すれ違う道

むちむちボディ

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出会い

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「あぁ、最近全然運動してないな…ちょっとこのままだとマズイかもな…。」

と、つぶやきながら自分の大きなお腹をつまんでいる彼は山下裕樹50歳。
170cmの身長に92kgの体重という大型熊ボディの持ち主だ。
見事に肥えてしまった自分の腹をポンと叩きながらフゥと深いため息を付いている。
はるか昔ではあるが高校生の時にはテニスで全国大会出場まで経験した事があるほどのスポーツマンだったが、今は見る影もない体型となってしまった。

「ダイエットしないとな…。久しぶりだけどちょっとテニスでもやってみるかな…。」

そう思い近くのテニススクールを探してみた。有名テニススクールがヒットしたが、希望の時間帯にスクールがなかった事と、少し遠い事から残念ではあるが断念した。
ここで諦めてしまうのがいつもの彼であったが、今回は違ったようで別の一般サークルが無いかを検索してみるようだ。

*初心者歓迎、年齢不問、復帰したい方も是非どうぞ!

と言うコメントと共にメンバーらしき人たちの集合写真が載っていた。
その写真には自分と似た体型のぽっちゃりさんが端っこで控えめに写っていたのである。
その姿を見て少し興味を持って連絡してみようかなと思うようになっていた。
そう、彼はゲイなのである。しかも自分と同様にぽっちゃり太めの中年親父が興味の対象で、テニスでダイエットと言いながらも写真のぽっちゃりさんが気になっているのである。
どうしてもぽっちゃりを追いかけてしまう癖が付いてしまって、いつも人間ウォッチしながら目の保養をしているタイプだった。

*はじめまして、サークルに参加させて頂きたいと思っております54歳男性です。
過去にテニス歴3年ほどあります。
かれこれ10年以上もラケットを振ってない中年オヤジなので
最初はご迷惑をお掛けするかもしれませんが、受入参加可能でしょうか?

と簡単でも真面目なフリしたコメントで参加希望をメールした。
それから2日後、自分自身が忘れているぐらいのタイミングでメールが届いた。

*メールありがとうございます。
私はサークル代表してます横田と申します。
参加はぜひぜひ、オッケーですよ。
最近はメンバーも減ってしまって5、6名程度の少人数となってしまっているのでテニスの練習になるかは分かりませんが、体験程度に参加されてみてください。
良さそうであれば続けて頂ければぐらいで良いですので、お気軽にどうぞ。

思いの外アッサリとOKを頂いてホッとしたが、ほどなく今度は若干の不安が襲ってきて、この体型で動けるのかどうか…と心配になってきた。
しかしダイエットのため、健康のためと言うのが名目で参加することは決めているのだが、本音は写真に写っていたぽっちゃりさんに会いたいためと言っても過言では無かった。
それからメールのやり取りをして、早速今週の土曜午前中に参加することとなった。
さすがに足攣ったりしたら大変だと思って数日でも風呂上がりの柔軟をしてみたりもしていた。

不安と期待が交錯した土曜の朝を迎えた。
Tシャツの着替えやスポーツドリンク、日焼け止めを塗って準備万端テニスコートに向かった。
メールのやり取りをしていた幹事さんの横田さんを見つけ、

「はじめまして、山下と申します。今日は宜しくお願いします!」

と挨拶してメンバーの輪に加わった。
と言っても今日は特に少なく幹事の横田さんと私、あと3人の5名で開始となった。

「今日少し体験させて頂きます山下と申します。30年以上前の高校の時にテニス部でしたが、その後はほとんどやってなかったのでこんな体型に…。」

とお腹をつまみながら自虐ネタを披露するとみんな吹き出すほどの大笑いしてもらった。

「ダイエットしないとと思ってきてますが、ご迷惑掛けないよう頑張ります。」

お尻をフリフリしてダンスする振りをしてもう一つ笑わせてやったわ。

「山下さんって面白い方ね。タケシくんみたいで可愛いわね。」

唯一の女性マダムからお褒めの言葉を頂きましたが、タケシとは誰だろう?
と思いながら練習に入ろうとしていると、後方からバタバタと大きな荷物を持った眼鏡小太りな彼が走ってきた。

「あー、遅れてすみませーん。」

「あ、噂をすればタケシくん来たね。」

ゼイゼイと息を切らしながら登場したタケシくんとやら。
眼鏡が熱気で曇るほど汗が出るぐらい走ってきたようだ。
間違いなく写真に写ってたぽっちゃりさんその人であった。
一目見た瞬間に電気が走るとよく言うが、ビビビとくる感覚があって、思わずじっと見つめてしまった。

「ごめんなさい、ちょっと道が混んでて遅れました。えーっと…、あれ?新しい人ですか?」

タケシくんと言われる眼鏡ぽっちゃりさんが身体のデカい熊のオレを見つけて声掛けてきてくれた。

「アッ、えーと、今日少し一緒に体験させて頂きます山下と申します。見たままですが中年デブおっさんです。」

「ギクっ!それは僕の事?同じく中年デブおっさんの久保武史と言います。宜しくお願いします。」

「見るからに同じ体型なんで、なんだか兄弟が出来たみたいで嬉しいですね。」

とオレと肩を組みながらネタにするタケシくん。
2人デブのひょうきんさにメンバーみんなで大笑い。
ビビビときたタケシくんとは嬉しいことに意気投合しそうである。
眼鏡の見た目も小太りな身体もとてもタイプでカワイイタケシくん。
どうしてもエロいことを想像してしまう状況にもう既に興奮気味なオレ…。
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