16 / 43
2.赤点回避はペアワークで連帯責任!?
2-3
しおりを挟む
ペアワークは毎期末テスト前の恒例らしくて、どうやってペアを決めるのかと思ったら、くじ引きだった。
わたしが組む相手は、長距離走の益子くんだった。
接点がなかったからほとんど話したことないんだけど、そんなことは言ってられないもんね。
なにせこっちは教えてもらう身で、しかもわたしの成績が悪かったら益子くんまで大会に出られなくなっちゃう!
「益子くん、よろしくお願いします!」
ぐにゃりと前屈並みのお辞儀をしたんだけど、益子くんはなにやら頬をかいて微妙な反応をする。
あれ? わたし、なにかやったかな?
「莉菜ちゃん」
益子くんの後ろからすみれちゃんがぴょこんと顔を出して、隣に並んだ。
二人で顔を見合わせて何やら目線で送りあっている。
んん? どういうこと?
「お願いっ! ペアの相手代わってください!」
仲良く二人同じ角度で、さっきのわたしより深々とお辞儀をする。
「え? どういうこと?」
状況がのみこめないわたしは、二人の顔をなんどもきょろきょろと見比べてしまう。
「あのね……あたしたち、付き合っているの」
「へー、そうなんだ……って。えぇーっ!?」
莉菜のことは【鏡の部屋】で見ていたけれど、わたしが見られるのはあくまで莉菜のことだけ。
ほかの子については、莉菜が把握していることしかわからない。
だからこのことは、莉菜自身も知らなかったはず。きっと【鏡の部屋】で同じように驚いているんじゃないかな。
「でね、いくら勉強を教えあうっていってもね、ペアってなると、ね」
恥ずかしそうにもじもじするすみれちゃん。それ以上は言葉にしなくても言いたいことはわかる。
「オッケー。そりゃあ二人が組んだ方がいいと思う」
すみれちゃんはいい子だけれど、それとヤキモチは別だもんね。
彼氏が他の女の子と、たとえ勉強を教えあうためとはいえ、距離が近づくのは嫌だよねぇ。
きっと益子くんも。
それにしても知らなかったなー。カレカノかぁ。
そんなのもっとずっと先の話だと思っていたのに、こんな身近にもう成立している子がいるなんて!
「ありがとう! 莉菜ちゃん。あたしが組む予定だった人にも、もうオッケーはもらってるから、よろしくね」
わぁっ、素早い。恋する乙女は抜かりないなぁ。
わたしが組む相手は、長距離走の益子くんだった。
接点がなかったからほとんど話したことないんだけど、そんなことは言ってられないもんね。
なにせこっちは教えてもらう身で、しかもわたしの成績が悪かったら益子くんまで大会に出られなくなっちゃう!
「益子くん、よろしくお願いします!」
ぐにゃりと前屈並みのお辞儀をしたんだけど、益子くんはなにやら頬をかいて微妙な反応をする。
あれ? わたし、なにかやったかな?
「莉菜ちゃん」
益子くんの後ろからすみれちゃんがぴょこんと顔を出して、隣に並んだ。
二人で顔を見合わせて何やら目線で送りあっている。
んん? どういうこと?
「お願いっ! ペアの相手代わってください!」
仲良く二人同じ角度で、さっきのわたしより深々とお辞儀をする。
「え? どういうこと?」
状況がのみこめないわたしは、二人の顔をなんどもきょろきょろと見比べてしまう。
「あのね……あたしたち、付き合っているの」
「へー、そうなんだ……って。えぇーっ!?」
莉菜のことは【鏡の部屋】で見ていたけれど、わたしが見られるのはあくまで莉菜のことだけ。
ほかの子については、莉菜が把握していることしかわからない。
だからこのことは、莉菜自身も知らなかったはず。きっと【鏡の部屋】で同じように驚いているんじゃないかな。
「でね、いくら勉強を教えあうっていってもね、ペアってなると、ね」
恥ずかしそうにもじもじするすみれちゃん。それ以上は言葉にしなくても言いたいことはわかる。
「オッケー。そりゃあ二人が組んだ方がいいと思う」
すみれちゃんはいい子だけれど、それとヤキモチは別だもんね。
彼氏が他の女の子と、たとえ勉強を教えあうためとはいえ、距離が近づくのは嫌だよねぇ。
きっと益子くんも。
それにしても知らなかったなー。カレカノかぁ。
そんなのもっとずっと先の話だと思っていたのに、こんな身近にもう成立している子がいるなんて!
「ありがとう! 莉菜ちゃん。あたしが組む予定だった人にも、もうオッケーはもらってるから、よろしくね」
わぁっ、素早い。恋する乙女は抜かりないなぁ。
1
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
天空の魔女 リプルとペブル
やすいやくし
児童書・童話
天空の大陸に住むふたりの魔女が主人公の魔法冒険ファンタジー。
魔法が得意で好奇心おうせいだけど、とある秘密をかかえているリプルと、
基本ダメダメだけど、いざとなると、どたんばパワーをだすペブル。
平和だった魔女学園に闇の勢力が出没しはじめる。
王都からやってきたふたりの少年魔法士とともに、
王都をめざすことになったリプルとペブル。
きほんまったり&ときどきドキドキの魔女たちの冒険物語。
ふたりの魔女はこの大陸を救うことができるのか!?
表紙イラスト&さし絵も自分で描いています。
てのひらは君のため
星名柚花
児童書・童話
あまりの暑さで熱中症になりかけていた深森真白に、美少年が声をかけてきた。
彼は同じ中学に通う一つ年下の男子、成瀬漣里。
無口、無表情、無愛想。
三拍子そろった彼は入学早々、上級生を殴った不良として有名だった。
てっきり怖い人かと思いきや、不良を殴ったのはイジメを止めるためだったらしい。
話してみると、本当の彼は照れ屋で可愛かった。
交流を深めていくうちに、真白はどんどん漣里に惹かれていく。
でも、周囲に不良と誤解されている彼との恋は前途多難な様子で…?

秘密
阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。
閉じられた図書館
関谷俊博
児童書・童話
ぼくの心には閉じられた図書館がある…。「あんたの母親は、適当な男と街を出ていったんだよ」祖母にそう聴かされたとき、ぼくは心の図書館の扉を閉めた…。(1/4完結。有難うございました)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる