3 / 3
蝶々だったころ・1
しおりを挟む
むか~し、昔のことじゃった。
小悪魔agehaがキャバ嬢のバイブルとなるより、少し前。
私は夜の蝶だった。
夜の蝶といっても、スナックからキャバクラ、クラブ、大箱、中箱、小箱まで色々だ。
あしかけ8年。
色んな店を渡り歩いたが、大箱のキャバ嬢をやって、情緒がおかしくなった。
箱の大きさを変えたら更に病んだので、これではいかんと心機一転、高級店のホステスになった。
結果、人間不信に陥った。
現在は綺麗さっぱり足を洗っているが、今思えばとてつもなく命を燃やしていたなあ、と懐かしく思う。
泣いたり笑ったり、怒ったり、喧嘩を吹っ掛けたり、殺すぞと脅されたり、そりゃあもう毎日が摩訶不思議アドベンチャー。色んな人に出会って、色んな人を愛して愛され、傷つけ、傷つけられた。
そして、その後の人生を上手に生きるための小技や大技を、沢山学んだ。
私もいい大人だ。
いろんなことを諦め、色んなものを手に入れた。
だからと言う訳ではないけれど、忘れないうちに、封印していた過去を形に残したいと思う。
【主要登場人物】
冬月美々(仮名)……作者(猫田)
山田大和(仮名)……作者の当時の恋人(六本木有名店のボーイ)
徳川早苗(仮名)……作者のキャバ友(本名は佳奈(仮名)、様々な店を一緒に渡り歩く)
牧野吉郎(仮名)……美々の名付け親、ルーナ店長
亜里沙 (仮名)……ルーナでのキャバ友(本名は雅恵(仮名)後に喧嘩別れ?)
注)大箱→40テーブル以上 中箱→10テーブル~ 小箱→カウンター+3テーブル~
(作者、イメージ)
***
私、猫田けだまは、子供のころから、バレエだジャズダンスだと踊ることが大好きだった。
将来の夢はダンサーだったのだが、紆余曲折の末、しがない舞台役者・兼・演出家・兼・振付師という、なんとも器用貧乏な大人になった。
さて大学卒業後、役者として劇団に所属した私は、安い給料で楽しくこき使われていましたとさ……。
しかしこの劇団が脱税で潰れ、無職&宿なし(劇団借り上げのマンションに住んでいた)になる。
さあ、困った。
役者は続けるとしても、とりあえず金じゃ、金がいるのじゃあ~と、焦った私は、手っ取り早く稼げる=キャバクラだと考え、友人宅に居候しながら、早速面接に挑む。
【1店舗目『ルーナ』(仮名)】
・神奈川県、川崎市
・大箱
・在籍60人程
当時私は25才。
最初の店は『ルーナ』川崎市内にある中規模ターミナル駅の高架下。
新規オープン店として、タウンワークに掲載されていた。
歩いて行けるし、ここにしよう。
オープニングならデカい顔できそうだし、私はなんてったってジョ・ユ・ウなんだもの!
「未経験だけど問題ないっしょ、アハハ~ン」と面接へ。
面接をしたのは店長、牧野さん。
キャバの店長というと、いかつい男を想像していたのだけど、牧野さんは違った。
年のころは20代後半~30代前半。
黒髪、色白、背は高いけど、威圧感はない。
どこぞの商社にでも勤めてそうな、アッサリ系イケメンだった。
「経験はないんだよね」
「はい、まったく」
「大学、関西だったんだ、俺も関西の〇〇大学出身だよ~」
「え~そこの子と付き合ったことあります」
「まじで、なんか親近感」
「ですね~」
「で……源氏名なんにする?」
「え、合格ですか?」
「もちろん、けだまちゃんは未経験だけど得A採用、時給3000円でいいよ」
(タウンワークの記載は、2000円~だった)
「わーい、じゃあ……桜でおねがいします」
「……あ、ごめん、桜って、もう他の子がつけちゃってるわ」
「えー、じゃあ、適当につけてくださいよ」
「じゃあ、ミーちゃんは?」
「ミーちゃん、猫みたいですね」
「猫じゃなくて、ムーミンの」
「ああ、なるほど」
私は身長が150センチしかなく、ミーのようなてっぺんお団子ヘアスタイルだった。
「その顔は、あんまり気に入ってない?」
「そうっすね」
「じゃ、美々(みみ)ちゃんは?」
「今度はウサギみたいですね」
「これもダメかあ……そしたら」
「あーいいっす、美々で」
これ以上考えさせたら「ポチ」とか「チュー子」なんて言われかねない。
そんな感じで、美々ちゃん、無事キャバ嬢としての一歩を踏み出したのでした。
このときはまさか、こんなに大変な世界だとも知らずに……。
小悪魔agehaがキャバ嬢のバイブルとなるより、少し前。
私は夜の蝶だった。
夜の蝶といっても、スナックからキャバクラ、クラブ、大箱、中箱、小箱まで色々だ。
あしかけ8年。
色んな店を渡り歩いたが、大箱のキャバ嬢をやって、情緒がおかしくなった。
箱の大きさを変えたら更に病んだので、これではいかんと心機一転、高級店のホステスになった。
結果、人間不信に陥った。
現在は綺麗さっぱり足を洗っているが、今思えばとてつもなく命を燃やしていたなあ、と懐かしく思う。
泣いたり笑ったり、怒ったり、喧嘩を吹っ掛けたり、殺すぞと脅されたり、そりゃあもう毎日が摩訶不思議アドベンチャー。色んな人に出会って、色んな人を愛して愛され、傷つけ、傷つけられた。
そして、その後の人生を上手に生きるための小技や大技を、沢山学んだ。
私もいい大人だ。
いろんなことを諦め、色んなものを手に入れた。
だからと言う訳ではないけれど、忘れないうちに、封印していた過去を形に残したいと思う。
【主要登場人物】
冬月美々(仮名)……作者(猫田)
山田大和(仮名)……作者の当時の恋人(六本木有名店のボーイ)
徳川早苗(仮名)……作者のキャバ友(本名は佳奈(仮名)、様々な店を一緒に渡り歩く)
牧野吉郎(仮名)……美々の名付け親、ルーナ店長
亜里沙 (仮名)……ルーナでのキャバ友(本名は雅恵(仮名)後に喧嘩別れ?)
