ミラー★みらくる!

桜花音

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2.赤点回避はペアワークで連帯責任!?

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 ペアワークは毎期末テスト前の恒例らしくて、どうやってペアを決めるのかと思ったら、くじ引きだった。
 わたしが組む相手は、長距離走の益子くんだった。
 接点がなかったからほとんど話したことないんだけど、そんなことは言ってられないもんね。
 なにせこっちは教えてもらう身で、しかもわたしの成績が悪かったら益子くんまで大会に出られなくなっちゃう!

「益子くん、よろしくお願いします!」
 ぐにゃりと前屈並みのお辞儀をしたんだけど、益子くんはなにやら頬をかいて微妙な反応をする。
 あれ? わたし、なにかやったかな?

「莉菜ちゃん」
 益子くんの後ろからすみれちゃんがぴょこんと顔を出して、隣に並んだ。
 二人で顔を見合わせて何やら目線で送りあっている。
 んん? どういうこと?

「お願いっ! ペアの相手代わってください!」
 仲良く二人同じ角度で、さっきのわたしより深々とお辞儀をする。

「え? どういうこと?」
 状況がのみこめないわたしは、二人の顔をなんどもきょろきょろと見比べてしまう。

「あのね……あたしたち、付き合っているの」
「へー、そうなんだ……って。えぇーっ!?」

 莉菜のことは【鏡の部屋】で見ていたけれど、わたしが見られるのはあくまで莉菜のことだけ。
 ほかの子については、莉菜が把握していることしかわからない。
 だからこのことは、莉菜自身も知らなかったはず。きっと【鏡の部屋】で同じように驚いているんじゃないかな。

「でね、いくら勉強を教えあうっていってもね、ペアってなると、ね」
 恥ずかしそうにもじもじするすみれちゃん。それ以上は言葉にしなくても言いたいことはわかる。
「オッケー。そりゃあ二人が組んだ方がいいと思う」
 すみれちゃんはいい子だけれど、それとヤキモチは別だもんね。
 彼氏が他の女の子と、たとえ勉強を教えあうためとはいえ、距離が近づくのは嫌だよねぇ。
 きっと益子くんも。

 それにしても知らなかったなー。カレカノかぁ。
 そんなのもっとずっと先の話だと思っていたのに、こんな身近にもう成立している子がいるなんて!

「ありがとう! 莉菜ちゃん。あたしが組む予定だった人にも、もうオッケーはもらってるから、よろしくね」
 わぁっ、素早い。恋する乙女は抜かりないなぁ。
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