メフィストフェレスの狡猾

慈眼川まる

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パリ オペラ座事件

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わたくし、メフィストフェレス。
地獄からの使者。ちょっと昔話をしましょう。
私よりも階級が低い、しかし侮り難い早い目を持った馬鹿じゃないアンニュイという悪魔。
あいつは、サタンと仲が良いのか悪いのかしょっちゅういさかい事を起こしている。サタンの方が格上なのを虎視眈々と帰り咲こうとしている。昔、堕天使ルシファーなんていう飾り立てた真っ逆さまな愚か者を見て、地獄の私とアンニュイとサタンは大変刺激を受けて、最高の残酷の美をどいつが凄いか競争しだした。
サタンは愛されている白猫を首を捥いで死体をさらしてミイラにした。地上は愛を亡くした人間が震えた。
私メフィストフェレスは仲が良い美しい人間3人の仲を裂いて、何も言えない暗黒面に落として愛するが故に地獄を這いつくばらせた。美しい人は憎しみに狂っていった。そんな毒が、イボ蛙とマンドラゴラの日干し毒蜘蛛の牙を煮詰めたものであった。
アンニュイは言った。
「俺は勝つぜ。取って置きの恐怖がある。
そう、クライムオンビジュアルショック第2弾だぜ。」
そう言って人間界に降り立ったアンニュイは、口が裂ける程ニヤリと笑った。
「さぁ、showは始まった。」
その舞台はオペラ座だった。パリの市街にある重厚で豪華なその建物は、今日華やいでいた。フランスの貴婦人と貴公子が蜜月の間で、今約束の時間2人顔を見合わせた。さて、アンニュイは黒い影になり忍び寄る魔の手を、天井のシャンデリアに伸ばし、その鎖を切った。そして、お互いに微笑み合い駆け寄ろうとする彼女の上にそれは落ちてきた。
時が止まった。まさか、貴公子は駆け寄りショックで蒼白になり、血の色に悲鳴をあげた。
このカップルは2度とこの日を語らないだろう。
18世紀の雨の日は悪魔の力が勝っていたのは、迎える世紀末にサタンが予言していたからか?
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