72 / 100
事件の解決と明かされる新事実
72
しおりを挟む
「綾乃、それなら問題無いよ。直ぐにとは言わないけど出来れば早いうちに俺と結婚して欲しい。」
そう伝えても綾乃の顔はまだ難しそうに顰められている。
「あのね、シャルに話してない事があってね。私ね両親はもう居ないの。私の血の繋がった家族は姉と姪っ子だけ。」
「どういう事?」
「私の両親はね、お互いが天涯孤独の身で。お互い同じ施設で育って一緒に施設を出てからは結婚して2人で生きてきたんだって。お互いに支えあいながら奨学金で大学を卒業してお父さんは就職してその年にお母さんはお姉ちゃんを産んで。そこからは家族3人で慎ましくも温かく過ごしてきたって。お母さんも働き出してお姉ちゃんが15歳の時に久しぶりの妊娠から私が産まれたんだって。4人家族になってそれからも家族は幸せだった。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんもみんな優しくて私を可愛がってくれて。」
「それが崩れたのが私が小学生なった年のクリスマスイブ。お父さんとお母さんはその日のケーキを取りに雪の中車で出掛けたの。出来上がった料理を見ながらお姉ちゃんと2人で帰りを待ってた。普段なら30分もすれば帰ってこれる距離。1時間経っても帰ってこなくて遅いね、雪だからかなって言いながら2人でテレビを見て待ってたの。」
「それから更に1時間後、さすがに遅いってお姉ちゃんも心配し始めた頃家の電話が鳴ってお姉ちゃんが出たの。」
徐々に綾乃は泣きそうな顔になっている。
それでも綾乃は話してくれた。
「その電話は病院からかかってきた警察官の人で。お父さんとお母さんの車に雪でスリップした大型ダンプが突っ込んできてね。即死だったの。そうして姉と一緒に行った病院には布をかけられたお父さんとお母さんが居たの。お姉ちゃんは私は見なくていいって、私を抱きしめて泣きながら確認してた。」
「間違いありませんって泣きながら言うお姉ちゃんの声を今でも覚えてる。私の最後の両親の記憶はお父さんとお母さんの結婚指輪をしていた手だけ。お姉ちゃんが私に見せてくれたのはそこだけ。一番大変な部分はお姉ちゃんだけが見たの。」
そう伝えても綾乃の顔はまだ難しそうに顰められている。
「あのね、シャルに話してない事があってね。私ね両親はもう居ないの。私の血の繋がった家族は姉と姪っ子だけ。」
「どういう事?」
「私の両親はね、お互いが天涯孤独の身で。お互い同じ施設で育って一緒に施設を出てからは結婚して2人で生きてきたんだって。お互いに支えあいながら奨学金で大学を卒業してお父さんは就職してその年にお母さんはお姉ちゃんを産んで。そこからは家族3人で慎ましくも温かく過ごしてきたって。お母さんも働き出してお姉ちゃんが15歳の時に久しぶりの妊娠から私が産まれたんだって。4人家族になってそれからも家族は幸せだった。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんもみんな優しくて私を可愛がってくれて。」
「それが崩れたのが私が小学生なった年のクリスマスイブ。お父さんとお母さんはその日のケーキを取りに雪の中車で出掛けたの。出来上がった料理を見ながらお姉ちゃんと2人で帰りを待ってた。普段なら30分もすれば帰ってこれる距離。1時間経っても帰ってこなくて遅いね、雪だからかなって言いながら2人でテレビを見て待ってたの。」
「それから更に1時間後、さすがに遅いってお姉ちゃんも心配し始めた頃家の電話が鳴ってお姉ちゃんが出たの。」
徐々に綾乃は泣きそうな顔になっている。
それでも綾乃は話してくれた。
「その電話は病院からかかってきた警察官の人で。お父さんとお母さんの車に雪でスリップした大型ダンプが突っ込んできてね。即死だったの。そうして姉と一緒に行った病院には布をかけられたお父さんとお母さんが居たの。お姉ちゃんは私は見なくていいって、私を抱きしめて泣きながら確認してた。」
「間違いありませんって泣きながら言うお姉ちゃんの声を今でも覚えてる。私の最後の両親の記憶はお父さんとお母さんの結婚指輪をしていた手だけ。お姉ちゃんが私に見せてくれたのはそこだけ。一番大変な部分はお姉ちゃんだけが見たの。」
0
お気に入りに追加
1,207
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる