兄ちゃん、今度は何?

智春

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声のお仕事?

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「バイトの子に、声優について質問していたらCDを渡された」 

仕事から帰ってきた兄ちゃんは、部屋でゴロゴロしていた俺の肩を揺すった。

「弟も声優に関心があると話したら、オススメ作品だといって貸してくれたものだ」

「作品?楽曲じゃなくて?」

「よく分からない。だが、せっかく貸してくれたのだから、一緒に聞こうではないか」

そう言って、兄ちゃんはプレーヤーにCDをセットした。軽快なテーマ曲に乗って男性の声で簡単な前置きが入った。

「ん、これってドラマCDってやつだよね?」

「ドラマ?」

首をかしげる兄ちゃんに、マンガやアニメとかの朗読劇みたいなものだと説明した。前にマンガの単行本に付いていた似たようなCDがあった。

しばらく、元ネタの分からないドラマを聞き続けていたら、嫌な予感がしてきた。男性のみのキャスト、ラブストーリーを思わせるBGM、恋を匂わす展開やセリフのやりとり・・・
これって、まさか。

「兄ちゃん、これ貸してくれたバイトの子って、BL用語教えてくれた子じゃない?」

「なぜ分かった?とても嬉しそうに『弟さんと二人で聴いて下さい』と言っていた」

うわ、腐女子じゃん!しかも兄弟にBLドラマCD聴かせるんんて、どんな妄想されるか考えたくもない!

「兄ちゃん、やめよう」

「なぜだ?まだ半分も聴いていないぞ」

「残り半分は、きっと俺たちが踏み込んじゃいけない領域だからダメ!」

「理由を説明しろ」

「兄ちゃんは完全に遊ばれてるんだよ、その子に。どうしても聴きたいならイヤホンして一人で聴いて!」

CDを突っ返して部屋から追い出した。

数十分後、ものスゴい勢いで飛び込んできた兄ちゃんが、パニクって支離滅裂なことを言っていたけど、俺は布団をかぶって寝たふりを決めこんだ。

覚えたBL用語が役立つはずだよ、きっと。
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