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1. 憧れの先輩を寝取り返す日

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久しぶりの相性がいい人との行為は最高だった。
しかもずっと好きだった緋莉さんと、
先輩と付き合ってる緋莉さんとなんて。

「もう私以外としちゃだめだよ」
「…うん」
こんな風に抱きしめられて甘やかされながら
寝てみたかった、夢が叶った。


次の日目を開けると夜と同じ体勢のままで、
身体はバキバキになっていた。
「む…」
もぞもぞと体勢を変えようとしていると
緋莉さんも目覚める。
「ん…んあっ、え?!」
腕の中にいるのが明らかに小田さんの
サイズ感じゃないのに驚いたのか
寝ぼけたまま俺の身体をベタベタ触る。

「おはよ、緋莉さん」
声と髪色で気づいたのか沈黙する緋莉さん。
「あ、ええ…?東瀬くん??」
「俺ん家来たの覚えてないんですか」
「あいや、覚えてるけど…」

緋莉さんは泥酔してないように見えて
すぐ記憶を無くすので、本当に途中からは
覚えていないんだろう。

「東瀬くんにだけは絶対手つけないって
 誓ってたんだけど…」
寝取ったはずなのにそんな言い方をされるのは
何か釈然としない。
同じチームの後輩だから?



あの日から1週間経つが、特に何事もなく
日々が過ぎている。

土日は緋莉さんの匂いが残るベッドで感傷に浸り、
1人でしていたが、緋莉さんと毎日一緒にいたら
廃人になる自信がある。

「ルカ~そろそろ上がれる?」
同期の女の子2人が後ろから俺に声をかけてくる。
「あっ、もうちょい、先行ってて」
モニター越しに緋莉さんから視線を感じる。
精々セフレ止まりの俺のことなんて
気にすることないのに。

キリのいいところで仕事を片付けないと、
一生帰れない。この辺にしておこう。
「お先に失礼します」
「お疲れ様~」
小田さんがキラキラの笑顔を向けてくる。
「…お疲れ~」
緋莉さんはモニターから目を離さずに言う。
普段こんなに冷たかったっけ。

まあでも今日は、4年目以下の若手飲みだ。2人のことは忘れて楽しもうと思う。

「ルカ~こっちこっち~」
「遅いぞー」
「ごめんごめん、稟議書まとまらなくて」
座敷の個室に20人弱くらい集まって、
もう既に会は始まっていた。

企画営業グループではいつまでも下っ端だが、
この中では最年長になったのかと思うと
背筋が伸びる。

「1年目の子達はもう散々色んなとこで
 自己紹介してるからお前だけな、
 んで乾杯して。はい注目ー!4年目の
 エース来ましたー!」

やりづらいなやめろって。
目立つのは好きじゃないんだけど。

「東瀬ルーカス凜人です、企画営業部4年目。
 今日はみんな楽しんでいってください、
 飲み過ぎには気をつけて、乾杯~」
みんなグラスを俺に向けて
カジュアルに乾杯を済ます。

「ルカは奥の席ね、そこしか空いてないから」
言われたところに座って、食事と会話を楽しむ。
普段こんなに同い年や年下と話すことがないので、
自然と肩の力が抜ける。

「川村さんはさ~、彼氏とかいるの?」
「いや、今は…いないです」
同期の女好きの佐伯が1番可愛いと騒がれていた
大人しそうな事務の子の隣を
ガッツリ陣取ってるのが目に入る。

「ピピピピー佐伯セクハラやめてください席交代」
「え~?!」
「すぐセクハラする、反省しろよ」
佐伯をどかして事務の子の隣に座る。

「大丈夫?」
「あっ、ありがとうございます」
「ルカみたいなのが1番危ないから気をつけなよ~」
「俺がいつ会社でやらかしたんだよ」

つい最近まさにやらかしてるけど。
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