注)大箱→40テーブル以上 中箱→10テーブル~ 小箱→カウンター+3テーブル~
(作者、イメージ)
***
私、猫田けだまは、子供のころから、バレエだジャズダンスだと踊ることが大好きだった。
将来の夢はダンサーだったのだが、紆余曲折の末、しがない舞台役者・兼・演出家・兼・振付師という、なんとも器用貧乏な大人になった。
さて大学卒業後、役者として劇団に所属した私は、安い給料で楽しくこき使われていましたとさ……。
しかしこの劇団が脱税で潰れ、無職&宿なし(劇団借り上げのマンションに住んでいた)になる。
さあ、困った。
役者は続けるとしても、とりあえず金じゃ、金がいるのじゃあ~と、焦った私は、手っ取り早く稼げる=キャバクラだと考え、友人宅に居候しながら、早速面接に挑む。
【1店舗目『ルーナ』(仮名)】
・神奈川県、川崎市
・大箱
・在籍60人程
当時私は25才。
最初の店は『ルーナ』川崎市内にある中規模ターミナル駅の高架下。
新規オープン店として、タウンワークに掲載されていた。
歩いて行けるし、ここにしよう。
オープニングならデカい顔できそうだし、私はなんてったってジョ・ユ・ウなんだもの!
「未経験だけど問題ないっしょ、アハハ~ン」と面接へ。
面接をしたのは店長、牧野さん。
キャバの店長というと、いかつい男を想像していたのだけど、牧野さんは違った。
年のころは20代後半~30代前半。
黒髪、色白、背は高いけど、威圧感はない。
どこぞの商社にでも勤めてそうな、アッサリ系イケメンだった。
「経験はないんだよね」
「はい、まったく」
「大学、関西だったんだ、俺も関西の〇〇大学出身だよ~」
「え~そこの子と付き合ったことあります」
「まじで、なんか親近感」
「ですね~」
「で……源氏名なんにする?」
「え、合格ですか?」
「もちろん、けだまちゃんは未経験だけど得A採用、時給3000円でいいよ」
(タウンワークの記載は、2000円~だった)
「わーい、じゃあ……桜でおねがいします」
「……あ、ごめん、桜って、もう他の子がつけちゃってるわ」
「えー、じゃあ、適当につけてくださいよ」
「じゃあ、ミーちゃんは?」
「ミーちゃん、猫みたいですね」
「猫じゃなくて、ムーミンの」
「ああ、なるほど」
私は身長が150センチしかなく、ミーのようなてっぺんお団子ヘアスタイルだった。
「その顔は、あんまり気に入ってない?」
「そうっすね」
「じゃ、美々(みみ)ちゃんは?」
「今度はウサギみたいですね」
「これもダメかあ……そしたら」
「あーいいっす、美々で」
これ以上考えさせたら「ポチ」とか「チュー子」なんて言われかねない。
そんな感じで、美々ちゃん、無事キャバ嬢としての一歩を踏み出したのでした。
このときはまさか、こんなに大変な世界だとも知らずに……。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
美人官能小説家・赤崎火凛の食レポ
赤崎火凛(吉田定理)
エッセイ・ノンフィクション
美人の官能小説家・赤崎火凛(あかざき かりん・24歳)が食レポするだけ。絶頂しません。たぶん絶対しません。
*店名は出しませんが実際に食べた料理です。
*外食したときに不定期で更新する予定です。
*代表作はR18のほうなので、18歳以上の方はぜひそちらも。
フリー朗読台本
𝐒𝐀𝐘𝐀𝐊𝐀
エッセイ・ノンフィクション
これは、私の心に留まる言葉たち。
この言葉たちを、どうかあなたの声で生かしてあげて。
「誰かの心に残る朗読台本を。」
あなたの朗読が、たくさんの人の心に届きますように☽・:*
この台本は、フリー朗読台本となっております。
商用等、ご自由にお使いください。
Twitter : history_kokolo
アイコン : 牛様
※こちらは有償依頼となります。
無断転載禁止です。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
オリジナルエロ小説でお金を稼ぐ忘備録
どん丸
エッセイ・ノンフィクション
ノクターンノベルズに始まりpixiv、fantia、FANBOX、DLsite、FANZA、そしてアルファポリスでオリジナルエロ小説を書いて儲けはどんな感じかの忘備録。あくまでも忘備録でこうするといいよ!みたいな話ではありません。書いているのがエロ小説という都合上ちらっとエロ用語が入るのでR15にしています。月の売り上げが出るタイミングで更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる