53 / 82
第53話 優しい想像力
しおりを挟む
「んまあ、でも、憂太は俺が嘘ついてるってずっと前から分かってたわけじゃん。何で問い詰めたり、怒ったりしなかったんだよ」
これまで憂太と一緒に過ごしていて、一度も疑われているように感じたことがない。
不信感を抱くことはなかったのだろうか。
「うーん、僕も隠してたし、何か言いにくい理由があるのかなあって。だから、言っても良いなって思ってくれるまで待とうと思ってたから…かな」
全身の体温が一気に上がった気がした。
漫画やアニメだったら、キュンという音と共に、心が射抜かれた描写が描かれていたと思う。
俺は、こういう優しい想像力を持っている憂太が好きだ。
「そっか。ありがとな、憂太。…でも俺、隠す理由があった訳じゃなくて…」
「あ、そう…なんだ?」
憂太は隠し事がなくなって気持ちがすっきりしたのか、お茶を一口飲み、買ってきたお菓子を開けながら俺の話を聞こうとしている。
「う…ん。えーっと、ただ見栄を張ってただけ…です」
憂太の話を聞いた後に、こんな邪念の塊みたいな嘘の動機を披露しても良いのだろうか。
「あはは。待って、見栄張ってただけって」
誠実であろうとかっこつけずに言った結果、こんな風に爆笑されるなんて。
「もっと何か言いにくい理由があるのかと思ってたけど、逆に湊らしい…ね…っんふ…あはは」
口元を押さえて、笑いを堪えようとしているが、全く堪えられていない。
「俺らしいってなんだよ!どうやって話そうって、ずっと悩んでたのに笑うなよー」
憂太の首元を掴み、憂太の身体をグラグラと揺らす。
「待って、待って、ごめん。っはは。笑ってないって」
はあ、と一息ついて憂太が話を続けた。
「僕たち、ずっと隠しごとしてたんだね」
こんな偶然があるのかと、お互い顔を見合わせて頬を緩ませる。
これまで憂太と一緒に過ごしていて、一度も疑われているように感じたことがない。
不信感を抱くことはなかったのだろうか。
「うーん、僕も隠してたし、何か言いにくい理由があるのかなあって。だから、言っても良いなって思ってくれるまで待とうと思ってたから…かな」
全身の体温が一気に上がった気がした。
漫画やアニメだったら、キュンという音と共に、心が射抜かれた描写が描かれていたと思う。
俺は、こういう優しい想像力を持っている憂太が好きだ。
「そっか。ありがとな、憂太。…でも俺、隠す理由があった訳じゃなくて…」
「あ、そう…なんだ?」
憂太は隠し事がなくなって気持ちがすっきりしたのか、お茶を一口飲み、買ってきたお菓子を開けながら俺の話を聞こうとしている。
「う…ん。えーっと、ただ見栄を張ってただけ…です」
憂太の話を聞いた後に、こんな邪念の塊みたいな嘘の動機を披露しても良いのだろうか。
「あはは。待って、見栄張ってただけって」
誠実であろうとかっこつけずに言った結果、こんな風に爆笑されるなんて。
「もっと何か言いにくい理由があるのかと思ってたけど、逆に湊らしい…ね…っんふ…あはは」
口元を押さえて、笑いを堪えようとしているが、全く堪えられていない。
「俺らしいってなんだよ!どうやって話そうって、ずっと悩んでたのに笑うなよー」
憂太の首元を掴み、憂太の身体をグラグラと揺らす。
「待って、待って、ごめん。っはは。笑ってないって」
はあ、と一息ついて憂太が話を続けた。
「僕たち、ずっと隠しごとしてたんだね」
こんな偶然があるのかと、お互い顔を見合わせて頬を緩ませる。
10
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる