。あおい、ラーメンは好きか?」
「大好きですよ! 放課後や休日に食べに行くこともありました!」
「良かった。じゃあ、ラーメンにしようか」
「はいっ!」
ニッコリとした笑顔で元気良く返事するあおい。この様子からして、あおいは結構なラーメン好きだと窺える。
調津駅周辺には美味しいラーメン屋さんがいくつもある。その中でも、駅の近くにある値段がそこそこなラーメン屋・調津家に行くことに決めた。
エオンシネマ調津を後にして、俺達は調津家へと向かう。土曜日の昼間なので、駅周辺の道は多くの人が行き交っている。
映画館からだと徒歩で2、3分のところなので、あっという間に調津家に到着した。
お昼時なので、お店には多くのお客さんが座っている。ただ、運良く4人用のテーブルは空いていたため、俺達は並ぶことなくお店に入ることができた。これにはあおいと愛実はとても嬉しそうだった。
俺はあおいと愛実と向かい合う形で座る。ちなみに、正面にはあおいが座っている。
「涼我君。愛実ちゃん。ここでのオススメのラーメンって何ですか?」
「醤油ラーメンと味噌ラーメンがオススメだな」
「その2つは特に美味しいね。あと、ここのお店は学生証を見せると、麺大盛りかトッピング1つを無料でサービスしてもらえるんだよ」
「そうなんですね! 学生証は持っていますのでサービスしてもらいましょう」
あおいはワクワクした様子で、隣に座る愛実と一緒にメニューを見ている。学生サービスがあるのもここに連れてきた理由である。
その後、店員さんを呼んで、俺は味噌ラーメン、あおいは醤油ラーメン、愛実は豚骨ラーメンを注文。また、3人それぞれが調津高校の学生証を見せ、俺は麺大盛り、あおいはチャーシュー、愛実は味付け玉子のトッピングをサービスしてもらうことに。
「いい匂いもしますし、醤油ラーメン楽しみです!」
「楽しみだね、あおいちゃん」
「醤油ラーメンも美味しいから、楽しみにしていてくれ」
「はいっ。……ラーメンが来るまでの間に髪を纏めましょうかね」
「あおいちゃんも髪を纏めるんだ」
「ええ。麺類でもこの前のそうめんのように、小さなお椀につけて食べる形ならいつもの髪型のままですが、どんぶりで食べるときは髪を後ろに纏めますね。髪がスープに入らないように」
「そうなんだ。私も同じ感じ。あおいちゃんよりは短いけど、気をつけないと髪にスープが付いちゃうことがあるから」
「ラーメン屋に来ると、愛実はポニーテールにするよな」
「そうだね。だから、ヘアゴムはバッグに常備してあるの」
「そうなんですね」
愛実はバッグから赤いヘアゴムを取り出し、あおいは元々ハーフアップにするために付けている青いヘアゴムを外す。
2人は自分のヘアゴムを咥え、両手で自分の髪をポニーテールの形に纏める。あおいが髪を纏める姿を見るのは初めてだし、愛実の方もラーメン屋のときくらいしか髪を纏める場面を見ないのでじっくり見てしまう。
普段、あおいはハーフアップだけど、髪をセットしているときってこういう感じなんだろうな。昔はショートヘアだったのもあり、髪を纏めるあおいがやけに大人っぽく見える。途中、あおいと目が合い微笑みかけられて、ちょっとドキッとした。
いつもハーフアップにしているからか、あおいの方が先にポニーテールが完成した。その少し後に愛実も完成。
「あおいちゃん、ポニーテールにも似合ってるね。可愛いなぁ」
「ありがとうございます。愛実ちゃんもポニーテール似合っていますよ! 可愛いです!」
「ありがとう」
「2人ともポニーテール似合ってるよ。いつもとは違うから新鮮だし、爽やかな雰囲気だな」
「ありがとうございます。涼我君にそう言ってもらえて嬉しいです」
「私も嬉しいよ」
2人とも、言葉通りの嬉しそうな笑顔を見せる。愛実は頬がちょっと赤くなっているのでより可愛く思える。
「2人とも似合っているから、スマホで写真撮ってもいい?」
「もちろんいいですよ」
「いいよ、リョウ君」
「ありがとう」
ジャケットのポケットからスマホを取り出すと、あおいと愛実は少し席を動かして体を寄り添わせる体勢に。スマホを向けると、2人は明るい笑顔になってピースサインする。本当に可愛いなぁと思いながら撮影ボタンをタップした。
「うん、いい写真が撮れたよ。ありがとう」
