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学院祭①
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長い夏休みが開け秋になるとラクテウス王国は建国祭の時期を迎える。建国祭も各地でお祭りが開かれたり王宮でも大きな舞踏会が開かれたりして、魔法学院と王立学院でも建国祭の1週間前から合同で1週間にわたるイベント、学院祭が開催される。魔法学院の裏手には広い森があるので、それを利用して魔物の群れが押し寄せて来たという想定の元、王立学院と魔法学院の生徒が協力して討伐シミュレーションをするといった合同訓練。それから4~6年生の選ばれた生徒達が一対一もしくは2対2で戦う模擬戦。そして王立学院と魔法学院それぞれで生徒たちが毎日屋台や演奏などの出し物を行うお祭りのようなが催しがあり、模擬戦と出し物は一般人も見学したり遊びに来れるので両学院はいつも以上の賑わいを見せる。
「なるほど、運動会と文化祭の掛け合わせみたいなものか。」
「?ニゲル?」
「あぁ、何でもないよ。…それより、合同訓練はリアちゃんの魔法どうするの?目立ちたくないんでしょ?」
そう、問題はそこだ。せっかく王立学院を離れたのにここで光魔法をぶっ放して目立ってしまえば殿下に見つかってしまうだろう。見つからないためにも、その他大勢に埋もれなくては。
「…まぁ、光魔法は使わないようにするよ。」
「うん、そうだね。」
合同訓練ではそれぞれの学院の5、6年生が協力して指揮を取る。森の方から魔法学院にある巨大な魔道具で仮想の敵を作り出し、その敵が襲いかかってきたり倒したりする。もちろん仮想の敵なので実際に怪我をしたりする事はないが、訓練中は特殊なゲージが生徒それぞれにあり、それが0になると死んだとみなされ校舎内に自動で転移させられる。校舎からある一定の距離の周りにラインが引かれており、そこを魔物が超えればアウト。越えずに守り切れれば成功だ。
「………あの、どちら様ですか?」
「エミリアだよ。」
当日、私は制服のローブのフードを被り、鼻から上を隠すお面を付けて登校した。それぞれの持ち場に向かうと同じ班だったルキアと凛風、アレクに怪しまれた。
「え、それどうしたの…?」
「顔バレしたくなくて…。」
そう答えると3人は納得したように頷いていた。
「ま、俺らは基本指示通りに動けば良いだけだからな。そんな心配すんなよ。逆に好き勝手やりすぎるとこういう集団戦の時はその場をかえって混乱させるだけだしな。」
「うん、そうだね。」
それはそうなのだが、殿下は今4年なのでこっちの実動部隊にいるのだ。いつどこで鉢合わせするとも分からないから一応ね。
逆行前と合わせると合同訓練はこれで7回目なので流石に上手く立ち回れ、自分の目の前の敵だけでなくやられそうになっている学生の手助けもこっそりしていく。ただし使う魔法は全部水属性縛りにした。
合同訓練は見事成功し、翌日からは模擬戦と学院祭が始まった。模擬戦の初日と2日目は予選で、春の暁のみんなは予選は絶対突破すると分かっているので観戦には行かず学院祭を楽しむ。今日は同学年のみんなと一緒に回ることにした。
「ねぇあそこ、アイス売ってる!」
「食べに行こ!」
「あ、あれアナスタシアじゃん。そういえばポップコーン売るって言ってたな。」
「じゃあアイス買ったらそっちも行こうか。」
私達は色々な屋台を巡って楽しむ。途中かつての友人達とすれ違うこともあったが、急に話しかけても怖いだけなので大人しくしている事にした。
予選2日目はマリウスやアレク、ヘレナと一緒に回って、翌日。今日は本戦だ。私達はポップコーンを片手に模擬戦の観戦に来ていた。ギルドの仲間達も多く出場している。
「ルス兄が模擬戦で優勝して冠をお姉ちゃんにプレゼントするんだって。」
「へー、良いじゃん。セウェルスならやれるだろ。」
「セウェルスって6年の?もうすぐAランクパーティーになるんじゃないかとかって話題になってる?」
冒険者パーティーにもランクがあり、最初はEランクから始まってAランク、Sランク、そして最上級がSSランクとなるがSSランクはほぼ伝説級だ。私達も春から活動し始めたばかりなのでDランクだが、学生の内では優秀な方でもBランクで卒業が多いのだ。だからルス兄達のパーティーは今界隈では話題になっていて、いずれはSランクパーティーにもなれるんじゃないかと注目されているのだ。
「そう、クララの恋人だ。」
マリウスが言うとヘレナはそうだったの⁉︎と驚いていた。
「次期マスターの恋人も優秀なんだねぇ。」
「ルス兄も人当たり良くて面白い人だしね。私達も初等学校の頃はよく遊んでもらってたし。」
「セウェルス子ども好きだもんな。」
「次、セウェルスだぞ。相手は…。」
「王立の6年だね。」
「セウェルスー!頑張れよー!!」
まぁ“前”も魔法個人戦部門ではルス兄が優勝してたから、きっと勝てるだろう。ルス兄は魔力の扱いが上手だから魔法の威力の調整によって少ない魔力を一点に集約して敵を穿つことができる。私は魔力量が膨大なのを良いことに割と魔力調整がガバガバだから見習わないとなぁ。
「あ、見て、次王子様だって。大丈夫なのかな?」
ヘレナは我がギルドの名物料理、唐揚げを頬張りながら言った。私達のクラスも屋台をやっていて、唐揚げを売る事にしたのだ。
「さぁな、けどフレデリクス殿下は剣術はかなりの腕だと聞いたぜ?」
「ふーん。アレクとどっちが強いの?」
「それは…、…殿下の実力を見てみない事には何とも言えねぇな。」
「それもそうか。」
私はジュースを吸いながらヘレナとアレクの話を聞いている。殿下…、か。…あぁ、顔を見ると死ぬ程腹が立って来る。
「うわっ、エミリア?どうしたんだよ、なんか降って来るんだが⁉︎…何だこれ、金平糖?」
「どうした、目にゴミでも入ったか?それとも間違えて桃味のジュースでも買っちまったか?」
どうやら魔力が漏れていたようで、隣に座るアレクとマリウスはそれぞれ言った。やば、落ち着け私。
「…ごめん、何でもないの。ちょっと…、…昨日の夕飯の時弟に唐揚げ取られたのを思い出しただけ。」
私が言うとヘレナとアレクはぶは、と笑った。マリウスもフッと笑う。
「なんだ、びっくりした~。」
「またルカスか?あいつも懲りねぇな。」
「はは、じゃあ今日はたくさん食わねーと。…それよりエミリアは魔力が漏れると金平糖が降ってくるんだな、マリウスとか氷属性の強いやつは寒くなるし俺みたいな火属性持ちは暑くなるが。」
アレクは降って来た金平糖を摘んで言った。そう、魔力が漏れるとその人が強く持つ属性に応じて暑かったり寒かったりジメジメしたり、突風が吹いたり地面が揺れたり静電気がバチバチしたりするのだが何故か私…、光属性は金平糖なのだ。何故かは本当に分からないのだが、ニゲルは「星っぽいからじゃない?」と笑っていた。ニゲルが言うと本当にそうな気がしてくる。
まぁそれはともかくとして、殿下は一人で出場し相手に勝利していた。まぁ勇者パーティーに抜擢されたのはただのコネや大人の事情だけではないという事だ。殿下は決して足手まといなんかではなかった。
───とまぁ殿下の事は一度置いておいて、そんな感じでギルドの仲間達を応援しているとあっという間に1日が終わる。殿下もルス兄も順調に勝ち進み、決勝まで駒を進めた。
「なるほど、運動会と文化祭の掛け合わせみたいなものか。」
「?ニゲル?」
「あぁ、何でもないよ。…それより、合同訓練はリアちゃんの魔法どうするの?目立ちたくないんでしょ?」
そう、問題はそこだ。せっかく王立学院を離れたのにここで光魔法をぶっ放して目立ってしまえば殿下に見つかってしまうだろう。見つからないためにも、その他大勢に埋もれなくては。
「…まぁ、光魔法は使わないようにするよ。」
「うん、そうだね。」
合同訓練ではそれぞれの学院の5、6年生が協力して指揮を取る。森の方から魔法学院にある巨大な魔道具で仮想の敵を作り出し、その敵が襲いかかってきたり倒したりする。もちろん仮想の敵なので実際に怪我をしたりする事はないが、訓練中は特殊なゲージが生徒それぞれにあり、それが0になると死んだとみなされ校舎内に自動で転移させられる。校舎からある一定の距離の周りにラインが引かれており、そこを魔物が超えればアウト。越えずに守り切れれば成功だ。
「………あの、どちら様ですか?」
「エミリアだよ。」
当日、私は制服のローブのフードを被り、鼻から上を隠すお面を付けて登校した。それぞれの持ち場に向かうと同じ班だったルキアと凛風、アレクに怪しまれた。
「え、それどうしたの…?」
「顔バレしたくなくて…。」
そう答えると3人は納得したように頷いていた。
「ま、俺らは基本指示通りに動けば良いだけだからな。そんな心配すんなよ。逆に好き勝手やりすぎるとこういう集団戦の時はその場をかえって混乱させるだけだしな。」
「うん、そうだね。」
それはそうなのだが、殿下は今4年なのでこっちの実動部隊にいるのだ。いつどこで鉢合わせするとも分からないから一応ね。
逆行前と合わせると合同訓練はこれで7回目なので流石に上手く立ち回れ、自分の目の前の敵だけでなくやられそうになっている学生の手助けもこっそりしていく。ただし使う魔法は全部水属性縛りにした。
