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第36話 安堵
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「…憂太はさ、結婚したいって思うの?」
思わず尋ねてしまった。
恋愛の話は慎重に、怪しまれないように、なるべく自然に聞こうと思っていたのに、止められなかった。
「うーん…」
憂太は人差し指を口元に置いて、視線を斜め上に向けて考え始めた。
「(うわ、もし、絶対に結婚したいとか言われたらどうしよう。もう失恋確定じゃん…)」
返事を聞くまでの時間が長く感じる。
「結婚はしなくても良いかなー」
さっぱりとした答えだった。
「え?結婚式とか…したいって思ったりは?」
憂太が考えていた割にどうでも良さそうに答えるから、食い気味に質問を続けてしまう。
「別にいらないかなー、そもそも呼ぶ友達いないし。僕は本当に好きな人と一緒に居られるなら形なんてどうでも良いと思う」
「へ、へえ、そっか…」
ほんの少しの可能性だったとしても、自分にもチャンスがあると憂太に言われているように思えて嬉しくなる。
「なになに、湊くんは早くに結婚したいタイプですか?」
隣を歩く憂太が顔を覗き込んで茶化してくる。
「そんなんじゃねーよ。…俺も好きな人とずっと一緒に居られたらなんでも良いし…」
こんなことを人に話すのは初めてで、恥ずかしくて途中から声が小さくなってしまった。
照れた顔を見られたくなくて、覗き込んできた憂太の頭をグイっと押した。
「ぬぁぁ」
憂太は頭を押されて変な声を出していた。
好きな人に恋愛の話を聞くのはこんなにもドキドキして不安になるのかと思った。
思わず尋ねてしまった。
恋愛の話は慎重に、怪しまれないように、なるべく自然に聞こうと思っていたのに、止められなかった。
「うーん…」
憂太は人差し指を口元に置いて、視線を斜め上に向けて考え始めた。
「(うわ、もし、絶対に結婚したいとか言われたらどうしよう。もう失恋確定じゃん…)」
返事を聞くまでの時間が長く感じる。
「結婚はしなくても良いかなー」
さっぱりとした答えだった。
「え?結婚式とか…したいって思ったりは?」
憂太が考えていた割にどうでも良さそうに答えるから、食い気味に質問を続けてしまう。
「別にいらないかなー、そもそも呼ぶ友達いないし。僕は本当に好きな人と一緒に居られるなら形なんてどうでも良いと思う」
「へ、へえ、そっか…」
ほんの少しの可能性だったとしても、自分にもチャンスがあると憂太に言われているように思えて嬉しくなる。
「なになに、湊くんは早くに結婚したいタイプですか?」
隣を歩く憂太が顔を覗き込んで茶化してくる。
「そんなんじゃねーよ。…俺も好きな人とずっと一緒に居られたらなんでも良いし…」
こんなことを人に話すのは初めてで、恥ずかしくて途中から声が小さくなってしまった。
照れた顔を見られたくなくて、覗き込んできた憂太の頭をグイっと押した。
「ぬぁぁ」
憂太は頭を押されて変な声を出していた。
好きな人に恋愛の話を聞くのはこんなにもドキドキして不安になるのかと思った。
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