眩しさの中、最初で最後の恋をした。

織原深雪

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝、掲示板の前に立ち俺は今年のクラスを確認する。
「お!要。はよ!」
そう後ろから声を掛けてきたのは同じ部で部長の蒼。
「おう、蒼。今年も同じクラスだ」
「マジか!?ラッキー♪」
弾む声の調子から本当に喜んでいるのがわかる。
俺は割と日々平坦なので、蒼こそ分かってくれるが周りからはクールだの言われている。
ただ単に起伏が少なくて面倒くさがりで話下手なだけなのだが……。
「でもな、蒼。担任、三浦だぞ?」
「げっ。始ちゃんが担任なのかよ!?俺、課題から逃げらんねぇじゃん!」
蒼は明るく元気の良いタイプで、明るい髪と見た目も良いし、背も高いしで女子に人気だ。
よく告白されるし、手紙も貰っていたり、部活に差し入れも貰ったりする。
告白は好きな人が居るからと、断っているのを知っている。
その想い人が誰か知っているので、お前そろそろ頑張れよと俺は内心思っている。
クラスに入れば黄色い声が上がる。
蒼と一緒に居ると大体そんなもんで、三年同じクラスにいれば慣れているとはいえ少し面倒でつい、顔に出てしまう。
すると、名簿をしっかり見ていなかったが今年は久しぶりに幼なじみの瀬名日菜子と同じクラスになったようだ。
クラスの真ん中あたりで机にガッツリ臥せっている日菜子が見えた。
そんな日菜子に気付いたらしい、蒼が小声で耳打ちしてくる。
「おい!担任より、なにより瀬名さんと同じクラスって教えといてくれよ!やっぱり今年はラッキーだ!」
小声だけれど喜びに弾む声が、蒼のテンションの高さを教える。
高校に入ってすぐ幼なじみの日菜子と騒がれて、互いに面倒に思い距離を置いた。
互いの勝手を知る幼なじみは、前の席の女子と仲良さそうに話して抱き着いていた。
あいつにも仲のいい友達が出来ていたんだな。
少し安心して見つめていると。
「お!瀬名さんと一緒に居るの、家庭科部のマドンナじゃん!」
ん?その言葉に俺が疑問顔になると、蒼が教えてくれる。
「お前、その辺疎いよな!家庭科部のマドンナ、汐月有紗!穏やかで優しい性格で、ほんわかした雰囲気とその清楚な見た目で男子人気ナンバーワンだぞ?」
そう言うと、俺の肩を抱いてまた耳打ちしてくる。
「因みに、どんな男がアタックしても玉砕の高嶺の花だ。瀬名さんとは去年から同じクラスで二人は仲良しだ!要、マドンナと仲良くなるチャンスだぞ」
蒼の顔を見ればニヤニヤしている。
俺が日菜子と一緒に居た、そのマドンナと言われる彼女を気にしていたのを見抜いたらしい。
蒼はその辺が鋭い。
なのに、本人の恋愛はヘタレである。
「つまり、お前は俺に日菜子への橋渡しをしろと?」
はぁん?とした目で見ながら言ってやると、蒼は両手を合わせて拝む様にして言う。
「今年こそ、瀬名さんとお近付きになりたいんだよ!頼むよ、要」
情けない声を出すヘタレな俺の親友に、俺は溜息をつきつつ返事をしてやる。
「仕方ないな。でもお前、ほんとに頑張れよ?」
「高校最後の夏、しっかりカレカノで過ごしてやる!」
ある意味健全男子な思考回路を口にする蒼の肩をポンポン叩きつつ、仲良さそうに話している日菜子と汐月さんを見て俺はまず、日菜子へと声を掛けに行く事にした。

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