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02."友達"止まりの僕
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しおりを挟む朝8:45
今日はいつもより少し電車が遅れたので、
職場に着くのがギリギリになってしまった。
「あれ、東瀬くんおはよ」
「あっ、緋莉さん」
「珍しいねこんなギリギリにくるの」
「まあ…はい」
何事もなかったかのように、翌日会社で接する。
自然にできているだろうか。
PC書類ロッカーも隣。自然に、自然に。
・
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始業から2時間半。深い溜息をついて席を立つ。
コーヒーでも買ってくるか。
「緋莉さん、今日事務所来てたあの人誰?」
「グループ会社の東京支店長ですよ、
新サービスの打ち合わせがあったみたいで」
向かいから2人が歩いてくる。
同じくらいの身長で、全然お似合いじゃない。
でもニコニコしてる柔らかい緋莉さんは、
他の人には見せない顔で複雑な気持ちになる。
時間も時間だし、2人でランチでも行くんだろうか。
「あ、東瀬くん、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「一緒に昼行かない?」
「あー、午後イチの打ち合わせ資料まだ
できてないんで、また今度ご一緒させてください」
誰が一緒に行くか。
イラつきを抑えて事務所に戻る。
デスクでご飯を食べながら打ち合わせ資料を
揃えている間に2人が戻ってきた。
「昨日の飲み会さあ、斉藤くんめちゃくちゃ
おもろかったんだよなあ」
「えー私の同期のですか?」
「動画あとで送るわ~見てほしい」
うちは社内恋愛はわりと盛んな方だと思うので、
公認であればわりと堂々としている人たちが多い。
同じチームだったら尚更、
仕事を共有していることもあり、
よく話している人たちを見かけるので
慣れているはずなのだが、この2人は癪に触る。
仕事に支障が出始めている。
どうにかしないともっと悪影響が出そうだ。
モヤモヤしたまま定時を迎える。
仕事はまだ終わりそうにない。
提案書の一枚目の概要文だけ永遠にまとまらない。
後ろから緋莉さんがそろりと近寄ってくる。
「最近遅いね、帰り」
「まあ…稟議控えてるんで」
「どうしたの、元気ないじゃん」
この人は分かってる。分かってて聞いてきている。
「手伝うから、終わったら飲み行こ」
「…ありがとうございます」
応援ありがとうございます!
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