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【番外編】 鈍感/憂太の彼氏力が高かった理由⑥
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「逆に、湊は今まで彼女いなかったのに、どうやって僕に教えようと思ってたの?」
憂太からシンプルな疑問が投げかけられる。
「(うわぁ)」
反射的に俺よりも10cmほど背の高い憂太を見上げる。
恥ずかしいから触れてほしくない部分だったのに、あっさり触れられてしまった。
俺も憂太にズケズケと質問したんだから仕方がない。
無邪気に質問する憂太の顔が、月明かりに照らされて輝いているように見える。
「……友達の話とか、後で調べようかと思ってた…」
正直に話すのは想像以上に恥ずかしかった。
もう、さっきまで肌寒さは感じない。
憂太から目を逸らしたから、憂太の笑っている声だけが聞こえる。
「わ、笑うな!彼女いることにしてたし、俺だってモテるやつって思われたかったんだよ!」
言い訳をすればするほど恥ずかしさが増してくる。
「おい、ゆうた!もう笑うの禁止!」
ツボに入ったのか、憂太は涙を目に浮かべて笑っている。
「おいぃ!」
憂太の両腕を掴み大きく揺らす。
「ごめん、ごめん。あはは。あんまりにも素直で、ツボっちゃった」
笑いを堪えきれていない憂太が胸に手を置いて、深呼吸をする。
「はぁー。でも、湊、モテないって言うけど、実際はそんなことないと思うよ」
笑ったと思ったら、今度は慰めてくれているのだろうか。
「湊って基本的に人の感情に気がつくの得意なくせに、恋愛感情には鈍感じゃん」
「そんなことない!」
「そうだよ」
「なんで?どこが?」
自分でも周りの人の感情に気づくことが得意だという自覚はある。
それなら恋愛感情も例外じゃないはずだ。
「だって、僕がはっきり好きだって言葉にするまで分かってなかったでしょ」
「(ぐ…なんとも言えない…)」
憂太も俺と同じ気持ちだったら良いなとは思っていたが、完全に確信を持っていたわけではなかった。
「ほらー、全然僕からの好意に気がつかないくせに、どんどん距離を縮めさせるから、内心ちょっとハラハラしてたよ」
憂太が目を細めて、じろりと俺を見た。
「だから、女の子たちも湊のあまりの鈍感さに、ああ、脈無しなのかって退散してたんだよ。きっとね」
「え、そんなことあった…のか…?」
「僕が知ってる限りでも何度か見てたよ。2人で夜ご飯誘われたり、家に誘われてるのに他の友達も誘ってたり。僕と遊ぶからとか言って断ってたり。ボディタッチされても気にしなさすぎでしょ」
言われてみても全く思い出せない。
あんまり仲良くないうちに遊ぶなら、大勢の方が相手も気を使わなくていいかなとか思っていた。
ボディタッチなんて余計に思い出せない。
「ま、これからは僕がいるし問題ないもんね?」
「…うん、まあ、そだな」
これまでの人生で彼女ができたかもしれないチャンスを自ら潰していたなんて。
それよりも俺は恋愛に関して鈍感なんだと気がつかされ、雷にでも打たれた気分だ。
「え?そこ、はっきり言ってくれないんだ、湊ー?」
ハッとして憂太を見ると、わかりやすくショゲていた。
「憂太、ちがうちがう!」
「なにが違うんだよー」
「俺、そんな鈍感なタイプ?って驚いてただけ!それなら、これまでも無意識に憂太を傷つけてたりしたのかなって」
「今、傷つけられてるよ?」
憂太はしょげたと思ったら、次は口を尖らせている。
「ゆ、憂太がいるから俺は問題ない!憂太といるの楽しいし」
憂太の手のひらの上でコロコロと転がされているなと思うのに、それがまた楽しい。
「はい、よろしい!湊ちゃん」
「おい、誰が湊ちゃんだ」
こうして、ひひひと笑っている憂太の横顔も可愛くて好きだ。
「あ、俺ん家、シャンプー切れてるから、後で薬局寄ってね」
「はいはい。ついでにアイスも買って帰ろ」