「いえいえ。ただ、その写真……私に送ってくれますか? ポニーテールの愛実ちゃんが本当に可愛いので」
「私にも送ってほしいな。ポニーテールのあおいちゃんが可愛いから」
「ははっ、分かったよ」
俺はLIMEの3人のグループトークに、撮影したあおいと愛実のツーショット写真を送信する。
送ってほしいと言ったのもあってか、俺が送信してすぐに自分のスマホを確認する。いい写真だと思ってくれたようで、2人は嬉しそうな笑顔を見せ、互いの顔を見ながら笑い合っていた。そんな2人を見ていると、写真を撮ってもいいかと頼んで良かったと強く思う。2人のいい思い出になればいいな。
髪型絡みで盛り上がったのもあり、俺達が注文したラーメンが運ばれてくるまではあっという間だった。味噌ラーメン美味しそうだ。いい匂いもするので食欲がかき立てられる。
「それじゃ、食べるか」
「そうですね! いただきますっ!」
『いただきまーす』
まずはレンゲで味噌味のスープを一口。……うん、濃厚でコクがあって美味しい。
スープを味わった後、茹で野菜も一緒に箸で中太の麺を一口分掬い上げる。湯気がたくさん出ているので、何度か息を吹きかけた後、麺をすすった。
「……うん、美味い」
麺に味噌味のスープがよく絡まっていて美味いな。もやしや人参などの茹で野菜にも合っている。
「醤油ラーメン美味しいですね! お二人がオススメするのも納得です!」
「美味いだろう?」
「はいっ!」
とびっきりの笑顔でそう言ってくれるあおい。
美味しいと思ってもらえる自信はあったけど、実際に美味しいって言ってもらえると、嬉しくなると同時にほっとする。あおいが醤油ラーメンを気に入ってくれて良かった。
「トッピングのチャーシューもジューシーで美味しいですね!」
「チャーシュー美味しいよね。……豚骨ラーメンも美味しい」
「醤油も好きですけど、豚骨もいいですよね」
「美味しいよね」
あおいと愛実は楽しそうに笑い合っている。そんな2人を見ながら味噌ラーメンを食べると、さっきよりも味わい深く感じられた。
それからはクリスの感想を語り合ったり、互いのラーメンを一口ずつ交換したりしながら、お昼ご飯の時間を3人で楽しむ。
学生サービスで麺を大盛りにしてもらったし、あおいと愛実と一口交換したけど、難なく完食することができた。ごちそうさまでした。
「うんっ! 面白かったね!」
「今年も面白かったな」
映画が終わって、劇場が明るくなった瞬間、俺達はそんな感想を言った。
今年の劇場版も面白かったな。クリスの人気の一つであるラブコメ要素が濃かったし、推理要素もしっかりあった。キーパーソンの葉室さんも活躍していて。劇場版恒例の爆発シーンもあったし、個人的にはここ数年で一番満足な内容だった。序盤ではあおいと愛実の横顔を見ていたけど、それ以降はほとんどスクリーンに集中していた。
「タイトル通り、ラブコメ要素の強い内容でしたね」
「キュンとする場面が何度もあったよね。葉室さんも活躍してて良かったな。あと、テレビアニメのエピソードが深く関わるとは思わなかったよ」
「そうだな。いい意味でクリスらしさを感じたよ」
今年の劇場版もクオリティの高い内容だったと思う。
俺達と同じような感想を抱く人が多いのか、「面白かった!」とか「キュンとした!」という声が聞こえてくる。今年も大ヒット間違いなしだろう。
「来年のクリスの劇場版も楽しみですね!」
「制作決定のムービーを見た限り、結構シリアスな内容っぽいね」
「そうだな。来年も3人で一緒に観に来よう」
俺がそう言うと、愛実とあおいは笑顔で頷いた。来年は受験生だけど、クリスの劇場版は映画館で観たい。
「俺達もそろそろ出ようか」
「そうですね」
「そうだね。だいぶ人が出ていったし」
俺達はポップコーンとドリンクのカップが乗ったトレーを持って、劇場を出ていく。チョコレートキャラメルポップコーンが凄く美味しくて、中盤あたりで全部食べちゃったな。
劇場の出口で男性のスタッフさんにトレーを渡してロビーに行くと、劇場に入る前よりもさらに多くの人がいた。お昼の時間帯だからなぁ。館内のモニターに映っている上映案内を見ると、お昼の時間帯の上映回はクリスを含めて満席や残席僅かとなっているのがほとんどだ。
「2人とも。俺、お手洗い行ってくるよ。アイスコーヒーを飲んだから行きたくて」
