64 / 82
第64話 不慣れな状況
しおりを挟む
「…実はあの頃から湊のことが好きだったんだよね」
「え?うそ…?」
「ほんと。僕の方が先に湊のこと、好きだったと思うよ。だから、僕なりにいろいろアピールしてたのに、湊、ぜんっぜん気づかないし、どこまで許されるんだろって悶々としてた」
「へ?」
憂太が目尻を下げ、ふにゃっと笑う。
そんな憂太からストレートに浴びせられる甘い言葉に恥ずかしくなって、思わず顔を両手で覆った。
「あ、湊。なにその反応」
憂太が俺の両手首を掴み、強引に顔から引き離そうとしてくる。
「やめろお!恥ずかしいだろ、ばか!」
悪態をついて手を振り解こうとしても、憂太は手首を掴んだまま離してくれない。
弱くも強くもない力加減で手首を拘束するから、このまま触れていて欲しくて抵抗を諦めた。
緩もう、緩もうとする顔を少しでも引き締めるために唇に力を入れる。
それに、こんな状況に慣れていなくて、顔に熱が集まってくるのを感じる。
「それに…」
「なに…」
憂太の端正な顔にジッと見つめられると、右目を見たら良いのか、左目を見たら良いのか分からなくなってしまう。
「僕も湊みたいなかっこいい男になりたいって思ってるし、これからはもっといい男になるつもりだから覚悟してて」
ふふんっと酔っ払って上機嫌で胸を張る憂太は、出会った最初の頃のモサモサした冴えない面影は全くなかった。
お酒を飲んで心拍数が上がっているのか、憂太の言葉で舞い上がっているのか、自分の心臓の音がうるさい。
何か言い返してやろうと思っても、頭の中で憂太の言葉が反芻して、言葉が出てこない。
「(こいつ…次から次へと……うぅ…)」
俺たちから出る熱で、部屋の温度が2、3度上がってるのじゃないかと思うくらいあつい。
「え?うそ…?」
「ほんと。僕の方が先に湊のこと、好きだったと思うよ。だから、僕なりにいろいろアピールしてたのに、湊、ぜんっぜん気づかないし、どこまで許されるんだろって悶々としてた」
「へ?」
憂太が目尻を下げ、ふにゃっと笑う。
そんな憂太からストレートに浴びせられる甘い言葉に恥ずかしくなって、思わず顔を両手で覆った。
「あ、湊。なにその反応」
憂太が俺の両手首を掴み、強引に顔から引き離そうとしてくる。
「やめろお!恥ずかしいだろ、ばか!」
悪態をついて手を振り解こうとしても、憂太は手首を掴んだまま離してくれない。
弱くも強くもない力加減で手首を拘束するから、このまま触れていて欲しくて抵抗を諦めた。
緩もう、緩もうとする顔を少しでも引き締めるために唇に力を入れる。
それに、こんな状況に慣れていなくて、顔に熱が集まってくるのを感じる。
「それに…」
「なに…」
憂太の端正な顔にジッと見つめられると、右目を見たら良いのか、左目を見たら良いのか分からなくなってしまう。
「僕も湊みたいなかっこいい男になりたいって思ってるし、これからはもっといい男になるつもりだから覚悟してて」
ふふんっと酔っ払って上機嫌で胸を張る憂太は、出会った最初の頃のモサモサした冴えない面影は全くなかった。
お酒を飲んで心拍数が上がっているのか、憂太の言葉で舞い上がっているのか、自分の心臓の音がうるさい。
何か言い返してやろうと思っても、頭の中で憂太の言葉が反芻して、言葉が出てこない。
「(こいつ…次から次へと……うぅ…)」
俺たちから出る熱で、部屋の温度が2、3度上がってるのじゃないかと思うくらいあつい。
10
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【BL】はるおみ先輩はトコトン押しに弱い!
三崎こはく@休眠中
BL
サラリーマンの赤根春臣(あかね はるおみ)は、決断力がなく人生流されがち。仕事はへっぽこ、飲み会では酔い潰れてばかり、
果ては29歳の誕生日に彼女にフラれてしまうというダメっぷり。
ある飲み会の夜。酔っ払った春臣はイケメンの後輩・白浜律希(しらはま りつき)と身体の関係を持ってしまう。
大変なことをしてしまったと焦る春臣。
しかしその夜以降、律希はやたらグイグイ来るように――?
イケメンワンコ後輩×押しに弱いダメリーマン★☆軽快オフィスラブ♪
※別サイトにも投稿しています

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる