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そんな寒くなってきた日々に仕上げた毛織物はお針子たちの手を借りて、立派な羽織となって後宮の側妃や女官達に支給された。
私なりの日々のお礼である。得意で出来ることといったら機織りくらいだし。
本格的に寒くなる前に配ることが出来でホッとしている。
私に就いてくれてる女官に聞くと皆喜んでるようで、一安心だ。
作業も落ち着いたので、今日は久しぶりにゆっくりしようとのんびりと室で過ごしていると先触れが来て今日陛下が来ると知らされた。
ゆっくり過ごすと決めていたが、どうやらそうも言ってられなくなったようで室にいた女官や女中たちが慌ただしく動き始めた。
私は邪魔にならないように、出されたお茶を飲みつつ私付きの女官が声をかけてくるまで待機していた。
「春麗さま、お召し替えを……」
そうして差し出された衣装に手を借りて着替えて、流鶯さまから簪をもらったことを伝えたらその数日後陛下からも簪が届いた。
金の豪華な簪は垂れと紅玉の大玉がついたもので、今日はそれで髪をまとめられた。
ここのところ陛下は忙しく二週間ぶりに顔を合わせる。
久しぶりすぎてドキドキする。
そうして久々に着飾って陛下が来るのを待っていると、着替えを終えて少ししたころに陛下はやってきた。
女官さんたちのタイミングの良さには本当に脱帽の思いだ。
「陛下、ようこそお越しくださいました」
陛下の登場に椅子から立ち、頭を下げると簪がシャランと音を立てた。
顔を上げると陛下は私を見て柔らかく微笑む。
「よく似合っている。今度は翡翠の簪も送ろう。紅玉も悪くないが、春麗には翡翠も似合いそうだ」
大変にこやかに散財発言するのはやめてほしい……。
この簪すら、使うの怖いのに……。
「この簪が大変気に入りましたので、しばらくはこれを使うので大丈夫です!」
つい、強めに返すと陛下はくすくすと声を立てて笑う。
「そうか、気に入ってくれてなによりだ。春麗、そろそろ新年の準備で忙しくなるがちょこちょこ顔を出す。短い時間になるが、迎えてくれるか?」
陛下がお望みならば、それは迎えるしかない。
私はにっこりと答えた。
「もちろん、陛下がお望みであれば。私はいつでもお待ちしておりますので……」
私の答えに陛下は少し考えた後に、口を開いた。
「もしかしたら、俺が動けないときは春麗に来てもらうこともあるかもしれないが。その時は来てくれるか?」
「陛下がそうお望みなら、参ります。ただ、お声掛け無しでは立ち入れませんからね?」
陛下の室はそういうものである。陛下もそれは分かっているので、一つ頷いて言った。
「もちろん、分かっている。呼んだときは来てほしい」
それに私はしっかり頷いて答えたのだった。
「かしこまりました」
こうして、陛下は新年に向けて忙しくなり、私もまた新年用の毛織物をせっせと織る生活を送るようになった。
外は雪がちらつき始め、冬へと変わっていった。
私なりの日々のお礼である。得意で出来ることといったら機織りくらいだし。
本格的に寒くなる前に配ることが出来でホッとしている。
私に就いてくれてる女官に聞くと皆喜んでるようで、一安心だ。
作業も落ち着いたので、今日は久しぶりにゆっくりしようとのんびりと室で過ごしていると先触れが来て今日陛下が来ると知らされた。
ゆっくり過ごすと決めていたが、どうやらそうも言ってられなくなったようで室にいた女官や女中たちが慌ただしく動き始めた。
私は邪魔にならないように、出されたお茶を飲みつつ私付きの女官が声をかけてくるまで待機していた。
「春麗さま、お召し替えを……」
そうして差し出された衣装に手を借りて着替えて、流鶯さまから簪をもらったことを伝えたらその数日後陛下からも簪が届いた。
金の豪華な簪は垂れと紅玉の大玉がついたもので、今日はそれで髪をまとめられた。
ここのところ陛下は忙しく二週間ぶりに顔を合わせる。
久しぶりすぎてドキドキする。
そうして久々に着飾って陛下が来るのを待っていると、着替えを終えて少ししたころに陛下はやってきた。
女官さんたちのタイミングの良さには本当に脱帽の思いだ。
「陛下、ようこそお越しくださいました」
陛下の登場に椅子から立ち、頭を下げると簪がシャランと音を立てた。
顔を上げると陛下は私を見て柔らかく微笑む。
「よく似合っている。今度は翡翠の簪も送ろう。紅玉も悪くないが、春麗には翡翠も似合いそうだ」
大変にこやかに散財発言するのはやめてほしい……。
この簪すら、使うの怖いのに……。
「この簪が大変気に入りましたので、しばらくはこれを使うので大丈夫です!」
つい、強めに返すと陛下はくすくすと声を立てて笑う。
「そうか、気に入ってくれてなによりだ。春麗、そろそろ新年の準備で忙しくなるがちょこちょこ顔を出す。短い時間になるが、迎えてくれるか?」
陛下がお望みならば、それは迎えるしかない。
私はにっこりと答えた。
「もちろん、陛下がお望みであれば。私はいつでもお待ちしておりますので……」
私の答えに陛下は少し考えた後に、口を開いた。
「もしかしたら、俺が動けないときは春麗に来てもらうこともあるかもしれないが。その時は来てくれるか?」
「陛下がそうお望みなら、参ります。ただ、お声掛け無しでは立ち入れませんからね?」
陛下の室はそういうものである。陛下もそれは分かっているので、一つ頷いて言った。
「もちろん、分かっている。呼んだときは来てほしい」
それに私はしっかり頷いて答えたのだった。
「かしこまりました」
こうして、陛下は新年に向けて忙しくなり、私もまた新年用の毛織物をせっせと織る生活を送るようになった。
外は雪がちらつき始め、冬へと変わっていった。
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