すれ違う道

むちむちボディ

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そっくりさん?

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「ごめんな、山下くん。こっちへ来てすぐにこんな事になるなんて。とても気持ち良かったよ。」

「申し訳ないね。初対面でやり過ぎたかもしれませんね。」

と親父2人が申し訳なさそうに謝ってくる。

「いえ、こんな経験が出来て良かったです。さすがに疲れましたけど。」

「またお2人と出来れば良いと思いますので、今後とも宜しくお願いします。」

そう言って木村さんと一緒にマンションまで戻った。
激動の帯広初日がようやく終わったのであるが、タケシに連絡するのを忘れていた。

*連絡遅くなってゴメン。無事に到着してる。周辺散策とご飯食べてたら遅くなっちゃった。北海道はやっぱ広いわ。

そうLINEを入れてシャワーを浴びる。
疲れていたオレはタケシからのLINEを確認しないまま寝てしまった。
翌朝目覚めたのは日が高く昇ってからだったが、そのおかげもあって昨日の疲れも取れている感じがした。
ふと携帯を見るとタケシからのLINEが入っていることに気付く。

*裕樹さん、長旅お疲れ様でした。住みやすそうな街ですか?色々大変ですけど、頑張ってね!落ち着いたら神戸に戻って来てくださいね。

帯広初日からあんなことになってしまったが、やっぱりタケシは最愛の彼だなと改めて思った。
ゆっくりとした日曜日を過ごしながら、夕食には再び”あおぞら”へ。
大将と顔を少し赤らめながら世間話をする。

「へ~、その体型でテニスするの?意外だねぇ笑」

少しディスられながらも

「これでも学生時代は結構活躍していたんですよ。」

そんな会話しながらも明日から仕事ということもあり、早めに引き上げることに。
会社までの道のりを確認したうえで、早めの就寝となった。
翌朝、会社に初出社すると、

「お、君が山下くんか。私がここの支店をまとめている坂田と言います。神戸の三好部長から聞いているよ。しっかりして仕事も出来ると言っていたので期待してるぞ。」

と言ってきたのは支店長の坂田さん。
オレよりも少し上な感じのぽっちゃりおじさんであった。
完全に文化系デブといった見た目で経理畑が本職とのこと。

「山下裕樹と申します。こちらの力になるよう精一杯頑張りますので宜しくお願いします。」

一通り挨拶して回ったが、人手不足というぐらいなので支店長とオレを除くと他4名の合計6名であった。
2人は女性で経理・事務処理関係を担当。
2名は男性で営業担当。今日も1名は既に外出しているとのこと。
事務所にいる営業の1名は気の弱そうな20代の若手社員で、横田くんと言うようだ。
外出しているのは安藤さんという40代後半の有望株だそうだ。
神戸では工業系、通信系がメインで商材を販売していたのではあるが、
こちらではそれよりも農業系商材の取り扱いが多いとのことであった。
北海道ならではという感じがしたが、こちらに来たのだなという実感も湧いてきた。
横田くんに色々と業務や商材などを教えてもらいながら、
生活スタイルなどで不安に思うことなど聞いていたりした。

「ただいま戻りました。今日も暑いっすね。」

という声が事務所に響いた。
外回りしていた安藤さんが戻ってきたのだ。
その姿を見て、オレはビックリすることになる。
なんと、その姿がタケシそっくりなのである。
体型も風貌もメガネも何もかもがそっくりで、瓜二つの兄弟かと思ったぐらい。
そんなタケシ、もとい安藤さんはオレを見て、

「あ、新しく来られた方ですね。営業やってます安藤と言います。」

「外回りお疲れ様です。こちらに配属になりました山下と申します。年取ったおじさんですが、宜しくお願いします。」

と言うと笑いながら、

「私も同じ世代のおじさんですよ。デブですし…。あ、山下さんも似た感じですね…。」

同じ部類と見たのか、完全に仲間意識を持ち出している安藤さん。
支店長の坂田さんも含め、2デブが3デブになったと喜んでいた。
しかし…タケシそっくり過ぎて普通に仕事が出来るかなと思ったり。
変にタケシと呼んでしまいそうだな…注意しなければと自分自身に言い聞かせるオレ。
目の保養になりそうな仕事環境で、今後の業務も楽しみだな。

「山下さん、どこに住んでるんですか?ここから近いんです?」

「土地勘無いけど、歩いて10分ぐらいかな?」

「おぉ、良いですね。支店長、金曜日に歓迎会しましょう。飲みに行きましょうよ。」

安藤さんが音頭を取って歓迎会をしてくれることになった。
皆も乗り気で支店長の奢りでとか色々言ってたけど、支店長が接待交際費でと。
一気に盛り上がる事務所。
歓迎会なのかタダ酒の飲み会なのかよく分からなくなってるけどね。
それからの皆と言うと週末に残業しないで済むようにテキパキと仕事をこなしている。
オレも営業回りについて行ったり、業者さんに挨拶したりで忙しい日々だった。
でも皆の待ちに待った歓迎会がやってきた。
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