「アイスは風呂入ってからな」
「はいはい」
たわいもない会話、俺たちはきっとこれからもこんな感じなのだろう。
(終わり)
憂太からシンプルな疑問が投げかけられる。
「(うわぁ)」
反射的に俺よりも10cmほど背の高い憂太を見上げる。
恥ずかしいから触れてほしくない部分だったのに、あっさり触れられてしまった。
俺も憂太にズケズケと質問したんだから仕方がない。
無邪気に質問する憂太の顔が、月明かりに照らされて輝いているように見える。
「……友達の話とか、後で調べようかと思ってた…」
正直に話すのは想像以上に恥ずかしかった。
もう、さっきまで肌寒さは感じない。
憂太から目を逸らしたから、憂太の笑っている声だけが聞こえる。
「わ、笑うな!彼女いることにしてたし、俺だってモテるやつって思われたかったんだよ!」
言い訳をすればするほど恥ずかしさが増してくる。
「おい、ゆうた!もう笑うの禁止!」
ツボに入ったのか、憂太は涙を目に浮かべて笑っている。
「おいぃ!」
憂太の両腕を掴み大きく揺らす。
「ごめん、ごめん。あはは。あんまりにも素直で、ツボっちゃった」
笑いを堪えきれていない憂太が胸に手を置いて、深呼吸をする。
「はぁー。でも、湊、モテないって言うけど、実際はそんなことないと思うよ」
笑ったと思ったら、今度は慰めてくれているのだろうか。
「湊って基本的に人の感情に気がつくの得意なくせに、恋愛感情には鈍感じゃん」
「そんなことない!」
「そうだよ」
「なんで?どこが?」
自分でも周りの人の感情に気づくことが得意だという自覚はある。
それなら恋愛感情も例外じゃないはずだ。
「だって、僕がはっきり好きだって言葉にするまで分かってなかったでしょ」
「(ぐ…なんとも言えない…)」
憂太も俺と同じ気持ちだったら良いなとは思っていたが、完全に確信を持っていたわけではなかった。
「ほらー、全然僕からの好意に気がつかないくせに、どんどん距離を縮めさせるから、内心ちょっとハラハラしてたよ」
憂太が目を細めて、じろりと俺を見た。
「だから、女の子たちも湊のあまりの鈍感さに、ああ、脈無しなのかって退散してたんだよ。きっとね」
「え、そんなことあった…のか…?」
「僕が知ってる限りでも何度か見てたよ。2人で夜ご飯誘われたり、家に誘われてるのに他の友達も誘ってたり。僕と遊ぶからとか言って断ってたり。ボディタッチされても気にしなさすぎでしょ」
言われてみても全く思い出せない。
あんまり仲良くないうちに遊ぶなら、大勢の方が相手も気を使わなくていいかなとか思っていた。
ボディタッチなんて余計に思い出せない。
「ま、これからは僕がいるし問題ないもんね?」
「…うん、まあ、そだな」
これまでの人生で彼女ができたかもしれないチャンスを自ら潰していたなんて。
それよりも俺は恋愛に関して鈍感なんだと気がつかされ、雷にでも打たれた気分だ。
「え?そこ、はっきり言ってくれないんだ、湊ー?」
ハッとして憂太を見ると、わかりやすくショゲていた。
「憂太、ちがうちがう!」
「なにが違うんだよー」
「俺、そんな鈍感なタイプ?って驚いてただけ!それなら、これまでも無意識に憂太を傷つけてたりしたのかなって」
「今、傷つけられてるよ?」
憂太はしょげたと思ったら、次は口を尖らせている。
「ゆ、憂太がいるから俺は問題ない!憂太といるの楽しいし」
憂太の手のひらの上でコロコロと転がされているなと思うのに、それがまた楽しい。
「はい、よろしい!湊ちゃん」
「おい、誰が湊ちゃんだ」
こうして、ひひひと笑っている憂太の横顔も可愛くて好きだ。
「あ、俺ん家、シャンプー切れてるから、後で薬局寄ってね」
「はいはい。ついでにアイスも買って帰ろ」
「アイスは風呂入ってからな」
「はいはい」
たわいもない会話、俺たちはきっとこれからもこんな感じなのだろう。
(終わり)
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