「私も行こうかな」
「上映中は一度も席を立ちませんでしたからね。私も行きましょう」
「じゃあ、お手洗いの前で待ち合わせしよう」
俺は一人で男性用のお手洗いへ行く。
アイスコーヒーを飲んだし、上映中は一度も行かなかったから、実はそれなりに我慢していた。だから、用を足すと結構な開放感が。そういえば、昔は飲み物を飲みながら観ると、我慢できずに途中で席を立つことがあったっけ。
お手洗いを出て少し待っていると、あおいと愛実が女性用のお手洗いから仲良く一緒に出てきた。
「お待たせしました」
「お待たせ」
「ああ。……今は12時45分か。お昼ご飯を食べるのにもいい時間だな。ポップコーンを食べながら映画を観たけど、2人はお腹空いているか?」
「空いています! あのストロベリーキャラメルのポップコーンが美味しくて、前半のうちに全部食べてしまいましたから」
「あれ美味しいよね。私もクリス君が犯人と対峙するシーンのときには食べ終わってた。塩味なのもあってか、もうお腹空いてきてる」
「そっか。俺もお腹空いているから、これからお昼ご飯を食べに行こうか」
俺の提案にあおいと愛実は笑顔で頷いてくれる。
「お昼ご飯、どこにしようか? 2人は行きたいお店ってある?」
「調津駅の周りにはまだまだ飲食店がたくさんあるそうですし、涼我君と愛実ちゃんのオススメするお店に行きたいです」
「あおいがそう言うなら。愛実はどうだ?」
「いいと思う。美味しいお店がたくさんあるから」
「そうだな」
俺と愛実はよく行くけど、あおいを連れてっていない飲食店は調津駅の周辺にはまだまだあるからな。
「あおいちゃん。ラーメンってどうかな? この前、樹理先生の家でそうめんを食べるとき、麺類が大好きだってあおいちゃんが言っていたし」
「ああ……言っていたな。あおい、ラーメンは好きか?」
「大好きですよ! 放課後や休日に食べに行くこともありました!」
「良かった。じゃあ、ラーメンにしようか」
「はいっ!」
ニッコリとした笑顔で元気良く返事するあおい。この様子からして、あおいは結構なラーメン好きだと窺える。
調津駅周辺には美味しいラーメン屋さんがいくつもある。その中でも、駅の近くにある値段がそこそこなラーメン屋・調津家に行くことに決めた。
エオンシネマ調津を後にして、俺達は調津家へと向かう。土曜日の昼間なので、駅周辺の道は多くの人が行き交っている。
映画館からだと徒歩で2、3分のところなので、あっという間に調津家に到着した。
お昼時なので、お店には多くのお客さんが座っている。ただ、運良く4人用のテーブルは空いていたため、俺達は並ぶことなくお店に入ることができた。これにはあおいと愛実はとても嬉しそうだった。
俺はあおいと愛実と向かい合う形で座る。ちなみに、正面にはあおいが座っている。
「涼我君。愛実ちゃん。ここでのオススメのラーメンって何ですか?」
「醤油ラーメンと味噌ラーメンがオススメだな」
「その2つは特に美味しいね。あと、ここのお店は学生証を見せると、麺大盛りかトッピング1つを無料でサービスしてもらえるんだよ」
「そうなんですね! 学生証は持っていますのでサービスしてもらいましょう」
あおいはワクワクした様子で、隣に座る愛実と一緒にメニューを見ている。学生サービスがあるのもここに連れてきた理由である。
その後、店員さんを呼んで、俺は味噌ラーメン、あおいは醤油ラーメン、愛実は豚骨ラーメンを注文。また、3人それぞれが調津高校の学生証を見せ、俺は麺大盛り、あおいはチャーシュー、愛実は味付け玉子のトッピングをサービスしてもらうことに。
「いい匂いもしますし、醤油ラーメン楽しみです!」
「楽しみだね、あおいちゃん」
「醤油ラーメンも美味しいから、楽しみにしていてくれ」
「はいっ。……ラーメンが来るまでの間に髪を纏めましょうかね」
「あおいちゃんも髪を纏めるんだ」
「ええ。麺類でもこの前のそうめんのように、小さなお椀につけて食べる形ならいつもの髪型のままですが、どんぶりで食べるときは髪を後ろに纏めますね。髪がスープに入らないように」
「そうなんだ。私も同じ感じ。あおいちゃんよりは短いけど、気をつけないと髪にスープが付いちゃうことがあるから」
「ラーメン屋に来ると、愛実はポニーテールにするよな」
「そうだね。だから、ヘアゴムはバッグに常備してあるの」
「そうなんですね」
愛実はバッグから赤いヘアゴムを取り出し、あおいは元々ハーフアップにするために付けている青いヘアゴムを外す。
2人は自分のヘアゴムを咥え、両手で自分の髪をポニーテールの形に纏める。あおいが髪を纏める姿を見るのは初めてだし、愛実の方もラーメン屋のときくらいしか髪を纏める場面を見ないのでじっくり見てしまう。
普段、あおいはハーフアップだけど、髪をセットしているときってこういう感じなんだろうな。昔はショートヘアだったのもあり、髪を纏めるあおいがやけに大人っぽく見える。途中、あおいと目が合い微笑みかけられて、ちょっとドキッとした。
いつもハーフアップにしているからか、あおいの方が先にポニーテールが完成した。その少し後に愛実も完成。
「あおいちゃん、ポニーテールにも似合ってるね。可愛いなぁ」
「ありがとうございます。愛実ちゃんもポニーテール似合っていますよ! 可愛いです!」
「ありがとう」
「2人ともポニーテール似合ってるよ。いつもとは違うから新鮮だし、爽やかな雰囲気だな」
「ありがとうございます。涼我君にそう言ってもらえて嬉しいです」
「私も嬉しいよ」
2人とも、言葉通りの嬉しそうな笑顔を見せる。愛実は頬がちょっと赤くなっているのでより可愛く思える。
「2人とも似合っているから、スマホで写真撮ってもいい?」
「もちろんいいですよ」
「いいよ、リョウ君」
「ありがとう」
ジャケットのポケットからスマホを取り出すと、あおいと愛実は少し席を動かして体を寄り添わせる体勢に。スマホを向けると、2人は明るい笑顔になってピースサインする。本当に可愛いなぁと思いながら撮影ボタンをタップした。
「うん、いい写真が撮れたよ。ありがとう」
「いえいえ。ただ、その写真……私に送ってくれますか? ポニーテールの愛実ちゃんが本当に可愛いので」
「私にも送ってほしいな。ポニーテールのあおいちゃんが可愛いから」
「ははっ、分かったよ」
俺はLIMEの3人のグループトークに、撮影したあおいと愛実のツーショット写真を送信する。
送ってほしいと言ったのもあってか、俺が送信してすぐに自分のスマホを確認する。いい写真だと思ってくれたようで、2人は嬉しそうな笑顔を見せ、互いの顔を見ながら笑い合っていた。そんな2人を見ていると、写真を撮ってもいいかと頼んで良かったと強く思う。2人のいい思い出になればいいな。
髪型絡みで盛り上がったのもあり、俺達が注文したラーメンが運ばれてくるまではあっという間だった。味噌ラーメン美味しそうだ。いい匂いもするので食欲がかき立てられる。
「それじゃ、食べるか」
「そうですね! いただきますっ!」
『いただきまーす』
まずはレンゲで味噌味のスープを一口。……うん、濃厚でコクがあって美味しい。
スープを味わった後、茹で野菜も一緒に箸で中太の麺を一口分掬い上げる。湯気がたくさん出ているので、何度か息を吹きかけた後、麺をすすった。
「……うん、美味い」
麺に味噌味のスープがよく絡まっていて美味いな。もやしや人参などの茹で野菜にも合っている。
「醤油ラーメン美味しいですね! お二人がオススメするのも納得です!」
「美味いだろう?」
「はいっ!」
とびっきりの笑顔でそう言ってくれるあおい。
美味しいと思ってもらえる自信はあったけど、実際に美味しいって言ってもらえると、嬉しくなると同時にほっとする。あおいが醤油ラーメンを気に入ってくれて良かった。
「トッピングのチャーシューもジューシーで美味しいですね!」
「チャーシュー美味しいよね。……豚骨ラーメンも美味しい」
「醤油も好きですけど、豚骨もいいですよね」
「美味しいよね」
あおいと愛実は楽しそうに笑い合っている。そんな2人を見ながら味噌ラーメンを食べると、さっきよりも味わい深く感じられた。
それからはクリスの感想を語り合ったり、互いのラーメンを一口ずつ交換したりしながら、お昼ご飯の時間を3人で楽しむ。
学生サービスで麺を大盛りにしてもらったし、あおいと愛実と一口交換したけど、難なく完食することができた。ごちそうさまでした。
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