合同訓練は見事成功し、翌日からは模擬戦と学院祭が始まった。模擬戦の初日と2日目は予選で、春の暁のみんなは予選は絶対突破すると分かっているので観戦には行かず学院祭を楽しむ。今日は同学年のみんなと一緒に回ることにした。
「ねぇあそこ、アイス売ってる!」
「食べに行こ!」
「あ、あれアナスタシアじゃん。そういえばポップコーン売るって言ってたな。」
「じゃあアイス買ったらそっちも行こうか。」
私達は色々な屋台を巡って楽しむ。途中かつての友人達とすれ違うこともあったが、急に話しかけても怖いだけなので大人しくしている事にした。
予選2日目はマリウスやアレク、ヘレナと一緒に回って、翌日。今日は本戦だ。私達はポップコーンを片手に模擬戦の観戦に来ていた。ギルドの仲間達も多く出場している。
「ルス兄が模擬戦で優勝して冠をお姉ちゃんにプレゼントするんだって。」
「へー、良いじゃん。セウェルスならやれるだろ。」
「セウェルスって6年の?もうすぐAランクパーティーになるんじゃないかとかって話題になってる?」
冒険者パーティーにもランクがあり、最初はEランクから始まってAランク、Sランク、そして最上級がSSランクとなるがSSランクはほぼ伝説級だ。私達も春から活動し始めたばかりなのでDランクだが、学生の内では優秀な方でもBランクで卒業が多いのだ。だからルス兄達のパーティーは今界隈では話題になっていて、いずれはSランクパーティーにもなれるんじゃないかと注目されているのだ。
「そう、クララの恋人だ。」
マリウスが言うとヘレナはそうだったの⁉︎と驚いていた。
「次期マスターの恋人も優秀なんだねぇ。」
「ルス兄も人当たり良くて面白い人だしね。私達も初等学校の頃はよく遊んでもらってたし。」
「セウェルス子ども好きだもんな。」
「次、セウェルスだぞ。相手は…。」
「王立の6年だね。」
「セウェルスー!頑張れよー!!」
まぁ“前”も魔法個人戦部門ではルス兄が優勝してたから、きっと勝てるだろう。ルス兄は魔力の扱いが上手だから魔法の威力の調整によって少ない魔力を一点に集約して敵を穿つことができる。私は魔力量が膨大なのを良いことに割と魔力調整がガバガバだから見習わないとなぁ。
「あ、見て、次王子様だって。大丈夫なのかな?」
ヘレナは我がギルドの名物料理、唐揚げを頬張りながら言った。私達のクラスも屋台をやっていて、唐揚げを売る事にしたのだ。
「さぁな、けどフレデリクス殿下は剣術はかなりの腕だと聞いたぜ?」
「ふーん。アレクとどっちが強いの?」
「それは…、…殿下の実力を見てみない事には何とも言えねぇな。」
「それもそうか。」
私はジュースを吸いながらヘレナとアレクの話を聞いている。殿下…、か。…あぁ、顔を見ると死ぬ程腹が立って来る。
「うわっ、エミリア?どうしたんだよ、なんか降って来るんだが⁉︎…何だこれ、金平糖?」
「どうした、目にゴミでも入ったか?それとも間違えて桃味のジュースでも買っちまったか?」
どうやら魔力が漏れていたようで、隣に座るアレクとマリウスはそれぞれ言った。やば、落ち着け私。
「…ごめん、何でもないの。ちょっと…、…昨日の夕飯の時弟に唐揚げ取られたのを思い出しただけ。」
私が言うとヘレナとアレクはぶは、と笑った。マリウスもフッと笑う。
「なんだ、びっくりした~。」
「またルカスか?あいつも懲りねぇな。」
「はは、じゃあ今日はたくさん食わねーと。…それよりエミリアは魔力が漏れると金平糖が降ってくるんだな、マリウスとか氷属性の強いやつは寒くなるし俺みたいな火属性持ちは暑くなるが。」
アレクは降って来た金平糖を摘んで言った。そう、魔力が漏れるとその人が強く持つ属性に応じて暑かったり寒かったりジメジメしたり、突風が吹いたり地面が揺れたり静電気がバチバチしたりするのだが何故か私…、光属性は金平糖なのだ。何故かは本当に分からないのだが、ニゲルは「星っぽいからじゃない?」と笑っていた。ニゲルが言うと本当にそうな気がしてくる。
まぁそれはともかくとして、殿下は一人で出場し相手に勝利していた。まぁ勇者パーティーに抜擢されたのはただのコネや大人の事情だけではないという事だ。殿下は決して足手まといなんかではなかった。
───とまぁ殿下の事は一度置いておいて、そんな感じでギルドの仲間達を応援しているとあっという間に1日が終わる。殿下もルス兄も順調に勝ち進み、決勝まで駒を進めた。
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