15 / 82
第15話 花火大会の計画
しおりを挟む
憂太は買ってきた備品の補充をテキパキとこなしながら話を続けてくる。
「それなら花火デートの練習させてよ」
「え?花火デート?」
「うん、花火大会」
「あぁ、花火大会な……任せろ」
花火大会なんて小さい頃家族で行った記憶しかない。
夜とはいえ人が多くて暑くて、人混みの中で息をするのが精一杯で、花火が上がる頃には疲れ切っていたことだけは覚えている。
それに、ここ数年は特に実家のマンションのベランダから見える米粒サイズの花火と、テレビで中継される映像で満足している。
もちろん、彼氏としてのエスコート術なんて全く教えられる気がしない。
彼氏彼女以前に花火大会に良い思い出がなくて行くのが億劫になる。
「(憂太が彼氏役なら、俺は彼女役として行くんだよな…彼女…浴衣とか着て行くべきなのか…?)」
「憂太、浴衣とか着る?着るなら俺も着るけど…」
「着る!」
「即答じゃん」
即答してくると思わなくて、笑ってしまう。
「え、だって湊着ようと思ってるんでしょ?」
「憂太が着るなら着てあげても良いかなって」
「じゃあ着る」
「ふふ、返事食い気味かよ」
さっきまでキスがどうとか話していたのに、気がつけばすっかり忘れて花火大会の計画を立てている。
さっきまで億劫だと感じていたのに、憂太と一緒に花火大会の計画を立てていると楽しくて、「恋人役として行く」なんてことは忘れていた。
「それなら花火デートの練習させてよ」
「え?花火デート?」
「うん、花火大会」
「あぁ、花火大会な……任せろ」
花火大会なんて小さい頃家族で行った記憶しかない。
夜とはいえ人が多くて暑くて、人混みの中で息をするのが精一杯で、花火が上がる頃には疲れ切っていたことだけは覚えている。
それに、ここ数年は特に実家のマンションのベランダから見える米粒サイズの花火と、テレビで中継される映像で満足している。
もちろん、彼氏としてのエスコート術なんて全く教えられる気がしない。
彼氏彼女以前に花火大会に良い思い出がなくて行くのが億劫になる。
「(憂太が彼氏役なら、俺は彼女役として行くんだよな…彼女…浴衣とか着て行くべきなのか…?)」
「憂太、浴衣とか着る?着るなら俺も着るけど…」
「着る!」
「即答じゃん」
即答してくると思わなくて、笑ってしまう。
「え、だって湊着ようと思ってるんでしょ?」
「憂太が着るなら着てあげても良いかなって」
「じゃあ着る」
「ふふ、返事食い気味かよ」
さっきまでキスがどうとか話していたのに、気がつけばすっかり忘れて花火大会の計画を立てている。
さっきまで億劫だと感じていたのに、憂太と一緒に花火大会の計画を立てていると楽しくて、「恋人役として行く」なんてことは忘れていた。
4
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
新緑の少年
東城
BL
大雨の中、車で帰宅中の主人公は道に倒れている少年を発見する。
家に連れて帰り事情を聞くと、少年は母親を刺したと言う。
警察に連絡し同伴で県警に行くが、少年の身の上話に同情し主人公は少年を一時的に引き取ることに。
悪い子ではなく複雑な家庭環境で追い詰められての犯行だった。
日々の生活の中で交流を深める二人だが、ちょっとしたトラブルに見舞われてしまう。
少年と関わるうちに恋心のような慈愛のような不思議な感情に戸惑う主人公。
少年は主人公に対して、保護者のような気持ちを抱いていた。
ハッピーエンドの物語。
ある夏、迷い込んできた子猫を守り通したら恋人どうしになりました~マイ・ビューティフル・カフェーテラス~
松本尚生
BL
ひと晩の寝床を求めて街をさ迷う二十歳の良平は危うくて、素直で純情だった。初恋を引きずっていた貴広はそんな良平に出会い――
祖父の喫茶店を継ぐため、それまで勤めた会社を辞め札幌にやってきた貴広は、8月のある夜追われていた良平を助ける。毎夜の寝床を探して街を歩いているのだと言う良平は、とても危うくて、痛々しいように貴広には見える。ひと晩店に泊めてやった良平は、朝にはいなくなっていた。
良平に出会ってから、「あいつ」を思い出すことが増えた。好きだったのに、一線を踏みこえることができず失ったかつての恋。再び街へ繰りだした貴広は、いつもの店でまた良平と出くわしてしまい。
お楽しみいただければ幸いです。
表紙画像は、青丸さまの、
「青丸素材館」
http://aomarujp.blog.fc2.com/
からいただきました。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる