47 / 82
第47話 よくある話の続き /憂太の過去(3)
しおりを挟む
恋愛の相談に乗ってもらっていた相手のことを好きになるなんて、よくある話だと思った。
相手が憂太なら俺だって好きになる。
ただ、憂太に彼女がいたという事実はショックだったが、それよりも隠されていたことの方がずっとショックだった。
「(付き合ってた期間が短かったから言わなかったのか、麻生さんのことが好きで付き合ったんじゃないから言わなかったのか…)」
いくら悲しかったからとはいえ、理由も聞かず一方的に怒りをぶつけたのは良くなかった。
「なあ、憂太。さっきは言い過ぎ…た…」
憂太が眉間に皺を寄せ、背中の動きが分かるくらい大きく呼吸している。
「…え?…ゆうた?」
このよくあると思っていた話には続きがあった。
「…に、2学期が始まって、学校に行ったらクラスの雰囲気が変で…誰も僕と目も合わせてくれなくなって」
胸に何かがグサリと刺さるような痛みが走った。
憂太にこれ以上この話をさせるのは良くない気がする。
「憂太。無理に話さなくていい」
憂太は怯えたように俺を強く抱きしめながら、俯いて首を横に振っている。
「湊にはちゃんと、最後まで…話す」
憂太は涙で目を潤ませながら、1度深く呼吸をして話し始めた。
「麻生さんの彼氏は結構目立つタイプの人でさ、周りへの影響力がすごくて。学校に行ったら、みんなの前でその彼氏から麻生さんとの関係を問い詰められちゃって…」
憂太の呼吸音だんだん大きくなり、不規則なリズムになってきている。
「無理しなくていい。憂太。話したくないことぐらい誰だったあるって」
ここから先の出来事は憂太にとって辛い記憶なのだろう。
こんな弱々しい憂太を見るのは初めてだった。
「…ありがと…情けない話だけど、もう少しだけ聞いて…」
相手が憂太なら俺だって好きになる。
ただ、憂太に彼女がいたという事実はショックだったが、それよりも隠されていたことの方がずっとショックだった。
「(付き合ってた期間が短かったから言わなかったのか、麻生さんのことが好きで付き合ったんじゃないから言わなかったのか…)」
いくら悲しかったからとはいえ、理由も聞かず一方的に怒りをぶつけたのは良くなかった。
「なあ、憂太。さっきは言い過ぎ…た…」
憂太が眉間に皺を寄せ、背中の動きが分かるくらい大きく呼吸している。
「…え?…ゆうた?」
このよくあると思っていた話には続きがあった。
「…に、2学期が始まって、学校に行ったらクラスの雰囲気が変で…誰も僕と目も合わせてくれなくなって」
胸に何かがグサリと刺さるような痛みが走った。
憂太にこれ以上この話をさせるのは良くない気がする。
「憂太。無理に話さなくていい」
憂太は怯えたように俺を強く抱きしめながら、俯いて首を横に振っている。
「湊にはちゃんと、最後まで…話す」
憂太は涙で目を潤ませながら、1度深く呼吸をして話し始めた。
「麻生さんの彼氏は結構目立つタイプの人でさ、周りへの影響力がすごくて。学校に行ったら、みんなの前でその彼氏から麻生さんとの関係を問い詰められちゃって…」
憂太の呼吸音だんだん大きくなり、不規則なリズムになってきている。
「無理しなくていい。憂太。話したくないことぐらい誰だったあるって」
ここから先の出来事は憂太にとって辛い記憶なのだろう。
こんな弱々しい憂太を見るのは初めてだった。
「…ありがと…情けない話だけど、もう少しだけ聞いて…」
10
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
病み男子
迷空哀路
BL
〈病み男子〉
無気力系主人公『光太郎』と、4つのタイプの病み男子達の日常
病み男子No.1
社会を恨み、自分も恨む。唯一心の支えは主人公だが、簡単に素直にもなれない。誰よりも寂しがり。
病み男子No.2
可愛いものとキラキラしたものしか目に入らない。溺れたら一直線で、死ぬまで溺れ続ける。邪魔するものは許せない。
病み男子No.3
細かい部分まで全て知っていたい。把握することが何よりの幸せ。失敗すると立ち直るまでの時間が長い。周りには気づかれないようにしてきたが、実は不器用な一面もある。
病み男子No.4
神の導きによって主人公へ辿り着いた。神と同等以上の存在である主を世界で一番尊いものとしている。
蔑まれて当然の存在だと自覚しているので、酷い言葉をかけられると安心する。主人公はサディストではないので頭を悩ませることもあるが、そのことには全く気づいていない。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる