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04.
02.生まれ変わり
しおりを挟むこの罪悪感から解放される時は来るのだろうか。
「もしもし、緋莉?」
「お久しぶりです檜垣さん」
「久しぶり、どうしたの急に」
「元気、かなって」
「うん、今外回り休憩中、緋莉は?」
「今昼休み、私はそんなに変わりないかな」
「そっか、よかった」
しばしの沈黙の後、檜垣さんから口を開く。
「僕南さんと結婚するんだ」
正直ちょっと驚いた。南さんがあの後も
檜垣さんのことを好きなままなのにも驚いたが、
檜垣さんが南さんをちゃんと好きになるのも
意外だった。
「南さん、ずっと僕のこと好きでいてくれたんだ、
変な人だよね。ただのぶりっ子女だと思ってたら
意外と真っ直ぐな子だったんだよ」
喋り方も何だか柔らかくなった気がする。
「そうなんだ、おめでとう」
「ありがとう」
檜垣さんがちゃんと前に進んでくれていて安心した。私だけ幸せになるのはずるいと思っていたから。
「ほんと最低だったし恥ずかしいけど、
僕緋莉のこと、本気で好きだったんだ。
他の男にとられるのが嫌であんな風にさ…」
未だにあの時のことは夢に見て、
心臓がバクバク鳴ることもある。
それで飛び起きた日は最悪。
でもこうして話してみると、
前の檜垣さんはあの時に死んだんだと思える。
「石橋くんとはうまくいってる?」
「たまに生意気でうざいときもありますけど、
まあ…普通ですかね…」
「…彼にも本当に申し訳ないと思ってるから、
良かったらそう伝えてくれないかな」
「了解です」
通話終了ボタンを押してポケットに携帯を突っ込む。
「まだ私の連絡先消してないんだな……」
「お待たせ~」
「お疲れ様!」
私を見つけると嬉しそうに私に手を振る。
「今日終わんの早いな」
そう言いながら歩き出す石橋くんの腕の隙間に
手をすり込ませる。
「うん、プロジェクトひと段落ついたから」
「予約してるから、ちょっと飲んで帰ろ~」
「緋莉さ、もうすぐ誕生日やんか」
少し前から、さん付けをやめた石橋くん。
私も、まだ違和感はあるが、
今は下の名前で呼んでる。
1年目の時からしっかりしていたので、
あまり年下だと意識したことはないが、
今更呼び方をお互い変えるのは変な感じがする。
「もう30か~」
20代、長かったような短かったような。
「そろそろ結婚したいんやけど、どう思う?」
早生まれの石橋くんはまだ27歳。
「いや~いいのほんとに、
もうちょっと他の子~とか考えなくて」
「また言うてるし…俺のこと好きやないの?」
拗ねたように言う石橋くんが可愛くて。
「いや…好きだよ」
私がそう返すと、満足そうに笑う。
付き合い始めて少ししてから、
広めのマンションに引っ越して、
二人暮らしをしている。
「毎日一緒におれてめちゃくちゃ幸せ」
酔うと普段言わないようなことも
何でも言ってくるのが可愛い。
大きい石橋くんを抱き枕にして寝ると安心する。
私の髪を指通りを確かめるように撫でる。
「…いい匂い」
顎先を上げられて、軽いキス。
「ん…」
何度か唇を重ねると、首筋にキスされる。
思わず息が漏れる。
「…したくなっちゃった」
「…いいよ」
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