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本人自覚なし?にわかに騒がしくなる周囲

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 陛下の側近の方々にお会いして、更には流鶯さまとお茶をしてからというもの、私の作業場である工場には毎日様々な人々が訪れるようになった。

 側近の飛龍さんしかり、泰然さんしかり。
 そして、側近のお二人は大抵ここに何故か訪れる頻度の増えた陛下の回収が目的での訪問である……。

 また、流鶯さまの女官が工場に迎えに来てくれて、流鶯さまとは週一でお茶をしている。
 どうやら、工場にこもりがちな私を気遣って下さってるようで美味しいお菓子やお茶ですっかりもてなされてしまっている。
 私はしがない女中でしかないのだけれど、いいのだろうか?
 思わず、三度目のお誘いの時に聞いてみるとコロコロと鈴の音のような笑い声を出して流鶯さまは言った。

 「春麗、あなたは良い仕事をしてくれる大事な女中だわ。そして今のあなたは後宮では私たちと同じくらい大事な存在なのよ。だから、たまには息抜きしなければね」

 と言うので、私は首を傾げて言った。

 「私は田舎から来た機織りと染色しか取り柄のない、行き遅れの娘ですよ? そんな大事な存在にはなりませんよ」

 私のあっさりとした返答に目を丸くして、流鶯さまはボソリと言った。

 「陛下、もっと頑張りなさいませ……」

 「流鶯さま、なにかおっしゃいましたか?」

 聞きそびれたかと問い返すと、にっこり笑った流鶯さまは言った。

 「いいえ、春麗へはなにもございません。不甲斐ない方に少々愚痴をこぼしましたが、お気になさらず」

 不思議には思ったけれど、どうも聞いてはいけない空気を感じたので、これ以上聞くのはやめたのだった。

 そんな感じで、週に三日~四日陛下は朝議を終えて、謁見も終えた午後に工場に訪れるようになった。
 一緒にいるのは、半刻もあるかどうか。
 それでも、陛下はこの工場に訪れる。
 面白いものがある訳でもない、ただただ私が一人機織りや糸を染めているだけの空間に。

 そして、それに否やは言わずに時間が来ると迎えに来る飛龍さまや泰然さま。

 そして、そんな方々を見たいのか、最近私の工場には女中の姿が増えた。

 「手が空いたからなにか手伝おうか?」

 なんて言われたりもするが、そうそうここには人に振るほど仕事はない。

 「大丈夫よ、足りてるから」

 と返せばしょんぼり去って行く女中たち。
なぜなのだろうと、同じ部屋の浮光に聞いたらクスクス笑って教えてくれた。

 「飛龍さまに泰然さまは女中や女官に人気があるのよ。お綺麗だったり、ワイルドなかっこよさだったりで。陛下の側近でもあるし、将来有望ってことで注目されてるから」

 はぁ、なるほどと納得するものの状況は日々騒がしい方向へと進んで行くのだった。
 
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