9 / 19
伸びたラーメンも悪くない
しおりを挟む台所に立つと普段から使っている台所とあまり違和感もなく、流しにコンロ、鍋に包丁、一般家庭の標準装備は整っていた。
「火と水はどうしたらいいんだ?」
「流しとコンロにレバーがついてるだろ?それを捻ると出るよ。火は下に引いて少ししたらつくからあとはレバーで調整してくれよな」
「あいよ、仕組みはどうなってるんだ?」
「中に霊水晶が入っているからそれに水なら水、火なら火の霊力を込めるんだ。一度込めたら10日間位は大丈夫だ。3年位で水晶が劣化して壊れちまうから、その時は水晶ごと高官だな。」
「水道代、光熱費が安くすんでいいな。」
「そうでもねーよ。買い換えがけっこうするからその分貯めておかなきゃいけねーんだよ。」
それもそうか。
なかなか上手いこと回ってるんだな。
毎月払いか3年に一度まとめて払うかの違いだな。
「さて作るかな。お湯を沸かしてくれ。」
華凛にお湯を頼むと俺はねぎ、もやし、チャーシューを切る。
煮たまごは時間がかかるのでスーパーの出来あいの物を買ってきた。
「何味にする?」
「わかんねーよ、何があるんだ?」
「オーソドックスに醤油、味噌、塩を買ってきた。まずは醤油でいいか?」
「旨いなら何でもいいよ」
「そういえば食べては行けない食材とかあるのか?」
「特にねーよ、食べれる物は何でも食うぞ?」
「苦手な物は?」
「うちの人達は特に苦手な物はなかった気がするけどな。
俺は苦いものはあんまりだけどよ…」
「じゃあ大丈夫だ。お湯も沸いたしそろそろ茹でるぞ。どのくらい食う?」
「たくさん!又はいっぱい!」
まぁこの間のおにぎりを食べれるなら沢山作っても大丈夫だな。
康成はスーパーの袋から8食分取り出し鍋に放り込んだ。
五分もしないうちに甚平が帰って来た。
「おや?何だか良い匂いがしますね?華凛ですか?」
「あなたお帰りなさい。今華凛ちゃんと康成君がお昼ご飯を作ってくれてるの」
「康成君が来てましたか。それじゃあできるまで楽しみにしていましょう」
「良し完成だ。華凛は声をかけてきてくれ」
「あいよ、母ちゃーん!できたぞ!あれ?父ちゃんも帰って来てるな!康成!父ちゃんの分もすぐに盛って大丈夫だ!」
「あいよ!」
「お待ちどうさま!メガ盛り醤油鬼ラーメンです!」
康成は御盆いっぱいのラーメンを三人の前に並べた。
「簡単な材料で作ったから口に合うかわかりませんが伸びないうちにどうぞ」
「康成君ありがとうね、お客様なのにお昼ご飯の準備までしてもらっちゃって」
「初めて見る料理ですね。蕎麦に似ていますがとても良い匂いがします」
「俺が作りたくて作ったんだ、遠慮しないで食べてください」
「それでは頂きましょう」
甚平の合図を待っていたかのように華凛と華夜は食べ始めた。
ズルズルッ
ズズッ
「いやー凄いねこれは、なんとも…」
「旨いな!なんだこれ!」
「……………ふぅ…康成君、うちにお婿に来ない?」
急な華夜の爆弾発言に食卓は凍った。
「ふふふっ、いけませんよ華夜さん…面白い冗談です。笑いしかでませんよ」
「そんな!俺はまだまだ結婚なんかしねーぞ!急に変なことを言うなよな!」
「あらあら良いじゃない。料理もできる旦那さんなんてあんまりいないわよ?康成は華凛が魅力的じゃない?」
「ははは…そうですね…」
なんか変な汗が出てきた。
「華凛に魅力がないと?」
無茶苦茶めんどくせーじゃねか!
「ほらっ!麺が伸びないうちに食べちゃってください!スープを半分は残してくださいね!まだまだ美味しく食べれるので!」
強引に話を変え、康成はご飯と熱々のスープを持ってきた。
華凛の麺を食べ終わり具が少し残り半分程になったスープへ康成はご飯を投入した。
その上に溶いた卵、熱々のスープをかけた。
「うぉっ!すげーな!米がするする進む!」
「ラーメンの締めはこれ!ラーメンおじや天童家風!甚平さんも華夜さんもまだ食べれます?」
「私はいただきます、華夜さんはどうします?」
「もう少し食べたい気もするけど全部は食べられそうもないわ。あなたのを少しもらうわ」
「わかりました」
康成は甚平のスープにご飯を入れおじやを作ると小ぶりの茶碗に華夜の分をよそった。
「気遣いもできる…と…」
華夜が康成を褒める度に甚平から無言の圧力が浴びせられた。
昼食も終わり華凛も甚平も満足そうにくつろいでいると。
華夜がお茶を入れてくれお茶を飲みながら康成は甚平へ最近あったことを話した。
霊感のようなものがわかるようになったこと。
幽霊に襲われたこと。
殴って成仏?したこと。
人が死んだ瞬間魂のような物を見たこと。
「興味深いですね…憶測で良いならお答えします。間違ってたらすみませんが…」
お茶を一口すすり甚平は話し出した。
康成もお茶を飲むと無茶苦茶熱かった。
舌を火傷した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!


タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。毎日19:00に更新します。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる