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7.初の謁見②
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「わたくしが死んだところで誰も何も困りませんから。」
「「「っ…⁉︎」」」
「シャ、シャル…⁉︎」
私が言うと皆驚いたように私を見た。…まぁ、よく考えれば皇帝も母に大切な人を殺されかけたんだから怒って当然よね…。ジゼル様はお母様は無実だと思っていらっしゃるようだったけど、一応私からも謝っておきましょうか。まぁ私を殺さなかった彼らが悪いとは思うけれど。
「…わたくしは生まれてきてはいけなかった。わたくしは皇族の恥であり汚点です。存在してはいけなかった。…生まれてきてしまった事を心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。」
私が頭を下げると辺りはしん、と静まり返った。……あの、ふざけんな死ねでも良いからせめて何とか言ってくださらない…?足がプルプルしてきた。
「…シャルロット。」
勝手に発言する訳にもいかずジェラールが何か言いたげな視線を私に向けていると、皇帝は低い声で私の名を呼んだ。私は顔を上げる。
「はい。」
「…誰だ。」
「…はい?」
「誰がお前に、お前は皇族の恥だと教えた?お前はなんと教えられた?」
顔を上げると皇帝はとても恐ろしい表情で私達を見下ろしていた。…え、なんで?なんで怒ってるの?もしかして嫌いな奴からは謝られても何されてもムカつくみたいな?そういうこと??私そこまで嫌われてたの??あらら…、それは気づかなかったわ…。申し訳ない。
「…アケルナル公爵家の離れの者達に…。皇妃陛下を害そうとした女の娘だから私の母は全帝国民の敵であり、その娘である私にも人権はないと…。それから罪人と皇族の血を継いだわたくしの存在は迷惑だ、とも。…それに、それがこの国の常識なのでございましょう?ですので申し訳なく思いお詫びをさせて頂いたのですが…。それもご不快でいらっしゃいましたか?それなら大変申し訳ございませんでした、ご無礼をお許し…」
ください、と続けようとしたところで皇帝はガンッと玉座の肘掛を拳で殴った。私達は驚いて肩を揺らす。
「「っ!」」
(え、待って、私怒らせた?なんかまずい事言っちゃった?地雷踏んだ⁉︎)
(な、何にこんなに怒ってるんだ?皇帝はシャルに興味はないようだし、子どもにそんな事を言う事に対して怒るはずないよな?それに俺もお前も何も悪い事はしてないはずだが…⁉︎)
「スタン…!!!」
「…重ね重ね本当に申し訳ございませんでした。全て私の責任です。」
「??お待ちください、公爵1人の責任ではありませんよね?我が母がエスパス帝国の母とも言える皇妃陛下を消そうとした事は事実なのですよね?でしたらあの侍女達の言う事は正論では?罪人が産んだ皇女など扱いが面倒にも程がありましょう?まぁ赤子の突然死を装って殺さなかった事は大いに疑問ですが…。」
私が言うと大人達は唖然としたように私を見る。…また変な事言ったかしら…?ここは恐らく18世紀頃のフランスとよく似ているし、マリーアントワネットとルイ16世の息子、ルイ17世も革命で再教育という名目のもと散々虐待された挙句たったの10歳で結核で亡くなったそうだから、私が…しかもルイ17世と違って父親にも見放されている私が虐待を受けるのはある意味当然のような。それに皇帝が止めないならそれは皇帝の意に反していない、つまり黙認はしているって事でしょ?この娘は皇帝からも…あぁいや、そうね、子どもらしくはなかったわね。まぁでも今更もう良いか。
「…だが、親の罪と子どもは無関係だろう。」
「えぇ、それはもちろん。ですが世の中そう考えない者も多いのですよ。特に罪人が死亡した場合、憎悪はその肉親に向く。…となればわたくしが斯様に言われるのも予想の範疇でしょう。更に陛下が生まれた皇女に一度も会わず公爵家に放置しているともなれば、他の者達はそれが陛下のご意向と捉えるでしょうね。」
「むしろ、あの離れの中だけで済んでいたのは良かったかもしれないな。外に出ていれば最悪刺されていたかもな。」
「そうね。」
しれっとジェラールとそんな話をしていると、誰かが「…神童…?いやまさか、星渡り…?」と呟いた。…星渡り?
「…あの、」
「…はぁ…。…よし、これより皇女は皇宮に移ってもらう。スタン、後ほどこちらに姫の私物を送れ。」
「へ、陛下⁉︎」
「「「っ…⁉︎」」」
「シャ、シャル…⁉︎」
私が言うと皆驚いたように私を見た。…まぁ、よく考えれば皇帝も母に大切な人を殺されかけたんだから怒って当然よね…。ジゼル様はお母様は無実だと思っていらっしゃるようだったけど、一応私からも謝っておきましょうか。まぁ私を殺さなかった彼らが悪いとは思うけれど。
「…わたくしは生まれてきてはいけなかった。わたくしは皇族の恥であり汚点です。存在してはいけなかった。…生まれてきてしまった事を心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。」
私が頭を下げると辺りはしん、と静まり返った。……あの、ふざけんな死ねでも良いからせめて何とか言ってくださらない…?足がプルプルしてきた。
「…シャルロット。」
勝手に発言する訳にもいかずジェラールが何か言いたげな視線を私に向けていると、皇帝は低い声で私の名を呼んだ。私は顔を上げる。
「はい。」
「…誰だ。」
「…はい?」
「誰がお前に、お前は皇族の恥だと教えた?お前はなんと教えられた?」
顔を上げると皇帝はとても恐ろしい表情で私達を見下ろしていた。…え、なんで?なんで怒ってるの?もしかして嫌いな奴からは謝られても何されてもムカつくみたいな?そういうこと??私そこまで嫌われてたの??あらら…、それは気づかなかったわ…。申し訳ない。
「…アケルナル公爵家の離れの者達に…。皇妃陛下を害そうとした女の娘だから私の母は全帝国民の敵であり、その娘である私にも人権はないと…。それから罪人と皇族の血を継いだわたくしの存在は迷惑だ、とも。…それに、それがこの国の常識なのでございましょう?ですので申し訳なく思いお詫びをさせて頂いたのですが…。それもご不快でいらっしゃいましたか?それなら大変申し訳ございませんでした、ご無礼をお許し…」
ください、と続けようとしたところで皇帝はガンッと玉座の肘掛を拳で殴った。私達は驚いて肩を揺らす。
「「っ!」」
(え、待って、私怒らせた?なんかまずい事言っちゃった?地雷踏んだ⁉︎)
(な、何にこんなに怒ってるんだ?皇帝はシャルに興味はないようだし、子どもにそんな事を言う事に対して怒るはずないよな?それに俺もお前も何も悪い事はしてないはずだが…⁉︎)
「スタン…!!!」
「…重ね重ね本当に申し訳ございませんでした。全て私の責任です。」
「??お待ちください、公爵1人の責任ではありませんよね?我が母がエスパス帝国の母とも言える皇妃陛下を消そうとした事は事実なのですよね?でしたらあの侍女達の言う事は正論では?罪人が産んだ皇女など扱いが面倒にも程がありましょう?まぁ赤子の突然死を装って殺さなかった事は大いに疑問ですが…。」
私が言うと大人達は唖然としたように私を見る。…また変な事言ったかしら…?ここは恐らく18世紀頃のフランスとよく似ているし、マリーアントワネットとルイ16世の息子、ルイ17世も革命で再教育という名目のもと散々虐待された挙句たったの10歳で結核で亡くなったそうだから、私が…しかもルイ17世と違って父親にも見放されている私が虐待を受けるのはある意味当然のような。それに皇帝が止めないならそれは皇帝の意に反していない、つまり黙認はしているって事でしょ?この娘は皇帝からも…あぁいや、そうね、子どもらしくはなかったわね。まぁでも今更もう良いか。
「…だが、親の罪と子どもは無関係だろう。」
「えぇ、それはもちろん。ですが世の中そう考えない者も多いのですよ。特に罪人が死亡した場合、憎悪はその肉親に向く。…となればわたくしが斯様に言われるのも予想の範疇でしょう。更に陛下が生まれた皇女に一度も会わず公爵家に放置しているともなれば、他の者達はそれが陛下のご意向と捉えるでしょうね。」
「むしろ、あの離れの中だけで済んでいたのは良かったかもしれないな。外に出ていれば最悪刺されていたかもな。」
「そうね。」
しれっとジェラールとそんな話をしていると、誰かが「…神童…?いやまさか、星渡り…?」と呟いた。…星渡り?
「…あの、」
「…はぁ…。…よし、これより皇女は皇宮に移ってもらう。スタン、後ほどこちらに姫の私物を送れ。」
「へ、陛下⁉︎」
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