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新しい関係を移ろう季節と共に
しおりを挟む季節は季節はだんだんと寒さも和らいできた頃、私の怪我は順調に回復し機織りも、糸染めも徐々に再開し始めた頃。
陛下が訪れて、教えられた。
新年の祭事の際の犯人は捕まったということ、その実行犯も首謀者も捕まり、都から離れた土地へと送られたのだという。
のちに、書物やそういったことに詳しい三番目の側妃さまに聞いたところ、そこは不毛の地であり暮らし向きは大変厳しいのだという。
貴族として、官吏として都で優雅に暮らしてきたであろう人には到底暮らしの確保が厳しいであろう土地への流刑。
陛下のお怒りが大きかったのだろうと三番目の側妃はにこやかに教えてくれた。
そして、いわれた一言。
「本当に、陛下はそなたを大切にしておられる。私はもうすぐ臣下に下賜されるから、ここから去るけれど。あなたを、陛下が手放すことはないでしょうね」
彼女は晴れやかな顔をして、そして言った。
「やっと、うちの父は諦めてくれたの。それに気づいた陛下のおかげで、私は自分の好きな人の元へ下賜されるのよ。陛下には感謝しているわ」
彼女は家の政略の駒にされるのは嫌だったといい、それを聞きつけた陛下が後宮へと入れることで回避していたのだという。
晴れて幸せになる、彼女はとても美しかった。
そして、その相手が陛下の側近なのにも驚いたのだけれど、どうやらいいお家同士なので顔馴染みであったのだと聞いた。
人の恋の話はお菓子同様、甘くって幸せそうで私は温かな気持ちになりつつその日三番目の側妃さまとお話して穏やかに過ごした。
そうして、春の暖かな日彼女はにこやかに後宮を去っていった。
短い間であったが彼女は平民出の私にも優しく、たくさんのことを教えてくれた。
教養深く、優しさに溢れた彼女はなんと武官の飛龍さまに嫁いでいったのだった。
武官の嫁になるからと、背丈のあまり変わらない私に後宮用のたくさんの衣装を置いていかれた。
「飛龍さまがたくさん仕立てて下さっているから、ここで使っていたものはお気に入り以外は持っていかないことにしたの。だから、背丈の近いあなたに譲るわ」
そう言って、衣装箱五箱の衣装が私の部屋に着いた時は鈴香と二人で驚いたのだけれど、彼女はコロコロと笑って言った。
「これからきっと春麗様はもっと衣装が必要になりますからね。これは私からのささやかなお礼です。春麗様は素敵な生地をたくさん下さいましたから」
彼女は私の機織りの生地を大層気に入ってくれていた。それらを仕立てたものや、まだ反物のままでも私の生地は絶対持っていくと言ってくれた。
作った側としては、これ程嬉しい言葉はない。
「春麗様、どうかここでお健やかに。陛下とお幸せになられませ。なにかあれば、ここから離れようとも私はあなたの味方です。お助け致します」
そう言って、別れた。
私の後宮での友人と言えたかもしれない、三番目の側妃だった朋華は、春の花と共にこの後宮から去りました。
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